月村了衛のレビュー一覧

  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    詐欺師の話だけれどもコンゲームではなく、詐欺がうまくいっても決して痛快であったりはしない

    主人公はそもそも好きで詐欺を始めるのではない
    なんならずっと詐欺の世界から離れようとしている
    にも関わらず次から次へと大きな詐欺に手を染めることになる

    詐欺の手口も巧妙だったり緻密だったりというわけではない
    ストーリーの中では巧妙とされているものの仕組みがさらっと描かれるのみ

    主題は詐欺師の業だろうか

    まるで転落していくように詐欺師としてのし上がっていく主人公
    最後、娘に迫る結婚詐欺師や後妻業の女を詐欺師の手腕でねじ伏せる主人公は、カタルシスとともに、来るところまで来たという諦念のようなものがある

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    2026年04月24日
  • 地上の楽園

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    読書備忘録983号。
    ★★★★★。

    在日朝鮮人の帰還事業ですわ。
    いやはや凄いものを読んでしまった。
    月村さんヤバすぎ・・・。
    月村さん普及活動者としては出遅れ感満点ですがやっと読めました。予約するのが遅かった。

    なにを隠そう(実は隠すものすらない)!帰還事業知らんかったです。お恥ずかしい。
    1964年生まれのシンタローとしたら1959年から大量に始まった北朝鮮への帰国事業を知らんとかありえない。生まれたらすぐに「38度線の北」を読んどくのでした・・・。
    あと「北朝鮮の記録 訪朝記者団の報告」も「楽園の夢破れて」も読んどかなあかんかった。洟たらししてザリガニ釣ってる場合じゃなかったわ。

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    2026年04月19日
  • 地上の楽園

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    戦後史の大きなピースである「在日朝鮮人の帰還事業」について、これほどリアルに書かれたものはこれまでなかったと思う。
    もちろんフィクションではあるが、実際に起きたことを元にしており、作中に登場して重要な役割を果たす政治家や実際にある書籍やその著者などについては実名で記してある。それらを元に調べて行けばなぜこんなことが起きたのか、体制側と反体制側で一致した思惑がなんだったのかがある程度わかってくる。
    体制側でもっとも深く関わった政治家の後裔は現在の政権内部でも大物だし、帰還事業が多くの人を魅了し悲劇に追い込んだ人物が属した政治組織も細々とではあるが命脈を保っているのだ。
    善も悪も描かれているが、善

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    2026年04月17日
  • 普通の底

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    ネタバレ

    普通の人になりたかった青年が重大な犯罪を犯してしまう
    それは単なる不幸の連鎖によるものなのか?
    それともか彼の人間性によるものなのか?
    または時代のせいなのか?
    本書は結論を出していないが、誰しもに起こりうることとしているように思えるため、時代のせいと訴えているようだ
    先日、Z世代の特徴について書かれた書籍を読んだが、本書の主人公によく似ている
    優秀だが、それは隠し、目立つことを恐れ、出世を望まず、平均的な生活を望む
    一方で自己肯定感がかなり強く、自分の能力、判断に自信を持つ
    Z世代は闇バイトに陥りやすい特徴を持つのだろうか?
    ふとそう考えた

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    2026年04月13日
  • 対決

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    2018年に発覚した東京医科大学での女子減点事件は、医師の働き方という点では私と無関係ではなく、また子供が受験生だった年で医学部入学だったという点でも無関係ではなかった。ただ当時も今も点数減らされようが男性を蹴飛ばせるだけの点数取ればいいじゃないのという高飛車な意見にそんなに変わりはない。

    地検が裏口入学の捜査に来て、私立統和医科大学の資料を持っていった。政治家の息子が学生寮建設用地取得に便宜をはかってもらった見返りで、点数に下駄をはかせた疑惑である。日報新聞の社会部記者である菊乃は取材をしていた。入試で女子の点を減点しているとの噂がある。

