月村了衛のレビュー一覧

  • 半暮刻

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    これはめちゃくちゃ面白い1冊。一気読み保証。何と表現したらいいか、とにかく熱がある。黄色い家に若干似ている部分があるがそれ以上に躍動感、臨場感、緊迫感、残酷さ、ずるさ、脆さなどが絶え間なく押し寄せてくる。凄い1冊でした。

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    2024年09月12日
  • 対決

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    パワハラ、セクハラ、アカハラ、ジェンダーギャップにルッキズム…社会に蔓延る差別が天こ盛りの物語。未だ自己をアップデート出来ず、他者を傷つけ、不正を正当化する人間がぞろぞろ登場。立場の弱い者が一方的に我慢を強いられる描写に憤る。が、檜葉菊乃と神林晴海は強かった。二人はポリコレ意識が高い。我欲を捨て、信念を貫く二人の姿に刺激を受けた。

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    2024年09月09日
  • 半暮刻

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    半暮とは「半グレ」を指しています。

    ヤクザは現在法律で厳しい取り締まりに遭い、青息吐息です。

    一方、一般人扱いである半グレ集団は、特殊詐欺などの犯罪集団の代表格です。

    しかし一般人であるから逮捕、起訴、有罪判決にでもならない限り表には出てきません。

    つまり半グレを見分けることは難しいのです。

    その半グレ出身の2人の若者が物語の主人公です。

    ひとりはヤクザにまで身をやつしますが、その後は更生し、ささやかな家庭を築くことが出来ます。

    もう一人は半グレだった過去を隠し、エリート街道を歩みます。

    このエリート社員が置かれる環境が半グレの巣窟と言ってもいいのです。

    エリート社員が務める

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    2024年09月04日
  • 半暮刻

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    黒は悪、灰色は、邪悪
    ラストシーンの、やくざは、メフィストフェレス
    すり合わない主人公の二人は、人間達の象徴

    ひさびさ一気に読んだほんですが、日本国は大丈夫ですかね?本に登場する最強の灰色のヒトたちだけは、平気なんでしょう。

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    2024年08月09日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    月村了衛さん「欺す衆生」
    第10回山田風太郎賞受賞作品。
    前回読んだ「半暮刻」が自分にはいまいちだったのでこちらの作品も読んでみる事に。

    物語は被害総額2000億円以上とも言われる悪徳企業「豊田商事」が仕掛けた巨額詐欺事件をベースとしたフィクション小説。この作品内では「横田商事」とされている。
    実際に事件のあった1985年の会長の刺殺事件から物語はスタートする。そこから主人公隠岐をはじめ横田の残党が徐々に集結し実際の時事や事件などの時系列と平行しながら物語は進む。

    元横田商事社員として世間の荒波の渦中にいた隠岐は同じく元横田の因幡に脅されるように一緒に悪事に手を染めていく。かつての横田で学

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    2024年08月07日
  • コルトM1847羽衣

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    久し振りにホームランだね。月村さんの作品は大好きだけどテーマによって、かなりムラがあると思う。
    今回の羽衣は、この人の本当に得意分野だと思う。
    機忍兵零牙に匹敵する小説だ。
    僕のように幼い時に観た映画「旗本退屈男」「銭形平次」TVなら「赤胴鈴之助」「矢車剣之助」「鞍馬天狗」「白馬童子」そして「仮面の忍者赤影」に続く冒険活劇・伝奇小説の文脈を正当に継承する作品だ。
    敢えて言えば、これだけの内容なのだから、もっと頁を多くして深く詳細に書き込む事が出来たであろうと思う。
    要は、もっと長い時間美味しい思いをしたいと言う我儘なんだけどね。
    でも、そこまで書き込まないでスピード感を持って作品を完成させてい

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    2024年07月21日
  • 半暮刻

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    すごく怖い闇の世界を垣間見た感じ。オリンピックでも万博でも、日に日に予算が膨れ上がっていくカラクリ、ホストに貢がせ借金地獄に落とし、風俗に転落させる仕組み。。甘い汁を吸う政治家やヤクザ達が腹立たしくて仕方がなかった。

