横溝正史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
顔を変幻自在に変え、宝石などをいただくと予告すると、何でも必ず盗んでしまうまぼろしの怪人。探偵三津木俊助と、新聞社に務める探偵少年御子柴進がまぼろしの怪人の犯罪予告を阻止しようとするが…。
横溝正史の青少年向け推理小説。明らかに乱歩の怪人二十面相と明智+少年探偵(小林君)をモチーフにしたストーリーである。
乱歩の二十面相は、絶対に殺人だけはしないというのが売りであったが、まぼろしの怪人が現れるところでは往々にして殺人事件が起こる。しかし、その殺人は本当に宝石などを盗むためのものなのか?
催眠術などの、科学的(?)トリックも散りばめつつ、時にはまぼろしの怪人も逮捕したりと起伏が激しいので、 -
Posted by ブクログ
短編集。
戦後のエログロナンセンス全盛期の作品。
金田一の短編集は初めてかもしれない。
短編なのでどの作品も割と一直線に解決に向かっていくので、少々物足りないところもある。
ネクロフィリア(死体愛好家)が主題の作品が三つあり、かなりおぞましいのでその筋がお嫌いな方は読まない方がいいかもしれません。
その他にも時代を感じさせる男女間の描写もあるが、人間の本質は変わらんところもあるので、横溝描く所の男女間のドロドロを読んでいると今でもあり得るかなとも思う。
個人的には「湖泥」が気に入った。町生まれの町育ちの自分にとってはこの雰囲気がかえってたまらない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレスケキヨマスクや湖から足が出てるシーンは知ってたけどストーリー自体は全く知らなかった
派手なトリックとかはないけど、戦後のゴタゴタや昭和の人間関係の濃密な感じが相まってねっとりした雰囲気は好き。見立て殺人がちゃんとそれなりに理由があるのもよい(獄門島は微妙だったから、、)
トータルとしてとても面白くて1日で読んでしまった
しかしこれだけは言いたい、佐兵衛がダメ
松子竹子梅子がすごい悪者みたいに書かれてるけど、全く愛情注がれなかったの普通に可哀想だし、静馬と菊乃にしたことはやり過ぎだけど、腹を立てるのは当然だと思うし、それぞれの母親を欲望の処理道具のように扱ってるのも胸糞。それが愛情を移さない -
Posted by ブクログ
「生ける死仮面」「花園の悪魔」「蝋美人」「首」の4編が収められた短編集。3/4が東京を舞台にした作品で、先日読んだ『犬神家の一族』から急に時代が進んだ気がしました。
短編となるとなかなか当たり外れがあったりしますが、横溝正史は短い中にもしっかり雰囲気と山場が作られていてなかなか読み応えがありますね〜。
顔のない死体に肉付けをし、科学的根拠から生前の顔かたちを復元する……という「蝋美人」が衝撃的。
出来上がった顔はなぜか誰もが知る悪女で、という設定は面白かったものの、謎解きが駆け足だったのが少し残念……。
そして「首」は本作で唯一の岡山もの(磯川警部も登場!)で、横溝正史の描く地方の風景は、た -
Posted by ブクログ
だいぶ時間かけて読み切りました。字が小さくてページ数以上にボリューム満点。
横溝正史先生の金田一耕助シリーズをいつか読んでみたいと思っていて、最初の一冊。
昭和46年初版発行で舞台が戦後の昭和二十×年なので、ノスタルジー感満載です。
装丁と表紙がかなりおどろおどろしいので、ホラー要素のあるのかと思ってましたが、そんなことありませんでした。
途中で犯人は、この人しかいないよねと分かるのですが、謎解きは意外とあっさりでした。
戦後の田舎の村に一人のよそ者(しかも曰くつき)が訪ねてきて、連続殺人始まったら…そりゃあ白い目で見て疑われるも当然だろうと思って読んでました。
なぜそうなる?みたいな -
Posted by ブクログ
※伏せ字にしてますが、若干グロを想起させる単語を使用しています。苦手な方はご注意下さい※
江戸川乱歩といい横溝正史といい、◯体を過度に損壊しないと◯んじゃう呪いにでもかかっとんのか?
