横溝正史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1979年から1980年にかけて発表された、横溝正史の金田一耕助シリーズの最後の長編。横溝はこの後、1981年の末頃に79歳にしてガンで死去。
『八つ墓村』(1949)などの傑作をたくさん生み出した頃に比べると、後年の作品は今ひとつな観があったが、本作は非常に良かった。
相変わらず語り口が非常に上手い一方、たまに次のページに同じような内容の描写を繰り返してしまうといったポカもあることは確かだ。
しかし、本作はストーリーも良いし、昭和前半の時代にはあからさまに書くことの出来なかったような性的なグロテスクさの主題が屹立しており、印象深い。
この作品は1967(昭和42)年を舞台にしているが、この辺りまでは人びとは互いの信頼関係を基礎にした人間関係を結んでいたということを、読みながら痛感した。この頃には、まだ良心に基づいて警察とマスコミの間にも信頼関係がある。
昭和終わり頃から世間は経済奴隷化まっしぐらでもはや倫理も信頼関係も崩壊していき、その果てに、荒れ果てた現在がある。
1980年の横溝正史は高齢者であり、その小説世界もすっかり古くさくなっていたことだろうが、旧い世間の人間関係の平和さが狂った犯罪と対比されてのぞき見ることが出来て、なんだかあたたかい気持ちになる。 -
Posted by ブクログ
ひま師匠に、横溝正史さんのおすすめを教えて頂き読んでみたの第二弾!
この世界観。私の好きなヤツですね。
人がバッタバッタ死ぬヤツですねo(^▽^)o
太宰治の斜陽を当然読んでいない無知の私は、斜陽族とはなんぞや?と最初から引っかかってしまう(^◇^;)
Wikipediaさんにお世話になりながら、ページを捲る。
私の父親が生まれた頃の、昭和の終戦後が舞台となる。
登場人物が多い為、自分で相関図をメモメモしながら読み進める。うん、これは読みやすい(^^)
これは読書だから良いけど、もしここに本当にフルートの音色が聞こえて、効果音があったらめっちゃ怖いだろうなぁ。。。
佐清の時もそうだけど、今回は死んだと思った椿英輔の影が見え隠れするところ、映像だと怖いだろうなぁと感じた。
しかし、新宮利彦、とんでもねーヤローだ( *`ω´)
そんなやつ、真っ先に殺されてしまえっ!
昭和22年、金田一耕介のもとに椿美禰子(つばきみねこ)が訪ねてきた。
世界を震撼させた「天銀堂事件」の容疑者であり、この春に失踪していた元子爵・椿英輔(つばきひですけ)の娘であった。
椿英輔は山中で遺体として発見され、美禰子に宛てた遺書もあり、自殺として処理されていた。身内のもの三名も彼の死を確認していた。
しかし、美禰子の母・秌子(あきこ)が父に似た人を目撃したと訴え、本当に生きているのかどうか、砂占いで占ってみることになり、金田一にも参加して欲しいとの依頼だった。
砂占いとは、コックリさんのようなものだった。
その日はちょうど計画停電の日であった。
集まったのは、美禰子、美禰子の母・秌子。
秌子の兄の新宮利彦、その妻華子、その子供の一彦。
秌子の母の兄玉虫公丸、妾の菊江。
主治医の目賀重亮、女中の種とばあやの信乃。
椿英輔の友人の遺児、三島東太郎。
砂占いが始まり、停電の暗闇の中で占いが続けられた。計画停電が終わり、電気がもどると、砂の上に火焔太鼓のような模様が残されていた。
その時どこからか「悪魔が来たりて笛を吹く」のメロディーが流れてきた。
その夜、玉虫公丸が何者かに密室の中で殺害される。 -
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ゆったりと横溝正史を読み直し中
今回は『悪魔の寵児』です
事件は例年になく長い梅雨となり、雨がベショベショと降り続く中で起こります
殺人が発生したり、後に悪魔の寵児と呼ばれる連続殺人犯が登場するときには必ずと言っていいほどベショベショと雨が降っており、このベショベショと降る雨がこの事件に陰惨な印象を強く与えているのです
Σ(゚Д゚)
って「ベショベショ」って何よ!
もうずーっとベショベショ雨降ってるんだけど、雨が降る擬音で「ベショベショ」ってなによ!
