砥上裕將のレビュー一覧

  • 龍の守る町

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    消防士の物語。現場で消火・救助を行う消防士のことも、現場には立たないが影で支える指令室のことも知ることができた。
    絶対読むべきだ、と思ったけれど大当たりだった!
    5年前に豪雨による水害に見舞われた町のベテランの消防士・秋月が新しく配置されたのは、119の電話をとる指令室の仕事だ。近年話題になっている、迷惑な119通報のことだけでなく、指令室がどのようなことをしているかもわかる。小説ならではの読書経験ができた。

    秋月は水害のときも最前線で救助活動をしていたが、水がトラウマになっている。そのトラウマや過去とどう向き合っていくか、そんなお話だった。
    つらい水害の記憶がいまだに町に残っている中で、生

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    2025年12月10日
  • 龍の守る町

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    ネタバレ

     主人公の秋月さんが現場の消防士から指令室への移動から物語が始まり、みるみる引き込まれてしまいました。

     登場人物みんなが魅力的。すごくお馬鹿っぽいところや利己的にさえみえるところも、緊迫した現場との緩急に必要で知れば知るほど応援したくなりました。

     がむしゃらな救助活動がいいわけではなく、どの場面でも救助者の、仲間たちの、そして自分の命の天秤に悩まされて、その悩む時間さえ与えられない過酷な状況に辛く苦しくもなりました。それでも消防士としての矜持を胸に日々戦っていることに感謝しかありません。

     ラストの語りかけるところ。誰かが誰かによって進んでいける。強くもなれる。繋がりによって生かされ

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    2025年12月09日
  • 龍の守る町

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    命をかけて人を救ってくれる消防士も、もちろん人なわけで。
    葛藤とか苦しみとかいろいろなものがあることが改めて分かった作品だった。
    最後の方の奥さんの思いが泣ける!
    感謝しかないなと思った。

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    2025年12月06日
  • 線は、僕を描く

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    心に残った本中の言葉。


    水墨を描くと言う事は、自然とのつながりを見つめ学び、その中に分かちがたく結びついている自分を感じていくことだ

    水墨というのは森羅万象を描く絵画だ。森羅万象と言うのは宇宙のことだ。現象とは外側にしかないものなのか、心の内側に宇宙はないのか?

    現象が先だってあって、空間が生まれる

    「どうして、こんなに美しいものが創れるの?」
    「美しいものを創ろうとは思っていなかったから」

    僕は満たされている。
    自分自身の幸福で満たされているからじゃない。
    誰かの幸福や思いが窓から差し込む光のように、僕自身の中に移り込んでいるからこそ、僕は幸福なのだと思った。

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    2025年11月22日
  • 龍の守る町

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    『いま日本人に必要な防災小説』

    5年前の水害の爪痕が色濃く残る町。山や川、野鳥や祭りの描写から、被災前は日本中どこにでもある自然豊かな田舎町であったことが窺える。そんな悲しい過去を乗り越え、それぞれの立場から、それぞれの方法で町を復興させようと、もがき苦しむ人々の様子を描く「町の再生」の物語だ。

    本書の主人公は消防士の秋月龍朗。水害のトラウマを抱えながらも、多くの人を救ってきた町のヒーローである。そんな彼が現場を離れ、指令室と呼ばれる“119番通報の電話番”へ異動してきたところから物語は始まる。当然のことながら、消防士にも色んな役割がある。現場の消火活動も、指令室の電話番も立派な消防士の仕

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    2025年11月19日
  • 線は、僕を描く

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    水墨画という一般的にあまり馴染みがない芸術を題材にしているものの、言葉選びが自然でとても読みやすい。
    突っかからず、スっと入ってくるから映画を見てる感覚でずっと頭で映像が流れていた。
    早朝のように空気が澄んでて、夏休み初めの爽やかさを感じる。

