月村了衛のレビュー一覧
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在日朝鮮人帰還事業。1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。大阪に暮らす二人の若者、孔仁学と玄勇太が経験する「地獄」を通して、日本人の差別感情と、政府・マスコミらが犯した大罪に迫った社会派小説。
4冊目となる月村さんの作品はやはり裏切らなかった。一気読み!フィクションと承知しながらも、実在する本や人物、知った政治家などの名前が出て来ると、今更ながらそういうことだったのかと思わされる。そして、主人公達と同時代を生きてきた自分が何も知らないことに愕然となる。拉致被害に遭った日本人がタラップを降りて帰って来たテレビ映像もだぶった。
第一部での主人公・仁学の視点で進むと -
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先月、東京地裁が「国家的施策として事実と異なる情報を流布して原告らを誤信させ渡航させた」として北朝鮮政府に対して脱北者4人に賠償命じる判決出したばかり。この時も、「情報を流布した」マスコミと日本政府は頬かぶりしたまま。歴史を掘り下げ、謙虚に学ぼうという姿勢は微塵もなし。「差別を逃れて帰国したつもりが、祖国は日本以上に厳しい差別が待っていた」キタのくだりはおぞましいできごとオンパレードに目を背けたくなるが勇太の行動になんとか救われる。また、おかしい事はおかしいとハッキリ言う山崎先生「大事なんは人々が差別のない社会に幸せに生活できること」にも。ただ、今また世界中で壁が築かれ始めている。本当に同じ
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読み終えて大きなため息がこぼれました。
とてつもない物を読んでしまった‥‥
在日朝鮮人帰還事業。
北朝鮮は地上の楽園だと書かれた本を読んで、皆に帰国を勧める仁学と、仁学を信じて帰国した勇太。
勇太を始め、帰国した者たちの想像を絶する生活。あまりの悲惨さに生気を失い虚な目で生活する人々。読んでいて、後半は何も感じなくなってきていている自分に気付く。脳が考えることを拒否しているのが分かる。きっと帰国した人たちも同じ感覚だったんだろうと思う。
知らないというのは恐ろしいことだと気付きます。日本と朝鮮との歴史をきちんと学んでいなかった自分をはっきりと自覚しました。
でも、本書で“地上の楽園”と書かれた -
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医学部の受験で女子が一律減点されていた問題をテーマに、それを暴こうとする記者と、大学の権威を守るために隠蔽しようとする理事の対決を描いた作品。
対決する女性2人は、立場こそ違えど誠実に生きようとしてる。そしてそれぞれが女性であるというだけで理不尽な差別を受けてきた。本書では性差別やその他の差別に正面から向き合い、それが決してなくなることはないことも受け入れつつ、解決を模索していく。そしてその思考の先に主人公2人の対決がある。
もう物語が動き始めてから最後の最後まで、まったく緊張感が途切れない。扱っている問題は胸糞悪いものですが、主人公2人がどこまでも誠実なので、物語としては清々しさすら感じるも -
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ネタバレ2月6日再読。
この小説を読む度に、色々なことを考えさせられる。
私は彼と同年代なので、考え方や世の中に対して共感できる点も多々ある。
だけど一方で相容れない部分もあるが、この本を読むと自分の人生の先が怖くなりもする。
今回読んで思ったのは、私たちの社会が何かと意味や物語を求めすぎていることも今を生きる上で息苦しくなっているのではないだろうか。
シンプルに見下されたくない、怒られたくない、傷つきたくない。
こういったことを甘やかしだと過度に批判されるため、それなりの理由をつけて何事も納得する。
自分の感情にも嘘をつきながら、納得する理由を探している。
佐伯ポインティさんの動画のコメントに、Z -
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この本は日本人の課題図書にすべきだと思う。
朝鮮半島と日本の歴史、国際関係と政治、北朝鮮拉致被害者問題、人間としての道徳…ノンフィクションに限りなく近いフィクションとして書かれた物語。
かっての北朝鮮を「地上の楽園」と称して日本から送り出した人々の1人として登場する第一部の孔仁学、愚連隊で日本から逃げ出し北朝鮮へ渡った第二部の玄勇太はかって親友同士だった。
2人の歩んだ地獄の様な日々は誰の責任か!?