どのくらいの量がどのくらいの勢いで降ってるかのちっとも伝わって来んわ!
ちっとも伝わって来ないのになんとなく伝わってきた気持ちにもちょっとなったわ!
そうなのよね〜
横溝正史ってたまにいや頻繁にこのわけわからん、つか本人しか分かってないやろ!って擬音が使われるのよね
しまいにゃショボショボ降ってるとか言うし、いやなんとなくベショベショよりは勢い弱まったんだろなとは思ったけど
終始おしっこ感が…
先日読んだ横溝正史研究の本にも書いてあったんだけど、横溝正史ってマジ擬音変なんよね
これから横溝正史を読んでみようかな?なんて思ってる人にはぜひ変な擬音にも注目してほしいな
え?話の中身?
うん、まぁそれは他の人のレビューとか読めばいいじゃないの -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。横溝正史は風景描写が抜群にうまいと思います。本当に読ませられます。登場人物が多く、特に植松と植辰、おこまとおたま辺りで混乱しますが、丁寧に読み進めれば、なんとか理解はできます。
細かい謎がたくさん提出されて、それらがきちんと落ち着くところに落ち着くので、読みおわってとても気持ちがいいです。
「悪魔が来りて笛を吹く」の曲が、犯人を指ししめてしているという、最後のあのオチは美しいです。クイーンの「Xの悲劇」の最後と同じような感覚です。
話の流れとしては、少々強引かなぁと思うところもありました。飯尾のくだりはご都合展開が過ぎるような・・・。あと椿子爵の心情はあまり共感できなかったです。さすがに弱すぎでしょう。
とはいえ、取っ散らかりそうな内容を、しっかりとまとめ切ったその筆力は本当にすごいと感じました。
推理小説は読み終わった後、犯人の言動を再確認するために読み直すことがよくあります。ですが、この小説に関して犯人よりも、被害者たちの言動を確認したくなりました。そういった意味では、ちょっと変わった推理小説ともいえるかもしれませんね。 -
Posted by ブクログ
金田一耕助の冒険をゆるりと読み直しておりますが、今回は金田一耕助最後の事件『病院坂の首縊りの家』です
最後の事件と言っても、書かれたのは最後じゃありません
『カーテン』方式ですね
そうそう『カーテン』方式なんだよねと思ったそこのあなた!今度飲みに行きましょうヽ(´ー`)ノ
ちなみに最後に書かれたのは『悪霊島』なんですが、どっちもけっこう集大成的な感じなんですよね
なのでこの『病院坂の首縊りの家』もけっこう色々詰まってるんですが、上巻はまだその色々感が伏せてある感じ
そして分かる人には分かる横溝正史の独特の世界をかなーり丁寧に構築していてその分堪能できます
横溝正史の世界にどっぷり漬かったところで、色々が動き出す下巻へ! -
Posted by ブクログ
自分の娘の婿選びに無理難題を仕掛ける資産家で変人の父、それに群がるいけすかない青年達、溺愛されすぎた美しい娘。ユリシーズを下敷きにした物語とのことですが、よく仕掛けるなぁ。でも容疑者を全員集めてのアリバイ確認はいかに昭和40年代の警察でもやらないのでは?40年代でも羽織袴の金田一探偵のリアリズムを維持するためには背景のリアリティーが大事だと思うのだけど。
美女に群がる男っていうのも昭和的単細胞エネルギーに満ち溢れていて元気になる!という単純な話かと思って読んでいると・・・ねじれてはいるけれども深い愛情の物語でした。
それにしても頑健な肉体を持ち野生味溢れながら考古学博士でもある古舘博士の異常な愛情は、その後失われてしまった時代の一つの象徴かもしれません。生き方って時代が現れますね。自分の価値観や生き方もその時代に縛られた滑稽で奇妙なものとうつるのだと思い知らされます。謙虚に生きていこう。
この作品の他に「蝙蝠と蛞蝓」という短編が収められていますが、こちらの方が面白い。戦後間もない超インフレに悩まされる貧乏学生から嫌われた金田一耕助が「蝙蝠」とあだ名されて・・・こんな短い作品にその時代風俗 と異常心理をユーモラスに凝縮した逸品。傑作です。