横溝正史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
江戸時代より続く旧家の婚礼の夜、新郎新婦が惨殺されて発見された。密室となった離れ座敷、悲鳴とともに聞こえてくる琴の音、得体のしれない三本指の男。岡山の農村で起こった不可解な事件に、金田一耕助が挑む。名探偵・金田一耕助の初登場作品。
同じく農村で起こった殺人事件を書簡形式でつづった『車井戸はなぜ軋る』と、東京近郊で起こった「顔のない屍体」の事件を扱った『黒猫亭事件』の二編を併録。
最初の二編は村や一族の来歴に加え、田舎の旧弊さが強調されていて、日本的な陰険で不気味な雰囲気がただよっている。どれも金田一耕助の行動が直接描かれているわけではないので、表立って活躍している印象がないのが意外だった。 -
Posted by ブクログ
文豪きょうは何の日?横溝正史の亡くなった日。
鬼気迫る美少年「真珠郎」の悲しき出生の秘密。
由利麟太郎シリーズ。
だったけど、登場は後半のみ。
序詩 真珠郎はどこにいる。から始まる怪奇ミステリー。この一文が、物語を総括しています。
友人に誘われた旅先で、遭遇した殺人事件。その猟奇的な手法。怪しげな老婆達の登場。
読んでいたつもりでしたが、初読でした。
美少年真珠郎は、その媚態を見せない。
彼は、何処に隠れているのか。
この装丁の絵は、ネタバレになるのでは?
孔雀屏風
六曲一双からなる屏風。半分に裂かれたまま。
屏風とともに引き裂かれた恋。
出兵士の夢ある想いと共に 裂かれた屏風が呼び合い、 -
Posted by ブクログ
金田一耕助シリーズ6冊目、中短篇集。『睡れる花嫁』、『湖泥』、『蜃気楼島の情熱』、『蝙蝠と蛞蝓』、そして表題作『人面瘡』の5篇が収録されている。
戦後の混乱期、閉鎖的村社会、人々の愛憎・嫉妬等を背景に描かれるミステリー5篇。決して楽しめなかった訳ではないが、他のシリーズ作品と比べると一歩物足りないか。中短篇集ということで、コンパクトで読み易かったが、残念ながら唸らせられるような物語はなかった。
それにしても1冊で2回も殺害される「由紀子」さん(別人)。横溝御大にとって「由紀子」という名前には何か特別なものがあるのか・・・と、安直に考えてみたり。