乾緑郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても面白かったです。
時代物とSFがぴったりと合わさっている連作短編集で、最初のお話からこの世界に惹き付けられました。
自動人形として機巧が存在している、江戸時代を思わせる世界。
独特の要素はたくさん盛り込まれているのですが決してごちゃごちゃしてなくて、魂は、心はどこにあるのか、どこからやってくるのか…このことを色濃く考えさせられます。
オートマタの伊武を始め、登場するキャラクターたちが皆さんとても魅力的でした。
オートマタと言ったら「からくりサーカス」の人形たちを思ってしまいますが、こちらの自動人形も素敵。
物語の世界は思いもかけない場所へ進んでいって、終盤は切なかった…初めましての作家さんでしたが、続編も読みたいです。 -
Posted by ブクログ
いやいやこれは面白い。時代もの(特に伝奇もの)はほとんど読まないので、アンテナにひっかからなかったのだが、こちらでフォローしている方のレビューにひかれて読むことに。こういう出会いは嬉しいなあ。
SFとして特段の驚きがあるわけではない(むしろ結構首をかしげたくなるところもある)のだけど、そんなことは気にならないくらい、読ませる読ませる。これは「完全なる首長竜の日」と同様の感想で、でも、こっちがより巧みで華麗な作品世界が構築されていると思った。映像的というより、何と言うか「絵画的」な感じ。残酷であでやか。クールで艶っぽい。一歩間違うと、並のライトノベル的薄っぺらさに陥りそうな題材が、鮮やかな手つきで見事に料理されている。
冒頭の「機巧のイヴ」の世評が高いようだが、私はこの連作全体の構成が実に巧みであることに感嘆した。後になるにつれてお話しに広がりが出てくるところがいいし、蟋蟀に始まり、また蟋蟀で閉じるところなんか本当にうまい。ジャンルSFではあまりこういうのないんだよね。
読み出してすぐ、イヴはなぜか壇蜜の姿で脳内劇場が展開。「神代の神器」にしてはちょっと色っぽすぎるけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ語り手が話していることは現実か非現実か、それを対比させながら物語を進める。
このミス大賞「完全なる首長竜の日」の作者、乾緑郎の話の進め方は読み手を物語へ引き込む力が強い。
写真学校へ通いながら裸婦モデルのバイトをしている千佳、
近頃の物忘れの激しさから検査をすると若年性アルツハイマーと診断された中年女性、君枝、
そして東京から二時間ほどの温泉街の奥にある廃ホテルの一室を住みかとする記憶をなくした男。
この三人の視点から物語は進む。
三人が語る日常は、日常生活そのものなのだが、どこか違和感を感じるような、その違和感に物語は緊張で張りつめる。
廃ホテルの一室で見つかった白骨死体は現実なのか、過去なのか、記憶なのか。
どこに進んでいるのか見えてこない霧の中を歩いているような、この作者の本はそんな感覚を呼び起こす。 -
Posted by ブクログ
話の展開が面白くなって来た。鍼灸院の治療内容は、参考になるのと、次の会話は面白い。
p64
「愚者は人に教えたがる、賢者は人から学びたがる。シェークスピアの言葉だ。知っているか」
「シェークスピアのことばで?知りません」
腕組みをし、鼻の穴を広げて言う鷹野に、うんざりした気分で私は答える。
「他人を弟子役にして師匠ごっこをやりたがる人間なんて、ろくなのがいないってことさ」
「先生、たぶんそれ、シェークスピアじゃなくてチェーホフだと思います」
うっと声を詰まらせ、椅子からずり落ちそうになる鷹野に、聞き流してやればよかったかなと私はちょっと反省した。
p148
柔整とは柔道整復師、つまり接骨院や整骨院などで骨折や捻挫などの外傷を治療するための国家資格だ。
鍼灸院と言う特別な世界の舞台なのだが、何故だか話に吸い込まれて行った。とても面白いお話でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ共に異形で実在したかどうかもわからない飛び加藤と山本勘助を中心に据え、忍法合戦ものの王道で非現実的な忍法が多々、登場するが、それらも地通り越して、甲賀三郎の諏訪伝説を下敷きとしながらも、クトゥルー神話まで引っ張り出した邪神召喚の話に繋がるスケール感は圧巻。前作も訳のわからない忍法が登場する話であったが、時系列が凝り過ぎていてよくわからなかったが、本作は、そのあたりは実にストレートでわかりやすい分、話としては、より面白くなっている。ただし、同じくタイムパラドックス的なものとなっており、同一人物が同時に存在するという矛盾にも一切、頓着せずに話が突き進む潔さはかえって好感がもてる。それにしても三姉妹の様なののうで、うち一人は曰くありげな異人としておきながら、何のひねりも無く、たfだ単に殺すというのも潔い。最後の佐助のくだりは少々、やり過ぎかもしれないが、まあ幸村が登場する以上、予定調和的な終わりで、これもあり。