湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレずっと頭の中がざわざわとする不穏な雰囲気が続く中での後味の悪い結末…
娘が行方不明になった母親の必死さもわからなくもないが、自分の娘を利用して「猫探し」の名目で犯人探しをやらせたり大事な真実を隠していたりと作者はやはり「母親」のいや〜な部分の描写が上手いなと感じた。
真相は個人的にそこまでショッキングな内容ではなかったが、ずっと「本当」の姉を追い求め、母親の言うことを真摯に聞いては家族の本当の一員としてやってきたはずなのに結局は大学になって自分が行動を起こして真実を向こうからやっと打ち明けられるまで一人蚊帳の外状態。
どうしても結衣子が可哀想で仕方なかった。
ずっと家族を気にして本当の気持ち -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物すべてがNのイニシャルを持っていることに気付いたのは序盤だけど、てっきり1人のNを指しているのかと思っていた…。
こんなに互いが互いのために、時に自己中に時に守るために、それぞれ一部の真実を隠していた物語。
虐待やDVが愛と教え込まれ、ゆがんだ愛に溺れた人、愛じゃなかったと自覚する人が別々に描かれていたのも印象的。
同じような痛みも傷も持っていても、痛みの捉え方も傷の捉え方も違っているところに歪みを感じる。
それぞれの複雑な感情がこんなにも交差している書き方、天才だと思う。ちょっとダレてる感じもしたけど、しっかりとプロットを組み立てないと描けないのだろうなと思った。 -
Posted by ブクログ
冒頭 17歳の女子高生の自殺か事故かわからない転落事件記事から始まる。
しかし本編の登場人物と直接関わりがあるわけではない。ただその母親が言った『愛能う限り』が一つのキーワードになる。
本書は各章ごとに「母性について」「母の手記」「娘の回想」 この三つで構成されている。
「母の手記」には自分の母親がどんなに素晴らしいか そして自分がどれだけ愛情をもって育てられたか そして娘が生まれてからは誰からも愛されるように 母が自分にしてくれたように能う限りの愛情を注いで育ててきたとしきりに書かれていた。
そして「娘の回想」には〝愛されるためには正しいことを、喜ばれることをしなければならない〟〝母か -
Posted by ブクログ
自分が認識している世界と他人が認識している世界は決して同じではない。当たり前のことなのに、しばしばこの事実を忘れてしまう。自分が見ている世界が正しいと思い込んでしまう。
さらに、ややこしいことに、自分が認識している世界を言葉にしようとしたとき、描かれる世界は決して自分が認識した世界そのものを正確に表現しない。つまり自分が認識する世界を、そのまま他人に伝えること自体、非常に難しい。
人間社会における世論、評判のようなものは、上記のような不完全なコミュニケーションのもとに形作られる。
以下に、この本の中で一番気に入った箇所を引用します。
「自分の記憶で作られる過去と、他人の記憶で作られる過去。