横溝正史のレビュー一覧

  • 貸しボート十三号
    表題作ほか、短編の『湖泥』と『堕ちたる天女』が収録された本作は、「これぞ横溝正史」と言える中短編集。
    『湖泥』では岡山県の寒村が舞台の短編。短い中に対立する名家、消えた美人、戦争で心を病んだ男と横溝エッセンスがこれでもかとぶち込まれているために読み応えたっぷり。最後には飄々と事件を解決する金田一耕助...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル13 三つ首塔
    読み始めてすぐに「あれ、女王蜂と大体の構図一緒じゃね?」と思うけど読み進めてるうちにそれが大体一緒だ!の確信に変わります!
    でも女王蜂よりも横溝先生の書きたかったこと全開!という感じで清々しくて好きです♡面白人間博覧会かな?っていうくらい濃い登場人物に翻弄されながらも全身タイツで頑張る音禰ちゃんが好...続きを読む
  • 雪割草
     ビブリアで知って気になっていた本書。推理小説ではないが、先が気になって一気に読めた。序盤から婚約破棄された有為子の波瀾万丈の物語。次から次へと苦難の連続で有為子が不憫になるが、最後は気持ち良い大団円で終わってホッとする。戦時中に新聞連載されていたらしく、世相等を反映して展開を変更されているのに違和...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル3 獄門島
    これは…!すっかり油断してた…!
    こんなに面白かったなんて。

    島全体や島民に漂う不気味さ。終戦直後という時代背景。底なし沼にはまっていくかのような恐怖感と重苦しさ。それらを緩和してくれる金田一耕助という愛嬌と知性と人情性。

    洗練されたバランス感覚に畏怖の念さえ覚える作品だった。

    金田一耕助ファ...続きを読む
  • 支那扇の女
    住宅街で起こった凄惨な殺人事件にかつての毒殺婦の肖像画が絡んでくる『支那扇の女』と緑ヶ丘のパーティーで起きた事件を描く『女の決闘』の2作を収録。
    『支那扇の女』は読んでいて事件が複雑な方向に転がっていき、最後の神宮外苑での犯人との攻防戦が手に汗握る展開がとても良かった。
    『女の決闘』は短いながらも読...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く
    横溝正史とはこんなに時代の先を見ていた作家だったのか。

    正直なところ横溝正史の作品をじっくりと読んだのは初めてだった。
    映像化された作品は観てきたけれど、よくありがちな原作にはあたらないというムーブばかりしていたのである。
    今回読むきっかけになったのは9月4日にNHKで『シリーズ深読み読書会/悪魔...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件
    『本陣殺人事件』名探偵金田一耕助の推理が光る。旧家の新郎新婦が惨殺死体で発見された。密室トリックの作り方と、犯人の意外性が良かった。ラストの語り手の記述に嵌められた。
    『車井戸はなぜ軋る』本位田家という名家の娘が療養中の兄に宛てた手紙で物語が進む。
    戦争から復員したもう一人の兄と、その異母兄弟が入れ...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル5 犬神家の一族
    昔子供の頃、映画好きの姉が、私を一人部屋に残してテレビでこのお話の映画を観ていて、部屋に一人でいるのが怖くて一緒に観て余計に怖くなった思い出があります。
    かの有名な横溝正史、初めて読みましたがとても面白かったです。お話が色褪せないってこういうことなんだとまた改めて思いました。
  • びっくり箱殺人事件
    『びっくり箱殺人事件』は横溝正史の中でも異彩を放つ作品と言われていたが、読んで少し唖然とする書きっぷり。特に地の文が、「本当に横溝なのか?」と思うほどにはちゃめちゃなのである。そして、登場人物が個性的を通り越して際立つのも特徴。また、200ページの中で4人の連続殺人、ラブ・ロマンスと読んでいて「えっ...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル7 夜歩く
    金田一耕助=石坂浩二さんの私でしたので、完全に初読でした。ただ、いろいろとフェアではないとか、某海外作品の手法とか、うっすらと警戒しながら読みました。
    最後まで動機が解らず、ミスリードされたまま独白で、え!そっち側でしたか・・・。
    トリックや病気よりも、関係者の救いようのない嫉妬心や底無しのドロドロ...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル5 犬神家の一族
    私にとって本読みのキッカケをつくってくれた神本。映画が有名で、原作を読んでいない方が多いと思います。なぜ湖から両足がでているのかや物語のオドロオドロした独特の雰囲気など是非手にとり読んでほしい一冊です。
  • 扉の影の女
    『扉の影の女』と『鏡が浦の殺人』の中編2篇が収録されている。
    『扉の影の女』は金田一耕助と容疑者候補の人々、そして等々力警部が互いに騙し合いながら話が進んでいく。しかし、犯人は最後の方に出てきた奴だったのがビックリ!ただ、犯人が誰かということよりも犯人に至るまでの経緯は読み応えがあるので、全体的に満...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル3 獄門島
    傑作と言われるだけある、凄い読み応えのある作品でした。
    俳句による見立て殺人というのがもう斬新だし、何もかもが鮮明に思い浮かばれるおどろおどろしい表現力に圧倒されました。
    ここまで「気ちがい」が連発するのも珍しい笑
    時代だなあと感じました笑

