横溝正史のレビュー一覧

  • 蝶々殺人事件

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    「由利麟太郎」探偵ものの3作品、300ページほどの表題作が1947(昭和22)年、短い2作「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」は共に1936(昭和11)年の作である。
     表題作は金田一耕助ものの最初の作品『本陣殺人事件』と同時期のもので、トリックに凝ったかなりややこしい話。怪奇趣味やそれに伴う濃厚な情緒はここには見られず、むしろ機械的に物語は進む。横溝正史自身が四六時中トリックを考案しているようなマニアックな作家であったので、凝ったトリックを設定しエラリー・クイーンばりの本格推理小説を実現したこの作品は、自信作であったのかもしれない。が、情緒性がなさすぎて、私にはさほど面白くなかった。
     むしろ、併

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    2021年12月29日
  • 金田一耕助ファイル10 幽霊男

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     1954(昭和29)年発表の金田一耕助もの。『獄門島』(1948)と『白と黒』(1961)の中間辺りの時期だ。
     この付近の東京界隈の世相がどんな感じだったのかよく知らないが、本作に出てくる様相はかなりいかがわしい。写真や絵画のためのヌードモデルを派遣する神田の「共栄美術倶楽部」なる事務所が最初の舞台となっており、どうやら当時はカメラを持ちヌード写真を撮ることが流行っていたようだ。だが、これはいかがわしい会社なので契約した客とモデルの間で性交渉もありがちだという設定。この会社に所属するモデルの一人は、のちにストリッパーに転身する。横溝正史は当時のこのような「いかがわしい界隈」をとても愛好して

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    2021年12月05日
  • 金田一耕助ファイル17 仮面舞踏会

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     1974(昭和49)年刊。横溝正史の生没年1902-1981を考えるとこのとき既に72歳。もう晩年と言ってよいかもしれない。
     本作では4回も結婚し今新たに5人目と交際している大女優を中心に、避暑地の軽井沢で複雑な人間関係が殺人事件の背景として構築される。別荘を持っている人々が大半だから、富裕な層である。
     本作の舞台は1960(昭和35)年。テレビが各家庭に爆発的に普及し始めた頃のようだ。
    『白と黒』(1961)と同様、文体は軽く、江戸っ子の口上のように剽軽で滑らかだ。この軽さは、昭和20年代の『八つ墓村』等の傑作群で恐怖やおどろおどろしさを喚起し読者を巻き込んでいったあのエモーショナルさ

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    2021年11月22日
  • 金田一耕助ファイル18 白と黒

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     前年から1961(昭和36)年に連載終了。これまでに読んできた横溝正史作品は戦前から戦後間もない頃の作品ばかりで、映画化もされた有名作はその頃のものが多いようだが、果たして後年の作風はどんな感じだろう? そう思ってとりあえず読んでみた。
     本作の舞台は1960(昭和35)年の東京で、5階建て20棟から成る当時としては巨大な新築団地である。団地住まいという新しい生活様式がにわかに出現してきた時代と思われる。作者自身がこの新しさについて簡潔に指摘している。

    「日本全国にニュー・タウンとよばれる団地が、ぞくぞくと建設されるにしたがって、そこに居住するひとたちの社会心理学というものが、ちがごろ問題

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    2021年10月30日
  • 魔女の暦

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    ネタバレ

    「魔女の暦」、「火の十字架」収録。
    どちらも浅草のストリップ劇場が舞台。そして、どちらも愛欲がえげつないというか。あと、謎の手紙から始まるところも同じかな。
    「魔女の暦」の合間にある犯人のパートが映像を意識した感じがして好き。横溝作品では、あまりない書き方。

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    2021年10月17日
  • 金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く

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    斜陽の子爵家を舞台に起こる、いわゆる「館ものミステリー」を勝手に想像してたら、「館」感はかなり薄め。特に中盤以降はどんどん屋外に話が広がっていったのは、個人的に「館ミス」が好きなので残念だった。ストーリーもトリックも並レベルだと思った。

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    2021年10月09日
  • 金田一耕助ファイル6 人面瘡

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     すっかり気に入って読み継いでいる横溝正史4冊目。本巻には5編の金田一耕助シリーズの短編が入っている。執筆年は1947(昭和22)年から1960(昭和35)年。
     何となく、横溝正史を好んで読みまくるというのは、何やら淫靡な趣味のような感じがする。淫靡と言ってもそんなにエロくはないけれども、当時としてはあからさまに性交を扱った作風として、同時代においてやはり淫靡な世界と扱われたのではないか。それに加えて、おどろおどろしい怪奇趣味。本巻に収められた短編には、屍姦とか、作者にとってグロく思われたらしい「義眼」が複数回出てくる。
     しかし、このように短編の体裁の中に本格推理の構成をもってくるとなると

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    2021年10月08日
  • 夜の黒豹

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    再読。岡戸圭吉のインパクトが凄い。
    改めて読むと伏線もばっちり張ってあるし、ちゃんとしてる。イロモノ的な記憶しかなくて申し訳なかった…

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    2021年09月05日
  • 金田一耕助ファイル9 女王蜂

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    これといえるトリックなりロジックなりがあるわけではないのだが、やはり読者を物語に入り込ませる力やリーダビリティは一級品...しかし、正直全く新しさがない。既視感すら覚えてしまう。

