横溝正史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ迷宮の扉
僕がミステリー好きになったのは、おそらく中学生の頃で、当時有名な漫画ドラマがスタートした時期であり、それを動機としながら有名なミステリー小説を読み始めたわけだ。海外の作家で言えば、アガサクリスティやコナンドイルになる訳だが、日本の作家と言えば、当時知っているのは赤川次郎と江戸川乱歩、横溝正史であり、中学生ながらに江戸川乱歩や横溝正史を読んでいる自分凄いみたいなところから訳もわからず古典ミステリーを読み始めていた。
主に乱歩にハマっていたのだが、高校生の頃、古典の先生に難しい本を読んでるねぇと初めてリアクションされたのが横溝正史の「悪魔が来りて笛を吹く」だった。(難しいミステリーを読んでいる自分がかっこいいと思っていた訳だ笑)。
迷宮の扉
今作は横溝風てんこ盛りなイメージで、冒頭は辺鄙な場所にある謎の屋敷とそこに住む謎の住人たち。
怪奇的な手がかり。奇形の双生児、屋根裏の怪人、そして相続を発端とした連続殺人。登場人物達は二癖も三癖もあり、昔の作品の為言動が荒く、中編であるが横溝正史を読んだなぁと満足感を得られる作品だ。
金田一耕助とは久しぶりの邂逅になるのだが、少し印象が違っているのは余りシリーズを読めていなかったからなのだろう。最終までヒントがかなり出ているので犯人自体は読みやすくしかし一部辻褄が合わないぶぶもあるがそれはそれで楽しめた。そんな結末は現代社会ではきっと起こり得ないだろうなぁ。
片耳の男
不勉強で金田一耕助シリーズ以外を知らない為、登場人物達が今作のみかシリーズものか不明。
少女を追う謎の人物と真相。ある程度お約束の様な作品だが、最後のトリックは王道で面白い。彼らの関係性を描いたシリーズがあるなら読んでみたい。
動かぬ時計。
ショートショートの様な読み物。トリックなど無くただ単に少しだけ不思議を入れただけの作品。読みやすいが裏がない為物足りない。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ金田一耕助シリーズは、もっぱらテレビで、石坂浩二・古谷一行などの演じた映画・ドラマで得た記憶ばかりで、原作小説は読んでいなかった。映像の印象が強すぎて、もっとおどろおどろしいホラーじみた代物かと思っていたが、案外、読みやすい小説だった。
また、現実の戦後混乱期の日本とリンクする情報が(小説の本筋とは関係なしに)差し挟まれているのが目につき、意外とリアリティ志向のシリーズだったようだ。たとえば「一年ほどまえにも、さる凶悪な変質者の殺人が行われた場所だった」(p.377)は小平事件を、「昭和二十二年秋のその颱風こそは何十年ぶりともいわれるほど大きなもので」(p.390)はカスリーン台風を指していると思われる。きっと、事件の舞台となる屋敷があった麻布六本木という場所も、当時は小説に書かれたような土地だったのだろう(現在の六本木ヒルズ近辺の景色からは想像しづらい暗さ)。
気になった点は、トリック(p.427)と動機(p.463)とが、どうも噛み合わないように見えたところ。入念な準備なしには致死の確信が持てなさそうな不自然な姿勢での絞殺方法になる(ちゃんと力が入るのだろうか?)と思うのだが、それを「とっさに」決心して実行したって? -
Posted by ブクログ
ネタバレ聖女と呼ばれた女の裏の顔。彼女の周囲の人間が巻き込まれる犯罪の正体は?「七つの仮面」
殺害された女占い師。彼女の死体の周りに集まる猫と首が千切れかけた黒猫の死体。「猫館」
謎の電話の依頼で洋服姿である女性を尾行する金田一耕助。彼が発見した死体。「雌蛭」
流行作家の新居の庭で発見された死体。事件は解決したが、金田一耕助に犯人は別にいるとの告発の電話が。「日時計の中の女」
洞窟でふざけるカップルに矢をいかける金田一の先輩。洞窟で矢が突き立った死体が発見される。「猟奇の始末書」
隣のアパートで蝙蝠男が殺人を犯した現場を目撃した女子高生。トランクに詰められた美女の殺害事件。「蝙蝠男」
女傑のマダムの館に集められた関係者。新しい遺言に関する発表を待つ一堂だが。マダムの死体が…。マダムが面倒をみていた秘書の正体。「バラ荘」
-
Posted by ブクログ
金田一耕助ファイルの長編作品も、いよいよ、いよいよ残りわずかとなりました。
