月村了衛のレビュー一覧
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巻がすすむごとにますます濃密なドラマ、それも闇のドラマ色が強くなっている。
今回は子供の人身売買(それも臓器売買)がテーマ。
実際にそういう売買があるのは耳にすることだが、それにしてもこうやって書きこまれると、小説の中だけとは片づけられない(日本でも年間3万人以上の人が行方不明になっているし…)。
そのノンフィクション世界の中に、現実をベースにした虚構の政治・経済・警察官僚の癒着や闘いを描き、その中心にフィクションである”機龍警察”がいるという構図が見事に出来上がっている。
毎回、”敵”との闘いを描きながら、必ずメインキャラの過去も含めて濃厚にそのドラマが描かれるが、今回は何とほぼ敵キャラのクワン!
テーマとも重なり、その陰影のあるキャラの凄惨な過去がじっくりと描きこまれている。
前半は機龍の登場はほとんどなく、緻密な警察小説の趣だが、終盤の怒涛の展開は非情な結末に向かって盛り上がる。
”敵”との決着がついたわけではないが、収まり方からも第1部終了、と言う感じがする。
もちろん、新メンバーも加わって今後の展開も楽しみ。
それにしても、ますます文章の練度が高くなっており、娯楽小説の範疇で、このレベルの作品は大沢在昌の「新宿鮫」シリーズ位では? -
Posted by ブクログ
読書備忘録1030号。
★★★★★。
なんでしょうねぇ。この読後感。
ザッツ!ユーリ・オズノフ!としか言いようがない。
そして、ザッツ!警官の矜持!
備忘用あらすじは要らね~!
本の紹介。
「元ロシア警官のユーリ・オズノフ警部は、警視庁特捜部との契約を解除され武器密売に手を染めた。そんな中特捜部は、近々ロシアマフィアによる有人搭乗兵器の見本市が行われることを察知するが……。」
そんな訳ないやん!
ネタバレでもなんでも無く、"潜入捜査間違いなし"って100人中100人が思うやん。
ロシアマフィアによる機甲兵装の闇マーケットが実施される訳ですね!だからロシア人のユーリが潜入するのね。
なるほど。で?
とんでもない物語でしたわ(T_T)(T_T)(T_T)。
なんなん!これ!
なんなん!ユーリ!なんなん!ダムチェンコ班長!
なんなん!由起谷!夏川!警官の矜持、警視庁バージョン!
なんなん!緑ちゃん!最後のファインプレー!
なんなん!沖津!最後、渡会に手錠を渡すシーン!
★こっからネタバレ★
未読のみなさまさようなら!
物語の多くのページを割いて描かれるのはユーリの少年時代から沖津にスカウトされるまでの過去。
同級生のロシアン・マフィアの息子との関わり・・・。灯火と影という。
どのようにユーリは警官の矜持を持つようになったのか・・・。
モスクワの警官時代に受けた壮絶な裏切り・・・。
指名手配を逃れて暗黒世界を彷徨ってきたユーリ・・・。
それでも裏切りの真実を探して・・・。
洒落たスーツで必然的に表れた沖津部長!君をスカウトしたい。と!
そしてなんと、モスクワ時代の過去が合わせ鏡のように現代暗黒市場として再現される!
明かされる裏切りの真実!
という面白くない訳ないストーリーです。
そして備忘キーワード!
モスクワ民警「最も痩せた犬」班、痩せ犬の7ヶ条!
6人のメンバーが。
「一つ、目と耳と鼻を決して塞ぐな」
「一つ、尻尾は決して巻くな」
「一つ、相手の目を惹かず、相手から目を逸らすな」
「一つ、凍ったヴォルガ川より冷静になれ」
「一つ、自分自身を信じろ」
「一つ、見方を変えて違う角度から見ろ」
最後の一つは・・・。
「まっすぐに生きろ!」
そして、もうひとつ。
犬である。
警官の矜持としての犬の意味。
ユーリの左手グローブの意味。負け犬。
機龍兵バーゲストの意味。イングランドの魔犬として蘇る!
さらに、もうひとつ。
やっぱり、闇マーケット会場でのドンパチは読みごたえ満点!
瀕死のユーリがアグリメントモードでバーゲストを駆る場面は心拍160越え!
そして11歳からユーリが背負ってきた闇を沖津は報告書という形で魂の浄化をさせるくだり。もう沖津さまぁ!と胸アツです。
はい。泣くね。これ。
PS.
3作読んで、なんか姿さんのバックグラウンドが弱い。
第1作である程度は語られたけど、第1作は言ってみれば物語の構造紹介の意味合いも強かったので姿さんにフォーカスされていた訳ではなかった。
それに比べて、自爆条項のライザの罪と贖罪の物語。今のライザを形作っているものがはっきりした。
そして今作。ユーリの弱さや影、どうしても捨てきれない警官の矜持が描かれた。ユーリはとにかく人間味あふれている。だから弱い。だから強い!が描かれた。
姿さんは?
