横溝正史のレビュー一覧
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金田一耕助ものの有名作は概ね犯罪悲劇の傑作だ。本作はそのなかでも一、二を争う犯罪悲劇だろう。金田一耕助は「旧来の(旧弊的な)価値観」と「新時代の価値観」の両者を映し出す鏡のような存在であり、さらに「新時代の価値観」を作品から読者に媒介する役割を持っている、とわたしは考える。本作がこれほどの犯罪悲劇にもかかわらず、読後感がどこか開けているように感じられるのは、横溝自身が当時における若い世代に抱いていたほの明るい希望と期待からだということは、ほかの作品からも伺えることだ。
横溝の筆について触れると、横溝の書く文章の内容は頭のなかで映像として浮かばせやすく、映像喚起力が高い。花子の遺体のシーンは、 -
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金田一耕助ものの有名作は概ね犯罪悲劇の傑作だ。本作はそのなかでも一、二を争う犯罪悲劇だろう。金田一耕助は「旧来の(旧弊的な)価値観」と「新時代の価値観」の両者を映し出す鏡のような存在であり、さらに「新時代の価値観」を作品から読者に媒介する役割を持っている、とわたしは考える。本作がこれほどの犯罪悲劇にもかかわらず、読後感がどこか開けているように感じられるのは、横溝自身が当時における若い世代に抱いていたほの明るい希望と期待からだということは、ほかの作品からも伺えることだ。
横溝の筆について触れると、横溝の書く文章の内容は頭のなかで映像として浮かばせやすく、映像喚起力が高い。花子の遺体のシーンは、 -
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伊豆沖に月琴島と呼ばれる小島がある。月琴島。げっきんとう。いい名前。
江戸時代は密貿易の中心地として栄えたが、鎖国が終わり廃れていった。この家の分限者は、源頼朝の隠し子(娘)の血筋と自称する大道寺家。この家では19年前に悲劇がおきた。
大道寺家の16歳の跡取り一人娘の琴絵が、東京から来た二人の学生のうちの一人、日下部達哉と結ばれて妊娠した。知らせを受けた日下部は東京から月琴島に戻るが、崖から落ちて死んでいるところが見つかったのだ。
大道寺家は、日下部とともに月琴島を訪ねた彼の友人速水欣造を壻に入れて、生まれた娘智子の戸籍上の父親とした。大道寺を継いだ欣造は東京、琴絵と智子は月琴島で暮らす。琴絵 -
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『扉の影の女』
金田一耕助の報酬事情や懐事情、なぜ事件解決に打ち込むのかとか、助手の多門修との関係とかで、耕ちゃんの私生活が垣間見えます。
金田一耕助は銀座のバーに勤める加代子から依頼を受ける。加代子は夜道を逃げる殺人犯人とぶつかったのだ。もし顔を見られていたら犯人から狙われるかもしれない。しかし被害者は加代子の恋敵だったので警察に行けば今度は加代子自身が犯人と疑われるかもしれない。そこで金田一耕助に助けを求めに来たのだ。
耕ちゃんは警察で等々力警部を初めとする馴染の刑事たちと捜査に加わりつつも、依頼人の秘密は保ったままで独自にも動く。
等々力警部たちの金田一評が「本質は孤独。事件解決に掛 -
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地元の書店で、何の気なしに文庫のホラーコーナーに立ち寄ったら、ふと本書が目に止まった。言わずと知れた超有名ミステリ、手に取ってみると杉本一文氏のイラストによる限定復刻版カバーで(田舎の書店だからかたまたま置いてあった)、おどろおどしくも昭和レトロな味わいが何とも言えず、レジにソッコー持っていった。
ページをめくると冒頭から引きが強い。村の名前の由来となった惨劇の落武者伝説、隠された黄金の行方、相次ぐ凄惨な事件など、祟りと因習に彩られた世界観への没入感がハンパない。物語は、名家の後継として村に呼び寄せられた主人公・辰弥の視点で進むが、そこで彼を待ち受けていたのは、更なる不可解な連続殺人事件だっ -
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『支那扇の女』
金田一耕助には「多聞修」という助手なのか御用聞きなのかがいるというので、出てくる本を読んでみよう。
「支那扇の女」として知られる毒殺容疑者がいた。八木子爵の妻の克子は、姑と義妹を毒殺しようとしたとして逮捕され、本人は無実を訴え続けたが審理中に死亡した。
