砥上裕將のレビュー一覧
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瑞乃町の消防隊員の話。5年前に水害があり、妻の両親が亡くなった。今は妻と二人の子供と暮らしている。
第1話 最後の現場で子供を救い出した。木造二階建てのアパートは燃えてなくなった。つぎの職場は司令室だ。電話を取って、救急要請か消防要請かを聞き、出動すべきか否かを判断して出動の司令をする。悪戯電話も多い。全く順応できない。
第2話 通勤途中でおじさんが車に撥ねられて飛んでいった。急いで救急要請する。昔からよく事故に遭遇するのだ。なんと溺れた犬まで助けちゃった過去が出てくる。
第3話 同僚の司令官の息子が学校で「お父さんは消防士です。」と言ったら、「電話に出るのは事務員の仕事だ」と言われてし -
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読みたかった本。
まさか町の図書室にあるとは!
どうやら私が一番乗りのようでして……。
わが町の住人はあんまり本を読まないのかな。
山城以外は、嫌な人が出てこなくて、
人と人との距離感とか、見守ることや待つ優しさっていうものも大切なんだなぁと。
自分が一番近いのは、空気読めない桜庭ちゃんだな(笑)
山城が嫌な人だなって、自分は思ってしまったけれど、「同じ場所に同じように立っていても、違う現実を見ている時もある……」との主人公のつぶやきにハッとしてしまった。
そして人が想像しうることは起こりうるっていうのは、本当だなと。
読んでよかった。 -
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消防士として現場で駆け回っていた秋月は、5年前の水害から心に深く傷を負い、今は司令室で勤務している。
現場とは何もかも違っていて戸惑っていた秋月だったが、仲間たちにもそれぞれに悩みはあった。
彼らとともに職を全うする姿を描いた静かな闘いである。
町の再生と共に自らの再生も描いたものだが、トラウマとなった出来事を思い出すたびに心が穏やかではいられなくなる。
それを抑えて仕事に挑むが、苦痛であることには変わりない。
誰かに言うことで消防士としての能力を問われるのでは…という思いで打ち明けることもできずに送る日々は、耐えがたいものであっただろう。
だが、みんななにかを背負っている。
ひとりでは決 -
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ネタバレ両親を事故で失い、心の中の硝子の箱に閉じこもった孤独な青年青山霜介が、水墨画の巨匠篠田湖山に見出され、水墨画を通して命と向き合っていく話。両親を失った孤独な青年を主人公に、湖山の孫の気の強い美少女千瑛と切磋琢磨し、大学の友人と学園祭で展覧会をし、なんというかありきたりな恋や死や青春や大団円の匂いもするんだけど、水墨画という芸術がテーマであるために全体が深いものになっていて、安直なハッピーエンド、に終わらない感じがよかった。家族を失い、なぜ生きるのかの意義も見失う青年に、水墨を通して世界や自分の心や生きることそのものを教えていく湖山先生もとてもよい。
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消防士の物語。現場で消火・救助を行う消防士のことも、現場には立たないが影で支える指令室のことも知ることができた。
絶対読むべきだ、と思ったけれど大当たりだった!
5年前に豪雨による水害に見舞われた町のベテランの消防士・秋月が新しく配置されたのは、119の電話をとる指令室の仕事だ。近年話題になっている、迷惑な119通報のことだけでなく、指令室がどのようなことをしているかもわかる。小説ならではの読書経験ができた。
秋月は水害のときも最前線で救助活動をしていたが、水がトラウマになっている。そのトラウマや過去とどう向き合っていくか、そんなお話だった。
つらい水害の記憶がいまだに町に残っている中で、生 -
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心に残った本中の言葉。
水墨を描くと言う事は、自然とのつながりを見つめ学び、その中に分かちがたく結びついている自分を感じていくことだ
水墨というのは森羅万象を描く絵画だ。森羅万象と言うのは宇宙のことだ。現象とは外側にしかないものなのか、心の内側に宇宙はないのか?
現象が先だってあって、空間が生まれる
「どうして、こんなに美しいものが創れるの?」
「美しいものを創ろうとは思っていなかったから」
僕は満たされている。
自分自身の幸福で満たされているからじゃない。
誰かの幸福や思いが窓から差し込む光のように、僕自身の中に移り込んでいるからこそ、僕は幸福なのだと思った。