あらすじ
戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)
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Posted by ブクログ
詐欺師の話だけれどもコンゲームではなく、詐欺がうまくいっても決して痛快であったりはしない
主人公はそもそも好きで詐欺を始めるのではない
なんならずっと詐欺の世界から離れようとしている
にも関わらず次から次へと大きな詐欺に手を染めることになる
詐欺の手口も巧妙だったり緻密だったりというわけではない
ストーリーの中では巧妙とされているものの仕組みがさらっと描かれるのみ
主題は詐欺師の業だろうか
まるで転落していくように詐欺師としてのし上がっていく主人公
最後、娘に迫る結婚詐欺師や後妻業の女を詐欺師の手腕でねじ伏せる主人公は、カタルシスとともに、来るところまで来たという諦念のようなものがある
一気読みできるエンタメであり純文感もある
Posted by ブクログ
傑作です。もう本当に一気に読んでしまった。
主人公が最後どんな運命を辿るんだろうと読み進めていき、最後に待っていたのは衝撃と絶望でした。
主人公以外の心理描写がひっとつも無くて、700ページ近く誰も信じられないハラハラが続きます。それがこういう詐欺という綱渡りのストーリーだからこそ輝くと思う。
欺す相手も富裕層だからそこだけは救い。
自分は肝っ玉が小さく成り上がる人間ではないなと痛感した。
月村了衛さんはすごい作家さんだと思いました。
Posted by ブクログ
面白かった!生活のために詐欺をする主人公が気づいたら遠くへ来ていた話で、プロットも展開もわかりやすくて臨場感がある。
これ読むと自分の仕事がいかに適当か思い知らされますね。勉強になります。
最後の終わり方もさすが。2人の娘たちのその後が非常に気になります。
Posted by ブクログ
スゴい本でした。720ページも一気に読まされました。放心に近い読後感です。地味に生きたい男がズルズルと悪の道に引きずり込まれながら、次々と現れる厄介な連中を闇に葬りながら、どんどん裏の道でのしあがって行く。昭和の事件史を辿りながら、詐欺師たちが金に躍る。そして、一時の成功と引き換えに皆んな狂っていきます。
その遺伝子が次女にしっかり受け継がれていたくだりも背筋が凍ります。
最後の終わり方も良かった。
詐欺の勉強にもなりました。^_^
月村了衛さんの他の作品も読んでみようと思いました!!
Posted by ブクログ
欺し欺される緊張感、隠岐のビジネスマンとしての姿勢、裏社会の恐ろしさがリアルに感じられるおもしろい作品。
きっと自分の書いたシナリオ通りに商談が進み、大口案件が取れること、自分よりも経験もステータスもある人間を手中で転がすのって快感なんでしょうね、それでも地味〜に正しく生きていこう、今の自分の人生を肯定して生きていこうと思いました。
Posted by ブクログ
月村了衛さん「欺す衆生」
第10回山田風太郎賞受賞作品。
前回読んだ「半暮刻」が自分にはいまいちだったのでこちらの作品も読んでみる事に。
物語は被害総額2000億円以上とも言われる悪徳企業「豊田商事」が仕掛けた巨額詐欺事件をベースとしたフィクション小説。この作品内では「横田商事」とされている。
実際に事件のあった1985年の会長の刺殺事件から物語はスタートする。そこから主人公隠岐をはじめ横田の残党が徐々に集結し実際の時事や事件などの時系列と平行しながら物語は進む。
元横田商事社員として世間の荒波の渦中にいた隠岐は同じく元横田の因幡に脅されるように一緒に悪事に手を染めていく。かつての横田で学んだ手口を使いながら、しかし見境はしっかりつけターゲットはあくまでも富裕層や成功者であり法に違反しないグレーゾーンではたらく詐欺に徹する。
原野商法、和牛商法、株式交換、投資ファンドと順を追ってビジネスを成功させては引き際でしっかりと身を引き、主人公の高い経営戦略とリスク回避が読み取れ面白かった。関わってくるヤクザ、政治家等の絡みもみなが個性的で最高だった。物語から伝わってくる緊張感が素晴らしく、スピード感もあり700頁越えの大作だったが分量が気にならない作品だった。
この作品の凄いと感じるのが家族の成長譚も絡んでいる所。主人公隠岐は家族の為にと横田に入り職を失い、そして家族のためにと詐欺に手を染め、仲間に裏切られ殺人にも関与しながら金銭面で家族の暮らしを充実させていく。しかし充実していけばいくほど本人の望む家庭愛は得られず逆に荒んでいってしまう。
こういうお金や仕事っていうものは家族のバランスと密接に関係しているものなのかもしれないなと感じながら読んでいた。
終盤その家族が結婚詐欺に巻き込まれ、平行して別々に進んでいたビジネスと家族の話が遂に道を重ねてしまう。構成と展開が最高すぎる。