    つまり、面白いは面白いのだが、少しマンネリ化してきてしまっている印象。
    横溝さんの最近読んだ作品はどれも軒並み面白さは☆4前後という感じだし、内容も正直そんなに大差はない。
    (とはいってもやはり犬神家や悪魔が来りて〜の方が上)

    だが、「姫野はなぜ19年前の殺人のことを遊佐に話したのか」という点に着目して推理するのは面白いし、トリックと言えるのかはさておき、肩透かしとも言えるがまぁ心理的密室とも言える密室トリックも

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    2021年08月29日
  • 金田一耕助ファイル16 悪魔の百唇譜

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    ネタバレ

    金田一耕助もの。金田一耕助の小説は大好きだけれど、この「悪魔の百唇譜」は金田一耕助ものっぽくない。哀愁漂う雰囲気がない、というか。

    昔、この「悪魔の百唇譜」のドラマをちらりと見たことがある。確か、吉川十和子と火野正平が出演していたように思う。古谷一行が金田一耕助のドラマだ。
    その吉川十和子が大変健気な感じで、小説もそういう感じなのかと思っていたら、全くそんなことがなかった。
    「仮面舞踏会」もそうだったけれど、ドラマより小説のほうが酷薄で読者の一人としては小説の酷薄さが現実に近い感じがして、本格推理小説という現実離れした設定に一つの落ち着きを与えているように思っている。

    朱美の遺書を読んで、

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    2021年08月29日
  • 金田一耕助ファイル10 幽霊男

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    昔読んだはずが殆ど記憶になかった。少年探偵団シリーズ横溝版みたいなライトな内容で笑っちゃうような展開も多い。しかし人はバタバタ死ぬし死体の美術集とか猟奇なのは流石。

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    2021年07月01日
  • 金田一耕助ファイル9 女王蜂

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    ネタバレ

    「正直殺人の方が本領発揮なんで」みたいなこと言ってる金田一耕助なに?ワロタ
    登場人物全員ヤバくて共感性低いぶんエンタメ強めでさらっと読めますね。
    新聞社の人他にも出てるのかな…。

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    2021年05月12日
  • 悪魔の降誕祭

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    割と軽く読める短編集でした。気持ち悪いのが嫌という方でも読めそうだと思います。

    ディフェンスに定評の無い探偵、という評価を思い出しました。

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    2021年04月13日
  • 金田一耕助ファイル6 人面瘡

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    確かにあの折り目の取れかけた袴に、マントを羽織った姿は蝙蝠に見えなくもない。
    割と女性好きする金田一耕助ですが、若い男性から見たらこんなふうに見えるのかもしれません。

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    2021年04月13日
  • 金田一耕助ファイル8 迷路荘の惨劇

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    確かに、洞窟探検にズルズルの和装は不向きだと思った。
    推理というより、冒険譚のような印象を受けました。

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    2021年03月03日
  • 金田一耕助ファイル7 夜歩く

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    ネタバレ

    金田一耕助シリーズ、けっこう時間がかかってしまった。佝僂病やら気狂いやら、なかなか今の時代では見なくなってしまった言葉だけど、個人的には今の時代の方が汚いものや見たくないものに蓋をしすぎているとも感じているのでむしろ清々しい。

    脱線してしまったが、なかなか金田一耕助が出てこないので飽きてしまいそうになっていた。
    最初、語り手の三流小説家が今までに出てきた小説家だと思っていたが、読み進めていくとどうやら違うらしい。なるほど。
    正統派というよりは変化球に近い。
    次は正統派がいいな。

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    2021年02月23日
  • 憑かれた女

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    憑かれた女・首吊り船・幽霊騎手の3編による作品。
    私にとっては、初の横溝正史。
    文章が、古い。
    度々、検索してしまった(汗)
    「憑かれた女」オカルト的かと思ったら、単純なトリックだった。
    他、2作品は、ホラー要素が少ないかな…。
    発表されたのが、40年以上前だけど、今でも楽しめる。
    舞台にも出来そうな感じ。
    横溝正史は、年月が経っても廃れない作家なんだな…
    新たな発見が出来た。
    ‘20.09.12読書完了

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    2020年09月12日
  • 花髑髏

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    奇想天外で愉快。
    色んな要素を詰め込んだ1冊。
    横溝正史さんもノリノリで楽しく書いたんじゃないかな。
    戦後間もないあけすけな明るさと東京区内にシンと沈む街と鬱蒼と茂る樹木の作る暗闇が見える。
    現代ではなかなか出せない世界観は流石です。

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    2020年09月05日
  • 金田一耕助ファイル7 夜歩く

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    ★★★☆☆ 3.3
    この叙述トリックは卑怯だろ、ってのが正直な感想。あんまり意外で最初は理解ができなかった。金田一耕助シリーズ。

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    2020年08月06日
  • 花髑髏

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    ネタバレ

    全三編ありますが、どれも男女の恋愛が発端となっているのが面白いです。

    中でも『白蠟変化』は、終盤の無情感が好きでした。しかし、由利麟太郎や三津木が活躍するというよりかは、白蠟三郎の暗躍がメインです。

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    2020年08月03日