【感想・ネタバレ】憑かれた女のレビュー

あらすじ

自称探偵小説作家の井手江南に伴われ、エマ子は恐る恐る不気味な洋館の中へ入った。そして問題のドアが開かれた瞬間、彼女は恐怖の悲鳴を上げた。部屋の隅に燃えさかる暖炉の中には、黒煙をあげてくすぶり続ける一本の女の腕が! ここ数カ月間、日夜恐ろしい悪夢に悩み続けてきたエマ子は、それが実際の事件として眼前にくり広げられたと知って戦慄した……。名探偵由利先生と敏腕事件記者三津木俊助が、鮮やかな推理を展開する傑作長編、ほか首吊り船/幽霊騎手の2篇を収録。

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Posted by ブクログ

由利麟太郎ものの中編『憑かれた女』を軸に、著者の戦前の作を集めた中短編集。著者の戦前の作の多くは、要するにスリラーで、ミステリ的な妙味はあまりなかったりする。この辺は本書に収録の『首つり船』『幽霊騎手』を読んだ後なら、大概の人がウナ図ていくれるんじゃなかろうか。そんな中、表題作の『憑かれた女』は例外というか、きちんとしたミステリで、驚かされてしまう。いわゆるWHYが腑に落ちる形で説明されるのね。僭越ながら掘り出し物と言わせていただきましょうか。

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2021年01月07日

Posted by ブクログ

横溝正史『憑かれた女』角川文庫。

名探偵・由利麟太郎シリーズの復刊。4ヶ月連続刊行の第2弾。表題作、『首吊り船』『幽霊騎手』の3篇を収録。表題作は群を抜いて面白いが、他の2編は平凡かな。

そう言えばと、昔読んだ横溝正史の角川文庫版にはよく表題作の他に短編数編がおまけのように収録されていたのを思い出した。

表題作『憑かれた女』。如何にも横溝正史らしい、おどろおどろしい奇怪な事件から物語は始まる。アザミ酒場をメインに遊んでいた西条エマ子は自称探偵小説家の井手江南と共に立ち入った不気味な洋館で、暖炉で焼かれる女性死体を目にする……事件は猟奇連続殺人の様相を呈し、いよいよ名探偵由利麟太郎と敏腕事件記者三津木俊助が登場する。事件の鍵となる自動電話とは何かと気になり、調べると昔の電話ボックスのことだった。猟奇の果て……

本体価格760円
★★★★

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2020年05月14日

Posted by ブクログ

表題作は狂気的な感じで、ああそういうオチだったのか、と思わぬ終わり方だった。

3つ目の「幽霊騎手」も最後の最後にオチがあって面白かったし、わりとキャラがたってたので面白かった。

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2024年12月07日

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日夜悩まされていた悪夢と同じ光景で実際に起こってしまった殺人事件。
徹底的な理論派の横溝作品にしては、やけに幻想的な表現が多いなと思ったら、そういう事だったのか…!
こういうパターンもあるとは、、犯人も最後まで予想できませんでした。

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猟奇的事件と悲恋の一作。
佐藤春夫が探偵小説を猟奇耽異の果実と評した感想に思わず感嘆の吐息を洩らす。
以下、ネタバレです。

憑かれた女はただエマ子が不憫。罪を犯したのは彼女だけど江南が悪戯心を起こさなければこんな悲劇はなかったものと思いたい。最期を五月と共に逝けたのが救いだけど、それでも悲しいな。
首吊り船は三津木くんの活躍が見事。フットワークが軽くて度量が大きい。さすが花形記者というところ。それ以上に由利先生の理路整然とした推理が素晴らしかった。
最後の幽霊騎手は由利、三津木ペアは出てこないものの、風間辰之助のキャラクタがとても魅力的でヒヤヒヤもワクワクもしながら読めた。
悪友三人の友情にほっこり。恋心にそっと蓋をする風間がいい男だった。

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2022年03月01日

Posted by ブクログ

憑かれた女・首吊り船・幽霊騎手の3編による作品。
私にとっては、初の横溝正史。
文章が、古い。
度々、検索してしまった(汗)
「憑かれた女」オカルト的かと思ったら、単純なトリックだった。
他、2作品は、ホラー要素が少ないかな…。
発表されたのが、40年以上前だけど、今でも楽しめる。
舞台にも出来そうな感じ。
横溝正史は、年月が経っても廃れない作家なんだな…
新たな発見が出来た。
‘20.09.12読書完了

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2020年09月12日

Posted by ブクログ

『憑かれた女』は金田一耕助シリーズの『喘ぎ泣く死美人』の中に原型版があります。
全く違う経路を辿るので、興味のある方は是非読まれてみてください。

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2020年06月24日

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