砥上裕將のレビュー一覧
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5冊目の砥上裕將さん。今までの水墨画を題材にした『線は、僕を描く』『一線の湖』、視能訓練士の野宮くんを主人公とした『7.5グラムの奇跡』『11ミリのふたつの星』とは打って変わって、今作は「消防士」さんのお話でした。
5年前に未曾有の大水害に見舞われ、いまだに町のあちこちにその爪痕が残されている瑞乃町で、キャリア20年を超える消防士の秋月龍朗はこの春、現場を引退し司令室勤務となった。
司令室と言うのは、119番に電話した時につながる場所で、電話を取り聞き取りをし、消防車や救急車などの出動要請をかける、実際に現場へ赴くことはないけれど、消防活動の中枢を担う重要な部署です。
秋月龍朗は士長の立 -
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ネタバレ11ミリの小さな二つの星とは、お互いの瞳の光を受けて輝くそれぞれの瞳のことである。
喫茶店ブルーバードは、緑内障を患っている患者2人が働く店である。北見眼科医院で働く野宮と、その仲間である同僚、そして患者たちがブルーバードに集まり、繋がっていく。目の病気に受け入れることができない人がたくさんいるが、野宮やその周りの人々の真っ直ぐさに影響されて、よい方向へと進んでいく。緑内障や白内障、内斜視や外斜視、 糖尿病網膜症、網膜色素変性症、動脈閉塞など、様々な病と向き合う野宮がますます逞しくなっていく。その成長を最も支えているのは、灯ちゃんという女の子ではないか。最後に、剛田さん、彼女できてよかったね。 -
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水墨の技法など結構知らない言葉が多かったけど、全体的に読みやすかった。
学祭とか同い年のライバルとかコンクールとか、王道でわかりやすい要素が多かったからだと思う(あとがきに書かれてたからそう思ったのかも)。
ひとの作品とかそこら辺の草木から人間性とか生命力とか感じ取ってて、主人公の感受性の高さ(?)に驚いた。
読み終わった日にちょうど紅葉を見に行ったので普段より注意して見てみたが、本当に感じ取れるものがほぼ無かった。
自分じゃわからない感覚を言葉で知ることが出来た良い機会だった。
せっかくなので富山に水墨画の美術館があるらしいので行ってみたい。
重たいテーマも少しあったけど、若者の可能性、周り -
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北見眼科の視能訓練士として仕事に励む2年目の物語。前作「7.5グラムの奇跡」はお気に入りの1冊で、続編も楽しみにしていました。斜視の女の子を中心に、対応に迷いながらも真摯に向き合う主人公にまた会えて嬉しかった。
『何か駄目でもね、それでもいいんだ。駄目って悪いことばっかりじゃないよ。ゆっくりでも頑張って、まっすぐに進んでいるようなものがいいと思うんだよ。急がなくてもいいと思ってね。皆が急ぐから私はゆっくり行こうと思って。だから車も速くないのが好きなんだ。-第2話 礁湖を泳ぐ-』
相変わらず優しい人が多くて、言葉も身にしみる。しかし、こんなホイホイ目の具合が悪い人に出会うことあるんだろうか… -
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短編なのでサクサク読めた。
今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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↓読んだ中で印象に残ったもの。
●良い話
砥上裕將『母の箪笥』
金子玲介『恋文』
●じわじわ来る系
潮谷験『無理解』
五十嵐律人『累犯家族』
背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』
●設定の世界観が独特
黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
舞城王太郎『食パンと右肘』
多崎礼『海に還 -
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「7.5グラムの奇跡」の続編。
今回もとっても面白かった、そして怖くなった。
私は目は悪くない。年齢とともに老眼にはなっているが視力そのものは悪くない。多分正常に見えているのだろう。
特に若い頃は物が見えにくいという感覚が分からなかった。
しかし、世の中には目に関する様々な疾患があるものなのだ。
この小説の最初に出てくる幼児は斜視なのだが、斜視がこれほど大変な症状だということを知らなかった。
糖尿病で視力が失われかけた漫画家の話は読んでいて怖くなった。自覚のないまま進行する病気、失明しかけていても、目先の仕事にこだわる漫画家、恐ろしくなった。自分は大丈夫なんだろうか、と。
野宮恭一という主人 -
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両親を二年前に突然交通事故で二人とも亡くした青年霜介。
あまりのことで何も考えられなくなって 自分の世界、何もない世界に閉じこもってしまっていた。
ひょんなことから 水墨画の世界に導かれる。
彼の純粋な心が水墨画の世界と響き合い 自分だけの世界から外の世界へ抜け出し 生きることの意味を見いだす。
水墨画を通して描き手の所作、心情を 丁寧に描写していく。自分が 描き手や水墨画をあたかも目の前にするように感じられた。
水墨画のことはあまり良く知らないが、ここに登場する湖山先生、湖峰、千瑛先輩ら、そして主人公霜介の絵をぜひ見てみたいと思った。
もちろん これは小説なので見れないけれど どこか水墨 -