標野凪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カケスという名の(数字が苦手な)館長が、モノの声を聞きながら過ごす『別れの博物館』。
そこに持ち込まれる品と、別れのストーリーが綴られている。
〈額〉のお話は、読んでいて色々思い出した。
かつて、自分を大切にしてくれていた人が老いて、人柄が変わってしまうこと。
思い出はずっと変わらないはずなのに、「今」の違和感や不快感によって陰を落としてしまう。
だから、大切な品ではあるけれど、手元には置いておけず。かといって、無下な扱いも出来ないモノ。
この『博物館』に持ち込む人の気持ちが、ほんの少し分かるような気がした。
〈名〉のお話にも、同じ思いがあって。
名前が変わること、名前に拘ること -
Posted by ブクログ
ネタバレ独り言とは誰の独り言だろうか…
そう思いながら読み始めると、収蔵品たちが元の持ち主の思い出を語っている。
別れの博物館とはなんて不思議な空間なのだろうか。初めは悲しい場所かと考えてしまった。そこに「収蔵されたもの」と「持ち主だった人」のお別れがあるから別れの博物館というのだろうけれど、持ち主は新たな一歩を踏み出すきっかけにしているように感じ、悲しい場所ではなく温かい場所だなと思いました。
自分がそこに預けるとしたら何を、いつ預けるだろうか。人生をずっと一緒に過ごしているぬいぐるみを、自分がこの世からいなくなる前に預けるかもしれないな、そう思いました。
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Posted by ブクログ
『キャフェ チェリー・ブラッサム』の庭で枝を広げている古い大木のヤマザクラが、静かに語りはじめます。
祖母の八重が始めた宿から、その娘櫻子が洋食レストランへと業態を変え、さらにその娘の緋桜がキャフェの支配人として、この古いお屋敷のあとを継いでいます。
『キャフェ チェリー・ブラッサム』で出されるのは、お茶と和菓子。
物語にはとてもゆったりとした空気が流れています。
移ろいゆく季節の中で淡々とルーティンをこなす様子を、年老いたヤマザクラの目線が優しく、キャフェに集まる人々の人生を温かく見守っているよう。
自分の進むべき道に、時に迷うけれど、人はみな知らないうちに支え合って生きているのです。