砥上裕將のレビュー一覧
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ネタバレ砥上裕將の消防士小説、主人公は現場から指令室に移動になった秋月というベテラン消防士。消火現場やレスキューの迫力あるシーンも数々出てくるが、本命はそっちではなく、人間ドラマ。
この本の直前に読んだ「普通の底」では、普通であろうとした主人公が地獄に転落していく話だったが、この本では天災によって普通を失ってしまった町が、主人公たち善なる市民によって次第に普通を取り戻していく話。
同じ普通の生活を描いても、こうも違うのかとその差にびっくりする。違いはなんだろうと考える。
普通の生活を送れていることとは、それを守っている誰かが必ずいることを忘れてはいけない。そして自分の仕事や生き方も自分のためだけ -
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ネタバレ久しぶりに本を読んで、涙が溢れた。
水害に襲われた町と人々が再生に向かう物語。向かう、というのが大切で、物語の終わりでようやく再生の糸口まで辿り着いているところがまたリアルで胸にくる。大切な人、町を喪って、災害から立ち直るというのは、簡単なことではないんだなと実感させられる。
主人公の秋月司令補はかなり優秀な消防士で、経験を積んだ消防士さんたちはこんな思考や行動をするのかなと興味深かった。救助の場面は、想像しにくいところもあったが、テレビで見た火災や水難救助の映像をイメージしながら読み進めた。
ストーリーのつながりもうまく、少しずつ水害の記憶と向き合うことで、だんだんと分かってくる関係や事実も -
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水墨画には、その描き手が持つ性格が、生き方までもがぐっと込められている。
わたしは、今までなんとなく生きてきて、たくさんのことを蔑ろにしていたのかもしれない。もっと大切にすべき時間があった。
わたしには主人公と違って特別大きな暗い過去はないかもしれないが、暗闇にふらっとと入り込んでしまう時がある。そんな時に、すっと救いの手があらわれてくれたら良いな〜と思った。思っていたけど、わたしは、もう出会っていた。わたしの良いところを見出してくれた人がいた。そのことの大切さに改めて気づくことができた。
まとまりの無い言葉たちなのが悔やまれるが、とにかく大切にしていきたい一冊。水墨画、魅力たっぷりだな -
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第1章 西山くんは大学3年生だが、あまり就職活動を頑張っていない。揮毫会の一番バッターは西山だ。一枚の画面に4人の絵師が同時に描く。揮毫会は失敗した。
轟清水小学校で小学1年生に水墨画を教える。墨をする。西濱さんは竹を描く。湖山邸でラーメンを作って食べる。西濱さんにもらった椎茸にバターと醤油を垂らして焼いて食べる。来週も小学校で教えてほしいと言われる。
第2章 友人の古前くんは警察官になるために柔道を頑張っているが、下手すぎる。小学生に教えることになった。指で椎茸を描くと、「指で描いてもいいの?」と訊かれる。子供達は梅を描き、沢蟹を描いた。どの子もきちんと仕上げた。小学生の作品展を催すことに -
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川沿いの街を守る消防士の話
能登実話もベースにしている様子
人と人が繋がり、街を守る、代々町長だったり、司令室だったり、人が繋がり思い合って助け合っている。
作者の優しさなのか、いつも登場人物が優しく心のある人柄なのが読んでいて心地よい
最後は泣けた…
お父さんは消防士じゃない!って司令室の人の話はドラマでもあった。どんな仕事にも多面性があり、それぞれに役割があるが子どもにはわかりにくい。そんなところをついていて、たくさん取材されて書かれたのだろうな、と想像する。
消防士を腕立てや懸垂に命かける筋肉バカの様に描きつつも職員同士のパティシエ以上に菓子作りに長けた樋口、司令室の要、真面目一辺 -
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今年読んだ本の中で一番泣いた本かも。
悲しい涙でも嬉しい涙でもないのだけれども、命に向き合うひたむきさ、真面目さに感動しました。
5年前に大水害で町が流されて、多くの人がまだ悲しみを乗り越えきれていない街で、1番の消防士だと言われている達朗。
彼はあの日以来、水が怖く、それをまわりに隠しながら現場の仕事を続けていたが、通報を受け付ける司令室に異動になる。司令室の新しい仲間、街の人、そして家族。龍郎自身も、そしてそれぞれの人たちも、一歩ずつ前に進もうとしている。
あの日の正解を探しているのか。それと向き合うと自分が壊れてしまうかもしれない。でも少なくともやれることはやったと、胸は張れなくても言え -
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特に心に残ったのは、子どもたちが指で花を描いていく場面です。
教えられることなく心のままに描き、自由に広がっていく表現の中で描かれる花は、整った形ではなく乱れた線でありながらも、不思議な美しさがあることが伝わってきます。
上手さではなく、今この瞬間を描いているような表現だからこそ、生きているものとして強く伝わり、心を動かされました。
また、霜介が過去や未来ではなく今を見つめ、一歩ずつ進んでいこうとする姿に成長を感じました。
大きな変化ではなくても、一歩を積み重ねていくこと自体に意味があり、それが線を引くことにつながっているのだと思います。
母に花を捧げたいという想いと、それに応えるように子ど -
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『線は、僕を描く』の続編となります。私自身、水墨画という世界に触れたり、実際に絵を見たりする機会はほとんどありませんでした。しかし前作同様、実際に読み進めていけば、知らぬうちに水墨画の世界へ入り込んでいる自分がいました。
墨を擦る音、画仙紙の紙質、筆が紙の上を自由自在に動いていく様が繊細な文章のなかにあって、色を感じ取りました。確かに生きているのです。
主人公、青山霜介の心の変化に一喜一憂し、良い意味で感情の渦へと飲み込まれてしまいました。霜介の師匠、湖山先生の言葉にハッとさせられたりして気づきも多かった。そんな有意義な読書時間でした。 -
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「自らの命や、森羅万象の命そのものに触れようとする想いが絵に換わったもの、それが水墨画だ。」
「描くこと」の本質に迫る素晴らしい話だった。
多くの人がモチーフの形をとることや技法に目が行きがちだけど、それだけでは人の心に残るような作品にはならない。水墨画は心を描く絵画、命を描く絵画なのだ。主人公が水墨画を通じて自分の心に触れ、外との繋がりを見出す姿や、森羅万象において自分もまた命の一つなのだと気づく境地には心が震えた。
千英の生き方を表すような水墨画も好き!強くて繊細だが、奥底には勇気がある。
この境地に至るには、眺めているだけではわからない。実際に手を動かして、つまずいてみないとわからない