月村了衛のレビュー一覧

  • 機龍警察 未亡旅団

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    ネタバレ

    チェチェンの事はどこまで本当なのかはわからないですが、チェチェンに限らず独裁的な脳筋どもが支配しているところでの女性や身体の弱い人間に対する扱いは常軌を逸しているのだろうと推測する。

    テロリスト達の最終目的が全然わからず、ページを捲る毎に疾走感が増すような感じでどんどん読んでしまった。エンタメ小説としてとても面白かった。

    ただ、日菜子さんウザい。
    大事なものを不用意な一言によってズタズタにされた相手に向かって、やった本人でも無い第三者が「許してほしい」て、何様だ。 謝る事で気持ちよくなりたいだけの偽善者か。 

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    2025年04月07日
  • 半暮刻 【無料お試し版】

    購入済み

    グレーゾーンのお話

    法の隙間を縫うようなグレーゾーンに蠢く半グレたちのお話である。作家月村了衛の作品は「土漠の花」や「機龍警察」で読んでいたが、この作品は立場を変えて圧巻側に立っている。正義の味方の話ではないから、読んでいてあまり良い気分にはなれないが、それでもなかなかの迫力で描きだされている。

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    2025年04月05日
  • おぼろ迷宮

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    大学生の夏芽は、バイト先で不可解な謎に出くわしてしまう。その謎を解き明かしてくれたのは隣に住む謎の老人・鳴滝。やがて夏芽は鳴滝と共に、スイーツ食べ歩き……ではなく、さまざまな謎を解明することになる。緩やかな読み心地の日常の謎ミステリです。
    些細ではあるけれどなんとも不可思議な謎、そして謎めいた鳴滝の正体は案外早く判明します。本命のストーリーは第三話「最大の事件」であるはずなのですが。何故でしょう、本筋とは別の部分がやたらと面白くてたまらない……特にプリンとの死闘が……(笑)。もうね、本人たち大真面目でなかなか大変なはずなのに、プリンが食べたくなってしまって困りました。他のスイーツやお料理も美味

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    2025年03月28日
  • 対決

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    女性差別に対する怒りと憤り。
    様々な感情が腹の中をぐるぐる巡り、読み進めるのには体力が必要な一冊だった。


    統和医科大学は入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている。
    それを知った日邦新聞社会部の檜葉菊乃は調査を始めた。


    そう、これは数年前実際にあった事件をもとにした小説。

    信じられない差別に驚くが、読んでいくとその理由も見えてくる。
    ハードな医療現場には、やはり体力のある男性の存在は大きいだろう。
    少しでも多くの男性医師がほしい。

    成程、確かにそうかもしれない。
    しかし公平であるべき入試でのこれは許されない。
    何も知らないで受験する女子学生たちが可哀想。


    統和医科大学の理事

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    2025年03月18日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    機龍警察の月村了衛さんが描く、詐欺師の世界。豊田商事事件を出発点に、現実世界で起こった事件を織り交ぜながら、虚構のストーリーが進む。詐欺師の天性(?)を発揮してのし上がっていく主人公であるが、内面は家族の幸せのみを願っている。パートナーの裏切りやヤクザの脅しにも屈せず、次々と直面する困難を、むしろ大きな相手と仕掛けを実行して乗り切っていく。相手を騙すのが詐欺師だが、その前に、自分を騙すことができなければいけない。最後のセリフには、完全にそのことが実行できていて恐ろしい。

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    2025年03月09日
  • 白日

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    派閥争いの中で苦悩するサラリーマンが主人公だ。
    教育事業に取りんでいる出版社で、新規プロジェクトの立ち上げの最中に起こる事件…社長派と専務派の主権争いの中で、人事部がゲシュタポのように監視の目を光らせ探りを入れてくる。部下からもどうするんですか!と突き上げが続き…あらゆる苦難が中間管理職の身に襲いかかる。どうしても僕の好みはこんな感じの小説が多いなあ。

    無責任を貫いても平気でいられたらいいのだろうが、真面目な小心者はそうはいかない。トラブルを解決するために、正面から立ち向かい、ボディーブローをまともに受け、荒波の中で呼吸困難になり、精神が蝕まれていく…ところどころサラリーマン第一線で仕事をし

