無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
本陣殺人事件
横溝正史の中編ミステリー集。
今まで長編シリーズは幾つか読んだが、時系列的に最初の作品は未読であったため読む事にした。
今作品は中編三遍が収めらており、どれもが若かりし頃の耕助を知る上で重要な作品だ。
本陣殺人事件
記念すべき金田一耕助シリーズの第一作目。今まで読んだ作品やドラマ等の印象から、耕助は三十後半位の中年男性をイメージしていた。今作では二十代の若かりし日の耕助が登場し、金田一耕助とはいかような人物であるのか、探偵業を生業にしている理由は何かなど、今まで知らなかったパーソナルな情報が読者に共有されている。彼がアメリカの大学を出ていて麻薬中毒者だった事など、とてもインパクトのある内容である。
作品については、現代では考えられないような動機であり、しかしながら、田舎の慣習を知っている人としては、洋介の判断は至極納得のいくものであり、恐らく現代版にするとサイコミステリー的な要素がある作品だ。
密室について、三郎という登場人物を介して、横溝正史の密室作品への拘りや造詣が披露される。
トリックは大掛かりであるがとても面白く、また真犯人についてもトリックがわかるまでは読み解く事が出来なかった。
真相や犯行に至る動機などは今の時代と反する部分があるがそれを踏まえても充分に面白い作品だった。
車井戸はなぜ軋る
戦時の日本を背景に、戦争から戻って来た男が顔に傷を負い両眼を失っているという描写は現代では想像が難しいが、設定として作品に上手く影をつくっており、何処となく恐怖感のある作風になっている。
物語の進行が鶴代という少女の手紙の文体で進んでいる事もアクセントになっていて、探偵が現場にいないというとても不思議な内容になっている。
導入に時間をかけていて、本位田家の生い立ちや彼らを取り巻く環境など、わかりやすく把握する事ができる。
トリックはクローズドサークルになっており、第一の殺人が如何様に起きたのか、という部分が見所である。動機の部分は、本陣殺人事件と同様に現代では余り考えられないが、当時の男女関係に関する捉え方や田舎の風習を思えば理解できるものだ。
金田一耕助はこの事件が終幕後、改めて事件を調べ直すという形で登場し。実際の推理や活躍が描写されることはない。真相、及び鶴代の手紙は後日鶴代の兄である慎吉から耕助に明かされる訳だが彼の活躍は殆ど描かれない。
本陣殺人事件もそうだが、生きてほしい登場人物が亡くなってしまうのはとても寂しい。
黒猫亭事件
横溝正史のミステリーに対する造詣が詰まった作品。顔のない死体トリックの蘊蓄を披露し、被害者、加害者が入れ替わるだけという死体入れ替えトリックに対して横溝正史ならこうすると挑んだ様に見える作品。やはり耕助の活躍は短いが、30代で過去にも増して飄々としている魅力がある。
戦後が舞台のため、やりとりなどとても昔風に思える反面、トリックについてはどんでん返しあり、濃厚なストーリーになっている。
面白さは’誰が殺されたのか'。以前から夫婦仲の悪かった二人。引越し後に庭から時間の経った不明死体が発見される。
金田一の登場は中盤以降だが、今回は相応の活躍をしており、また、元探偵と語っている為、改めて時系列で耕助の足跡が知りたいと興味がでた。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。