横溝正史のレビュー一覧
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巷では『ビブリア』のドラマ化のキャスティングの是非が話題のようだが、映像と原作は別物と考える私からすると、不毛な議論に思えて仕方ない。
原作。コミック。そしてドラマ。
子供につきあって、すべてに目を通したが、まあそれぞれいいのではないか。
それより世の中には色々な失敗作がたくさんある。
原作のイメージぶち壊しの設定変更。
芸能界の事情丸出しのキャスティング。
時間やスポンサーの縛りで変わるストーリー。
若いころはその一つ一つに目くじらを立てていたものだが、
裏切られ、
失望し、
幻滅し、
そのようなもの、と思えるようになってきた。
映像と原作は別物。
うま -
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金田一耕助短編集
<殺人鬼>
探偵小説家・八代が知り合った女性・加奈子は復員してきた夫・亀井にストーカー行為を受けていた。
おびえる加奈子の不安は的中し、同居している賀川が殺され、自身も殺されかける。
賀川の妻・梅子が警察からの取り調べ中に服毒自殺をしたり、ゴミ溜めからステッキやら偽の義足が見つかったり。
本当に「殺人鬼」は亀井なのか?
金田一の出番は少ない!八代の手記という形で展開されていく。
戦後の混乱期ならではの事件。
<黒蘭姫>
エビス百貨店で起きた万引き女による店員殺害事件。
同じ建物の喫茶店では百貨店の元従業員が毒殺されていた。
万引きしても見逃される「黒蘭姫」の正体とは?
等 -
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『睡れる(ねむれる)花嫁』は、あるアトリエで起こった昔と今の事件をテーマにしたミステリー
『湖泥』は、ある田舎にある北神家と西神家の対立を背景に起こった殺人ミステリー。
『蜃気楼島の情熱』は、あるアメリカ帰りの紳士が竜宮城のような建物を沖の小島に建て、そこで起こった殺人事件。
『蝙蝠と蛞蝓』は、金田一耕助を怪しむアパートの住人が嵌められた殺人事件。
『人面瘡』は、姉が妹を2度殺したと訴え、その直後妹が死体で発見されたミステリー。
どれも似たようで、それぞれのストーリーがあって、すべて楽しめて読めました~。
今時の科学捜査でなく、金田一の頭脳で事件を解決するところが読んでて面白い。
しかし、 -
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ネタバレ短編集
「七つの仮面」:聖女の皮をかぶった娼婦・美沙を巡る男女のいざこざ。
「マリア様が見てる」の過激版のような…金田一はチラリとしか出てきませんが美沙の語りがいいです。
「猫館」:女占い師と飼い猫が殺害される。何故犯人は女占い師の上着だけを脱がせ、数多くいる猫のうち1匹だけを殺したのか?そして内弟子の女の行方と裏に住む男やもめの画家は事件に関わっているのか?あっさり終わってしまいます。
「雌蛭」:珍しく金田一耕助自身が冒険します。洋服まで着て!
あるマンションの部屋からハンドバッグを取ってきて欲しいという依頼を受けた金田一がその部屋で発見したのは硫酸を掛けられ息絶えている男女の死体だった。ハ -
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ネタバレ『生ける死仮面』:美少年の死体と彼から作ったとされるデスマスクを愛でていた芸術家が逮捕される。その直後に顔をしつようにつぶされた男のバラバラ死体も…異常愛の果ての凶行かと思いきや、実際は財産目当ての事件。それぞれの遺体は一体誰なのか
『花園の悪魔』:ヌードモデルの死体が花壇で発見される。いっしょの宿に泊まったとみられる男に手配がかかるが1年経っても消息がつかめない。実はモデル殺しはカモフラージュのための殺人であった
『蠟美人』:腐敗した死体の骨から生前の顔を再現したところ、それは良人殺害の容疑で手配中の銀幕女優だった!世間を騒がせた直後、復元した学者が殺害され、蝋人形も破壊されてしまう。遺体は -
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ネタバレ金田一耕助モノ。
やっぱり横溝さんの世界は、男女の爛れた不埒な情欲と、金に対する執着を動機とした犯罪が描かれているというか、むしろそれ一辺倒というか(笑)昭和30年代に、本当にこんな感じの脂ぎったエログロの世界があったのかどうか知らないけど、この作品世界だけを読んでこの世界観を真に受けてしまったら、昭和の前半という時代を見誤りそうで怖いっちゃ怖い。
金田一モノの代表作と言える『八つ墓村』や『犬神家の一族』とかに比べて、この辺の作品はあんまり金田一が活躍しないので、個人的にはそんなに面白いとは思えませんでした。金田一作品の主だったところを全制覇するためには避けて通れない作品ということでサクっと -
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ネタバレ序盤から中盤までは、かなり重苦しく、場面によってはちょっとした生理的嫌悪感も抱いてしまうような展開。テンポ良く話が進むので、それに助けられて読み進められたけど、これで展開がもうちょっと遅かったりしたら、途中で投げてたかも。
結局のところは最終章の名前通り、「大団円」としてまとまるけど、そこに至るまでのオチとトリックがちょっとなぁ…という感じ。推理小説でこのオチをやられると、個人的にはちょっと脱力してしまう。
やっぱり推理小説は、クイーンやクリスティみたいに犯人が辿ったルートを作品内にそれとなく忍ばせてくれて、読みながら一緒に推理できる方が面白いかな。ホームズの発想力や「実はこういうことだっ -
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ネタバレうーーーん。
イマイチ。なーんかイマイチ。個人的には、金田一耕助の活躍が輝く時代設定は、戦後すぐの昭和20年代中盤ぐらいじゃないかと思う。この作品のように昭和30年代になって、それなりに便利なものが普及し始めてる頃になると、戦後すぐの時代背景の金田一作品が持っている猥雑さ、仄暗さというものが感じられなくなる。
やっぱり金田一が関わる人たちには、戦争から帰ってきた退役軍人、没落した士族や華族や大地主、そしてむやみやたらにそこらじゅうにいる後家さんが出てこないと、らしさが出ないなー。
横溝作品を制覇したい、というのではなく、とにかく金田一耕助の活躍を読みたい、というのであれば、他の作品から読