ソマリアで現地の女性を保護した結果、戦闘に巻き込まれる自衛隊のお話
以下、公式のあらすじ
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男たちは、命を賭けて女を守ったーー。
なぜここまで激しく攻撃されるのか?
なぜ救援が来ないのか?
自衛官は人を殺せるのか?
ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、壮絶な撤退戦の幕があがった。圧倒的な数的不利。武器も、土地鑑もない。通信手段も皆無。自然の猛威も牙を向く。最悪の状況のなか、ついには仲間内での疑心暗鬼まで湧き起こる。なぜここまで激しく攻撃されるのか? なぜ救援が来ないのか? 自衛官は人を殺せるのか? 最注目の作家が、日本の眼前に迫りくる危機を活写しつつ謳いあげる壮大な人間讃歌。
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墜落したヘリの捜索救助要請を受け、隊長に任命された吉村3尉以下12名
遺体の回収は難航が予想される中に現地の女性3人が助けを求めて駆け込んでくる
避難民として保護した結果、彼女たちを狙う異なる氏族の武装集団が遅い来る
女性二人は撃ち殺され、隊長を含む5名の隊員も死亡する
生き残った隊員7名と、保護した氏族長の娘が70km離れた自衛隊の活動拠点への帰投を目指す
果たして、氏族の武装集団に追われながら、氏族長の娘アスキラを保護して逃げ切る事はできるのか?
生き残った隊員
友永芳彦曹長:事故で両親を亡くし、生きるために自衛隊に入隊。吉村3尉を尊敬していて、自分の判断・決断力については自身がない。差別的な発言をする新開に対して思うところがある。
新開譲曹長:友永と同い年の31歳。少年工科学校を優秀な成績で卒業。時折差別的な発言をするが、冷静な判断ができる。ソマリアへの派遣のためソマリア語を多少わかる程度に学んでいる。
朝比奈満雄1曹:37歳。合気道を嗜む偉丈夫。
由利和馬1曹:元暴走族から自衛隊に入隊。警務隊から空挺団に異動する変わり者だが、それには事情があったようで……
津久田宗一2曹:妻子ある身。射撃の名手だが、人を殺すことに躊躇いを感じて撃てなくなる。
梶谷伸次郎士長:自動車工場の倅で腕利きの整備士。年齢・階級共に上の由利に対して思うところがあるよう
市ノ瀬浩太1士:元水泳選手。襲撃時にたまたま外に出ており、皆の窮地を救った。
海外派遣された自衛隊に助けを求めてきた現地の人を保護する事の是非
人道的には正しいことだけど、その結果として戦闘に巻き込まれるとしたら……
戦闘は自衛隊の活動目的からは逸脱した行為にあたる
本来であれば米軍に任せる場面だけれども、そもそも米軍の手が足りないのでお鉢が回ってきたオペレーションなわけで
保護するのか、見捨てて帰投して米軍に連絡するのか
見捨てた場合はほぼ死が確定している状況
本来許された行動と、眼の前で殺されそうな民間人に対して何ができるのかという選択
難しい判断ですねぇ
フィクションだけれど、実際に起こり得る事態だと思う
もちろん起こってほしくはないのだけれど
戦闘地域では、「自衛隊だから」攻撃を受けない理由はない
しかし、自衛隊は戦闘ができない
本当に矛盾した状態だよなぁと思う
非戦闘地域の定義を聞かれ、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と答えた首相がいたけど、全くの詭弁だよな
「自衛隊は何を守るために戦うのか?」
「自衛官は人を殺せるのか?」
作品が発表された2014年は、集団的自衛権の行使容認が閣議決定された年
明らかにその事を意識された内容になっている
終盤、「何故捜索隊がすぐには来なかったのか?」というのがわかるところで、何とも言えない気持ちになる
国同士の利害関係があり、その結果として日本人の命が失われる事
まぁ、他国の人の命ならいいのかというとそうではないけれども
特に、海外派遣された自衛隊の命は、日本人にとって特別な意味を持ってしまうからな
そして、事件がどのように報道され、隠蔽されたか
前述の通り、自衛隊が海外で戦闘で亡くなるというのは受け入れられない
だけど、そのために真実を隠蔽するというのもまた違うと思うものの
仕方がないと思ってしまう面もある
フォクションだけれども、もしかしたら本当に情報が秘匿されているという事態が起こっていてもおかしくないと思った
「土獏では夜明けを待つ勇気のある者だけが明日を迎える」というフレーズが作中では度々クローズアップされている
焦らずに耐えて待つ事ができる者だけが生き残れるという意味なのだろうけど
この物語の結末にも通じているのだろうか
あと、自衛隊内のいじめについて
何と言うか、ものすごく陰湿に描かれている
民間企業のパワハラ以上に、組織を守るためという理由で容認されてしまうのはおかしい
本当に厄介な人物なのであれば、適正な人事で適した部署に異動させればいいのにね
それができないからいじめるとか、胸糞悪い
あと、詳しくないので疑問に思ったんだけど
友永と新開の指揮権の優先順位について
先任の制度て、班が違えど、先にその階級に上がった方が優先されるんじゃないのか?
それとも階級が上がったのも同時だったのだろうか?
総じて、戦闘シーンや緊迫したシーンが多いので実写映画向き
ストーリーとして着目する部分も多いけど、アクションの比率が多いので映像向きの作品だと思う