代は代わり、八木子爵の子孫の朝井と、志那扇の克子の子孫の美奈子が結婚した。この家で新たな殺人が起こる。等々力警部と金田一耕助は捜査に乗り出し…。
「多聞修」出てこないなーと思ったら、最後にちょっと出てきた。なんでも「数犯の前科を持つ30歳前後の町のあんちゃん風の男で、以前殺人犯の容疑が掛けられた所を金田一耕助の推理により助 -
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映画、ドラマであらすじも犯人も分かった状態で読みましたが結構印象が違いました。
だって映画は山崎努のあの風貌、宣伝での「祟りじゃーー」の雄叫び、鍾乳洞のミイラ、小川真由美の怖ろしい美しさ、連続殺人を高笑いで見下ろす夏八木勲の怨霊、などなどおどろおどろしい印象だったのですが、原作は多くの殺人事件もあるけれども、鍾乳洞冒険だとか、いくつもの愛の姿だとかを経て、ラストは驚きの爽やかさ。やっぱりいいな横溝正史。
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神戸の勤め人28歳の寺田辰弥は、弁護士を通して岡山県の八つ墓村分限者(資産家)の田治見家から「お前は我が家の血を引いている。跡取りとして戻ってきてほしい」と申し入れられる。だが同時に -
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1974年。再読なんだが、厚手の本だったことしか覚えてない。「江戸川乱歩に捧ぐ」と書いてある。
昭和35年(1960年)。作者にしては新しい年設定だが、やはり戦前を引きずる。元華族とかねー。
舞台は軽井沢。軽井沢ゴルフ大会(この時代はコンペとは言わないらしい)マーカーは赤い毛糸。
東北出身者が多く、ズーズー弁は作者はわからないということで記載はない。昔東北に行ったとき何言ってるがわからず、ニュアンスで受け答えした。ハワイ行ったとき、東北より日本語通じる!って思った。いろえんぴつ、えろいんぴつ。いえ、私は東北好きですよ。
人生は仮面舞踏会。人間関係がもつれて把握が難しいが、個人的には余韻が良い。 -
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現代のビレッジホラーにつながる名作。「封建的な、あまりにも封建的な」戦後と言う時代背景と、島と言う閉鎖的な環境の中では、異常と思えることが日常になる。そして、誤った選択を繰り返してしまう。映画版久々に観たいなぁって思ったけど、原作も気になって読み返し。金田一耕助の目を通して、事件の全貌に触れ島国で起こる異常なまでの執念と、それに取り憑かれた人々による殺人事件。その真相に触れる。昭和中期の作品なので表現も楽しめる。9月には横溝正史原作の『八つ墓村』も新作公開されるし楽しみだなぁ。『八つ墓村』の初代金田一耕助は、寅さんの渥美清さんが演じてたからなんか変な感じだった。寅さんが謎解きしてる!って、見え
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現代のビレッジホラーにつながる名作。「封建的な、あまりにも封建的な」戦後と言う時代背景と、島と言う閉鎖的な環境の中では、異常と思えることが日常になる。そして、誤った選択を繰り返してしまう。映画版久々に観たいなぁって思ったけど、原作も気になって読み返し。金田一耕助の目を通して、事件の全貌に触れ島国で起こる異常なまでの執念と、それに取り憑かれた人々による殺人事件。その真相に触れる。昭和中期の作品なので表現も楽しめる。9月には横溝正史原作の『八つ墓村』も新作公開されるし楽しみだなぁ。『八つ墓村』の初代金田一耕助は、寅さんの渥美清さんが演じてたからなんか変な感じだった。寅さんが謎解きしてる!って、見え
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ネタバレ初めて読んだ。映画も見たことない。9月に新しい映画が公開されると知り予習として。令和の今読んでも先が気になって一気読みしたくなる面白さなのはすごい。
落武者の呪いが残る村で起きる連続殺人事件を金田一耕助が解決する、としか内容を知らなかった。間違ってはいないけど、実際に読むとイメージしてた推理小説っぽさはだいぶ薄い。それより伝奇小説の面が濃い。犯人の手がかりを追ったり落武者の残した宝を探したり鍾乳洞をうろつく場面がかなり多い。主人公も金田一耕助ではない。村一番の有力者一族の後継者の青年。小説は彼の手記の形式で書かれている。
読んでいて犯人は最後までわからなかった。重要人物がどんどん死んでいく