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    2025年11月17日
  • 線は、僕を描く

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    水墨画を体験した。
    そう感じさせるような"美"の表現に惹きこまれた。
    ただ形の、技術の美しいを探求するのではなく、水墨画における真髄を追求、模索してゆく姿にただただ憧れた。
    自分は青山君のように懸命に挑んだことがあるだろうか。
    心のうちを表現する事が苦手だ、何事にも希望を持てないなど何処か共感を誘われるような青山君を通して自分を改めて捉えなおしてみようと感じた。
    これからの青山君の姿を見る事は叶わないが目に浮かぶように成長していく姿が想像できた。

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    2025年11月10日
  • 線は、僕を描く

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    へのあこがれを持つ自分がいることを気づかされた。水墨に携わる作者による作品だけにより、迫るものがあった。白い世界、死でなくてもだれもが持つものなのか。私にもある。だから救われる作品であった

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    2025年10月29日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    ネタバレ

    まさかの続編から読んでしまったのですが面白かったです。作者さんの他の作品でも思いましたが子供の描き方が良いですね。子供のパワーを感じます。
    野宮さんはきっと前作でもミスを多くしてしまっていたのでしょうが、成長していき家族に褒められているところはこちらもほっこりしてしまいました。
    さて、今回は斜視の女の子を治療していくお話でしたが、病院の実情と親の事情、子供の治療の難しさなど困難に向き合いながらも諦めない野宮さんに私自身も励まされました。
    途中の看護師さんの糖尿病の話だったり漫画家さんの話だったりで病気の時に1人じゃないこと、命を簡単に諦めないこと、といったところが凄く良かったです。

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    2025年09月14日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    私自身も生まれつきの弱視というものを抱えて生まれてきて、矯正すら叶わない目で学生時代を過ごしたので、見えないことへの辛さは、他人事ではないのです。こういう親身になっています貰える眼科医さんや訓練士さんに出会っていたら、もっと違ったのかなと思えます。眼科医さん監修のもとに作られたお話なので、モデル的な人も存在するのかなと思いながら読みました。みんながこんなに優しい世界に暮らせたら良いのになと思います。一人一人の真心でそういう世界は不可能ではないと思うのですが、現実はかなり違うかなと悲しいですね。

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    2025年09月02日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    「7.5グラムの奇跡」の続編。
    視能訓練士、野宮恭一の成長と、彼と出会ったことで瞳に光を取り戻していく患者さん達との物語。

    少女の訓練について悩んでいた野宮君が、教師と話すことでヒントを得て、打開策を見つけていく所で、それぞれの分野のプロとしてのかっこよさをすごく感じて私も仕事に対してその道のプロとして自信が持てるような自分になりたいと強く感じた。

    誰しも悩みや不安を抱えているけれど、1人じゃない。寄り添ってくれる人はきっといると温かい気持ちにもなった。

    こんな素敵な眼科が近くにあったらいいのになぁ。
    自信を持ってお薦めできる大好きな小説になった。

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    2025年08月27日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    ネタバレ

    前作も大好きだったので、続編が出てくれて嬉しかったです。久々にこの病院に戻ってこられた!

    最初はしんどい気持ちもあったけど、後半はずっとニコニコしながら読んでました。自然と顔が綻んで心が穏やかになる。

    灯ちゃんも渉くんも可愛いなぁ。
    渉くんの学校の子達もみんな素敵。
    ブルーバードやあかり屋みたいな素敵なお店が近くにあるのはいいなぁ。
    とても読み終わった後、なんともいえない幸福感が残る幸せな読書でした。

    この作家さんの著作は、辛いこともあるけど、その後に描かれる世界がとても優しくて大好きです。

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    2025年08月23日
  • 7.5グラムの奇跡

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    砥上裕將初ですね、メフィスト賞が作家選ぶ基準になるって理解したのである。視能訓練士という名前あるのも初めてだし、未知の世界を知り得て興味津々のコンタクトレンズが酸素不足を起こして傷ついて感染症になるって酸素不足はエベレストに住んでるレベルって わかりやすい解説をありがとうございますです。正彦さんを支える葉子さんも認知症になる話が1番印象深い それから施設に入るって切ない。ケンちゃんありがとう、ありがとうな〜があーやっぱ切ない

