乾緑郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
苫米地英人の本で読んだけど脳科学で言えば感情も記憶も本来存在せずそれは刺激に対する脳の反射でしかないそうだ。人の心はそもそも器官として存在しないから反論できないよね。幕府と天帝家が対立する時代に、バネや発条、歯車で作られた機巧の美女伊武。無いはずの彼女の心に翻弄されるSF時代小説。伊武はリラダンの「未来のイヴ」から取ったのだろう。ロボットに心はあるのかというテーマを描いている。ピノキオ、鉄腕アトムもそうだった。人形やロボットが悩んできたテーマ「人間になりたい」と伊武も言う。その思考過程はブラックボックスだが、自分以外の人間に心や記憶があるか無いかはわからないし、心があったからってお互い分かり合
-
Posted by ブクログ
『はいからさんが通る』は大好きな漫画で、今年宝塚で上演すると聞いて楽しみにしていた。
が、そもそもチケットは取れず、COVID-19のため公演は中止。
なのに、ここでどうして『はいからさんが通る』の世界が繰り広げられるのだ!
丑五郎ならぬ俥夫の重五郎まで!
天府高等女学校に伊武が通っている!
しかも矢絣に紫の女袴。そこにベルトを締めている。
御三家と呼ばれた自由な校風の学校、制服にベルトの付属学校、距離があったので諦めた可愛いセーラー服の横浜の学校。
残念ながら憧れで終わってしまったけれど、本書の中には小学生のころ憧れた世界が描かれていた。
大正!横浜!女学生!
背景だけで話が終わりそうだ -
Posted by ブクログ
第9回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作。
審査員が全員一致で決まったそうで、そんなことを不意に思い出したので読もうかなと積読の山から下ろしてきた。
テーマは映画「胡蝶の夢」らしいが。読んでいくうちに、あの不思議な胡蝶の夢の雰囲気もどこか感じられるようになってきたが、映画のテーマは別にしても時代が違う。今なら病院に収容されても、夢を探る機器も現代的で、主人公はこれが夢なのか現実か迷う事も記録に残せる。あるいはときには冷静に向き合うことができるかもしれない。
主人公の女性は漫画家で成功している。子供のころ一家で行った奄美の島で幼い弟が波にのまれた。
西湘にある病院では、それ以 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分で自分を決められる、たった一つの部品だ。無くすなよ。
ってあれは泣いた。
きっと、どういう仕組みで動いているか、それをひとつひとつ解明していっても、じゃあそれが何故動いているのか、って問いには誰も応えられないのだろう。
ひとも機巧も。
SF…でありファンタジーであり、時代小説であってミステリである。
……胃もたれするわね!
SFとしては非常にオーソドックスなテーマを、各章で角度視点を変えて丁寧に描いている一方、衒学的時代小説感がそこになんとも云えない艶を出していて。なんというか、やけにヱロい。本来の意味でのエキゾチック、というか。
最終章で、神器(と呼ばれているもの)の行動 -
Posted by ブクログ
前作が素晴らしすぎて、続編があると知り大喜びで購入しました。
イヴちゃんの可愛らしさは相変わらず。
時代が100年ほど下がって、あのときに出会った人々は故人になってしまい日下國も変わってしまってとても寂しく感じられました。思い入れがあったのでしょうね。
イヴや天帝だった少女は時を超えて存在しつづけてしまう、その切なさは本人たちにしかわからない。
それでもまた、さまざまな人々と交わり、彼女たちは未来に向かって進んでいくんだ……
白長須鯨の箱が健在?で残ってたのが全編のどこを読んでいても安心感を与えてくれてそれも嬉しかったなあ。
また、続編が出たら是非読みたいものです。