こちらの『女王蜂』はかなり初期の段階から知ってはいたものの、あらすじとタイトルから「艶っぽい話かなぁ……」とちょっと敬遠していて手に取るのが今になった作品です。実は昨年の11月に伊豆に旅行していまして、その縁で11月の読書1冊目に選んだ次第。
これまでに読んだ金田一作品を振り返ると、「佳人」が出てくるのはもはや大定番。
その中で「絶世の美女」と冠される大道寺智子嬢はさていかほどのものかと思って読みましたが……まぁそうねえ、私は『犬神家の一族』の珠世さんの方が好きですね(正直)。
珠世さんのように見目麗しく中身も高潔なタイプもいれば、『悪魔が来たりて〜』の美禰子さんのように作者から見た目はイマイチと評されつつも気高い心を持ち芯のあるタイプもいたり、はたまた『八つ墓村』の春代さんや典子さんのように奥ゆかしい献身的な女性もいる。
と、魅力的な女性をたくさん見てきてしまったので、智子嬢はどうにも気位ばっかり高く、イマイチ好きになれなくてですね……。必然的に彼女に猛アタックを仕掛ける○○氏もあまり応援する気になれず。
なので智子嬢の微笑みが誰に向けられるかにはあまり興味がなかったものの(ひどい)、次々と繰り広げられる惨劇は一向に犯人がわからず、その点でわりと夢中になって読み進めました。最後まで、○○○○は想いが報われなくてかわいそうだったなぁ……。「デブ」と罵倒され雑に殺されたあの人も。
それにしても、横溝先生はどうしてこんなにも女性の装束に詳しかったのでしょう。
智子嬢を飾り立てる華々しい装飾品の数々に、これらは一体どのようなものかしら、と想像を膨らませるのは楽しかったですね。
金田一作品の中で過度なエログロを避けるとなると、残りは『白と黒』『病院坂の首縊りの家』のみとなってしまうので、ちょっと次はどうしようか迷っております。横溝正史もクリスティーも未読が少なくなってきたぞ。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ金田一耕助シリーズ。
佝僂の首無し死体から始まる連続殺人事件。本当に死んだのは誰か、事件ではなく呪いなのか?絡まりあった因縁の先にある真実とは。
首無し死体は誰なのかで二転三転するの面白い。何処から事件の仕込みが始まってたのかとか。存分に活用されてた。
金田一耕助がなかなか出てこないのとあんまり出張ってこなくてちょっと意外。
犯人からしたら頼りなさそうなぽっと出不審者に真相に近づかれるの怖いだろうな笑
結局舞台が岡山になったのちょっと笑った。
途中でメタ読みで語り部が怪しくね?って思ってしまった。
動機が切ない。終盤の怒涛の語り。
尼さんも金もらってる割に迂闊では。
勝ったのは。 -
Posted by ブクログ
顔を変幻自在に変え、宝石などをいただくと予告すると、何でも必ず盗んでしまうまぼろしの怪人。探偵三津木俊助と、新聞社に務める探偵少年御子柴進がまぼろしの怪人の犯罪予告を阻止しようとするが…。
横溝正史の青少年向け推理小説。明らかに乱歩の怪人二十面相と明智+少年探偵(小林君)をモチーフにしたストーリーである。
乱歩の二十面相は、絶対に殺人だけはしないというのが売りであったが、まぼろしの怪人が現れるところでは往々にして殺人事件が起こる。しかし、その殺人は本当に宝石などを盗むためのものなのか?
催眠術などの、科学的(?)トリックも散りばめつつ、時にはまぼろしの怪人も逮捕したりと起伏が激しいので、子供向けの探偵小説と言えど、なかなか飽きさせないという意味で、本作は成功している。
一方で、本来殺人が起きないはずのシチュエーションで殺人が起こってしまったり、盗むものが一様に宝石であったりと、作者の悪ノリやめんどくさくなっている部分も垣間見えてしまう。
怪人二十面相という下敷きがあるがゆえの難しさについては、割と楽しんで書いているんじゃないかなと思わせる部分も多く、始終描きたいというモチベーションが感じられるのは良かった。 -
Posted by ブクログ
短編集。
戦後のエログロナンセンス全盛期の作品。
金田一の短編集は初めてかもしれない。
短編なのでどの作品も割と一直線に解決に向かっていくので、少々物足りないところもある。
ネクロフィリア(死体愛好家)が主題の作品が三つあり、かなりおぞましいのでその筋がお嫌いな方は読まない方がいいかもしれません。
その他にも時代を感じさせる男女間の描写もあるが、人間の本質は変わらんところもあるので、横溝描く所の男女間のドロドロを読んでいると今でもあり得るかなとも思う。
個人的には「湖泥」が気に入った。町生まれの町育ちの自分にとってはこの雰囲気がかえってたまらない。