あらすじ
消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させる――
〈人捜しの神部〉の異名を取る女性編集者・神部実花は、上司からの無理難題、読者からの要望に振り回されつつ、持てるノウハウを駆使して今日も奔走する。だが自らの過去を捨てた人々には、多くの謎と事情が隠されていた。次号の雑誌記事を書くために失われた過去を追う実花の取材は、人々の追憶を探る旅でもあった……。
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Posted by ブクログ
月村了衛『追想の探偵』双葉文庫。
最初にタイトルを見た時に鏑木蓮の『思い出探偵』シリーズみたいなストーリーかなと思ったのだが、全く似て非なる内容の作品で、なかなか面白い設定の探偵小説であった。
探偵小説と言っても少し毛色が違い、黎砦社(れいさいしゃ)という今にも潰れそうな名前の出版社で特撮映画を取り上げる『特撮旬報』という雑誌の編集を担当する神部実花が消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させて雑誌の特集に使うというものだ。
様々な事情を抱え消息不明となった人びとの過去を巡る実花の旅。映画に関わる様々な人びとの過去と様々な思い出とが一つにつながった時、感動の結末を迎える。短編毎にそう来たかと唸らされるような展開と予想外の結末にページを捲る手が止まらなかった。
『日常のハードボイルド』『封印作品の秘密』『帰ってきた死者』『真贋鑑定人』『長い友情』『最後の一人』の6編を収録。
本体価格680円
★★★★★
Posted by ブクログ
特撮雑誌の編集者が、少ない手がかりから古い特撮作品の関係者や隠された事実に迫っていくお話。特撮に興味がなくても全然読めます。面白いです。第1話で探し人にたどり着いたシーンでは泣きそうになりました。
特撮はまぁ、業が深いですね。
Posted by ブクログ
〈人捜しの神部〉の異名を取る映画雑誌の女性編集者が、過去を捨てた人々の秘密に迫る。異色のハードボイルド連作短編集。
月村了衛初読作品。いわゆる都市伝説や封印作品など、当事者しか知り得ない真実を、足と直感で探るヒロイン神部実花が魅力的である。特撮ものが舞台だが、映画好きやミステリーファンにも十分満足いく展開が見事。
Posted by ブクログ
ミステリーという程じゃないけどね。特撮の雑誌を編集する神部実花は「人探しの神部」と言われ、特撮が全盛だったころの消息不明になった監督や俳優、美術担当などの裏方たちを探し出しては、特集を組む。こんなの不可能だというのを人脈と人当たりの良さ、根気で探し出してしまう。その過程も面白いが、探し出された人々にそれぞれの歴史があるのも読みどころか。神部実花の特撮への思い入れがひしひしと伝わってくる。ただ、私自身はそういう映画などへの思い入れはないので、そんなものかなあという感じ。