乾緑郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ忍者物は、白土三平のように徹底的にリアリズムに徹して書くか、山田風太郎の様に荒唐無稽に書くかのどちらかになることが多いが、本作は少々、どっちつかずとなっているが、やや山田風太郎寄りで、なおかつテーマが時空を超える忍法なので、時系列も含め分かりにくいところと、多くがてんこ盛りに盛り込まれているので、消化不良となっていることを差し引いても、十分に面白い。ただし、窺見衆と果心居士との確執の結末も、たぶん、その後の石川五右衛門となるであろう主人公との結末も語られ切らずに終わるため、続きをというスケベ根性があるのかなと思われるが、素直にそれに乗っかり、続編を期待したい。主人公と果心との関係がもう少しなければ、圧倒的に力量の違いがある果心が何故、簡単に殺せるはずの主人公を殺さないのか全くわからない。また、お式の組み紐の効果も明かされていない。続編を期待する。
-
Posted by ブクログ
ネタバレプロローグ
ハルちゃん。初めてできた友達。ヴァイオリンできる。
ハルちゃんはもういないから不安だけど、私はまた歌おうと思う。
一章 帝劇とローヤル館
妙子。帝国歌劇部に合格。
ハルと知り合う。
芙美。好きな人いる。
芙美、好きな人と心中。
二章 浅草オペラ
ハル 、ヴァイオリン、やめようと思う。
父が帰って来ないなら演歌師は続けられない。
日本バンドマン一座解散?
3章 カルメン
信子、舞台を退くことに。今の歌劇に愛想が尽きた。
ハル、佐藤謙三の指導を受けて通い始めた。
徳子が死ぬ。
ハル、復帰。
皆月、妙子を襲おうとする。
垣田の差し金だった。
皆月、垣田を説得してみようとするも、病院送りになる。ヤクザをやめると言ったら、指を全部詰められ、両目も潰された。
皆月、妙子に『ポッカチオ』を歌ってくれと頼む。
皆月、息を引き取る。
ハル、転地域療養しようと思う。
日本館がオペラの興行をやめる?
ハル、療養所から手紙。
妙子がいつかやりたいと言っていたカルメンのヴァイオリンを練習しておく。
金竜館が改修工事。劇場として再申請。改修後に予定されているのが、『カルメン』
妙子はカルメン役に抜擢。主役を演じるのは初めて。
ハルに手紙を送るが返事ない。
当日。
客席からの声援。皆月の声が聞こえた気がした。
ヴァイオリンの席にハルの姿を思い浮かべて歌った。
ハル、亡くなったと知らせ。
妙子、その電報を胸に押しつけ、目をつむる。
会いに来てくれたんだね、ハルちゃん。
悲しみよりも、どういうわけか満たされたような温かい気持ち。
エピローグ
妙子、ハルのために歌う。
たとえ海山 隔てられても
いつも心は君のそば
→見どころは、ラストか。でも、全体的には平凡なストーリーかな。
-
Posted by ブクログ
これは夢?現実?どっちだっけ??
とわからないながらにひたすら読み進めていった。
当たり前だった。
主人公が夢か現実かわかっていないのだから。
サリンジャーのバナナフィッシュを読んでいたり、映画のインセプション視聴の経験があったから
あぁ、同じ感じね、夢か現実か系ね、と比較的スムーズには読み進められたと思う。
主人公の潜在意識下にある、過去の忘れたい記憶や、幸せだった記憶が、最後全てに反映され、かつ誰の脳内だったかということが判明したときにはそう来るか、、となった。
更に最後の最後で、また怪しい雲行きになったのもおぉ、、、となった。
そうやって楽しむ本なんだろうな。
感想を見てると気づいていた人が多いみたいだけど全然気づかなかった。みんなすごい。
この本を読むと、私の生きる現実は本物なのかと疑いたくなる。そもそも人間が今この世に存在して活動していること自体どうゆうこと?人間という存在って何?私って何?と、ふと考えてしまう。
パプリカもそうゆう系アニメの名作と聞いたので
見てみようと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自殺未遂で昏睡中の弟を助けるための治療をしていると思っていたら、実は主人公自身が患者で、今まで現実だと思っていたものは現実じゃなかった。何が現実で何が意識の中なのかわからなくなる。この世界は本当に現実なのか?と疑いたくなる仕掛けは怖くて、読んでいて面白かった。
弟はたぶん島で死んでしまったんだろうな、というのと、主人公は編集者の杉山さんに恋心があるんだろうな、というのは察せたので、両方ともちゃんと伏線として回収されたのもよかった。
でも、編集者との一度の過ちで全てを失って自殺してしまっていた、というオチに、ここまで読んできて受けた主人公の人物像とのズレを感じた。ずっと、主人公の自認の主人公の話を読んでいたからなのか。 -
Posted by ブクログ
フリーライターの大塚文乃は、注目の画家・荒木一夫のルポを書くため、個展を訪ねた。ダムの底に沈んだ今は無き町、小楷町を再現した絵の前に立った時、いるはずのない少女が絵の中に現れ、文乃は気を失ってしまう。
後日、小楷町の歴史を調べるうち、「ツキノネ」と呼ばれる土着宗教の神の存在を知るが、その名はある老夫婦の惨殺事件現場で発見された少女と同じものだった。
民俗学要素のあるホラー? サスペンス? 作品です。
2019年出版の『ツキノネ』を改題して文庫化したもの。
土着宗教の神なんかの存在を扱っていますが、超存在・超常現象が怖いというよりは、怖さのベクトルはじっとりしたヒトコワ系(ヒトではないけど)に感じます。女が女のライバルに向ける嫌悪感や、人を陥れたり操ったりする手腕が怖い。
生理的な怖さ、気持ち悪さを感じます。
ちなみに、この本の記憶の画家・荒木一夫のモデルとなった画家で、同じように記憶だけで生まれ故郷を描いた画家、フランコ・マニャーニという方がいらっしゃるのですが、本をきっかけに調べてみたらとても面白かったので、そういう意味でも読んでよかったです。 -
Posted by ブクログ
乾緑郎『愚か者の島』祥伝社文庫。
初読み作家。
沖縄の遥か南に位置するフリムン島という名の小さな無人島を舞台にした人間の本質を浮き彫りにするディストピア小説である。
図らずも無人島に集まった10人。それぞれの思惑と欲望が渦巻き、僅かばかりの均衡で辛うじて保てていた平和が音を立てて崩れていく。
西村寿行のハードバイオレンス小説のような風合いを感じるが、そこまでの思い切りも無ければ、そこまでのレベルも無い。
別れ話を持ち込んで来た恋人の女性を殺害し、逃亡を重ねる大学生の苅部公則はフリムン島の中にあるガマと呼ばれる洞窟に身を潜めていた。
その島に独自の自然主義を主張する医師の土岐周一郎と不倫相手の北郷咲良が、家族も仕事も捨てて入植して来る。
その後、不登校で引き籠もりの中学生の諒の将来を危惧する石毛久志と美千子の一家が一匹の犬を連れて入植して来た。
さらには嘉門真澄という女性が阿久津被害者と亀石という2人の男と島にやって来て、土岐や久志にこの島を持ち主から買い取り、グランピング施設を作ると告げる。
南国の楽園の島にたちまち不穏な空気が漂い、人びとの諍いが始まる。
本体価格960円
★★★