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    2025年03月07日
  • 脱北航路

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    北朝鮮からの亡命を決意した軍人達と、彼らの亡命を阻止しようとする共和国側軍人との戦いが始まった。
    その戦いに巻き込まれた形で拉致された日本人女性をいわば餌にして脱北を試みる軍人達の運命は如何に。

    読みどころはやはり潜水艦同士が争う水中戦と、対敵艦隊との冷静な心理戦。読み進むにつれハラハラさせられた。
    潜水艦の知識は皆無に等しかったけど、想像力を掻き立てられるストーリーと描写にはいつもの月村作品並みに面白い。
    後半はウルっとさせられる場面もありで、つい目頭が熱くなった。

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    2025年03月06日
  • 機龍警察 火宅

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    ネタバレ

    機龍警察の世界は人間ドラマも面白いんだなと思いました。短編も面白かった。
    勿論機龍兵ありきの世界ですし、登場シーンは高まったりハラハラしたりですが。
    掲載誌バラバラぽいのがまとめて読めるのもありがたいです。

    お話は、ライザのスカウト話「済度」、先に「未亡旅団」読んでるから尚の事胸にくる由起谷さん話「沙弥」、機龍警察でコメディ回があるとは…な「勤行」が特に好きでした。
    「勤行」、徹夜で国会答弁を作る宮近さん&城木さんの奮闘とドキドキの質疑、笑い事じゃないけどほのぼのしてしまった…

    「化生」はゾッとしました。次作に続くのかぁ。

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    2025年02月27日
  • 影の中の影(新潮文庫)

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    思ったよりもバトルアクション部分の割合が多かったが、ウイグルの惨状をテーマに日本の暴力団と警察、ジャーナリズムと伝説の人物カーガーの交錯は読み応えがあった。

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    2025年02月24日
  • 警官の標 警察小説アンソロジー

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    月村了衛、深町秋生、鳴神響一、吉村英梨、葉真中顕、伊兼源太郎、松嶋智左『警官の標 警察小説アンソロジー』朝日文庫。

    7人の作家による7編全てが書籍初収録となる贅沢な警察小説アンソロジー。

    自分は、7人の作家全て最低1作は読んでいる。月村了衛と深町秋生、葉真中顕は文庫化作品は全て読破している。吉村英梨と松嶋智左も文庫化作品はほぼ読んでいるが、最近は取捨選択しながらという感じだ。鳴神響一と伊兼源太郎は文庫化作品を1作読んで肌に合わないと感じてからは読んでいない。

    月村了衛の『ありふれた災厄』と深町秋生の『破談屋』が取り分け面白かった。


    月村了衛『ありふれた災厄』。★★★★★

    本短編の冒

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    2025年02月16日
  • 半暮刻

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    起きている出来事はノンフィクションと捉えても過言ではないかと。主人公である翔太海斗の2人の章から成る本作ですが、それとは別にホスト時代とそれ以降という、時系列での2部構成にもなっています。事の発端は悪質なホストグループの仕組みではありますが、誰が悪いのかを考えると、そもそもは日本社会自体の構造や政治(家)を始めとする既得権益に大きな問題があるのだろうなと。本作で表現されているホストグループにしろ広告代理店にしろ癒着や談合にしろマスメディアにしろSNSにしろ、そして人の生い立ちにしろ、それぞれが単体で歪んでるだけではなく全ては一本の線で繋がっているんだろうなと。どこかひとつだけを直しても、海斗の

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    2025年02月16日
  • 脱北航路

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    読書備忘録893号。
    ★★★★。

    最近は、世間を揺るがせた事件や社会的テーマで骨太小説をリリースしている月村さん。
    想像するに、これらの作品を世に出すには相当なリサーチとか、参考文献の読破など体力を消耗するものと思っています。

