横溝正史のレビュー一覧
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あの島には悪霊がとりついている
鵺(ぬえ)の鳴く夜に気をつけろ
その島の名は……
とても良い始まりをする「悪霊島」。
『ひとり横溝正史フェア』をつづけることがキツくなってきたので、他に読む作品があるけれど飛ばして大作である「悪霊島」を読むことにする。
確かこの作品も映画化されており、小さい頃にコマーシャルで、鵺の鳴く夜は恐ろしい、とかいうフレーズを聞いた。何がどう恐ろしいのかちっともわからないけれど、その煽るようなコマーシャルにガッチリ乗せられたわたしはとにかく恐怖を感じた記憶がある。
煽られすぎて結局映画自体は観なかったのだが、怖いもの見たさで原作小説は後に購入していたようだ。
ようだ、というのは小説は手元に残っているのだが、全く内容の記憶がないからだ。もしかしたら、興味はあって購入したものの気が小さいため読まずに終わったか、読んでみたらコマーシャル程の怖さがなく記憶から消去したかのどちらかではないかと思う。
果たして「悪霊島」は恐ろしい作品なのか。
始まりの鵺云々を読み、当然思うのが、鵺って何ということ。
読書の友である金園社国語辞典をパラパラめくるとこうある。
鵺 一、とらつぐみ。二、怪鳥の名。三、前後の不続一なもの。
……とらつぐみって何。
パラパラ。
載っていない。
鵺の挿絵には普通の鳥の絵。可愛らしい。
ただ大きさはわからないので、可愛いらしさを感じられない巨大な鳥の可能性はある。
まあ、何にせよそのとらつぐみなる鳥は存在するようなので、その鳥が何がしかの声で鳴く夜ということだ。もしくは、伝説の怪鳥が鳴く夜ということで、こちらの方が恐ろしさは増す。
ちなみに鵺は、空に鳥とも書くらしい。
作中でも鵺について語られる場面がある。(p97)
「平家物語」に出てくる頭は猿、体は狸、手足は虎、尻尾は蛇、鳴く声は鵺に似ている源三位頼政に退治された異形の怪物。
鳴く声が鵺に似ているだけで、鵺が怪物ということではないらしい。
この姿は可愛いらしくない。
その怪物が鵺の声で鳴く夜なのか、とらつぐみが鳴く声なのかどちらかは不明だが、始まりの文章は死に瀕した男が息も絶え絶えに伝える言葉なので、怪物の鳴き声の方がおどろおどろしい横溝正史の世界の幕開けとしてはふさわかもしれない。
物語の始まりと鵺についてばかり書いてしまったが、作品自体の感想は下巻を読んでからにする。 -
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また定期的にやってきた、金田一耕助読みたい病(笑)
まだあるかな〜と本棚を覗いたら、本書があったので読むことに。
悪魔の降誕祭、女怪、霧の山荘の3つの物語を収録。
どれもこれも、人間の欲望、浅はかさ、卑しさなどが事件を通して描かれている。
個人的には女怪、霧の山荘が印象に残った。
女怪では珍しく、金田一さんの恋愛模様を取り上げていて、おっ!と思ったのだが結末があんな形になって、私が金田一さんの立場だったら当分、再起不能に陥る。絶対に。
霧の山荘は、人をとってくった様な感じが腹立たしくて、後味悪い印象を受けた。
現在も謎解きものはたくさんあれど、金田一シリーズは安定のシリーズ。書かれた年代は少し古いが、そのレトロな文体や言い回しなんかも気に入っている。 -
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下巻では、20年後に新たな殺人事件へと発展しましたが、20年前の殺人事件まで含めて全ての謎が氷解してスッキリしました!さすがに、いろいろな因縁が絡んでいてストーリー的には面白かったですね!金田一耕助シリーズの集大成的作品で良かったです。
最後には金田一耕助がアメリカに旅立ち、消息不明となるシリーズの終わり方も良かったと思います。
これ以上、新作が読めないというのは甚だ残念ではありますが、なんとなく金田一シリーズ全作品を読み切って、やり遂げた感はありますね!
でも、ついでといってはなんですが「金田一耕助の冒険」も読んでおきたいと思います。 -
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悪霊島と同じように本作も上巻はエピローグ的な作品となっておりますが、本作の違うところが、上巻より下巻がどうやら、上巻から20年後の事件の顛末を描いた作品となっているようで、20年以上の歳月を経た壮大な長期間に渡るミステリー作品となっております。
上巻では法眼家と五十嵐家の複雑な家系図が織りなす悲劇ですが、真犯人は女性のような気がしますが、女性がどうやって巨体の首なし男性胴体を処理したのか?が謎ですね!そう考えると真犯人あるいは共犯の男性がいるのかもしれませんし、そもそも偽装殺人なのかもしれません。
いずれにしても20年後に解決することになる下巻が楽しみです! -
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『ひとり横溝正史フェア』のこちらは、えっとえっと何作目でしょう。
忘れました。
豪邸名琅荘は、邸内至る所に仕掛けが施してあり複雑な造りから迷路荘と呼ばれている。
その迷路荘の創始者古館種人は、美しい後妻加奈子とその遠縁にあたる静馬との仲を疑っている。ある日種人は加奈子を斬り殺し、静馬の片腕を斬り落とした上で自死してしまう。
そんな迷路荘に知人の紹介で訪れた金田一耕助は、凄惨な殺人事件に巻き込まれる。
こういって始まる物語で、いつものように金田一耕助がまあまあ殺されてから事件を見事に解決するわけだが、全く内容の記憶がない。
我が家に「迷路荘の惨劇」は二冊あり、間違いなく最低二回は読んでいるはずなのに。
全く読んだ覚えがない。
内容どころか、これって買ったっけくらいに記憶がない。
どこかで頭でもぶつけたか、いや、もしかしたら殴られたのか。
事件発生。金田一さーん。
この本は読み始めるとじきに、子爵だとかフルートだとかが出てきて、なんだかとっても「悪魔が来りて笛を吹く」に似ている。
勿論、似ているところはそこだけだけれど。
フルートの音色というものは、どこかしら淋しげで暗い内容の横溝作品にはよく似合うかもしれない。
屋敷から繋がる洞窟だとか、美しいけれど健やかさはない女性、惨劇に相応しい殺されかたなど面白く読ませる。
それなのにどうして全く憶えていないのか、謎は深まるばかりだ。
横溝正史の作品は時代が時代なので仕方ないが、数え年や尺貫法が用いられている。
そういった表現に慣れていないため、読むたびに頭の中で考えなければならないところが少々手間ではある。かっこ書きで実年齢やメートル法キログラム表記をしてくれると読みやすいかもしれない、などと甘えたことを思ったりもする。
ラストは横溝作品にはしばしば見られる大団円だが、今回の終わり方は好きではない。
「女王蜂」のときにも似たような違和感があったが、わかっている犯罪者を金田一耕助の独断で見逃したり、なかったことにするようなことがおかしいと感じる。
何の権利があって一探偵に過ぎない金田一耕助がそういうことをするのかと疑問であるし不快でもある。金田一耕助の好みで対応を変えられては困る。
最後に至るまで遂に全く思い出すことなく、初読のように謎解きも楽しめた。
わたしの記憶がなくなった謎は未解決のままだけれど。