    統和医科大学の一次試験での男子合格率18.7%、

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    2026年04月13日
  • 地上の楽園

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    ネタバレ

    在日朝鮮人の悲しく悲惨な戦後当時の物語
    主人公たちは在日朝鮮人として、大阪で暮らす
    そこでは常に差別を受け、やがて故郷への帰国を夢見る
    主人公の1人はそのまま夢の国と言われていた北朝鮮に帰国するが、そこは想像を絶する地獄だった
    食料は乏しく、国への批判は厳しく咎められ、まともな生活が送れない状況だった
    友達も、愛する娘も妻も、全てを失い、韓国に命からがら脱出する
    一方で、北朝鮮への帰国を勧めた在日朝鮮人、日本の政治家は何の責任も取らない
    この現状は世に知らしめるために、かつての主人公の友2人は老体に鞭打って立ち上がる場面でこの物語は終わる
    北朝鮮の生活は今でも厳しいことは知っているが、戦後当時

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    2026年04月04日
  • 機龍警察 暗黒市場

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    前作「自爆条項」では、ライザ・ラードナー警部を介してのアイルランドを、本作はユーリ・オズノフ警部を介してのロシアをメインテーマに描く。言うまでもなく面白く、このシリーズはハズレなし。安心して物語世界にドップリ浸れる。

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    2026年03月31日
  • 土漠の花

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    今、アメリカのイラン攻撃で自衛隊派遣を迫られている事と重ねてしまった。自衛隊が助けを求めてきた部族の人たちを守るために命を賭けて戦い戦死するものもいてこれはまさに戦争である。作品では戦闘について闇に葬られた。現実にホルム海峡に戦艦を出せば日本も戦争に加担することになってまい、言い訳もできないと思った。

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    2026年03月27日
  • 地上の楽園

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    まるでノンフィクションかのような内容で、北朝鮮という国の恐ろしさがよく分かる。
    帰還事業に小泉純一郎の親父が関わってるってのは初めて知った。

    ネットフリックスあたりが映像化しないかな...無理か。

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    2026年03月26日
  • 地上の楽園

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    すごい小説だった。
    500ページ近いし、内容の98%が絶望と地獄なのにあっという間に読み終わった。
    「火垂るの墓」を観終わった感情と同じで涙で顔がぐしゃぐしゃに。(辛い、しんどい、切ないのオンパレード)

    フィクションであってほしいとここまで思った小説はない。残念だけどほぼほぼノンフィクションという…

    こんな事があった事実を知れただけでも読んだ価値があった。
    忘れられない一冊になりました。

    あのデブ指導者がまじで憎い。

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    2026年03月21日
  • 機龍警察 暗黒市場 下

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    ネタバレ

    エンタメすぎる
    おもしろすぎる
    ユーリオズノフ、良かったな。
    心では裏切られてなかった!!
    ダムチェンコ、ありがとう
    ユーリオズノフ、でたらめにかっこいんだろうな。これはもう決まり。
    人間性が良い。機龍警察、終わりが見えてくるの悲しい。
    ハリウッドいけるよこれは。

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    2026年02月27日
  • 地上の楽園

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    プロローグ

    とある、公園のベンチの片隅で本書を読み終えた
    思わず空を見上げるとドが付くほどの晴天

    一方で心は曇天且つ冷え切っている
    それはまるで、北緯38度線のようだ


    “北”へ送ったものと送られたものの物語が
    始まろうとしている


    そこに“約束の地”はあったのか!?

    この壮絶な物語の扉は開け放たれた!


    本章
    『地上の楽園』★5
    多くのブク友さん絶賛の一冊

    エンタメ的に云うならば、仁学と勇太の魑魅魍魎持ち受ける慟哭必至の冒険小説

    北への帰国!?帰還!?を送った者“仁学”の後悔と
    帰還を選択した者“勇太”の後悔

    当時は、何が正解で何が不正解なのかは、誰も知る由がなかった

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    2026年02月23日
  • 地上の楽園

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    在日朝鮮人帰還事業。1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。大阪に暮らす二人の若者、孔仁学と玄勇太が経験する「地獄」を通して、日本人の差別感情と、政府・マスコミらが犯した大罪に迫った社会派小説。

    4冊目となる月村さんの作品はやはり裏切らなかった。一気読み!フィクションと承知しながらも、実在する本や人物、知った政治家などの名前が出て来ると、今更ながらそういうことだったのかと思わされる。そして、主人公達と同時代を生きてきた自分が何も知らないことに愕然となる。拉致被害に遭った日本人がタラップを降りて帰って来たテレビ映像もだぶった。
    第一部での主人公・仁学の視点で進むと