最後も秀逸で裏切り見切り殺人にも手を染めながらも自分で自分を欺し続けてきた隠岐はかつての因幡がそうだったかのような台詞を吐く。限界を超えてしまったのであろう、彼の最期は書かれてはいないが予想がついてしまう。そこまで描かないのも作者の力量かと思わされた。
Posted by ブクログ
当時、最大の被害総額と言われた豊田商事事件をモチーフにした人を欺くことから逃れられない男達の物語。
様々な困難のたびに覚醒していく主人公のギリギリのところでの駆け引きが面白い。
読んでいて色々思い出す過去の詐欺事件なども上手く盛り込まれスリル満点の一冊です
Posted by ブクログ
この人の文章も物語の展開、ペース、何もかも自分にフィットしてとても楽しく読めた。昭和最大の詐欺事件を基に、うだつの上がらない平社員隠岐が原野、和牛、証券など色んな詐欺に手を染め、闇社会を生き抜いて稀代の詐欺師になる話。規模が大きくなってとてもおもしろかった。
Posted by ブクログ
過去、実際にあった豊田商事をもとにして
描かれたストーリー。
バブル崩壊後
人々の心に漬け込み
和牛、不動産、などなど
次々と詐欺を行う主人公に
次々と襲いかかる難題
あっという間に引き込まれて
読み終わってしまう一冊。
久しぶりにここまで引き込まれた
Posted by ブクログ
素直に話が面白かった。テンポ良く話がどんどん展開していき、そのスピード感と膨らみ自体が、主人公の生き方や内面を投影している感があり、引き込まれる。
Posted by ブクログ
詐欺。
「詐」・・・つくりごとをいう。うそを言ってだます。
「欺」・・・うそをついて人を迷わす。
タイトルの通り、本作は「詐欺」がテーマの犯罪小説です。
私は堅気の仕事なので、新たな世界の物語。非常に興味深いです。
あらすじは以下の通り。ネタバレは含みません。
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主人公の隠岐は、日本を騒がせた戦後最大の詐欺集団・横田商事に勤め、そしてその崩壊を目の当たりにしました。
もう今後は詐欺なんかしない、そう決意した隠岐は文具メーカーのしがないサラリーマンをしていました。
営業成績はイマイチで邪魔者扱い。
そんなときに声をかけてきたのが、元横田商事の因幡でした。
そう、再び詐欺の世界に誘い込まれたのでした。
最初に始めたのが原野商法。役所をも巻き込み、存在しない都市改革プロジェクトをネタに僻地を高く売りるのです。
詐欺のために大事なのは、人の背後にある企業ブランドや権威。
そして顧客への真摯な対応。
いい顔をしながら、徹底的に信じ込ませるのが常道のようです。
次第に儲かり始める2人。
その噂を聞きつけて入社したのが、元横田商事の面々であった…。
人を欺すためには、自分を騙す。
今を生きるためには手段を選ばない。
ヤクザやマフィアも絡み合う中、危険人物や危機的な状況をなんとか乗り切る隠岐。
果たして最後に欺されているのは…。
Posted by ブクログ
詐欺に引っかかる描写に引き込まれた
反社との繋がりにずるずるとハマって
いく様や、隠岐の吊り橋を渡るような
生き様にすっかりハマってしまった。
Posted by ブクログ
天才詐欺師の物語。ギリギリに生きていながら、死なない。生き残る。原野商法に始まって、和牛商法、海外ファンド、最後は東芝の原発企業の買収。世の中の読み方が素晴らしくキレている。
面白い。
Posted by ブクログ
月村さんの著作は『槐』しか読んだことがないのです。けれどその面白さには度肝を抜かれて、他の作品も読みたいと常々思っていました。730頁超の分厚さにビビりながらも読み始めたら止まらない。
実在の豊田商事事件を下敷きに、そんな詐欺会社に勤務していた元社員が次に仕掛ける詐欺という体(てい)。私はアホやから(笑)詐欺の仕組みがよくわからないことも多くて、あれこれと詐欺を思いつく人の賢さに驚くばかり。
「国境を越えて不変であるのは人間の欲」という言葉は悲しい哉、真実なのでしょうね。主人公の家族も含め、嫌な人だらけ。好きだったのはヤクザの砂州のみ。ほかは誰も信用できません。
Posted by ブクログ
面白い
詐欺の手口てこういう感じなのか~すごいなこれは騙されちゃうな
主人公の不安定な線引き、読んでてこっちもちょっと理屈通らんな~と思うほど
ほんとに嫌々やってるのか?思う間に足を洗うことなどできなくなってゆく
かっこいいぞ進め!て気持ちと見てられないようもう解放してくれよ~て気持ちが一緒にある
ラストもこの感情のまま、ただ呆然(ほめてる)
Posted by ブクログ
詐欺から足を洗いたいと願いながら、気がつけばかつて所属した詐欺集団と同じ末路に向かう主人公が滑稽で哀れ。しかも誰よりも詐欺の才能を開花させるのが皮肉である。
終盤の、ヤクザですら引くほどの風格をまとった主人公がかっこよくも恐ろしい。
しかしながら主人公の周りの人物がことごとく胡散臭く、かつ家族仲も悪いため、読者としては緊張が解けることなく、少々疲れる。
Posted by ブクログ
実際の話は知らずに読みました。
最後まで面白く読めた!
