乾緑郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレSF時代物ミステリ。
①機巧のイヴ
人そっくひの機巧人形を作りたい。
仁左衛門が頼む。
遊女の羽鳥、そっくりの機巧人形を作る。そのため、身体の隅々まで調べられた。色々な言葉を喋らさせ、爪や髪、陰毛、唾液なども採取。
羽鳥を自由の身に。
伊武。出来上がった機巧人形。
久蔵に騙されていると気づく?
伊武を斬ると生身の人間。
仁左衛門自身が機巧人形。
すでに一度、羽鳥と心中沙汰を起こしている。死んだのは仁左衛門。
②箱の中のヘラクレス
人気絵師。
捔力の天徳。
清十郎、天徳の腕を斬る。「見せしめだから命をはまではとらねえよ。だが、捔力としては今日出終わりだな。湯屋で客の背中を流すのに、腕は二本もいらねえだろう」
伊武がみつけて、天徳を連れてきた。
久蔵。
腕を作ってもらうことに。
また、相撲に戻れた。
土俵で勝手に右手が動き、行司が止めなければ相手を殺していた。
清十郎がまた襲ってきたので返り討ちにして、殺した。
逃げる。
女に会う。自分を捨てたかつての母親?
右手が勝手に動き、女の首を絞める。
追手がくる。
天徳、力尽きる。
戈尹斎、絵師。伊武の名前から、人でないものが描いた絵だということで伊の字から 人編をとり、武の止め部を削ってほこがまえを残し、上下入れ替えた洒落。
③神代のテセウス
いつも願掛けをしている女、伊武。
甚内は声をかける。
いつか釘宮久蔵の本当の娘になれるようにと観音様に願掛けしている。
天帝家に伝わる「神代の神器」
甚内、雇い主の
垣田の屋敷に行く。一家惨殺。
番所が来る。はめられたか?
濡れ衣を着せられるが、逃げる。
甚内、垣田が殺された理由に興味を持つ。
伊武にまた会う。
伊武、甚内が釘宮久蔵のことを探っているのに気づいていた、
甚内「釘宮久蔵は、比嘉恵庵とどのような関係にある?」
見当違いのことで動いてるようですね、と伊武。去っていく。
甚内、精煉方の敷地に忍び込み、天帝家の「神代の神器」に関する書物を探ることに。
『其機巧巧之如何を了知する能ず』と書かれた書物を盗む。釘宮久蔵に会わねば。
甚内、釘宮久蔵に聞く。
「今、御所におられる天帝は、人ではないな?」
甚内が見た書物が人と寸分違わぬ機巧人形を作り上げるやり方。
『神代の神器』を細部まで見聞し、修繕と称して部品を取り替えた。古い部品を新しい部品に少しずつ取り替えた。最期にはすっかり全部取り替えた。本物はどっち?
甚内、伊武の瞳の奥に神代の数千年の記憶を垣間見たような気がした。
④制外のジェペット
御公儀の中でも天帝が機巧人形であることを承知しているのは、貝太鼓役の他は甚内と、あとは釘宮久蔵くらい。
天帝の身の回りの世話をするものが少ない。身近に接していれば、天帝が人間でないことを看破してしまう者もいるがらその娘の運命は死。
帳内の娘、春日。
春日に天帝が言う。「朕が人ではないことな、もう知っていますね。長いこと朕の身体は修繕を受けていません。生みの親である比嘉恵庵様がこの世を去ってしまったから。間もなく、朕の体の機巧は動きを止めると思います」
甚内の計画。
春日を用意していた死体とすり替える計画。
バトルの末、春日を連れ出す。
甚内、久蔵の屋敷に。伊武に頼まれた長須鯨の絵が書かれた箱。
梅川喜八に会う。
甚内、捕まる。
甚内、ボロボロになって伊武の元に戻る。「会わせてくれ、拙者が春日だと思い込んであた、あの娘に」
春日だと思われていいた娘が帝国の機巧人形だった。
⑤終天のプシュケー
甚内はかつて、喜八に拷問を受けて両手両足の指を何本かを失ったが、生えていることに喜八は驚く。
甚内、今は機巧師見習い。
久蔵、昔を思い出す。
女が子を身ごもるとき、二つの魂が体に宿っていることになる。どこかで、魂が宿るのだとしたら、機巧にも魂が宿ることもあるのでは。
イヴの胸を揉みしだく。→人間とほぼ同じ設定だから胸も柔らかいのか。ちょくちょくエロシーンはあるので、そこは人を選ぶかな。
幕府清煉方手伝、釘宮久蔵。
比嘉恵庵が「神代の神器」である伊武に似せて作った機巧人形。
甚内、蟋蟀を踏み潰して気づくり戦蟋会の場に現れた神器は、この〈鳶梅〉を探していた。恵庵の手によっえ、天帝凌に神器が再び封印された時、この機巧虫も一緒に封印された。
神器にとっては、暗く閉ざされた天帝凌の中てま唯一、孤独な時を共にしてきた友がこな機巧虫だったのでは。
→時代物にSFの人型ロボットを混ぜる圧倒的世界観。それだけでなくミステリ要素もあるので、展開が面白い。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
無人島なんて普段生活の上で考えたこともない舞台がテーマの小説で、実に興味深かった。