それを問うべく第三話で成り立つ物語。
かって「帰国運動」とはやされて北朝鮮へ渡った9万人以上。その根底には日本政府としてお金のかかる貧困外国人を追い出す目的もあったという。
その片棒を担いだ「地上 -
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年末に借りたのですがなかなか読む気になれず、8日が返却日。
読みましたー。
はい。心して読みました。
私が知らない事だらけで、自分の無知さをこれまた呪いました。
朝鮮人への差別から始まる帰国運動。
大人の言葉を信じて賛同する高校生。
全てが、無知ゆえの…差別に耐えられず「地上の楽園」と信じて疑わない心からくる、善意。
良かれと思って帰国を勧め…。
作者は見事にエンタメとして小説に書き上げ、私達読者に知らせてくれました。
ただ、私はこの事実を上手く子ども達や夫に伝えられません。こんな出来事があったんだよとか、実際はこんな内情だったんだよ、って言っても本当の苦しみまでは伝わらないですよ -
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ネタバレとにもかくにも第2部がよすぎます。
勇太が最高です。いい男です、ほんとに。かっこいい。
騙されて北朝鮮に住むことになるが、船に乗った瞬間からもう何もかもおかしいって全員が感じてるのが第1部とはぜんぜん違います。
村に送られるバスからもう最悪、バスのボロさ、車内の汚さ、風景を見た反応から勇太家族の絶望がわかります。
村に着いてからの生活は最悪すぎて、ここから先に希望がまったく見えないのが読んでて怖かった。勇太が結婚し、子供が生まれたからさすがにこれ以上悪いことは起きないか?と思えばそれよりさらにひどいことが起きるとは。
この2部を読んでいけたのは勇太という人のおかげ。彼以外の視点だとあまりにも希 -
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★5 その日、その場所で何があったのか… 在日朝鮮人帰還事業の現実を綴る社会派小説 #地上の楽園
■あらすじ
戦後、高度成長期になる前の大阪。在日朝鮮人の学生である孔仁学は、同級生から日常的に差別を受けていた。友人の玄勇太は優しく頼りになる男であったが、素行が悪く将来の見通しは暗い。
そんな貧しく耐えがたい日々に思い悩んでいた仁学は、ある一冊の本に出会う――寺尾五郎『38度線の北』 そこには、祖国北朝鮮が「地上の楽園」として紹介されており…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 もう何も言うことがありません、読んでおくべき作品です。
これまで報道では聞いたことがあったし、たくさん記事も読 -
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さすが月村了衛といった作品。
宗教団体の末端の立場にあった凌玄が、一つの案件の裏を探ったことで上から潰されそうになる。
そこに目をつけた京都の闇社会のフィクサーである
和久良に引き込まれ、暴力団組織の若頭と共に悪事に手を染めていく。
初めは仏教を救うため、自身の窮地のために悪事に
加担していき、どんどんと組織の上部に出世してい
く。
関東圏の暴力団組織からも目をつけられるが、持ちまいの口の巧さや根回しでトラブルを回避する
二部では、時が過ぎて廃寺で仏像が何者かに盗まれる事件が起こり、凌玄の立場が怪しくなる
凌玄がだんだんと変わっていく描写がリアルに描かれていく
この手の物語は、決して主人公に -
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日本在住の北朝鮮籍の人が『帰還事業』で1959年12月14日の第一次船から1984年まで約9万人、集団移住した話です。とにかく強烈な追体験ができます。3部立てとなっていて、1部は第一次帰還の前に、日本に住み帰還を勧めていた側の在日高校生の目線で語られます。この部分が一番話も進まないし、移住しても絶対に幸せにならない未来を私たちは知っている上、当時の非人道的な在日差別を追体験し、読むのが辛いです。
第2部は1部で語り手だった孔仁学の親友、勇太が体験していく、移住後の帰還者たちの暮らし。とにかくここが壮絶を極めているので、恐ろしいのに読む手を止められません。そして、短めの第3部は日韓共同開催ワール