誰か教えて。 -
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プロローグ
出逢い…
本書は、氏の『地上の楽園』でのレビューにて初コメのブク友さんからご推奨いただいたのがきっかけで知り得た作品だ!
また、その後師匠やシン様より熱烈な推しもあって手に取ってみたのだが…
本章
『機龍警察』★5
なんと、月村了衛氏のデビュー作であるのだが、
面白いなんてもんじゃない
ジャンル的には、非常に複雑である
冒険ミステリーにバトル系のSFを足したような、男子大好き系の内容だ
映画というか、アニメ化されたら最高にフィットするし、いろんな元ネタ感満載(よい意味で)のシリーズ物である
デビュー作で、シリーズ化を意識した1巻となっており、勿論次作が楽しみだし、相当自信が無いと書けない、根底となるデビュー作なのだ
シリーズ第一作目が、今後のシリーズのプロローグ的な役割も成していると思われることから、何となくだが、ハヤカワから何冊かの契約を結んでいたのかもしれないと想起してしまうのである
いずれにしても、今後楽しみなシリーズがまた舞い降りちまった
読み終えて、そう思った!
エピローグ
で、本日人間ドック
視力も年々衰え、肝機能、尿酸値の値もHとかLという赤文字のアルファベットが並んでいる
最後の問診で、先生にも偏った食事等を指摘され、たいそう絞られた次第である
ところで、HとかLってなんだ!!?
なんで、先生に確認しなかったんだろう!!?
最後にそうも思った(¯―¯٥)8v♪
完 -
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今回もすごかった…
取り扱う事件も、立ち向かう敵も。
月村さんの、史実、世界情勢、近未来にSFまでもを織り交ぜ創り出す世界とストーリーに心鷲掴みにされた。月村さんの脳内どうなってるの。すごすぎるよ。
そして、久しぶりの特捜のメンバー…。
もう、本の中だけど再会できて嬉しかったぁぁ!
ずっと会いたかったよ!
漆黒社会を読んで、關剣平、由起谷、沖津、姿、白木、特捜メンバーたちにどれだけ心揺さぶられたか。色々な感想が溢れ出してくる。
あれもこれも語り尽くしたいけれど、一つだけあげると、383ページの姿と關剣平の激闘の最中、姿が關を「幽冥の境に在る鬼だ」と表現した言葉が深く心に残った。
姿は關を「幽冥の境に在る鬼」っていったけれど、私には姿も沖津も由起谷もユーリもライザも幽冥の境で戦っている鬼に思えたから。
いつ命を落としてもおかしくない極限の状況で、自分の内に潜む鬼を呼び覚まし、信念や守るべきもののために命を懸けて闘う。
それぞれの立場も矜持も違う。それでも自分の信じるものを守るために鬼となって闘う彼らのすがたが、心にずっと残っていて思い出してはうるっとしてしまう。
第一シリーズ完結…、ということで
ぜひ、等身大のフィアボルグ、バーゲスト、バンジーを作ってほしい♡
早川書房さん、どうぞお願いします!
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Posted by ブクログ
「漆黒」黒よりも黒い黒
今回特捜部が対峙するのは、国際的人身売買組織だ
組織は臓器売買だけでなく、幼い子供の四肢を切断し、特殊な義肢を装着することで機甲兵装の操作能力を飛躍させた〈棒〉と呼ばれる「商品」の売買にも暗躍する
しかしそのことは黒道(ヘイタオ)の掟に生き、凄惨な過去を持つ和義幇の鬼機夫(クージーフー)關剣平の逆鱗に触れる
そして自らの欲望を満たすために、社会の闇に潜む〈敵〉も見え隠れする中、捜査を進める特捜部を最大の悲劇が襲う
対峙する鬼神と怒れる龍たち
戦場の影に潜む闘士、原始の巨人「フィアボルグ」
ロシアの凍土を駆ける風、黒き猟犬「バーゲスト」
アイルランドの夜に哭く、死を呼ぶ女精霊「パンシー」
ユダヤの暗殺者、死を告げる天使「アズライール」
「漆黒」の社会を駆逐するのは、なお黒い「暗黒」の道に生きるものたちに残された誇りか、弱きものたちの盾となり正義に殉ずる警察官という名の「龍」たちなのか
答えは第二部で明らかになる
吠えろ!「DRAGーON!!」 -
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鬼★5 悪逆非道な現実と圧巻のアクション! 命を賭した決断に胸が震える、今年読むべき極上の社会派ミステリー #機龍警察 #漆黒社会
■あらすじ
台風下の対馬海峡、海上保安庁が不審船と交戦。棄てられたコンテナから人身取引の証拠が発見される。警視庁特捜部は解明に乗り出し、特殊義肢を扱う本川製作所の関与を疑われる。
しかしその本川製作所は、城州グループとフォン・コーポレーションによって株式の争奪戦が行われていた。一方、香港黒社会幹部の關(クワン)は、新疆ウイグル自治区で行われている虐殺を追っていた。
