砥上裕將のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
#龍の守る町
#砥上裕將
素直に、面白かった。
砥上さんの小説は、いつも知らない世界の扉を開けてくれる。水墨画然り、視能訓練士然り。
今回の主人公は消防士。これまでより少し年上だけれど、自分の中にある何かを見つけようとする過程は共通している。
小さな田舎の町、水害の傷跡、心の傷と後悔に囚われた住人たち。主人公は過去のトラウマと闘いつつ、新しい職場で水害の記憶と向き合っていく。
第1章だけで心を鷲掴みにされる。突然涙が込み上げるので、職場や電車の中では読まない方がよい。
救えなかった命のことを思うのでなく、その人たちが自分たちを生かしてくれていると気づく。自分にとって未知の消防士の世界だけでな -
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Posted by ブクログ
ネタバレいつもながら砥上氏の描く作品は登場人物に入り込める。今回は消防士。第一線で活躍をしていた消防士が、上司との折り合いが悪くデスクワーク、それも全く経験のない電話応対が基本の司令室にアサインされる。
主人公は過去の大雨で義理の両親を救えず、自分も濁流に巻き込まれそれがトラウマになっている。
小さい町の司令室。3人のマネージャーになるも一番経験が少ない。現場では尊敬を集めていた彼も、司令室では新人だ。町の人たちは緊急でもない世間話をするために119番をする人もいる。これは最初は「めんどくさい人たち」に思えるが、実は先の大雨の際に多くを失った人たちの悲痛な叫びであったことが後ほどわかる。
彼は部下たち -
Posted by ブクログ
秋月龍朗は五年前に大水害のあった地区の消防士。水害で大切な人たちを救えなかったことから、水を恐れるトラウマを抱え、それを隠しなから消防士の現場を続けていた。この地域全体が深い悲しみに捕らわれている。人事により龍朗は指令室所属となり、業務内容の変化に戸惑いながら、新たな指令室の仲間たちと仕事に取り組んでいく。そのなかで心の傷、同じようになにかを取り返そうとしている妻も再生へと向かっていく物語。
現場で無双するような消防士のヒーローだった龍朗は語り手としては後ろ向きでいつも後悔しながら、やはり人助けになると身体が動いてしまう人。かっこ良さと悔恨からの暗さが同居していて、なかなかスカッとしない展開で -
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Posted by ブクログ
ネタバレ【収録作品】
第一話 司令補の祈り
第二話 スーパーヒーローじゃない
第三話 ファイヤーファイター
第四話 雨中の川
第五話 馬鹿みたいに優しくあれ
秋月龍朗は、優秀な消防士だったが、5年前、濁流被害が起きたとき以来、あるトラウマを抱えて苦しみながら現場に出ていた。
その龍朗に司令室への異動の辞令が出る。慣れない架電応対やpc作業に神経をすり減らしながら対応するうち、司令室の仕事の重要性とにもかかわらずそれが過小評価されていることに気づく。
消防士の仕事の過酷さを描き、それに携わる方々への感謝の思いが伝わってくる。命を預かる仕事を選んだ方々には頭が下がる。
消防署の中でも知らない仕事には