月村了衛のレビュー一覧
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半暮とは「半グレ」を指しています。
ヤクザは現在法律で厳しい取り締まりに遭い、青息吐息です。
一方、一般人扱いである半グレ集団は、特殊詐欺などの犯罪集団の代表格です。
しかし一般人であるから逮捕、起訴、有罪判決にでもならない限り表には出てきません。
つまり半グレを見分けることは難しいのです。
その半グレ出身の2人の若者が物語の主人公です。
ひとりはヤクザにまで身をやつしますが、その後は更生し、ささやかな家庭を築くことが出来ます。
もう一人は半グレだった過去を隠し、エリート街道を歩みます。
このエリート社員が置かれる環境が半グレの巣窟と言ってもいいのです。
エリート社員が務める -
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月村了衛さん「欺す衆生」
第10回山田風太郎賞受賞作品。
前回読んだ「半暮刻」が自分にはいまいちだったのでこちらの作品も読んでみる事に。
物語は被害総額2000億円以上とも言われる悪徳企業「豊田商事」が仕掛けた巨額詐欺事件をベースとしたフィクション小説。この作品内では「横田商事」とされている。
実際に事件のあった1985年の会長の刺殺事件から物語はスタートする。そこから主人公隠岐をはじめ横田の残党が徐々に集結し実際の時事や事件などの時系列と平行しながら物語は進む。
元横田商事社員として世間の荒波の渦中にいた隠岐は同じく元横田の因幡に脅されるように一緒に悪事に手を染めていく。かつての横田で学 -
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久し振りにホームランだね。月村さんの作品は大好きだけどテーマによって、かなりムラがあると思う。
今回の羽衣は、この人の本当に得意分野だと思う。
機忍兵零牙に匹敵する小説だ。
僕のように幼い時に観た映画「旗本退屈男」「銭形平次」TVなら「赤胴鈴之助」「矢車剣之助」「鞍馬天狗」「白馬童子」そして「仮面の忍者赤影」に続く冒険活劇・伝奇小説の文脈を正当に継承する作品だ。
敢えて言えば、これだけの内容なのだから、もっと頁を多くして深く詳細に書き込む事が出来たであろうと思う。
要は、もっと長い時間美味しい思いをしたいと言う我儘なんだけどね。
でも、そこまで書き込まないでスピード感を持って作品を完成させてい -
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ネタバレなんてことだ…ミドリちゃん…
ライザの再生に必要だったとは言え、エンジェルが地獄に突き落とされてしまった。
ライザよ…なんとか引き上げてあげて…
てゆうか守って。あえて生かしたって事は次に拉致られるかもしれないリストのトップでそ…
エンダ・オフィーニーはとことんまで不幸な人であった。
財務捜査官ニレさんの奇人ぷりが面白くてスキ。
はじめは難しすぎて理解できなかったが、要するに、クイアコンは新技術の開発に関わる多国籍事業で、既存のシステム設備を使わない為に参入できれば利益が大きく、その技術はドラグーンが一般化することに使われてしまう可能性が高いってことで良いのかな…?
利益が大きいからヤクザ -
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ネタバレオピニオンパラレルSF警察小説。
ロヒンギャ問題とインパール作戦、国産兵器の輸出に関わる大疑獄。
逆ロッキードとはすごい発想。ミャンマーのクーデターで、ほぼ時差は存在しないパラレル世界なんだと理解した。
人間が人間を異物と見なすとき、どんな残虐行為にも罪悪感は発生せず、むしろ称賛される善行となる。「民族浄化」という言葉そのものに表れている盲目的な憎悪。
アイゼンの箍は何によって破壊されたのだろう。どこで破壊されたのだろう。ミャンマーで?それとも日本で?
クァンジェンピンのチートっぷりがヤバい。道理で尊大なはずだ。個人では世界でも指折りの殺傷能力を有するキキフなのだから。
オキツ部長の思いや -
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ネタバレナレーターがシンジくんの声に変わり、キャラクターの把握に手間取ったが、女性の登場が多いこの作品ではかえって良かったかもしれないと思った。
ウクライナ戦争前からロシアにはどことなく薄気味悪い印象があったが、このシリーズを追うごとにその理由が明確になる。私はあまりにも知らな過ぎた。登場人物は存在しないが、この惨劇は存在している。
崇高な理想、大義の為に戦っていたはずのシーラが私怨に堕ちてゆく様、それを見抜き自己の罪に気づくカティアの描き方が見事だった。集団の目的はいつも巧妙に変容する。踏み越えてはならない一線は細すぎて見えにくい。気づいたときにはすでに止まれないほど加速している。
憎しみは人 -
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月村さんファンでいらっしゃる、お世話になっているシンさまに月村作品で1番のお勧めを教えて頂き拝読。
良い子の皆さん、今回の感想は卑猥なパワーワードが何回も出てきます。くれぐれも、お父さんお母さんに「パパー、ノーパンすきやき、ってなぁに?」と聞かないようにして下さいね。
という注意勧告が98年当時は無かったせいで『ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省汚職接待事件』がニュースで大々的に報じられた際に、お子様がご両親に質問をしてお茶の間を凍りつかせたという実際の事件。
こちらをベースに書かれた官僚ピカレスク小説です。
作中ではしゃぶしゃぶではなくノーパンすきやきに変わっていますが、不動のノーパンなのでそ -
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月村了衛『奈落で踊れ』朝日文庫。
1998年、『ノーパンすき焼きスキャンダル』発覚で揺れる大蔵省を描いた官僚ピカレスク小説。
『ノーパンすき焼きスキャンダル』にはモデルがあり、実際の事件は『ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件』だった。『ノーパンしゃぶしゃぶ』の店は『桜蘭』で、本作に登場する『ノーパンすき焼き』の店は『敦煌』だ。
役人版の半沢直樹みたいな作品である。
主人公の香良洲圭一の頭脳と度胸に驚嘆しつつ、時にユーモラスな描写を交えながら、省庁の役人や議員、暴力団、右翼団体などが繰り広げる白熱のストーリーに満足した。
接待汚職事件『ノーパンすき焼きスキャンダル』が発覚し、大蔵省は激