    終わり方があまりにも悲しすぎて…読後感の強い作品です。
  • 金田一耕助ファイル5 犬神家の一族
    いや~~面白かった。横溝正史5作品連続で読んでるけど、これが一番好きかもしれない。読者を置いてきぼりにすることなく謎を回収してくれるので、最後までずっと楽しめた。
    血で血を洗うお家騒動、遺産相続=殺人事件が起きる、の方程式は犬神家から生まれた気がする。
    どうしてそんな文書を書いたのか真実を知った時、...続きを読む
  • スペードの女王
    話が二転三転コロコロするために、読んでいて非常にハラハラするミステリー。
    ミステリーの王道『首のない死体』をベースに起きる連続殺人。
    金田一耕助が変装するシーンもあり。
  • 金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(下)
    やっぱりいいね!
    由香利(あえてね)の告白は、想像すると随分エゲツない画が浮かんでくるのだが、文章は下ネタチックに書いてないので、やっぱり上手いんだなぁと思う。
    心情の変化も自然で、救いもある。

    追記すいません…
    孤高の金田一耕助。どんなに慕って慕われて、共に協力して事件を解決し、戦友の様な関係を...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル3 獄門島
    出版順に読んでるから、二冊目は獄門島。
    前評判がいい分期待値がめちゃくちゃ高かったんだけど、その通りだわ。納得。
    殺人現場は陰惨さは、数多くのミステリーを読んできたのでそこまでとは思わず。
    だけど醸し出す雰囲気がおどろおどろしくて、背筋を冷たい物が伝った。
    それでも金田一が牢屋に捕まっちゃったりとか...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件
    初横溝正史だったけど、めっちゃくちゃ面白かった……!!!!
    かなり古い本だから読みづらい部分もあるのかと思ったけど、むしろ逆。すごく読みやすくて、無駄な情報も装飾もなく頭に入ってくる。登場人物多いけど、あっさりこの情報は関係ないって捨てるのが斬新で驚いた。
    きいた話を小説に起こすという手法でとられて...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル3 獄門島
    文庫の帯にある綾辻行人の『「奇跡の一作」と讃えたくなる大傑作』の一言は全く大袈裟でなく、「悪魔の手毬唄」と並び、日本の推理、探偵小説の歴史に残る大傑作と言って過言ではないだろう。島民のほとんどがかつての海賊、流罪人の子孫とされる島が舞台。その島でおこる三姉妹の連続殺人。そして俳句に見立てた死体現場の...続きを読む
  • 金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(上)
    再読。長さを感じさせずサクッと読める。面白い。
    登場人物も家系も多いのだが、わりと分かり易い。人物像や見た目がはっきりと説明されているからだと思う。

    犯人とか展開とかをすっかり忘れていたので、下巻も楽しみ!先が気になる。頭の中に出てくるのは桜田淳子じゃないんだよ。