    電通で亡くなられた方のことも頭を過ぎった。華やかな派手な業界だろうとは想像つくが、おそらく本当にかなり汚い世界と繋がっているのでしょう。。若者には就職する前に、この本を読んで欲しい。

    半グレという言葉も初めて知った。グレるなんて、昭和の言葉だと思っていた。

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    2024年07月18日
  • 非弁護人

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    とても面白かった!
    物語を通して外国人への偏見、社会的弱者に対して著者が訴えたいのだと思って読んでいたが最後の頁を読み、
    無関心を決め込んでいる中間層への怒りを感じた。
    民主主義において大多数である中間層の影響力が重要だが、無関心であるために政治や社会が変わらないのだと改めて感じた。

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    2024年06月21日
  • 機龍警察 白骨街道

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    毎回カテゴリ分けに悩むシリーズ…。
    従来は”敵”の存在を少しずつ炙り出しながら、特捜部の面々が(産官学の癒着した)巨悪と闘うという構図に、3人の搭乗員の過去を描きこんでいた。

    しかし(前回からの流れを受けて)今回は大きく物語が動き、特捜の3人がミッションを追ってミャンマーの山中でゲリラや国軍と逃避行を繰り広げることになる。
    日本での捜査とアクション満載の逃避行が交互に描かれて一気に読み終える。
    しかもこれで終わりではなく、新たな局面を感じさせるラストも見事。まだまだ続きそうなシリーズではあるが、早く次を読みたいものだ。

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    2024年04月17日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    ネタバレ

    なんてことだ…ミドリちゃん…
    ライザの再生に必要だったとは言え、エンジェルが地獄に突き落とされてしまった。
    ライザよ…なんとか引き上げてあげて…
    てゆうか守って。あえて生かしたって事は次に拉致られるかもしれないリストのトップでそ…

    エンダ・オフィーニーはとことんまで不幸な人であった。
    財務捜査官ニレさんの奇人ぷりが面白くてスキ。

    はじめは難しすぎて理解できなかったが、要するに、クイアコンは新技術の開発に関わる多国籍事業で、既存のシステム設備を使わない為に参入できれば利益が大きく、その技術はドラグーンが一般化することに使われてしまう可能性が高いってことで良いのかな…?
    利益が大きいからヤクザ

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    2024年04月10日
  • 機龍警察 白骨街道

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    ネタバレ

    オピニオンパラレルSF警察小説。
    ロヒンギャ問題とインパール作戦、国産兵器の輸出に関わる大疑獄。
    逆ロッキードとはすごい発想。ミャンマーのクーデターで、ほぼ時差は存在しないパラレル世界なんだと理解した。

    人間が人間を異物と見なすとき、どんな残虐行為にも罪悪感は発生せず、むしろ称賛される善行となる。「民族浄化」という言葉そのものに表れている盲目的な憎悪。
    アイゼンの箍は何によって破壊されたのだろう。どこで破壊されたのだろう。ミャンマーで?それとも日本で?

    クァンジェンピンのチートっぷりがヤバい。道理で尊大なはずだ。個人では世界でも指折りの殺傷能力を有するキキフなのだから。
    オキツ部長の思いや

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    2024年04月10日
  • 機龍警察 未亡旅団

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    ネタバレ

    ナレーターがシンジくんの声に変わり、キャラクターの把握に手間取ったが、女性の登場が多いこの作品ではかえって良かったかもしれないと思った。

    ウクライナ戦争前からロシアにはどことなく薄気味悪い印象があったが、このシリーズを追うごとにその理由が明確になる。私はあまりにも知らな過ぎた。登場人物は存在しないが、この惨劇は存在している。

    崇高な理想、大義の為に戦っていたはずのシーラが私怨に堕ちてゆく様、それを見抜き自己の罪に気づくカティアの描き方が見事だった。集団の目的はいつも巧妙に変容する。踏み越えてはならない一線は細すぎて見えにくい。気づいたときにはすでに止まれないほど加速している。

    憎しみは人

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    2024年04月10日
  • 機龍警察〔完全版〕

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    搭乗型ロボットの警察モノ。と一口で言ってしまうと、よくある設定と思われてしまうが、その鉄板の設定が好きなものには刺さる。できる上司と優秀な部下たちとスペシャリスト。まあまあご都合主義なところがあっても、そこがいい。
    命すれすれの攻防戦や裏工作などの緊張感が大変面白い。シリーズ一気読み必至の作品。

