湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに湊かなえさんの小説を読んだ。有羽の死の真相が気になってほぼ一日で読んでしまった。ここ数年、本格派もしくは新本格派ミステリーばかり読んでいたからこういう社会派ミステリー(でいいのだろうか)もたまにはいいね。
章ごとに異なる人が主人公に語りかける形式でストーリーが進む。同じ出来事でも語る人によって捉え方が違っていたので人間はどうしても自分にとって都合よく物事を考えてしまう生き物なのだなぁと痛感した。
タイトルの意味を考えながら読んでみた。他人は私を一部でしか判断できないし、その見方もその人にとって都合がいい「私」でしかない。だから一部をたとえ全部集めたとしても「私」にはならない、そん -
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【2025年83冊目】
日本との時差は4時間、170以上の島々からなるトンガ国には、ちょっと訳ありの日本人達がやってくる。双子の片割れをなくした女、結婚を間近に控えた女、夜職のシングルマザー、友人を亡くした女――阪神・淡路大震災でに被災し、心に傷を追った女達の過去と今と未来の物語。
あらすじ未読で読み始めました。イヤミスの女王の新境地と言いますか、新たな一面と言いますか。震災を題材に描くのは結構な勇気があったはず。解説を読んで湊さんがトンガにJOCVとして行っていたことを知りました。そうか、だからあんなに描写がリアルだったのかと納得。トンガでの生活や文化と、震災と、それに関わる登場人物たちを -
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ネタバレ登場する女性たちや子供の心理描写もさることながら、今作は田舎暮らしに憧れる人たちの日本の田舎に対するイメージとそれに背反する現実を解像度高く描いた作品だと感じました。
この作品を読んでいて思ったのは、田舎町を振興することがいかに難しい事かということと、女性同士の人間関係ってかなり考えることが多くて大変なんだなということでした。やっぱり、田舎では出る杭は打たれる傾向にあるのでしょうか。
ミステリー要素は少なかったように思いますが、田舎町を舞台とした一連の群像劇?としてとても充実していたように感じました。
みんなが思い描く理想の新天地は本当にユートピアなのでしょうか。そこにも様々な人が住んで -
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ネタバレ湊かなえさんの作品は以前から好きで、『告白』や『リバース』など、人間の心の奥底にある暗さや痛みに真正面から向き合う描写が印象的でした。
『落日』というタイトルに惹かれ、「今回はどんな罪と向き合う物語なんだろう」と思って読み始めました。
この作品は、過去に起きた“ある一家殺害事件”を、映画の脚本家と監督が取材する中で、徐々に真実が明かされていく構成になっています。
最初は「事件の真相」がメインかと思っていたのですが、読み進めるうちに、それぞれの登場人物が抱える過去や苦しみ、そして“他人を理解することの難しさ”に深く切り込んでいく物語であることに気づきました。
特に印象的だったのは、「誰かを裁 -
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ネタバレ・7.8年前にハマったぶり久しぶりの湊かなえさん
・嫌な話の短編集
・期待していたより胸くそ感は弱め
・ポイズンドーター、ホーリーマザー以外はストーリーもそんなにハマらず
・とか言いながら一気に読んじゃってるんだけど
・ポイズンドーターでは毒親に見えていた母親が、ホーリーマザーでは娘思いの母親に見えるという構成
・弓香が毒娘で母はまともっぽい結末になってるけど、いうてやっぱり母親も毒親要素はありはしたよね
・相手のことを思っての発言だとしても、伝え方が悪いと毒親にもモラハラにもなりうる
・ポイズンドーター、ややポイズンマザーでした