あらすじ
ある説によると、我々の周囲には五百人に一人の割合で、未だ発見されていない殺人犯がいるという。あなたの隣人や友だちは大丈夫ですか? あの晩、私は変な男を見た。黒い帽子をかぶり黒眼鏡をかけ、黒い外套を着たその男は、片脚が義足で、歩くたびにコトコトと無気味な音をたてる。男は何故か、ある夫婦をつけ狙っていた。彼の挙動が気になった私は、その夫婦の家を見はった。だが数日後、夫の方が何者かに惨殺されてしまった! 表題作ほか三篇を収録した横溝正史傑作短篇集。
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金田一耕助の短編集。「殺人鬼」「黒蘭姫」「香水心中」「百日紅の下にて」の4作品が収録。章末で、金田一耕助が戦前、復員後、事務所をどこに開設したり、移動しながら、どんな事件を解決してきたか、時系列に少し解説されていたのは、金田一耕助の功績を振り返るうえで、大いに興味深い。
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言わずと知れた名探偵、金田一耕助が挑む4つの奇怪な難事件、ある夫婦をつけ狙う義足の男の正体を追及する表題作「殺人鬼」、万引き常習犯の悲劇を描いた「黒蘭姫」など、読み応え十分な1冊。
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表題作他、『黒蘭姫』、『香水心中』、『百日紅の下にて』の四編の金田一耕助モノ。/「百日紅」が凄くいい。『獄門島』とは別物でありながら、獄門島への序章みたいな気もしてしまう。単に直前の事件、というだけなのだけど。獄門島が読みたくなった。
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長編があまり得意ではないと言ったら短編もありますよ!と横溝正史ファンの方にお薦めいただいて読みました。
短いながらもどれも面白い!!個人的には百日紅の下がお気に入りです。
人間の欲や情念が鮮やかに書き連ねられていて今読んでも十二分に面白いです。
どれもこれも映像化できそうなほど読んでいて情景が浮かんでくるのはさすがだなと思いました。
当然のことながら人はそれなりに死にますがそれすらも魅力ですね。
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コンプしたと思っていたけど、実はまだ未読だった金田一モノがあったぜ!
と、いうことで、ゆのまるさんのレビューで本書を発掘できました~。ありがとうございます♪
さて、こちらは短篇集でして、名探偵・金田一耕助が不可解な事件の真相に迫る探偵譚・四話が収録されております。
・“コトコト・・”背後に聞こえる不気味な音・・振り向けばそこに全身黒づくめの男が・・と、不穏すぎるつかみからの、めくるめく痴情の縺れと二転三転する展開で読ませる(叙述トリックもあるよ!)表題作「殺人鬼」。
・とある百貨店を舞台に「黒蘭姫」と呼ばれる“要注意VIP”(←てか、普通は“出禁”になるやろ~(;'∀'))の新任スタッフへの引継ぎがされてなかった為に(?)起こった惨劇の真相とは・・「黒蘭姫」。
・大手化粧品会社の女社長からの依頼で、金田一with等々力警部(←仲良さそう・・磯川警部が妬いちゃうよ?)が訪れた軽井沢で起こった心中事件の真相に迫る「香水心中」。
・死んだ戦友からの言づてを元に、過去に起こった毒殺事件の謎を“復員服の男”が再検証する、『獄門島』の前日譚「百日紅の下にて」。
各話、短編ながらも横溝テイストを味わえる、程よいミステリに仕上がっております。
それにしても、これだけ“人間の業”をたっぷり描いているにも関わらず、変に重くならないのは、金田一さんの“中和作用”もさることながら、横溝さんの端正な文体と何よりミステリ小説としての完成度の高さにあるのかな・・と思いました。
(とはいえ、「百日紅の下にて」に登場した佐伯氏の“リアル紫の上”にはドン引きしましたが(;´Д`))
ということで、久々に金田一モノを堪能させて頂き、やっぱ横溝ミステリはいいな・・と再認識した次第です。
ところで余談ですが、冒頭にチラっと触れたように、私は角川文庫さんの「金田一耕助ファイルシリーズ」はコンプリートしているのですが、横溝作品すべてを読破している訳ではないことに気づいた次第でして(ex『びっくり箱殺人事件』とか未読ですしw)、今後はまだ未読の横溝作品を発掘していきたい所存です~。