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 機龍警察シリーズの最新作、何コレ、めちゃくちゃおもろいんですけど。実は本シリーズはこれまで読み切れていないので、全部読み切りたいと思いました。
本作は国際的な人身売買犯罪から始まり、非人道的な兵器開発という「犯罪」という言葉では足りないレベルの悪逆っぷりが描かれる。当然それをよしとしない警視庁特捜部によって捜査もされるのですが、裏舞台では政治や財界での不穏な動きもあるのです。
一方、香港黒社会の大幹部である關剣平、彼がいかにして今の人間性になったのか、悲しい過去が描かれる。そこには龍機兵や人身売買との関係性も浮き彫りとなり、今回の事件にも大きく関わってくるのです。
物語が始まっていきなりショッキングなシーン。さらにウイグル地区での数々の出来事を追っていくだけで、もう鬱気味になってしまう。あまりに地獄絵図で、頼むからフィクションであって欲しいと願うばかりです。
本作中に出てくる悪逆な行為の数々は、あまりに強烈。人を人とも思えない虐待に目をそむけたくなる。しかし歴史を見てみると、そんなにも珍しいことではない気もしてくる。いつの世も、常に一番弱い立場の者が犠牲になる。分かりやすい悪者だけでなく、もちろん政治家にも悪党が潜んでいるところも…
そして本シリーズには様々なキャラクターが出てくるんだけど、これまでどんな過去があったんだと知りたくなってしまうほど愛おしい。過去作を読まなきゃ。
特に気になるのは由起谷、姿、關ですね。物語の後半から宿敵側とのコネクションから展開していくのですが、彼らがどのような行動に出るのか。みんなひとりひとりが、生き生きと描かれています。自分の命に対して責任を持って決断している感じがする。
そしてもちろん機龍警察シリーズ、アクションもまた素晴らしい。終盤の大アクションも素晴らしいが、個人的には前半、關剣平の過去シーンでの戦闘シーンが胸に刻まれている。
あげようと思えばまだまだ良い所がいっぱいあります。この密度と解像度での、このレベルの高品質犯罪&社会派ミステリーを書かれたら、もう完全にノックアウトですよね。今年読むべきTOPレベルの一冊だと思いました。
■ぜっさん推しポイント
本作は龍機兵と呼ばれる発達した兵器によって、犯罪が凶悪化、高度化している世界の物語。さらにそれに乗り込んで戦うのは外国人の傭兵。当然、様々な方面から非難がありそうだが、これまで多くの危機を解決した事実もある。
戦争なんて反対なのは当然なんだが、もし巻き込まれた場合、絶対に負けられない。とんでもない悲惨な現実が待っていることは、本書を読むとよくわかります。しかし兵器の発達と言うのは恐ろしい。核兵器に置き換えたらどうなるんだろうか… なんて思わずにはいられなかった。 -
Posted by ブクログ
プロローグ
そこは、灼熱の地、ソマリア
噴き出す汗は、またたく間に気化し地に届くことはない
だが何故だろう
止め処なく流れる涙は、気化するどころか頬を伝い胸へと流れていく
それは、散っていった物語の登場人物たちに手向けた涙なのか!?
今日もソマリアの大地の頭上には、真っ赤な太陽が君臨していた
本章
『土漠の花』★Super5
第68回日本推理作家協会賞受賞作品だが、本作は紛れもなく、冒険小説の傑作である
ソマリア国境付近で活動する自衛隊の精鋭部隊に命を狙われている女性が駆け込んできた時、自衛隊の命を懸けた戦闘が始まる
果たして、行きて生還することは出来るのか!?
よくある設定なのだが、いゃ〰読ませる、読ませる
手に汗握る展開がこれでもか?これでもかと押し寄せてくる
こういうの、こういうのが好きなのよ!
どストライクな作品である
そう思った!!!
エピローグ
“土漠では夜明けを待つ勇気のある者だけが明日を迎える”
その自衛隊の勇気がソマリアを救った
乾ききった大空に“タケトンボ”が舞った
それは、土漠の中で懸命に生きる花のように見えた気がした
完 -
Posted by ブクログ
リストラされた垂水柊一郎は、妻の故郷である暮内町に移住し、漁師として働くが、ある日妻と義父が釣りに出たまま帰らぬ人になり…。
二人の死に疑念を持ちつつ、だが何もできないまま漁にに出かけたある夜、イルナムと名乗る北朝鮮人を助ける。
だが彼を助けたことで…。
彼の正体は…。
腐敗した港町で起きていた密漁、その後に失踪した漁協事務員…。
妻と義父の死の真相がわかったときには、この町の将来は嫌な方向へと向かっていたのだろう。
陰湿な家父長制が、日本社会に今も根強く残っていることに驚くのだが、漁協に町議会、県議会、そして政府と遡れるが、家長の決めたことは絶対なのか…と。
逆らう者は意図も容易く排除されることの怖さに今更ながら驚きを隠せなかった。