乾緑郎のレビュー一覧
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フリーライターの大塚文乃は、注目の画家・荒木一夫のルポを書くため、個展を訪ねた。ダムの底に沈んだ今は無き町、小楷町を再現した絵の前に立った時、いるはずのない少女が絵の中に現れ、文乃は気を失ってしまう。
後日、小楷町の歴史を調べるうち、「ツキノネ」と呼ばれる土着宗教の神の存在を知るが、その名はある老夫婦の惨殺事件現場で発見された少女と同じものだった。
民俗学要素のあるホラー? サスペンス? 作品です。
2019年出版の『ツキノネ』を改題して文庫化したもの。
土着宗教の神なんかの存在を扱っていますが、超存在・超常現象が怖いというよりは、怖さのベクトルはじっとりしたヒトコワ系(ヒトではないけど -
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乾緑郎『愚か者の島』祥伝社文庫。
初読み作家。
沖縄の遥か南に位置するフリムン島という名の小さな無人島を舞台にした人間の本質を浮き彫りにするディストピア小説である。
図らずも無人島に集まった10人。それぞれの思惑と欲望が渦巻き、僅かばかりの均衡で辛うじて保てていた平和が音を立てて崩れていく。
西村寿行のハードバイオレンス小説のような風合いを感じるが、そこまでの思い切りも無ければ、そこまでのレベルも無い。
別れ話を持ち込んで来た恋人の女性を殺害し、逃亡を重ねる大学生の苅部公則はフリムン島の中にあるガマと呼ばれる洞窟に身を潜めていた。
その島に独自の自然主義を主張する医師の土岐周一郎と -
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えっらい可愛らしい表紙で。。。そんな可愛らしいお話を書く作家さんだっけ?と思いながら読みました。
これは・・・なんだろう?史実に基づいているんだろうか?さすがに主人公たちはフィクションなんだろうけど、浅草の演劇の変遷がいかにもそれっぽい。
調べてみたら・・・やっぱりそうなんだ。なんか途中から妙に駆け足めいた書き方になるのがいかにも史実をなぞってる感じでした。なんだか「こういうことがありましたよ」ということに終始していてちょっと興ざめ感も。
こういうことがあったんだな、という興味深さはあるものの物語としての面白さはそこまででもなかったかな。 -
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「機巧のイヴ」「見返り検校(文庫化の際に「仇討検校」に改題)」が好きで、こちらも時代物ということもあって読んでみた。
「機巧のイヴ」とはまた違ったタイプのファンタジー。
二代目瀬川菊之丞の兄弟子・八重桐の不審死から始まる話はミステリーかと思いきや、東上桟敷を買い占めながら姿を現さない客、そこで起こる怪異、菊之丞が連れ去られた『戯場國』、冥府と現世を行き来する小野篁と志道軒。
軸となるとは小野篁の禁断の恋と、江島生島事件。
特に江島生島事件については興味深い解釈があった。
生島新五郎という、この事件でしか知らない役者と二代目團十郎との間にこのような因縁話を思いつくとは。
登場人物が多いわり