乾緑郎のレビュー一覧

  • 決戦!大坂城

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    舞台は、冬の陣、夏の陣の大坂城。7人の作家が7人の武将を描くシリーズ。同じ人物でも書き手によって、まるで異なる人物のように感じるのも小説の面白さだ。太閤さんこと秀吉贔屓の関西人だからか冲方丁氏の「黄金児」は、家康をも翻弄させ対等に渡り合った秀頼が魅力的に描かれていてよかった。伊藤潤氏の「男が立たぬ」も、男が立たぬと筋を通した男たち、特に福島正則の弟・正守のカッコ良さが際立った作品だった。

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    2024年12月08日
  • 機巧のイヴ(新潮文庫)

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    パラレルワールド江戸時代を舞台にした連作短編集。人間そっくりの機巧を巡ってさまざまな思惑が交錯する。魂とは何なのかを考えさせられつつ、スチームパンクな独特の雰囲気に浸るのが心地よい。
    イブは謎が多いままだが圧倒的な存在感で、絵画のように印象に残った。

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    2024年10月17日
  • 完全なる首長竜の日

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    胡蝶の夢、サリンジャーのバナナフィッシュをチラつかせて夢か現実かという印象を読者に与える。
    そして主人公、読者ともに(もしかして…)と思わせていく。
    流れとしてはもしかしたらn番煎じなのかもしれないが、そこにどれだけの物語性や納得感を持たせていくかという点において作者の筆力の高さが伺えた。

    前半までのどこかで、敦美が自身の漫画を「杉山さんとの子どものようなもの」と表現しており、そこで別の(もしかしたら…)が自分の中で湧き上がった。そういうチラつかせ方も上手いなぁと感じた。

    次はサリンジャーを読もうかな。

    この原作を読んでしまうと、11年前の実写映画の鑑賞を躊躇する。映画では敦美と浩一が恋

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    2024年08月31日
  • 愚か者の島

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    理想郷を求めて無人島に入植した9人の男女のディストピア小説。男女で無人島だから、アレなシーンが多いかと懸念してたけど、それほどではないので大丈夫だった。絶海の孤島ではなく、定期的に差し入れされる無人島なので、サバイバル要素は薄め。愚か者がテーマだけど、朱に交われば赤くなるで愚かな人と一緒にいると愚かになっていくのかなと感じた。

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    2024年08月22日
  • 浅草蜃気楼オペラ

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    ネタバレ

    夢見た舞台女優として歩みを進める
    妙子が、ある日出会ったのは
    着物に女袴、おしゃれな断髪のおかっぱで
    あたまにちょこんとベレー帽を載せている
    自分と同じ年端ぐらいのハルちゃん。
    右に左に、楽しそうにステップを踏みながら
    ヴァイオリンを弾くハルちゃんとそれに合わせて歌う妙子との掛け合いは心に残る名場面。
    舞台が近代というのがまた雰囲気あって良い。

    出会いや別れ、恋模様やお家問題…次々と起こるそれはまるで人生の一部を見ているような。
    可愛い表紙とは打って変わってしっかり重めな内容。
    読み終えてから表紙を見てポカポカ。
    プロローグを見返してジーン。

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    2024年03月22日
  • ねなしぐさ 平賀源内の殺人

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    時代小説を読んでいると、頻繁に登場する「平賀源内」
    現代で言うなら「多方面にわたるプロデューサー」であろうか?

    自分から藩主に、他の藩には仕えないということを約束し、自分の自由気ままな好奇心のままに、生きてきた人。

    その顛末を物語に。

    実に面白かった!

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    2024年02月29日
  • 完全なる首長竜の日

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    不思議な読後感。
    ミステリというよりはSF小説だと思う。
    SCインターフェースという架空の医療機械を通して夢と現実を行き来する。
    日常がいきなりグニャと非現実に変わる場面が何度もあるが村上春樹のような感覚。
    もう少し物語のスケールが大きければもっと面白かった気がするのだが、設定やアイデアなどがとても新鮮で新しい読書体験ができた。

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    2024年02月07日
  • 仇討検校(新潮文庫)

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    ネタバレ

    因果応報。悪行の連鎖。こわい話。管鍼法を編み出した杉山検校の話。名前は知っていたが、こんな話があったとは驚き。

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    2024年02月06日
  • 完全なる首長竜の日

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    SFミステリー初めて読んだな。
    現実と夢、過去と未来の描写が目まぐるしく入れ替わり読みながら混乱したが、ラストにかけての回収でなるほどーってなる感じ。
    面白い作品だった

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    2024年01月07日
  • 機巧のイヴ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    先の時代を垣間見る様なストーリーで
    からくり人形を通してそれぞれの心情を垣間みせ
    心を宿すのかという問いかけている。
    日本はAIロボットに愛着がある民族なのですんなりと読めると思います!