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    2025年08月22日
  • 線は、僕を描く

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    小説は文字のみの表現であり、そこには読者に想像の余地が残されている。誰もが、自分の中で登場人物のイメージを作り、その世界を楽しむ。しかし、その想像を超え、自分の知らないはずの感覚が生まれ、心酔してしまう作品がごく稀にある。まさにこの作品がそうだ。水墨画を知らないはずなのに、青山君の心を通して、頭に浮かぶ絵に感動した。一種の絵画療法的な面もあるが、青山君の純粋さが水墨画に取り組むことで、周りの人の温かさを吸収していく。小説の文学要素というより芸術性を感じさせられた。

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    2025年08月21日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    視能訓練士、眼科のはなし。野宮は人一倍不器用で医療系の仕事は無理だと周りから思われていた。妹からも残念なイケメンと言われ、父親からも視能訓練士の仕事を反対されていた。でも、4歳の灯ちゃんの斜視を見つけ、子どもに寄り添って訓練を行う姿は素晴らしい。従兄弟が野球を辞めスマホ依存になったことでスマホ斜視になっていたことも見抜く。目に関する病気などもよくわかる本。

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    2025年06月28日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    またまた成長してた。゚(゚´Д`゚)゚。
    水墨画もだけど
    ちょっと頼りない青年の成長書いたらピカイチ?
    第二弾も勉強になりました〜!
    ブク友さんしかり!わたくしも初老!
    読書好きなら目は大事!!
    早期発見&早期治療ですよ(@_@)

    実はわたし目の病気が見つかったのは偶然でした。
    頭痛が酷くて、でも市販の頭痛薬は蕁麻疹が出る
    ちょっと病院で何か頭痛薬貰って…
    この辺りで一番大きな病院でアレよアレよとCTからのMRI…
    下垂体に何かあるね〜目は見えてるかな?
    眼科行って調べてみようか(゚-゚*;)(;*゚-゚)

    眼科でありとあらゆる検査の末に目に水が溜まってるのが見つかりました。
    頭痛

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    2025年06月18日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    これはシリーズものだったとは。。。
    違和感なく読み進められたのでほっ。
    新聞広告に掲載されていて思わず手に取った一冊。
    不器用だけどあきらめることなくコツコツとひたむきにお仕事に向き合う姿勢に感動し、視能訓練士という耳慣れない職業を知るにつれ、大事な役割を担っているんだなぁと痛感。灯ちゃんのくだりは涙が溢れた。北見先生や広瀬先輩、筋肉隆々の剛田看護師をはじめとする彼を支える愛すべき面々が否応なしに物語をもりあげる。そしてキラニャン、これなしには語れない。終始、心に温かいものが溢れるおはなしだった。
    7.5グラムの奇跡も近いうちに読まなければ。

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    2025年05月26日
  • 7.5グラムの奇跡

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    いまわたしがこの本を読めるということは、見えているということ。見えることは当たり前じゃないから、本を読むという大好きな時間を過ごせることも、当たり前じゃない。尊いものなんだなって、じんわり胸に響いた。

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    2025年05月18日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    前作の続きのお話。
    やっぱり感動して心が温まる。幸せな気持ちになれる本。
    目を中心とした物語だけど、周りの人の温かさ、助け合いの力を感じた。

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    2025年05月15日
  • 11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~

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    ネタバレ

    人生何が起こるか分からないもんですね。
    たまたまお手伝いに来ていた視能訓練士の野宮さんが灯ちゃんの斜視を見つけて、夕美さん達の力になりたいと訓練をしたり。
    訓練で凄くお世話になったキャラクターの作者さんと縁が出来たり。
    灯ちゃんが北見眼科医院より大きな病院で訓練するかもってなったら、たまたま助けた人と縁が繋がって遠くに引っ越す必要がなくなって。
    頑張っている人とそれを助けたい人達がいっぱいで優しい世界。

    灯ちゃんが見えたよって言った時は我が事のように嬉しかった。

    広瀬先輩が完全に辞める訳ではなくて安心した。

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    2025年05月12日