内容の参考となっている実際に無人島で起きた事件のことも初めて知って、調べる良い機会にもなった。
生きる上で改めて、世の中自分の知らないことばかりで面白いことが沢山あると、本を通して痛感する。
文明利器に甘やかされて守られて生きてきて、無人島なんて行きたくもないが、もしとんでもないパンデミックが起きてそれに近い生活を強いられたらどうなるのだろう、と考える。
今ではコロナウイルスもすっかりただの風邪扱いだが、当時周りの薬局から衛生用品や備蓄食料があっという間に底を尽きていたことを思い出す。
皆が皆パニックに侵され、溢れ返る情報の中から何が正しいのか精査出来ない状況の中で、果たして自分はどこまで生存出来るのか。
恐らくすぐに負けてしまうだろうな。 -
Posted by ブクログ
スピンオフをアンソロジーで読んで、面白かったので本編を購入。奥深い、味わい深い面白さ。
生身の人間と変わらない外見や動きを備えた機械人形が存在するようなSF性と、武士や忍びが活躍する江戸風の舞台。歯車やバネがみっしり詰まっているのに、関取に想いを寄せたり願掛けをする人形。由来も仕組みも説明のつかない、この時代の中で浮いた存在である伊武に、久蔵も甚内も惹かれているが、伊武自身が何か行動して物語が動くわけではない、というところも良かった。信じたり欺いたり、助けたり殺したり・・・動いてかき回すのは人間だ。だから行動に破綻や不可解さはなく、時代小説のように読んでいける。SFに寄りすぎていないバランスが好みだった。
「どうやってその証を見せる」
「あるからこそ、今、それを失うのだ」
機械人形に心は宿るのか、という命題も組み込まれている。
「人の体をどんなに細かく腑分けしても、機巧と同様、その人の心を現すものや感情や記憶を思い起こさせるものなど、一切出てこないのだ。――振る舞いの中に命がある」
それと装画がカッコよくて忘れられないインパクト。くじらの模様の帯を持つ"太夫"。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ機巧のイヴシリーズ完結編。
シリーズを読み終え、今後、日本で本作を超えるSF物語が生まれるのだろうか...
それ程の余韻に浸れる作品でした。
大きく分けると大正時代と昭和初期を彷彿させる時代設定での二部構成。
大正時代と言えば何を思い浮かべますか?
大正浪漫、ハイカラさん、そうです、全部入ってます(笑)
しかも、前作から主要登場人物は変わらず、舞台は日下國へ。
おかっぱ頭で袴を履き自転車に乗るイヴ、想像したら思わず吹き出しそうになりました。
そして後半は舞台を大陸の新国家・如州へと移ります。
ここではイヴの女学校時代の友人・ナオミの秘密が明かされると共に、イヴとナオミの側にいた多くの人々が命を落としていきます。
前作で動かなくなっていたイヴに魂を吹き込んだ八十吉、今作では軍部により研究の為バラバラにされたナオミに魂を吹き込む林田、まさに機巧人形の愛の物語。
ラスト、思わぬかたちで動きの止まったイヴ。
シリーズとしては確かに完結しましたが、いつの日か、再びイヴに魂を授ける物語があってもいいんじゃないでしょうか。
それ程に見事な作品でした。
これが、日本の『三体』だ! (翻訳家・大森望)
花咲く浪漫、大震災、そして戦乱――。美しき機巧人形(オートマタ)・伊武(イヴ)が激動の時代を駆け抜ける。世界が注目するSF伝奇シリーズ、クライマックス!!
機巧人形(オートマタ)をめぐる、魂と愛の物語。
浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語は、大陸の新国家・如洲へ――。心を持たない人形が問いかける、愛とは、そして魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。
出版社からのコメント
「一九一八年と言えば、現実の日本では大正七年。『はいからさんが通る』の時代ということで(? )、小説の前半はまさかの女学校もの。轟八十吉の養女として天府に戻った伊武は、『はいからさんが通る』の花村紅緒さながら、自転車を颯爽と走らせて女学校に通っている」(大森望「解説」より)
内容(「BOOK」データベースより)
浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語の舞台は、大陸の新国家・如洲へ―。心を持たない人形が問いかける、愛とは、魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
乾/緑郎
1971(昭和46)年、東京生れ。2010(平成22)年、『完全なる首長竜の日』で『このミステリーがすごい!』大賞を、『忍び外伝』で朝日時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)