月村了衛のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2010年に刊行が始まった月村了衛さんの『機龍警察』シリーズ。
似た設定の『機動警察パトレイバー』と比べると、よりサスペンス色の強いシリアスなハードボイルド作品になっています。
本作はその2作目にあたり、日本SF大賞を受賞し、『このミス』9位に輝いた月村さんの出世作です。
1作目は読んでいたものの、以降が上下巻ということでなかなか手を出せていませんでしたが、ようやくこのたび読むことができました。
結論から言うと面白かったです。
やはりシリーズものなので1作目から続けて読んだほうがいいと思いますが、一応前作を読んでいなくても支障はないようには配慮されているようです。
設定もよく練られており、一読 -
Posted by ブクログ
機龍警察シリーズ、5作目。
これまで存在さえも不明瞭であった特捜部の《敵》がより形となって現れてきた感じ。現代に置き換えれば5G通信システムといったところか、日中間の一大通信インフラ事業をめぐる経済疑獄に対して、特捜部を始め、捜査一課に捜査二課、組対、公安と、警察組織のオンパレード。そこに国税局なども加わって、協力と軋轢の綯い交ぜ状態。「至近未来」の物語とは言えど、現代に通ずる生々しいリアルを感じました。しかも、今回は龍機兵の戦闘シーンは一切無し。ライザと狼眼殺手の因縁の肉弾戦が今作のアクションシーンを飾り、それも見事でした。
最終的には龍機兵の特殊システムがカギとなり、シリーズとしてのスト -
Posted by ブクログ
ネタバレユーリの「契約破棄」と裏社会への進出というショッキングな出来事から始まる。
充実した刑事時代、一転して突き落とされた地獄と負け犬の日々、そして現在進行形の潜入操作の「相似」に翻弄されながら、ユーリ、そして特捜は闇の市場を暴くことができるのか。
潜入捜査の緊張感とワクワク感。
特捜と組対の合同捜査、そして宮城県警、受け入れがたくとも目的を同じくする者の熱い共闘。
沖津に翻弄される由起谷夏川コンビ、やはり沖津はすごい。
龍機兵乗りの中で一番脆い部分を抱えたオズノフ警部が、過去においても現在においてもとにかく大変な目に逢いまくる。
「影」ゾロトフとの複雑な関係のもつれや、かつての上司ダムチェンコ -
Posted by ブクログ
ネタバレまさかの龍騎兵戦闘シーンなしの巻。政治的駆け引きと警察官僚の活躍とテロリストとの肉弾戦で構成される異色の一編。
その特色が賛否両論を生んでいるが、俺は賛成側。良質な長編シリーズにはこういう回があっても良いと思うのだ…ただし面白ければ…。この本は十分に面白いし、今後のシリーズに大きなうねりをもたらす既設伏線の一部回収と、新たな伏線敷設をやってのけているし。
狼眼殺手のアクションシーンもオモロイ。ライザについてはもうちょっと強くあって欲しいと思う(あれじゃ、悪い意味で既存の女性ハードボイルド主人公みたい)が、彼女と狼との確執描写は良い。背景が良いからアクションシーンもドキドキ感たっぷりで良い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ機龍警察シリーズの短編集。サイドストーリーと言えば軽く思えるが、どれも読みごたえのある、手抜きなしの傑作短編集。
とはいえ、本編の5作(この本以降のもう1作は後で読んでもいいみたい)を読んでおかないと、世界観、キャラクター等が分からず楽しめないので、「まずは短編集で機龍警察シリーズデビュー」という方法はやめた方がいいと思う。
このシリーズは是非とも刊行順で読んで欲しい。
遠田潤子風ブルースを感じる表題作に、隠蔽捜査シリーズみたいな話もあるし、なんとガンダムサンダーボルトネタまで。しかもその全てが捨て駒じゃないって、なんという多才っぷり。短編一つ一つに本編以外の直接的つながりはないものの、最後 -
Posted by ブクログ
シリーズ第6作目で、最高潮に達する面白さでした。
しかも今回は龍機兵を登場させず…してこれだけ面白いともう先が楽しみで仕方ありませんね。
警察組織内部の縄張り争いや軋轢、暗闘の面白さ、テロや利権や政治とか犯罪や事件解決への捜査の面白さ、特捜部内での葛藤や苦悶する人間関係、敵味方複雑に入り組んだ中での駆け引き…どれを取っても一級品で、そこへ回復や再生といった人間らしさを取り戻していくドラマが入ってきて、ハラハラし、ドキドキして、涙させられる。このシリーズの面白さは、もう鉄板中の鉄板‼︎ 稀代の天才ストーリーテラーによる最高の一冊!でした。無茶苦茶面白いです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文句なし、鉄板の星×5
今更俺が書くまでもなく、このシリーズは大傑作である。
龍騎兵パイロット3人が主人公の3作が終わって、さてどうなるんやろ?と思っていたが、まさかの由紀谷・城木!で、駆け引きモノ現場モノになるんかと思ったら…そういう部分もあってなおかつ、そこも面白いのだが…機甲装兵格闘含むアクションシーンも十分に、どころか壮絶に描かれている。敵方のボスキャラ3人VS龍騎兵3機、手に汗握るシリーズでも屈指のシーンである。
今作も敵方の設定が凄い。イスラム系チェチェン独立派ゲリラ、しかも女性テロリストのみで構成された集団で、自爆も辞さないどころか自爆が常套化している危険集団である。確保すれ -
Posted by ブクログ
月村了衛『ガンルージュ』文春文庫。
二人の女性が韓国特殊部隊と死闘を繰り広げる荒唐無稽な痛快アクション小説。ユーモラスな要素もあり、雰囲気は映画『トゥルーライズ』にも似ている。
元公安捜査官のシングルマザー・秋来律子は隠密作戦中の韓国特殊部隊に息子と息子の同級生を拉致される。息子を救出するために律子は元ロックシンガーの体育教師・渋矢美晴と共に韓国特殊部隊と死闘を繰り広げる。
律子が冷徹な殺人マシーンならば、美晴はお笑い系アマゾネスという感じで二人の掛け合いが面白く、最後まで一気読みだった。そして、美晴が元彼とよりを戻すラストに期待したのだが、それは叶わなかったようだ。 -
Posted by ブクログ
機龍警察シリーズ第四弾はこれまでの作風からまたちょっと変えてきた。今回は突撃要員ではなく由起谷・城木が主役。作者の月村さんは特に由起谷がお気に入りなんだろうなというのが伝わってくる(実際、次作の短編集でもフューチャーされている)。今回は戦場で常に犠牲となる女性と子供からなるテロ組織が空いて。自分たちの身を守るための自衛組織がいつの間にかテロ組織に変質していく恐ろしさが書かれている。またそんな組織に物心つくころから身を寄せる少女シーラの心情も上手く描かれている。そのシーラと由起谷との取調室でのやり取りがこれまでの龍機兵との動的活躍とは対照的な静的緊張感に溢れた良作。由起谷は幼いころからテロ組織で