【感想・ネタバレ】真珠郎のレビュー

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Posted by ブクログ

戦前の小説らしいのだが、戦後の「八つ墓村」や「犬神家の一族」等々の要素があちこちにあって、もぉー、ニンマリ。
そして、横溝正史と言えば、読んだ後に残る、一抹の哀感。
横溝正史のいい所であるそれが、ちゃんと担保されている。
つまり、ぶっちゃけ言えば、すでにワンパターン!w
ただ、それは横溝正史だから。横溝正史が横溝正史の小説の中でワンパターンしている分には大歓迎なわけだ。
ていうか、主人公の椎名耕助って、ミョーに「姑獲鳥の夏」での関口くんとダブるんだけど?
えっ。もしかして、彼のキャラはここからきてる?
なぁ~んて思ってしまうと、この話と「姑獲鳥の夏」って、どこか似ているよーな、似てないよーな!?
「姑獲鳥の夏」、また読んでみようかな。

オマケのようについていた、「孔雀屏風」がまたよかった。
これも、まさに横溝正史の要素がいっぱい詰まってるって感じ。
この話の冒頭、戦地にいる主人公の従弟が、雑誌で見た女性を知らないはずなのに見覚えがあると疑問を持つ流れ。
実は、自分も全く同じ経験があって。TVを見ていて出てきたタレントが全然知らないはずなのに(そもそも年が違う)、頭の中のどこかにそのタレントと同級生だった記憶が間違いなくある(?)
なのに、その記憶がどうしても取り出せない…、みたいな(^^ゞ
あの時は、その記憶が思い出そうと七転八倒な思いをしたがw、そういう意味でもよかった。
ただ、これはこれでいいのだけれど、もっと膨らませて、長編にしてほしかったなぁー。

そういえば、この本。2年くらい前にジュンク堂系列の本屋が再発した時に買ったんだけど(つまり、今まで積読本だったw)。
最近、角川でも再発したみたいで、ちょっと悔しいw
ていうか、横溝正史といえば、やっぱりこの表紙なわけで。全部と言わないまでも、有名どころはこの表紙で再発してくれないかなぁー。


ちなみに、★5つはオマケ。
特にファンでもなく、また、今までに横溝正史を読んだことがない人が読んだとしたら、★は3つくらいが適当だと思う。

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2020年12月21日

Posted by ブクログ

金田一耕助の前にシリーズ化された由利先生シリーズの代表的作品が、本書表題の「真珠郎」。由利先生とは、かつて警視庁の名捜査課長を務めた後、私立探偵となった由利麟太郎。「真珠郎」では、後半部分から突如搭乗する。もう一作品収録されているのが、「孔雀屏風」で、これには由利先生は登場しない。

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2020年02月17日

Posted by ブクログ

表題作は、ちょっと怪奇的な感じなのか?
と思いきや探偵由利徹が出てきてきっちり解明してくれた。

由利徹は金田一耕助とタイプが違ってスタイリッシュな感じ。

もう一編はファンタジックな感じを受けた。

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

 表題作は1936(昭和11)年から1937(昭和12)年に発表。
 横溝正史を読むのは、実は初めてだ。横溝正史といえば金田一耕助探偵の『八つ墓村』などが続々と角川から映画化されたのが私の小中学生の頃で、「八つ墓村のたたりじゃ〜」などと言うのが友人たちの間で流行った。そのくらいの世代の日本人の多くは、だから横溝正史の作品世界を知ってはいるのだが、実際に原作を読んだことのある人はそう多くはないのではないか。しかし、現在も書店には角川文庫の横溝正史が幾らか並んでいるから、今でも読んでいる人はいるのか。
 本作は金田一耕助探偵の出てこない単発作品と思って買ったのだが、実は由利麟太郎という、横溝正史のもう一人の探偵シリーズに属する作品だった。
 極めておどろおどろしい、怪奇幻想趣味に満ちた小説だ。エドガー・ポーの『アッシャー家の崩壊』の構成法と同じような手法で書かれており、もちろん横溝正史は江戸川乱歩と同様にポーを耽読しただろう。と同時に、ムカシの紙芝居ような、ケレン味に満ちた庶民的な物語の系譜にも連なっているように思える。たぶんこの大衆文化(サブカル?)は江戸時代から始まっている。泉鏡花も最初期、1890年代あたりにはこの路線の探偵小説を多く書いている。ちなみにポーの和訳は1887(明治20)年以降のようだ。
 非常に不気味な本作は、怪奇小説であると同時に推理小説でもあるが、この時代の探偵小説の多くがそうであるように、いささか現実離れした事件推移、トリックに満ちている。だから現代の読者はこれを読んで鼻白むだろうか。しかしそれは、単に時代の様式の相違というものだ。数年前にみんなが着ていた服装が今はダサいと烙印を押されるようなものだ。現在はもっと「現実っぽい」書き方が要求されるが、しかし映画などを見ると陰謀論的な設定がメインストリームを形成しており、虚構の位相がちょっとずれただけのようにも考えられる。たぶんこのようなフィクション世界における虚構性の変化は、時代の文化的変容と軌を一にしている。
 とりあえず「鼻白む」のをおあずけにして読めば、本作は十分に楽しめる内容だ。登場人物の欲望(恋愛要素)も絡んで心的表象が幻想的に揺らいでゆくのも優れている。
 私は人々が何に恐怖し、何を欲望したかということに興味があるので、白黒の怪奇映画などもよく観る。だからこの作品も大いに楽しんだ。何よりも、ポー的な構成法のほとんど完全な体現という点で、一つの優れたモデルとして、私は本作を高く評価する。

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2021年08月19日

Posted by ブクログ

文豪きょうは何の日?横溝正史の亡くなった日。

鬼気迫る美少年「真珠郎」の悲しき出生の秘密。
由利麟太郎シリーズ。
だったけど、登場は後半のみ。
序詩 真珠郎はどこにいる。から始まる怪奇ミステリー。この一文が、物語を総括しています。
友人に誘われた旅先で、遭遇した殺人事件。その猟奇的な手法。怪しげな老婆達の登場。
読んでいたつもりでしたが、初読でした。
美少年真珠郎は、その媚態を見せない。
彼は、何処に隠れているのか。
この装丁の絵は、ネタバレになるのでは?

孔雀屏風
六曲一双からなる屏風。半分に裂かれたまま。
屏風とともに引き裂かれた恋。
出兵士の夢ある想いと共に 裂かれた屏風が呼び合い、過去の恋が成就する。
と思うのです。

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2023年12月28日

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