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    2023年11月23日
  • 戯場國の怪人

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    ネタバレ

    オペラ座の怪人と江島生島事件と小野篁の冥府判官をごった煮にしました!菊之丞は生きてたしお廉と仙吉は結婚したのでハッピーエンドです!というジェットコースター感。
    巻き添えで亡くなった八重桐と勝手に失恋した武太夫は可哀想だけど。
    とりあえず私も死んだら戯場國行きたいわ。

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    2023年09月10日
  • 機巧のイヴ―新世界覚醒篇―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「あなたは、どなた」?少年が彼女の冷たい体を抱きしめるとき、運命の歯車が廻り始める──。

    いやぁ~痺れますね~

    SF×伝奇=未体験ハイブリッド小説!!

    シリーズ第1作を読み終えたのが2022.12.29、あまりの面白さに続編を購入し、手にとるまで約8ヶ月...
    何やってたんだよ~って心の声が聞こえる間に物語の世界は100年経っていました(笑)

    シリーズ第2作となる本作は前作と違い所謂長編物で、江戸時代を彷彿させる舞台から100年後(明治~大正)を彷彿させる時代へと進み、日本を彷彿させる日下國から1893年にシカゴで開催されたコロンブス万国博覧会を彷彿させる世界コロンビア博覧会へと移りま

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    2023年08月23日
  • 彼女をそこから出してはいけない

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    ネタバレ

    民俗学ホラーという感じ。一人の少女の純粋なというか無邪気な悪意に回りが翻弄されている感じ。登場人物たちの知っていること、調べていることが、すんでのところですれ違って結びつかない。そういったもどかしさがあります。物理的にではなく、じわじわくるホラーですね。

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    2023年02月23日
  • 完全なる首長竜の日

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    植物状態になった患者と、意思疎通ができる医療器具が発明された世界。少女漫画家の和淳美は、自殺未遂を起こした弟と意思疎通をはかる。
    現実の世界と精神世界が交互に混じり合い、双方を行き来する、不思議な世界観。SFミステリというのだろうか、初めて読む読み味の作品。しかし、この世界観と文章に惹き込まれた。とても、面白かった。
    完全にタイトルで購入したけど、当たりだった。

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    2023年02月15日
  • 機巧のイヴ―帝都浪漫篇―(新潮文庫)

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    フェルの娘ナオミの反抗期と恋のお話。
    時代は大正から昭和くらい。
    時間軸が十数年後なので伊武だけではなく、八十吉やフェルも登場するのが嬉しい。
    それだけでなく、日下國にいた日向の妻や息子も登場します。日向家の役回りが悲しすぎる。恨みでもあるのかといいたくなるくらい全員悲しい。

    男性陣は伊武を好きすぎて叶えてくれなかったけど、フェルが天徳さんを目覚めさせてくれたらいいな。と思っていたらの最後の一文でした。

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    2022年12月09日
  • 決戦!賤ヶ岳

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    賤ヶ岳の七本槍を七人の作家が描く面白い構成。

    どの作家も、譜代の家臣がいなかった秀吉が、「うちにはこんな良い家臣がいるんだぞ!」と「七本槍」をでっち上げたような描き方が興味深かった。
    それによって多くの七本槍たちが悩むことなる。その苦悩の心理描写を、どの作家も上手く表現している。

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    2022年09月24日
  • 機巧のイヴ(新潮文庫)

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    友人に薦められて読みました。最初は世界観についていけず、正直いまいちかなと思いながら読んでいました。しかし、エピソードを追うごとに世界観への理解が深まり、読めば読むほど面白く感じる。そんな不思議な小説でした。決して読みやすくはないですが、非常に味わい深い物語です。途中でやめなくて良かったです。

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    2022年09月23日
  • ねなしぐさ 平賀源内の殺人

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    平賀源内は晩年に殺人事件を起こし、その罪を問われて伝馬町の牢屋敷で獄死した。歴史上はそういうことになっている。しかし、本書は???

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    2022年08月27日
  • 完全なる首長竜の日

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    ミステリを得意とする乾さんの約10年前の作品。映画化もされ覚えている方もいるはず。意識不明の弟はなぜ自殺を図ったのか、主人公は夢と現実を行き来しつつ謎に迫っていく。夢なの?現実なの?という展開からラストは爽やかめ。乾さんの作品のなかではちょっと変わり種?かなと思った。

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    2022年08月17日
  • 決戦!賤ヶ岳

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    木下昌輝さんが好きで読みましたが、他の方の小説の雰囲気が分かって、読みたい作品を開拓出来たところが1番良かった。
    敵陣の登場人物がまぁまぁ一緒なので、自分の担当する武将に花を持たせるために寄せて書いてるのが、歴史小説はフィクションとはいえ、続けて読むと寄せてる感が出るのだけが複雑な気分になった。それぞれ短編としては面白いものが多くて好きです。

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    2022年05月31日