横溝正史のレビュー一覧
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東京の離れた二地点で見つかった自動車のトランク内の死体。女の死体の方には、ハートのクイーンのカード、男の死体の方にはハートのジャックのカードが残されていた。被害者の男の方の身許から、「悪魔の百唇譜」事件で殺された男との関連が明らかとなる。「百唇譜」とは、女性の陰部の形を写しとったもので、それをネタにしてゆすりを働いていた男が殺されたというもの。
いかにも、横溝正史らしいテイストの通俗作品だが、地点・時刻・登場人物が複雑に絡みあっており、わかりにくく、ややこしい話だ。
容疑者のアリバイ、容疑者の事件当夜の行動の謎、巡査が目撃した男の謎、車内に残されていた鍵の謎、車の目撃情報の謎、男性被害者と女性 -
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久しぶりの『ひとり横溝正史フェア』。
今回は長編。期待してしまう。
金田一耕助は昔馴染みの女、順子と偶然再会し、話があると言われ、順子の暮らす団地へ行く。順子から話を聞いていると外が騒がしい。何事かと思うと、建設途中の団地のダスターシュートから顔の判別の出来ない女の遺体が発見される。
横溝正史の描く物語には欠かせない“閉鎖された村”という設定ではなく、団地が舞台。
いつも同じじゃつまらない、読者に飽きられてしまうと横溝正史が思ったかどうか知らないけれど、いつもの横溝正史じゃない。
これは期待出来る。
そう思ったのだけれど、結論から言うと、普通。
団地を舞台にしてみたけれど、団地も村もよく -
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四篇からなる短編集。
こちらも今回の『ひとり横溝正史フェア』ではじめて読む作品。
横溝正史はどちらかというと長編でこそ本領発揮する作家のようで、短編の出来はいささか物足りない。
この短編集でもそうで、横溝正史らしい世界観の構築が不足しているように思う。「生ける死仮面」では死体愛好、「蝋美人」では復顔といった、それなりのものを題材にしているが、踏み込みが足りないというかなんというか。
「首」では、また金田一耕助の粋な計らい、いわゆる人道的配慮といったことを行うのだが、ちっとも粋じゃない。
でも、金田一耕助は魅力がある。
磯川警部もまた然り。
「花園の悪魔」改題。 -
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『ひとり横溝正史フェア』久しぶりの今回は「人面瘡」。
こちらも読んだことがないもので、今回のフェアにあたり本屋さんで購入してきた。
正直に言って、また地雷踏んだらとヒヤヒヤしながら比較的安価だったので、これなら失敗しても被害は小さいと言い聞かせて購入。こういう気の小さい選択が死を、じゃない失敗を招くかもしれないけれど。
五篇の短編集。
収録された作品は全体として傾向が似ており、死体愛好と義眼を扱う作品が多い。
小品であるので、意外性も少なくこぢんまりした印象。
表題作「人面瘡」、「蜃気楼島の情熱」は小品であってもきちんとトリックもあり面白く読める。
また、「蝙蝠と蛞蝓」では主人公が小説を書く -
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『ひとり横溝正史フェア』のつづいての作品は「仮面舞踏会」。
こちらも読んだことがなく今回入手した。映像化されたのかどうかもよくわからない。
ここまで『ひとり横溝正史フェア』をつづけてきて、ふと思った。横溝正史じゃなくて金田一耕助だったかな。金田一耕助の出てくる横溝正史作品をひとりで読んで盛り上がろうというフェアなので、ひとり金田一耕助フェアが正しいかもしれない。何という今更な気づき。
まあ、小さい問題なのでこのまま。
ここまで金田一耕助の出てくる作品を読んできて、あと何作あるだろうと思ったりする。全部読もうかどうしようか、ちょっと悩む。
何故悩むかというと、ここのところの横溝正史作品がいまひと -
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これで何冊目になるのか「ひとり横溝正史フェア」。
今回はこちら「女王蜂」。
こちらはタイトルがいい感じです。横溝正史のタイトルは、なんとか殺人事件とか悪魔がどうしたといった、ちょっと野暮なものもチラホラですが、「女王蜂」というのはなかなかいいと思います。
伊豆方面にある小島、月琴等。
その月琴等に暮らす大道寺智子は、亡き母の遺志により18歳になったら東京の義父のもとへ行くことになっている。
加納法律事務所から、智子の月琴等から途中立ち寄る修禅寺を経由して東京まで移動に付き添ってもらいたいという依頼を受ける金田一耕助。
修禅寺のホテルで、智子にまつわる殺人がはじまる。
孤島である月琴等、そこ