乾緑郎のレビュー一覧
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ネタバレ語り手が話していることは現実か非現実か、それを対比させながら物語を進める。
このミス大賞「完全なる首長竜の日」の作者、乾緑郎の話の進め方は読み手を物語へ引き込む力が強い。
写真学校へ通いながら裸婦モデルのバイトをしている千佳、
近頃の物忘れの激しさから検査をすると若年性アルツハイマーと診断された中年女性、君枝、
そして東京から二時間ほどの温泉街の奥にある廃ホテルの一室を住みかとする記憶をなくした男。
この三人の視点から物語は進む。
三人が語る日常は、日常生活そのものなのだが、どこか違和感を感じるような、その違和感に物語は緊張で張りつめる。
廃ホテルの一室で見 -
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話の展開が面白くなって来た。鍼灸院の治療内容は、参考になるのと、次の会話は面白い。
p64
「愚者は人に教えたがる、賢者は人から学びたがる。シェークスピアの言葉だ。知っているか」
「シェークスピアのことばで?知りません」
腕組みをし、鼻の穴を広げて言う鷹野に、うんざりした気分で私は答える。
「他人を弟子役にして師匠ごっこをやりたがる人間なんて、ろくなのがいないってことさ」
「先生、たぶんそれ、シェークスピアじゃなくてチェーホフだと思います」
うっと声を詰まらせ、椅子からずり落ちそうになる鷹野に、聞き流してやればよかったかなと私はちょっと反省した。
p148
柔整とは柔道整復師、つまり接骨院や整 -
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ネタバレ共に異形で実在したかどうかもわからない飛び加藤と山本勘助を中心に据え、忍法合戦ものの王道で非現実的な忍法が多々、登場するが、それらも地通り越して、甲賀三郎の諏訪伝説を下敷きとしながらも、クトゥルー神話まで引っ張り出した邪神召喚の話に繋がるスケール感は圧巻。前作も訳のわからない忍法が登場する話であったが、時系列が凝り過ぎていてよくわからなかったが、本作は、そのあたりは実にストレートでわかりやすい分、話としては、より面白くなっている。ただし、同じくタイムパラドックス的なものとなっており、同一人物が同時に存在するという矛盾にも一切、頓着せずに話が突き進む潔さはかえって好感がもてる。それにしても三姉妹
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ネタバレ忍者物は、白土三平のように徹底的にリアリズムに徹して書くか、山田風太郎の様に荒唐無稽に書くかのどちらかになることが多いが、本作は少々、どっちつかずとなっているが、やや山田風太郎寄りで、なおかつテーマが時空を超える忍法なので、時系列も含め分かりにくいところと、多くがてんこ盛りに盛り込まれているので、消化不良となっていることを差し引いても、十分に面白い。ただし、窺見衆と果心居士との確執の結末も、たぶん、その後の石川五右衛門となるであろう主人公との結末も語られ切らずに終わるため、続きをというスケベ根性があるのかなと思われるが、素直にそれに乗っかり、続編を期待したい。主人公と果心との関係がもう少しなけ
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フリーライターの大塚文乃は、注目の画家・荒木一夫のルポを書くため、個展を訪ねた。ダムの底に沈んだ今は無き町、小楷町を再現した絵の前に立った時、いるはずのない少女が絵の中に現れ、文乃は気を失ってしまう。
後日、小楷町の歴史を調べるうち、「ツキノネ」と呼ばれる土着宗教の神の存在を知るが、その名はある老夫婦の惨殺事件現場で発見された少女と同じものだった。
民俗学要素のあるホラー? サスペンス? 作品です。
2019年出版の『ツキノネ』を改題して文庫化したもの。
土着宗教の神なんかの存在を扱っていますが、超存在・超常現象が怖いというよりは、怖さのベクトルはじっとりしたヒトコワ系(ヒトではないけど