    そこでたまにはこういうあまり中身を感じられないけど一定の満足感が得られる娯楽小説で息抜きするのかな、と勝手に想像しました!笑

    作品名からストーリーは明快。
    北朝鮮からの亡命です。
    亡命先は日本!
    なぜか?拉致被害者を日本政府との交渉材料に出来ると踏んだから。

    拉致被害者の高齢女性。
    島根の海岸で拉致された。
    当時、拉致現場をぎりぎり掠めた警官、漁師、海保の関係者

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    2025年02月11日
  • 機龍警察 暗黒市場 上

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    上巻はほぼユーリ警部の来し方を追う内容。
    ソビエト崩壊後のロシアに巣食う腐敗はリアリティの判断ができないもののあり得る話に感じる。生来の真面目さゆえにこんな経験をしたら、今みたいな陰のある雰囲気になるのもよく分かる。
    ロシア語の地名や人名に苦労しつつ、惹き込まれたまま下巻へ。

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    2025年02月09日
  • 土漠の花

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    日本推理作家協会賞 受賞作。
    初めて読む作家ですが、圧倒的な筆力に驚きました。本作の舞台はソマリアの国境という日本人には馴染みの薄い危険地域。そこで死闘を繰り広げる若き自衛官たちを、友情と確執を絡めながらリアルに描写していきます。

    安倍内閣の時に「集団的自衛権」が強行採決されて、私たちが恐れていたのは、まさに本書のような状況なのだと思います。

    ソマリアは、ネットで検索すると、テロや誘拐、武装強盗が後を絶たず、治安が極めて悪いため外務省は「レベル4:渡航は止めてください。退避してください」を発出しています。

    そんな危険地域で残虐な武装集団の群に包囲され、絶体絶命のピンチに陥ったのは、ビヨマ

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    2025年02月06日
  • ビタートラップ

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    月村作品にしてはめっちゃ軽い。でも無意識の偏見だとか、問われているテーマは結構重い。
    中国の諜報員や日本の公安などが絡んでくる割には荒事にならないので、序盤から中盤はドッキリなんじゃないの?と思ってしまうような展開です。最後の解決手段はちょっとズルいかなと思ってしまいました。

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    2025年01月23日
  • コルトM1851残月

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    機龍兵江戸時代版。
    主人公はコルトを武器に邪魔な相手を闇夜で葬り去る。組織には自分と知られないように存在しない勢力との「筋」をでっち上げ、組織の信頼を得ながら商いを続けていく。そんな中、自分の甘さが招いた失態により、裏切られ追い詰められ「筋」の秘密も露見される。主人公に襲い掛かる組織。生き残るには組織を壊滅させるのみ。どう戦うい抜くのか。

    相変わらずバトルシーンの描き方は上手いですね。手に汗握る緊張感がたまりません。
    江戸時代の仕事や人物、背景の描写が丁寧で、時代小説としても楽しめます。

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    2025年01月20日
  • 槐(エンジュ)

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    とにかくスピード感あり退屈しない。ハラハラドキドキさもあるし一気に読ませる。
    ただあまりにも現実離れしてるので1点減点の4

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    2025年01月05日
  • 対決

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    月村作品を初めて味わった
    10年ぐらい前だろうか、新聞を賑わしたことを題材にした作品
    自分の生き方を考える機会になった人はたくさんいるだろ
    女性も力付けられた人は相当いるのではないかと思う

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    2024年12月25日
  • 半暮刻

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    ネタバレ

    闇の先の闇から逃げられなくて苦しむ姿がとてもリアル。実際に半グレ集団と付き合う人の中には自分から関わるつもりがなかったのに、ヤバい人だと気がついた時には時すでに遅しでどこにも逃げられなくなっている人が多くいるのではないかと思う。一方の海斗は環境に恵まれているのに自ら悪へと進んでいく。職や妻を失い転落したように見えるが、きっとまた何となくいい所からスタートできるんだろうなと思うとやりきれない。

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    2024年12月19日
  • 半暮刻

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    ホストクラブ事件や電通の女性社員自殺事件、東京オリンピックの色々な事件を題材にした物語。実際に政治家だけでなく、半グレやヤクザが暗躍してたのかもと思わされた位にリアリティを感じた。クライマックスまでグイグイ引っ張られて一気読み。

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    2024年12月17日