月村了衛のレビュー一覧
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月村了衛『悪の五輪』講談社文庫。
1964年の東京オリンピックを巡り暗躍する悪党たちを描いたクライム小説。
戦後が終わり、日本がオリンピックという世界の檜舞台に立つために国民が一丸となって、大きく変貌しようとしていた昭和の時代。そして、今。新型コロナウイルス禍の中で、国民の多くが開催に反対する中、日本政府と組織委員会とが無観客でも強行開催しようという現在の東京オリンピックとは全く状況が違うようだ。余りにも対照的な2つの東京オリンピックを対比して読むのも面白い。
オリンピックの利権に悪党たちが群がるのは今も昔も変わらぬようだ。そして、虚しさだけの残る祭りの後……
翌年に東京オリンピック開 -
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ネタバレ・・・か・・・カッコいい・・・orz
いやもぅ、「機龍警察」シリーズは、どれもカッコいいんですけどね。これまでの作品同様、極めて重厚で救いようのない暗さを孕みつつ、ラストシーンに見える光の眩しさ、陳腐な表現をすれば「読後感の良さ」はシリーズ随一かと。
SFとしての評価ポイントは、新型機甲兵装「キキモラ」と<龍機兵>の対比。<龍機兵>に匹敵する運動性能を誇るキキモラを倒すために、その本質を掴んだユーリが編み出した奇策が「そう来たか!」と膝を打つ面白さ。機甲兵装同士の戦闘シーンもサービス満点の描写ぶりで、重厚なストーリー展開の中で派手なドンパチも堪能できるという、稀有なエンターテインメント作品 -
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月村了衛『東京輪舞』小学館文庫。
日本の裏面史で蠢く公安警察と数々の事件の背後を描いた警察大河ミステリー。ミステリーというよりも、昭和から平成という激動の時代の中で、誰よりも国を思い、真面目に生きた警察官の人生と叶わぬ恋を描いた長編小説であった。
敗戦から75年を過ぎてもなおアメリカに支配され続ける日本。日本の各地に治外封建の米軍基地が幅を利かせ、日本政府はアメリカの下僕であり続ける。政治や企業の腐敗と凶悪事件の日本近代史の裏に必ず見え隠れするのはアメリカやロシア、中国といった大国の影である。
田中角栄邸を警備していた主人公の警察官・砂田修作は公安へと異動し、時代を賑わす数々の事件と向き -
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いやいや、面白かった。きっと助かると思っているんだけど、囮捜査に入ったユーリの運命には、終始ハラハラさせられっぱなし。キモノ同士の闇ファイトも、闘う側に回されるんだろうな、という予感はあっても、そこにどうやって持っていくのか見えなかったけど、なるほど、このタイミングでバレる訳やね。過去のシーンで裏切った(と思わされていた)上司も、そのキャラぶりと裏切りという行為に、かなり乖離があるように感じられたけど、救出劇への身を呈した参加を見せつけられるに至って、感動もひとしお。劇的展開が素晴らし過ぎる。シリーズ第一作の時点では『まあそこそこかな』とか思っていたんだけど、第二・第三長編と読み進むにつけ、こ
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シリーズものの小説は、観光間隔が開くと、ほぼ完全に登場人物とか、その背景とか忘れてしまう。かといって毎回読み直すのも、自分的にはちょっと違うし、何となくのまま読み進めてしまうことが多い。本作も、多分には漏れないんだけど、キャラ立ちが素晴らしいせいか、主たるメンバーはそれなりにしっかり覚えていられる。という訳で、今回もその中の一人に焦点が当てられた作品。しかも、本上巻の後半は、丸々その回想に割り当てられているという結構。自分が読む長編としては、シリーズ3作目だけど、こういう展開も大歓迎。という訳で、現在とシンクロしたところで上巻は終わり。下巻も興奮しそう。
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ネタバレ物語全体を通してまるで『山月記』の読書感想文を読んでいるようだった。作中には『羅生門』など他作品も引用されているが、やはり人とまともに関わらず自尊心を飼いふとらせている点が物語の肝になっていると思う。昔授業で山月記を習ったときはなんとも思わなかったが、大人になった今だとこの自尊心を飼いふとらせるという表現が自分に深く突き刺さった。
この主人公にどこまで感情移入できるかで評価が変わりそうな気がする。展開だけを見れば、中学校教師の過労、政治家の癒着、婚約者の失望、同僚・生徒の裏切りなど、主人公がひたすら傷付けられている。それを一歩離れたところから見てざまあみろと嘲るか、一緒になって自分の心を痛ませ -
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月村了衛『追想の探偵』双葉文庫。
最初にタイトルを見た時に鏑木蓮の『思い出探偵』シリーズみたいなストーリーかなと思ったのだが、全く似て非なる内容の作品で、なかなか面白い設定の探偵小説であった。
探偵小説と言っても少し毛色が違い、黎砦社(れいさいしゃ)という今にも潰れそうな名前の出版社で特撮映画を取り上げる『特撮旬報』という雑誌の編集を担当する神部実花が消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させて雑誌の特集に使うというものだ。
様々な事情を抱え消息不明となった人びとの過去を巡る実花の旅。映画に関わる様々な人びとの過去と様々な思い出とが一つにつながった時、感動の結 -
購入済み
蘇る昭和の世界、味わいある七編
東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。
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大沢在昌、藤田宜永、堂場瞬一、井上夢人 今野敏、月村了衛、東山彰良『激動 東京五輪 1964』講談社文庫。
昭和39年。東京オリンピック開催に沸く東京を舞台にした7人の作家によるミステリー・アンソロジー。古き善き時代の香りの中に描かれる様々な形のミステリーとピカレスクはいずれも秀逸。
2020年の東京オリンピック開催を記念しての刊行かと思うが、新型コロナウイルス感染拡大の非常事態により東京オリンピックは2021年に延期されてしまった。延期ならまだしも、2021年に開催できるかどうかすら怪しい状況である。自分は中止になると見ているが……『アンダーコントロール』『復興五輪』という日本の総理大臣