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金田一耕助が獄門島に赴く直前の話(百日紅の下にて)が載っているとのことで手に取りましたが、ほかの三つの短編も面白く読みました。
それぞれ舞台が武蔵野、銀座、軽井沢、市ヶ谷と東京寄りなのもあり、なんだかお洒落な雰囲気。それでいて、殺人の動機はいずれもじっとりしていて、男性の情念の恐ろしさを思い知らされましたね〜。
「百日紅の下にて」も短いながらよくまとまっているのですが、印象的だったのが「黒蘭姫」。
「黒蘭姫」と渾名される、盗癖のある令嬢が登場し、舞台は銀座の百貨店。本当にこんな”例の方”っているのかしら……とドキドキしながら読みました。
短編ながらいずれも満足感があり、さくっと横溝正史の湿度高めな世界観を楽しみたい方にオススメです。
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久しぶりに金田一ものを読んだこともありおもしろかったです。「百日紅の下にて」は内容が印象的で、なかなか秀逸であり、短編ならではの良さがありました。
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殺人鬼
金田一耕助が、この話の主人公を助けたと思ったら…
終わりに金田一の手記を添えていること、オチが文学的。
黒蘭姫
咄嗟とはいえ殺してしまったこと、「デスペレート」になり過ぎ!
香水心中
なぜ香水を使ったか?だけはわかった!
百日紅の下にて
長閑な中で語られる辛い過去…
悲しい結末、と思ったけど、でも優しさと温もりのある終わり方だった。
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短編集
長編の方が個性と面白さがあって好きだが、
なかなか良くまとまった短編4つが収録されている。
「殺人鬼」
犯人は予想通り、と思いきや、
本当にそうかはわからない、と謎をはっきりさせない結末で気になる終わり方。
「百日紅の下にて」
対談で明かす過去の事件。
紫の上設定は特に事件に関係ないので、
性癖か?書きたかっただけか?
殺人するほど愛の深さを示すため?(笑)
警察に突き出すためではなく、
戦友の思いと謎解きのために対談した
金田一耕助の去り方がかっこいい
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短編集故にさくさく読めるかと思いきや、やっぱり背景や血縁関係の入り組んだ設定が出てきて頭を使わないと読めないものがあった。
間違いなく同じ人の文章だと分かるのに、手を替え品を替え、語り口や設定の妙が飽きさせないで最後まで読ませてくれる。
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少年時代、江戸川乱歩が大好きでよく読んでいた。
横溝正史の金田一シリーズは映画の犬神家の一族等に代表されるあのオドロオドしい雰囲気が子供心に恐ろしくて敬遠して読まずに大人になっていた。
あらためて短編シリーズだが読んでみると面白い!
怪人二十面相の方がよっぽど怖いくらいだった。
なんだか安定の推理小説って感じで推理小説をそんな風に読んだらいけないのだろうけど安心して読める感じがした。
「百日紅の下にて」はもの悲しい物語だったけど最後に金田一が獄門島へと向かって行ったのはワクワクさせられた。
今度は長編に挑戦してみよう。
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『殺人鬼』『黒蘭姫』『香水心中』『百日紅の下にて』の4つの短篇のなかで『百日紅の下にて』が一番好き。最後がたまりません。「蒼茫と暮れゆく廃墟のなかの急坂を、金田一耕助は雑嚢をゆすぶり、ゆすぶり、急ぎ足に下っていった。瀬戸内海の一孤島、獄門島へ急ぐために――。」このあと獄門島に続くわけでそういう繋りとか、警察の繋りとかも金田一耕助のシリーズの読みどころだと思う。
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4つの短編からなるミステリー作品ですが、どの話も面白かったですね!特に最初の殺人鬼と最後の百日紅の下にては、両方義足の復員兵が出てきて、繋がりがある話なのか?と思いきや全く関係ありませんでした・・・
それにしても短編ながら、しっかりとしたミステリー作品にどれも仕上がっており、さすがは金田一耕助シリーズだと感心するのでした!
