乾緑郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ――
“ 馬離衝《バリツ》と呼ばれる武術の特徴は二つある。
一つはその呼吸法だ。馬離衝では「相気」と呼び、これを調和させることを目的とする。
一元、太極、三才、四神、五行の五種類の呼吸法があり、敵をねじ伏せるのではなく、調和することによって力を封じ、無力化するのが馬離衝だ。”
……いやぁSFだなぁ。真面目に。
乾緑郎『機巧のイヴ』二作目は新世界覚醒篇、ということで前作から約100年の時を経て、舞台は大陸へ移る。万博という、云うなれば技術狂いの舞台設定の中に、けれど機巧人形は埋没することはなくて。むしろ技術の先端でこそ、いのち、との境目は歴然として。
前作よりもハードボイルド感が増した気がするのは、単純に時代が下ったからかしら。その分伊武の可愛げが増しているのはよしよし。けれど全体的には前作のほうがやはり、均整が取れているかな、と云う感じがしました。
舞台が日下國に戻る次作で、どう纏まるか。
☆3.2。 -
購入済み
書きつくされたテーマだけに
川中島の合戦はあまりにも有名で書きつくされたテーマだけに、これだけの気鋭の作家を並べても「どこかで見たこと読んだことのある視点」と思えてくるのが残念。各作者の中で乾緑郎の作品が印象に残った。
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Posted by ブクログ
前作は江戸時代を模した時代設定だったが、今回は一気に百年後の世界だ。
新世界大陸で開催されるゴダム万博は問題山積。
ちっとも働かない労働組合員である、エアルランド系白人たちのせいで工期は遅れに遅れている。
そのことを忌々しく思っているのは使用者たちだが、人々の思いは様々で......。
騙し騙されの世界、一体誰が異常なのか?
そして我らが伊武は一体どこに.....?
いたいた、万博日下国館、「十三層」の最上階に。
彼女は眠ったまま、長持ちに腰掛けているが、果たして再起動するのか?
一方、日下人であるジョー・ヒュウガの活躍は血で彩られている。
妻子の元に帰るため、金のため。
けれどもそれは同胞が鬼となるのを目前とし、自らを助けてくれた華丹人の命を奪って描いた夢。
たとえそれが彼が直接関わったものでないにしろ。
その部分は目を覆いたくなる凄惨さだ。
大岡昇平『野火』の世界がそこに広がる。
ヒュウガの息子、丈一郎が日下国の港で出迎える場面に至るには多くの悲しみが詰まっている。
伊武の活躍より、ヒュウガの物語が中心に据えられている。
またしても伊武は眠りにつくだろうか。
伊武が次に目覚めた時、世界は彼女をイヴ、始まりの人となるのだろうか。