砥上裕將のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026.6.30
水墨画を描くときの動き、心情がリアルすぎて
まるで自分が描いているような感覚になった。
あとがきで作者が水墨画家であると読み…
納得すると同時に、それを伝える文章力に驚き。
体と心の変化をキャッチして表現するのは
小説にも水墨画にも共通することなんかな。
森羅万象を描くのに必要なのは、技術。
でもそれだけでは伝わらなくて
見た人の心を動かすには、絵師がまず
自分の内側の現象を掴み取る感受性
誠実性や勇気が大事なんだなーと…
人と関わる仕事をする身として
忘れたくない、大切な価値観ですね。
「蘭に始まり、蘭に終わる」
「春蘭は、深山幽谷に孤高に咲く姿が君子の理想の姿、または風格を表すということや、たぶん俗にまみれない姿というのがあるんだと思う。言葉では簡単に言い尽くせないところがあるけれど、水墨をやる絵師の心そのものって思ってもいいかもね」
「何気ない草や木を、水墨画はどうしてこんなにも美しいものに帰ることができるのだろうったら思いました。それで、本当はもっといろんなものが美しいのではないかって思いました。いつも何気なく見ているものが実はとても美しいもので、僕らの意識がただ単にそれらを捉えられないだけしゃないかって思って…。絵を描き始めてから僕はようやく何かを見ることができるようになったんだって思いました。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ砥上裕將の消防士小説、主人公は現場から指令室に移動になった秋月というベテラン消防士。消火現場やレスキューの迫力あるシーンも数々出てくるが、本命はそっちではなく、人間ドラマ。
この本の直前に読んだ「普通の底」では、普通であろうとした主人公が地獄に転落していく話だったが、この本では天災によって普通を失ってしまった町が、主人公たち善なる市民によって次第に普通を取り戻していく話。
同じ普通の生活を描いても、こうも違うのかとその差にびっくりする。違いはなんだろうと考える。
普通の生活を送れていることとは、それを守っている誰かが必ずいることを忘れてはいけない。そして自分の仕事や生き方も自分のためだけでないことを肝に銘じて、心と体を鍛えておくこと、しっかり食べてしっかり休むこと、何よりも「バカみたいに優しくあること」
それに気付けてるかどうかなのかもしれないな -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに本を読んで、涙が溢れた。
水害に襲われた町と人々が再生に向かう物語。向かう、というのが大切で、物語の終わりでようやく再生の糸口まで辿り着いているところがまたリアルで胸にくる。大切な人、町を喪って、災害から立ち直るというのは、簡単なことではないんだなと実感させられる。
主人公の秋月司令補はかなり優秀な消防士で、経験を積んだ消防士さんたちはこんな思考や行動をするのかなと興味深かった。救助の場面は、想像しにくいところもあったが、テレビで見た火災や水難救助の映像をイメージしながら読み進めた。
ストーリーのつながりもうまく、少しずつ水害の記憶と向き合うことで、だんだんと分かってくる関係や事実も多く、最後まで気持ちが削がれなかった。
秋月司令補を含む消防士たちの、救えたたくさんの命より救えなかった命にばかり目が向いてしまう気持ちには共感できた。それでも努めて冷静に、仕事に打ち込む姿には尊敬の念を覚えた。 -
Posted by ブクログ
水墨画には、その描き手が持つ性格が、生き方までもがぐっと込められている。
わたしは、今までなんとなく生きてきて、たくさんのことを蔑ろにしていたのかもしれない。もっと大切にすべき時間があった。
わたしには主人公と違って特別大きな暗い過去はないかもしれないが、暗闇にふらっとと入り込んでしまう時がある。そんな時に、すっと救いの手があらわれてくれたら良いな〜と思った。思っていたけど、わたしは、もう出会っていた。わたしの良いところを見出してくれた人がいた。そのことの大切さに改めて気づくことができた。
まとまりの無い言葉たちなのが悔やまれるが、とにかく大切にしていきたい一冊。水墨画、魅力たっぷりだな〜。
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Posted by ブクログ
第1章 西山くんは大学3年生だが、あまり就職活動を頑張っていない。揮毫会の一番バッターは西山だ。一枚の画面に4人の絵師が同時に描く。揮毫会は失敗した。
轟清水小学校で小学1年生に水墨画を教える。墨をする。西濱さんは竹を描く。湖山邸でラーメンを作って食べる。西濱さんにもらった椎茸にバターと醤油を垂らして焼いて食べる。来週も小学校で教えてほしいと言われる。
第2章 友人の古前くんは警察官になるために柔道を頑張っているが、下手すぎる。小学生に教えることになった。指で椎茸を描くと、「指で描いてもいいの?」と訊かれる。子供達は梅を描き、沢蟹を描いた。どの子もきちんと仕上げた。小学生の作品展を催すことにした。
第3章 大学の理事長室に呼び出された。小学校で行った揮毫会のことだ。大学祭での揮毫会と展覧会を頼まれる。2週間しかない。同門の人たちや小学生の作品も借りることにした。どんどん仕事が増える。花まで届き始めた。場所を確保しなければならない。ふいに倒れた。
入院していた。2日間眠り続けていたらしい。右手の感覚がなくなっていた。もう一度揮毫会をやろうと湖山先生がいう。
第4章 湖山先生の山小屋に行くことになった。なぜか登山用具が必要な場所らしい。温泉もあるらしい。山荘に兄弟子の斉藤さんがいた。右手の感覚が戻ってきた。筆を取り、描くことができた。先生は引退するなら春だとごねる。
終章 湖山先生の引退式にみんなで春の絵を描く。