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再読。金田一ものの初期作品を収めた短篇集。やはり「百日紅の下にて」は良いなあ。ほとんどが二人の男の淡々とした会話だけという静かな構成も、あの名作へと繋がるラストも素晴らしい。捻りのある結末の「殺人鬼」も結構好き。「百日紅の下にて」だけのつもりが結局全部を再読しちゃったよ。
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金田一耕助シリーズ
『殺人鬼』
深夜の帰宅見知らぬ女に助けを求められた男。500人に1人の殺人の話。女の義足の夫と愛人。愛人の死と愛人の妻の関係。
『黒蘭姫』
百貨店で万引きをする「黒蘭姫」と呼ばれる女。店長が女の親のもとに請求を行い無事にすんでいたが・・・。万引きを止め刺された売り場責任者と喫茶店で殺害された元売り場責任者。
『香水心中』
依頼人に会うために軽井沢を訪れた金田一と等々力警部。一度はとりけれた依頼。しかし心中事件が・・・。食い違う死亡推定時刻。
『百日紅の下にて』
自分の為に育てた少女の自殺。出征当時に少女を託した男たち。毒殺された男。戦場で思いを託されて金田一が獄門島に赴く途中の真相。
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昭和51年刊行の杉本画伯の表紙は黒い帽子に黒ぶち眼鏡をかけたアップの構図なのですが、顔半分が牙から血をしたたらせた野獣のような男、その半分は女性というジキルとハイド(っていうよりアシュラ男爵か・・・)的な絵です。目が充血していて気持ち悪いのだ。4つの短編が収録されていますが、いずれも終戦直後の焼け跡から復興しつつあるのだけれど、何の希望も救いも持てない時代の(今に通じるのかもしれない)荒んだ時代の事件です。世の中には500人に1人殺人犯がまぎれているという説が取り上げられていますが、最近の事件を見るにつけ、戦後と変わっていないのかもしれないなんて思ってしまいます。「殺人鬼」★★★★「黒欄姫」★★★「香水心中」★★★「百日紅の下で」★★★復員後初の事件。このあとすぐ獄門島へ。
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金田一シリーズの短編小説詰め合わせ。
結構ラクに読めました。
長編の二転三転の緊迫感は少ないですが、ピンポイントで圧縮されている気がします。
戦後雰囲気は出てますが、下手に二時間ドラマ見るよりは面白かったです。
金田一耕助……事務所持ってたんですね……
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昔はよく推理小説を読んでいましたが、横溝正史作品はこれが初めてになります。
この作品の時代背景などもよくよく知らなかったため、
金田一耕助は兵隊にとられていたのか!と変なところで感心してしまいました。
この本には4つの短編が収録されていますが、まさに「本格推理小説」でどれも楽しめました。
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金田一耕助短編集
<殺人鬼>
探偵小説家・八代が知り合った女性・加奈子は復員してきた夫・亀井にストーカー行為を受けていた。
おびえる加奈子の不安は的中し、同居している賀川が殺され、自身も殺されかける。
賀川の妻・梅子が警察からの取り調べ中に服毒自殺をしたり、ゴミ溜めからステッキやら偽の義足が見つかったり。
本当に「殺人鬼」は亀井なのか?
金田一の出番は少ない!八代の手記という形で展開されていく。
戦後の混乱期ならではの事件。
<黒蘭姫>
エビス百貨店で起きた万引き女による店員殺害事件。
同じ建物の喫茶店では百貨店の元従業員が毒殺されていた。
万引きしても見逃される「黒蘭姫」の正体とは?
等々力警部がチラリと出てきます。
金田一にしては犯人の予想がつけやすいお話。
<香水心中>
依頼の為、等々力警部と訪れた軽井沢で男女の心中死体が発見される。
男の方は依頼人の孫であった。
依頼が取り消されたり、再度申し込まれたり…
食い違う死亡推定時刻と目撃証言。
腹の大きな招かれざる女。
<百日紅の下にて>
焼け野原となった屋敷跡で向かい合う戦場帰りの金田一と佐伯。
妻の一周忌に起こった毒殺事件の真相は?
この後に金田一は獄門島へ!
2012/12/08-09
Posted by ブクログ
金田一さん日本に戻ってから最初の事件の話が入っています。収録作の中ではこれが一番好きでした。犯人の手記で終わるものはどうもすっきりしないのは真相解明シーンが好きだからかな。