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    2026年02月19日
  • 地上の楽園

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     先月、東京地裁が「国家的施策として事実と異なる情報を流布して原告らを誤信させ渡航させた」として北朝鮮政府に対して脱北者4人に賠償命じる判決出したばかり。この時も、「情報を流布した」マスコミと日本政府は頬かぶりしたまま。歴史を掘り下げ、謙虚に学ぼうという姿勢は微塵もなし。「差別を逃れて帰国したつもりが、祖国は日本以上に厳しい差別が待っていた」キタのくだりはおぞましいできごとオンパレードに目を背けたくなるが勇太の行動になんとか救われる。また、おかしい事はおかしいとハッキリ言う山崎先生「大事なんは人々が差別のない社会に幸せに生活できること」にも。ただ、今また世界中で壁が築かれ始めている。本当に同じ

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    2026年02月18日
  • 地上の楽園

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    読み終えて大きなため息がこぼれました。
    とてつもない物を読んでしまった‥‥
    在日朝鮮人帰還事業。
    北朝鮮は地上の楽園だと書かれた本を読んで、皆に帰国を勧める仁学と、仁学を信じて帰国した勇太。
    勇太を始め、帰国した者たちの想像を絶する生活。あまりの悲惨さに生気を失い虚な目で生活する人々。読んでいて、後半は何も感じなくなってきていている自分に気付く。脳が考えることを拒否しているのが分かる。きっと帰国した人たちも同じ感覚だったんだろうと思う。
    知らないというのは恐ろしいことだと気付きます。日本と朝鮮との歴史をきちんと学んでいなかった自分をはっきりと自覚しました。
    でも、本書で“地上の楽園”と書かれた

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    2026年02月16日
  • 対決

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    医学部の受験で女子が一律減点されていた問題をテーマに、それを暴こうとする記者と、大学の権威を守るために隠蔽しようとする理事の対決を描いた作品。
    対決する女性2人は、立場こそ違えど誠実に生きようとしてる。そしてそれぞれが女性であるというだけで理不尽な差別を受けてきた。本書では性差別やその他の差別に正面から向き合い、それが決してなくなることはないことも受け入れつつ、解決を模索していく。そしてその思考の先に主人公2人の対決がある。
    もう物語が動き始めてから最後の最後まで、まったく緊張感が途切れない。扱っている問題は胸糞悪いものですが、主人公2人がどこまでも誠実なので、物語としては清々しさすら感じるも

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    2026年02月14日
  • 地上の楽園

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    読み終えて、自分は今作を読まなければいけなかったのだと思った。小説でありながら、真実に肉薄するこの文章が、自分には必要だったのだ。

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    2026年02月11日
  • 普通の底

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    ネタバレ

    2月6日再読。

    この小説を読む度に、色々なことを考えさせられる。
    私は彼と同年代なので、考え方や世の中に対して共感できる点も多々ある。
    だけど一方で相容れない部分もあるが、この本を読むと自分の人生の先が怖くなりもする。
    今回読んで思ったのは、私たちの社会が何かと意味や物語を求めすぎていることも今を生きる上で息苦しくなっているのではないだろうか。
    シンプルに見下されたくない、怒られたくない、傷つきたくない。
    こういったことを甘やかしだと過度に批判されるため、それなりの理由をつけて何事も納得する。
    自分の感情にも嘘をつきながら、納得する理由を探している。
    佐伯ポインティさんの動画のコメントに、Z

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    2026年02月06日
  • 地上の楽園

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    言葉では知っていたけど、その実態は知らなかった、在日朝鮮人の帰還事業。途中、辛すぎて読むのがきつかったけれど、歴史を知らなければ、そして忘れないようにしなければ。今のこの時代の危うさも感じさせてくれ、それでも最後は希望の欠片を感じられる良作でした。

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    2026年02月02日
  • 普通の底

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    どんどんと通っては行けない門を通ってしまい、普通でいたかったのに気がつけば‥という読むのがすごく辛くもあり、でも読むのを止められなかった。

    個人的に、東野圭吾さんの殺人の門という本で、殺人の門をくぐってしまったのだ‥という確かフレーズがありそれを思い出した。そんなつもりはなかったのに、だんだんとその門に近づいていて、ついに思ってもない場所にいたという。

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    2026年02月02日