毎回この辺の作品読む度思うんだけど、そりゃあ良いご家庭の子息令嬢は読むの禁止されるよね。
「探偵小説」と呼ばれる昭和の推理小説って、どうしてこんなに事件内容が惨たらしいんでしょう。最近のミステリにも眉を顰める向きはあるけど、時代錯誤なハラスメントごりごりの描写含めて、やっぱりこの大時代な作風には勝てないわ(勝たなくてよい)。
さて、本作。
表題作含む三作の短編〜中編を収めた、じっちゃんこと金田一耕助の -
Posted by ブクログ
111108さんの本棚から興味をひかれて。
昔、横溝正史の怖い映画を観るのが大好きだった。
インパクトのあるキャラクターやその殺され方に
両手で目を隠しながらも釘付けに。
八つ墓村は
頭に2本の懐中電灯、
片手に銃、もう片方には日本刀という姿や、
「たたりじゃー!」の決め台詞が強烈だった。
出てくる人物が怪しげで恐ろしげで、
特に双子の老婆が怖いのなんのって。。
実際に原作を読んでみると
びっくりするくらいのどかな描写が続き、
あれ?こんなだっけ?と拍子抜け。
老婆、全然怖くないし。
名探偵金田一耕助もあまりにパッとしない外見で
映画とイメージがかけ離れてた。
今回はほとんど活躍の場もな -
Posted by ブクログ
未読の横溝作品発掘シリーズ(←?)。
本書は文庫未収録の短編+ショートショート全18話が収録されている作品集となっております。
因みに金田一さんはどの話にも登場しませんし、ミステリではない小話もあったりと、いつもとは違ったレアなラインナップといえるかもですね。
個人的に好みだったのは、横溝センセならではの怪奇チックな雰囲気とミステリのバランスが丁度良い
「河獺」
が好きでしたね。
他には、やはり短編とはいえ“ちゃんとミステリ”な
「絵馬」
「燈台岩の死体」
そして、オチの捻りが効いている
「甲蟲の指輪」
も良かったです~。
・・と、上記のような事件性のあるミステリから、日常の謎系、ブラ -
Posted by ブクログ
横溝正史の金田一耕助シリーズ、長編4作目にあたる。
いわゆる「岡山もの」の1つで、因習に囚われた村で起こる、凄惨な事件を描く。
何だか落語の三題噺を思わせるような作りで、落武者の呪い+津山30人殺しをモデルとした連続殺人+鍾乳洞探検を組み合わせた形。
事件は戦後、辺鄙な村で起こる。
主人公の青年・辰弥は肉親との縁が薄く、復員後は天涯孤独の身の上となり、会社勤めをしながら淡々と暮らしていた。あるとき、突然、弁護士から彼を探している人がいると連絡を受ける。実は辰弥の亡父は八つ墓村という村の旧家・田治見家の当主であり、親族がその家を継いでほしいと言っているというのだ。急な話に辰弥は不審に思う。それ -
Posted by ブクログ
ネタバレ【トランプ台上の首】
表題作。
これは古谷一行金田一耕助のドラマで見たことがあるなぁと思っていたが、
ドラマとは全く設定が違って、「え?こんな話?」と驚き。
金田一耕助シリーズは映像化の際、細部が改変されることが多いけど、これは動機含め全く違うもんだから・・・。
まぁこの話のままなら、ドラマにして時間がもつ内容ではないからな。
事件関係者である、船で惣菜を売りわたる飯田屋の宇野宇之助って、名前がすごい。
金田一耕助は、やはり何もしないし、犯人が逃走するまで手をこまねいている。
いつもいつも、なにが名探偵なのだろう。
【貸しボート十三号】
ただよう貸しボートの中で、若い男と妙齢女性の遺体が発見