月村了衛のレビュー一覧
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「突入せよ」
何度も見てきた言葉ですが、この本以上に鳥肌が立つ事はありませんでした。
-俺達の街を取り戻す。-仲間を取り戻す。-仲間の無念を晴らす。
捜査員達の強い思いが一気に爆発し駆け出す姿は手に汗握ります。
この本では、ロシアの裏社会だけで無く、東日本復興の名の下に中途半端な支援に因る現地の弊害も学べます。宮城県閖上の話しは本当なんですかね。本当なら大問題かと。
この本はストーリー以上に、キャラクターの持つ仕事や仲間への矜持や思いが光り、感情移入出来る事が楽しみな作品です。
ダムチェンコと沖津が言い表してくれています。「いい男だな」「まったくです」 -
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月村了衛『欺す衆生』新潮文庫。
1980年代に起きた豊田商事事件をベースに描かれる山田風太郎賞受賞の詐欺犯罪小説。
原野商法、和牛商法、株式投資詐欺、海外ファンド詐欺とあの手この手で人を騙し、大切な資産を奪おうとする奴ら。黒い金が集まる所に砂糖に群がる蟻の如く引き寄せられて来る悪い奴ら。裏切りと企み、成功と失敗。詐欺という犯罪を非常にスリリングに描いており、面白い。特に終盤の展開は読み応えがある。
金のためなら仲間の命までも差し出すヤクザよりも怖い、血も涙も無い生まれついての詐欺師たち。
タイトルの『欺す衆生』とは聞き慣れない言葉だ。調べてみたら『欺す』は「あざむく。真実でないことを嘘 -
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雑誌連載が単行本化され、そこから文庫本になったということである一冊だ。以前から気になっていたのだが、視過ごしのようにして時日を経た。それと偶々「再会」し、手に取って紐解いた。実に善かったと思う。
本作は“大河”というようにも言われている。1970年代を背景に物語が起こり、2000年代までが描かれ、雑誌連載が発表された2018年頃のことがエピローグのように添えられている。“大河”と表現される長い時間軸の、それも現在を生きる多くの人達が「自身の人生の一部…」として記憶の隅に在るような時代を取上げている。
本作は「一介の公安刑事」として生きた主要視点人物の砂田の物語であるが、同時に「砂田の目線を -
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ネタバレ前作までの展開がうろ覚えだったが、簡単なあらすじや人物紹介もところどころ挟まっていたおかげで思い出しながら読み進めることができた。
暗黒市場あたりから濃厚な映画を見たような没入感に浸らせてくれるシリーズだが、その期待を裏切らず本作も面白い。前作は機甲兵装での戦闘がなく、今作は戦闘はあるものの龍機兵は登場しない。だが龍機兵が出ないからこそ、姿、ライザ、ユーリの搭乗者としての有能さが際立っているように見える。また本作は本作でマレーシアでの死闘と日本での陰謀捜査が並行して進んでいく演出が新しく、退屈させない。
ついに<敵>の正体が垣間見えたが城木はどう立ち向かうのか。ここに来て突入班が増員されたが果 -
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最新作にして最高傑作
近接戦闘兵器「機甲兵装」が普及した未来を舞台に描かれたシリーズの機龍警察シリーズの最新作。今作では、警視庁特捜部と契約する3人の傭兵が容疑者の引き渡しを受けるため渡ったミャンマーと、特捜部の幹部が訪れた京都で物語が展開する。SF警察小説でありながら、軍が実権を握って少数民族のロヒンギャが弾圧を受けているミャンマー、さまざまな反社会勢力が跋扈する京都の描写は現実に即している。異なる2つの場所で起きる事件はやがて一つの大きな渦となり、ページを繰る手が止まらなくなる。シリーズ最新作にして最高傑作である本書は、「このミステリーがすごい!2021」の国内編3位にランクイン。このミス2021で1位となっ
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ネタバレ久々の機龍警察シリーズ。もう第6弾なのか!
今回は主人公たち3人はワンオフ機の龍機兵には乗らず、量産タイプの機甲装兵で戦う。舞台はミャンマー内の未開の地。ゲリラ暗躍、麻薬密売。ボトムズクメン篇リスペクトな感じ。
その一方で、沖津部長らは国内の政治経済癒着腐敗に切り込む。ミャンマー軍事提供や再開発をトンネルにした莫大な金額の収賄事件を捜査していくうちにまた少し見えてくる敵の姿、その一端がまさかここにつながってくるとは!な展開。
敵味方ともに新キャラや新しいスキルもお目見えして、いよいよ物語も中盤かなぁという感じ。早く続きが読みたいが、この質と量では大量生産ともいかないだろうから、首を長くして -
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今回の舞台はミャンマー。国産機甲兵装の秘密を握るという国外逃亡犯の引き渡しを受けるため、「官邸」の意向を受けた特捜部の姿ら三人が現地に向かう。いかにも裏がありそうな設定。で、たしかに裏があるのだが、<龍機兵>はおろか一切の武器も持たぬまま、彼らは任務を遂行しなければならない。
太平洋戦争において「インパール作戦」が行われたこの地で、彼ら死体と、いや白骨と化すのか…
今回は<龍機兵>は登場しないが、他の機甲兵装は登場し、戦闘シーンもある。そして遂に<敵>の一部、しかもそれなりに上の方が明らかになる。その人物とは、××の※△■だったりする。
いつものことだが、読んでいて引き込まれる。一気