湊かなえのレビュー一覧
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購入済み
実際の暗殺事件との対比
読み始めてすぐに実際にあった暗殺事件との対比に心を奪われてしまった。実際にあった暗殺事件は、ようやく裁判が開かれそうな様子であるが、犯人の気持ち 家庭環境はどのようなものであったんだろうか?この作品のような状況であったのかもしれないと思いながら読んでいった。
ただストーリー展開はともかく、語り口が今ひとつピンとこなかった。 -
Posted by ブクログ
始めは雪絵が異国の地トンガで何かを追い求める物語かと思っていたが想像を裏切られた。
島国トンガの陽気な雰囲気を感じられる描写が多く今まで国名しか知らなかったトンガに少し興味が湧いた。
1章の"楽園"では他の章に比べ前向きな話でトンガの文化に触れたり一人で旅する様子は読んでいて楽しかった。それに加え毬絵が探し求めていた楽園の圧巻の描写や主人公は雪絵ではなく毬絵だったことのどんでん返しなどもあり1番好きな章だった。
2章の"約束"では毬絵より前にトンガで暮らし教師をしていた理恵子目線で話が進む。在住期間が毬絵よりも長くより詳しくトンガの文化に触れることはできたがストーリー的にはありきたりに感じた。
3章の"太陽"では1章では毬絵目線で語られた自分勝手な杏子の話だったが、読んでいるうちに杏子の過去を知ると身勝手な言動にも共感できる部分があった。それでも娘を放置するのは良くないと思うし、最後は杏子もそこに気付き花恋に感謝することができてよかった。
セミシさんと尚美さんが夫婦であった展開も良かった。
最終章の"絶唱"では著者目線で阪神・淡路大震災の経験談が描かれる。
これまでのトンガの陽気な雰囲気とは一変し、震災の現実や被災後の人々の行動など深いテーマへと変わっていった。
著者から尚美さんへの手紙という形式だったが、個人的にはこれまでの物語が重なるような展開が見たかった。
それぞれの物語は読みやすく面白かったがもう少し伏線回収や重なる場面なんかがあったらもっと楽しく読めたのだと思う。
解説の本当の絶唱は本話そのものなのだと感じるという考えには深く共感した。
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Posted by ブクログ
湊かなえ氏の描く青春ミステリー小説。「イヤミス」という称号で語られることが多い著者だが、こういう爽やかでキャッチ―な文体でこうした清爽感のある物語も書き上げる才能の豊かさに驚かされる。
著者の十八番である登場人物各々の視点の違いを生かしながら、起こる事件は感情に基づいた、だけど利己的ではなく、青春小説ならではの乗り越えた成長もある。また、監視社会へのテーゼや(小説内では名言されていないが)新型コロナによる理不尽な出来事、ミステリーとしての二転三転のハラハラ感もしっかりあり、鳥瞰的視座の高さがあるのはさすが。作中のABC受賞作なんかは「高校生らしさとは何か?」の可視化が絶妙。
小説としてはある意味尖りや棘は弱めなので秀作ならぬ佳作になっている印象はあるが、読後感さわやかな良作。