あらすじ
戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)
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Posted by ブクログ
面白い
詐欺の手口てこういう感じなのか~すごいなこれは騙されちゃうな
主人公の不安定な線引き、読んでてこっちもちょっと理屈通らんな~と思うほど
ほんとに嫌々やってるのか?思う間に足を洗うことなどできなくなってゆく
かっこいいぞ進め!て気持ちと見てられないようもう解放してくれよ~て気持ちが一緒にある
ラストもこの感情のまま、ただ呆然(ほめてる)
Posted by ブクログ
実際の話は知らずに読みました。
最後まで面白く読めた!
終わり方がどうせなんか失敗して殺されちゃうんじゃないの?と思ったら続いていくエンドで嬉しかった。
どんどん悪の道でのし上がっていってほしい!!
Posted by ブクログ
前半部分が圧倒的に重い。
まっとうに生きようとするが、最低限の生活ですら徐々に手詰まっていく救いのない展開に読む手が進まない。
先が思いやられたが、中盤からはスリリングなコンゲームがテンポ良く進んでいく。
因幡、隠岐、蒲生の三者が手を組みながら、詐欺という舞台の上で、お互いを蹴落とす隙を狙っている。
主人公の隠岐は常に脱落候補筆頭なのにも関わらず、中盤から終盤にかけて覚醒していく。
騙し騙されのコンゲームの先に待っている未来なんて碌なものじゃないだろうと思わせられたが、結末は意外な形でここでも作者に躱わされた気がした。
気になった点:
主人公の隠岐、詐欺に手を染めるまではうだつが上がらない底辺サラリーマン。得意不得意があるにしても、詐欺のビジネスで覚醒する様を見ると、その片鱗くらいは前半に見えても良かったのでは。
そして全く家族から相手にされずATMとしか見なされていないにも関わらず、家族を脅しの材料に使われると簡単に屈してしまう点も、説得力にかける気がした。現実はそんなものかもしれないが、ひとつくらい、家族との絆を捨てきれないでいるエピソードがあると読み手としても没入感が増したのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
ビジネスのアイデアは因幡ばかりが考えてるし、
かといって一線をこえてはいけないという綺麗事をいうし、
主人公の隠岐があまり好きになれなかった。
そんな関係なら離婚したら?というほど妻子に疎まれているのがリアル‥。家族のために頑張るシーンが多々あったが、こんなに嫌われてたら弱みにはならないのでは…。
最後解説のところで、
横田商事事件が実際にあった話というのがいちばんゾクッとした。
Posted by ブクログ
山風賞受賞作品ってことで。機龍警察シリーズの信頼感もあったし。で、本作。テンポよく読まされる展開は相変わらずで、安心して読み進められる。でも前半、何だか登場人物のいちいちが空虚に思えて仕方なく、面白くて頁を繰る手は止まらないんだけど、いまひとつ乗り切れなくて…みたいな、もどかしい感じが続く。でも折り返しあたりで、視点人物が相棒を殺ってから以降、人物像の薄さはだいぶ気にならなくなる。よかった、よかった…と思いきや、終盤になってまた、悪女が再登場し、それと共に像の薄さも復活。これ、この女の描写が浅いのが一番の問題だな、とどのつまりが。なぜこんな風になったのか、どうやって過去の悪事を成し遂げたのか、相当のワルたちを相手にどう立ち回ったのか、どれひとつ全然見えてこん。畢竟、なぜここまでバケモノじみた凄まじさを発揮出来るのか、まるで理解できん。この人がいなければ、もしくはもっと有効に描かれていれば、ただ面白い!と思える作品だったのに。