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    2024年03月29日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    濃厚な警察&政治ドラマ。

    本来、横糸として”ドラグーン”と三人の操縦者がおり、彼らのウェットなドラマが魅力の一つとなっている。
    しかし、今作はそれなしでも成り立つほど完成度が高い。

    ”ドラグーンの秘密”が核にはなっているが、利権に群がる産業界、政界、そしてその政治的駆け引き、チャイナマネーの還流と政治家との癒着、司法・行政府の癒着による機能不全…まさに現代日本が抱える病巣を娯楽小説と言う形で浮き彫りにしている。

    読んでいて、特捜班がある世界より、何ら歯止めの無い現実世界の方が遥かに歪んでいるところが怖くなってくる。

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    2024年03月14日
  • 土漠の花

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    2日であっという間に、読み終わってしまった。少し残虐で本当に怖いけど、どうしてもページをめくってしまう。ジブチとソマリアについてもこれを機に調べてみた。兄弟も同じ自衛官なので、この様なことには遭遇しない、平和な世が続くことを願う。

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    2024年02月23日
  • 奈落で踊れ

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    月村さんファンでいらっしゃる、お世話になっているシンさまに月村作品で1番のお勧めを教えて頂き拝読。

    良い子の皆さん、今回の感想は卑猥なパワーワードが何回も出てきます。くれぐれも、お父さんお母さんに「パパー、ノーパンすきやき、ってなぁに?」と聞かないようにして下さいね。

    という注意勧告が98年当時は無かったせいで『ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省汚職接待事件』がニュースで大々的に報じられた際に、お子様がご両親に質問をしてお茶の間を凍りつかせたという実際の事件。
    こちらをベースに書かれた官僚ピカレスク小説です。

    作中ではしゃぶしゃぶではなくノーパンすきやきに変わっていますが、不動のノーパンなのでそ

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    2024年02月21日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    第一作を読む前のイメージは、「設定がハードめのパトレイバー」でしたが、ごめんなさい、かなりハードでした…からシリーズ第五作(+短編集が一作)。
    龍機兵の出番は無いのか?と思っていたら、…

    (つづく)

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    2024年02月01日
  • 奈落で踊れ

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    月村了衛『奈落で踊れ』朝日文庫。

    1998年、『ノーパンすき焼きスキャンダル』発覚で揺れる大蔵省を描いた官僚ピカレスク小説。

    『ノーパンすき焼きスキャンダル』にはモデルがあり、実際の事件は『ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件』だった。『ノーパンしゃぶしゃぶ』の店は『桜蘭』で、本作に登場する『ノーパンすき焼き』の店は『敦煌』だ。

    役人版の半沢直樹みたいな作品である。

    主人公の香良洲圭一の頭脳と度胸に驚嘆しつつ、時にユーモラスな描写を交えながら、省庁の役人や議員、暴力団、右翼団体などが繰り広げる白熱のストーリーに満足した。


    接待汚職事件『ノーパンすき焼きスキャンダル』が発覚し、大蔵省は激

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    2024年01月19日
  • 機龍警察 白骨街道

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    こちらも期待通りの一気読み。国家権力の不都合をもみ消そうと、厄介払いを兼ねて紛争地帯へ主人公たちが送りこまれる。孤立無援の状態から、まさかの裏切りまで、ピンチのオンパレード。持ち前の戦闘能力、センス、チームワークを駆使し、「敵」の巧妙な罠にハマったフリで裏を描こうとするが、敵もその策略を見通してさらに手の込んだことを仕掛けてくる。どんでん返しも伏線回収も見事。国の腐敗を前提にしているが、昨今の状況に鑑みるとさもありなんということろ。ただし、現実の方がちっこくて笑えない。

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    2024年01月10日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    当時、最大の被害総額と言われた豊田商事事件をモチーフにした人を欺くことから逃れられない男達の物語。
    様々な困難のたびに覚醒していく主人公のギリギリのところでの駆け引きが面白い。
    読んでいて色々思い出す過去の詐欺事件なども上手く盛り込まれスリル満点の一冊です

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    2023年12月25日