終わり方がどうせなんか失敗して殺されちゃうんじゃないの?と思ったら続いていくエンドで嬉しかった。
どんどん悪の道でのし上がっていってほしい!!
Posted by ブクログ
1985年今から40年前に起きた豊田商事会長刺殺事件。何も加工されずに放映されたニュースは高校生だった私はあまりにもセンセーショナルで先物取引というものになぜ多くの人が溺れてしまったのかその時は分からなかった。この豊田商事事件をモチーフにしたストーリーは当時を学ぶとともに月村了衛の描くテンポと臨場感にあふれるストーリーにひき込まれました。
Posted by ブクログ
機龍警察の月村了衛さんが描く、詐欺師の世界。豊田商事事件を出発点に、現実世界で起こった事件を織り交ぜながら、虚構のストーリーが進む。詐欺師の天性(?)を発揮してのし上がっていく主人公であるが、内面は家族の幸せのみを願っている。パートナーの裏切りやヤクザの脅しにも屈せず、次々と直面する困難を、むしろ大きな相手と仕掛けを実行して乗り切っていく。相手を騙すのが詐欺師だが、その前に、自分を騙すことができなければいけない。最後のセリフには、完全にそのことが実行できていて恐ろしい。
Posted by ブクログ
豊田商事をモチーフにした事件から始まり、その残党による壮大な詐欺物語が展開されてゆく。
主人公が詐欺師だけにやってることは全て悪なんだけど、当時の反省からお年寄りの虎の子の財産を騙し取ることだけはせず、手を変え品を変え欲に目が眩んだ金持ちや企業をターゲットにしているところが唯一の救いかな。
幾ら最初は慎重でも事が上手くいく度にどんどん感覚が麻痺してさいごは自滅するという教訓で救われるものの、どうせなら最も気味悪い聡美の始末を最後まで描いてくれても良かったのに。
Posted by ブクログ
詐欺商法で一世を風靡した横田商事の残党 隠岐隆が因幡充と原野商法で暴利をむさぼる前編では、詐欺の手口の解説のような部分が多く、楽しめた.難しい問題の処理に暴力団が絡んできて、隠岐の本領が発揮されるが、仕事以外に家族間の問題も発生し、隠岐が苦労する.ダミー会社を次々と作って金をうまく隠す手法には感心するが、最期は人との関係を如何にコントロールするかが、ビジネスの肝だと感じた.政治家の力を借りたり、広域暴力団を手玉に取ったり、隠岐の活躍が面白かった.リベリアまで手を伸ばす才覚は侮れないものだと感じた.
騙される人がいることは認識していたが、騙す側も苦労している実態が見えて楽しめた.
Posted by ブクログ
面白かった!
裏社会との関係が濃くなればなるほど、主人公が覚醒されてスケールが大きくなっていく。
続きが気になって結構分厚いけどスルスルと読めました。
最後の一文にぞくっとした。
Posted by ブクログ
前半部分が圧倒的に重い。
まっとうに生きようとするが、最低限の生活ですら徐々に手詰まっていく救いのない展開に読む手が進まない。
先が思いやられたが、中盤からはスリリングなコンゲームがテンポ良く進んでいく。
因幡、隠岐、蒲生の三者が手を組みながら、詐欺という舞台の上で、お互いを蹴落とす隙を狙っている。
主人公の隠岐は常に脱落候補筆頭なのにも関わらず、中盤から終盤にかけて覚醒していく。
騙し騙されのコンゲームの先に待っている未来なんて碌なものじゃないだろうと思わせられたが、結末は意外な形でここでも作者に躱わされた気がした。
気になった点:
主人公の隠岐、詐欺に手を染めるまではうだつが上がらない底辺サラリーマン。得意不得意があるにしても、詐欺のビジネスで覚醒する様を見ると、その片鱗くらいは前半に見えても良かったのでは。
そして全く家族から相手にされずATMとしか見なされていないにも関わらず、家族を脅しの材料に使われると簡単に屈してしまう点も、説得力にかける気がした。現実はそんなものかもしれないが、ひとつくらい、家族との絆を捨てきれないでいるエピソードがあると読み手としても没入感が増したのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
ビジネスのアイデアは因幡ばかりが考えてるし、
かといって一線をこえてはいけないという綺麗事をいうし、
主人公の隠岐があまり好きになれなかった。
そんな関係なら離婚したら?というほど妻子に疎まれているのがリアル‥。家族のために頑張るシーンが多々あったが、こんなに嫌われてたら弱みにはならないのでは…。
最後解説のところで、
横田商事事件が実際にあった話というのがいちばんゾクッとした。