月村了衛のレビュー一覧

  • 機龍警察 暗黒市場 下

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    国や巨きな組織の前に、一個人の力ではどうしようもないことは確かにある。
    ただ、信頼や友情という言葉では表しきれないほどのかけがえのない仲間を得たときの一個人は、想像できないほどのパワーを発揮することも可能かも知れない。
    このように、現実の苦々しさに打ちのめされつつも、人間の素晴らしさに素直に感動するという複雑な読後感をもたらす本書で、印象に残った言葉は二つ。
    「最も痩せた犬達」と「クレムリンの二重構造」
    現時点で文庫化されているシリーズを、改めて再読したくなった。

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    2021年01月04日
  • 機龍警察 暗黒市場 下

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    いやいや、面白かった。きっと助かると思っているんだけど、囮捜査に入ったユーリの運命には、終始ハラハラさせられっぱなし。キモノ同士の闇ファイトも、闘う側に回されるんだろうな、という予感はあっても、そこにどうやって持っていくのか見えなかったけど、なるほど、このタイミングでバレる訳やね。過去のシーンで裏切った(と思わされていた)上司も、そのキャラぶりと裏切りという行為に、かなり乖離があるように感じられたけど、救出劇への身を呈した参加を見せつけられるに至って、感動もひとしお。劇的展開が素晴らし過ぎる。シリーズ第一作の時点では『まあそこそこかな』とか思っていたんだけど、第二・第三長編と読み進むにつけ、これはとんでもない物語だと、思いを新たにした次第。

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    2020年12月29日
  • 機龍警察 暗黒市場 上

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    シリーズものの小説は、観光間隔が開くと、ほぼ完全に登場人物とか、その背景とか忘れてしまう。かといって毎回読み直すのも、自分的にはちょっと違うし、何となくのまま読み進めてしまうことが多い。本作も、多分には漏れないんだけど、キャラ立ちが素晴らしいせいか、主たるメンバーはそれなりにしっかり覚えていられる。という訳で、今回もその中の一人に焦点が当てられた作品。しかも、本上巻の後半は、丸々その回想に割り当てられているという結構。自分が読む長編としては、シリーズ3作目だけど、こういう展開も大歓迎。という訳で、現在とシンクロしたところで上巻は終わり。下巻も興奮しそう。

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    2020年12月22日
  • 機龍警察 暗黒市場 下

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    日本のどこかでロシアン・マフィアによる武器密売市場が開かれようとしている。大物マフィアのゾロトフと組んだユーリは、バイヤーとして参加を許された。その背後で展開する日本警察と密売業者との熾烈な攻防。渦中のユーリは自分とゾロトフとの因縁の裏に、ロシアの負う底知れぬ罪業が隠されていたことを知る。時を超えて甦るモスクワ民警刑事の誇り――至高の大河警察小説、運命の影と灯火の第3弾。

    スケールは大きく、でもどこか浪花節のテイストも感じられる作品であった。再読でも感涙ひとしお。

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    2020年12月09日
  • 機龍警察 暗黒市場 上

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    警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧知のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染める。一方、市場に流出した新型機甲兵装が〈龍機兵〉の同型機ではとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した。ロシアの歴史と腐敗が生んだ最悪の犯罪社会に特捜部はどう立ち向かうのか。

    単行本刊行時から8年ぶりの再読。やはり、モスクワ民警時代のパートがいい。

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    2020年12月06日
  • 暗鬼夜行

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    ネタバレ

    物語全体を通してまるで『山月記』の読書感想文を読んでいるようだった。作中には『羅生門』など他作品も引用されているが、やはり人とまともに関わらず自尊心を飼いふとらせている点が物語の肝になっていると思う。昔授業で山月記を習ったときはなんとも思わなかったが、大人になった今だとこの自尊心を飼いふとらせるという表現が自分に深く突き刺さった。
    この主人公にどこまで感情移入できるかで評価が変わりそうな気がする。展開だけを見れば、中学校教師の過労、政治家の癒着、婚約者の失望、同僚・生徒の裏切りなど、主人公がひたすら傷付けられている。それを一歩離れたところから見てざまあみろと嘲るか、一緒になって自分の心を痛ませるか。自分は後者だったからこそのカタルシスを得られた。
    とりあえず今一度『山月記』を読み直してみようと思う。

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    2020年11月09日
  • 暗鬼夜行

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    読書感想文の盗作疑惑を巡る校内狂騒を舞台設定にして、現代社会の様々な問題点を鮮やかに浮き彫りにしているが、秀逸なのは小説家を希望しながらも認めらず教師に甘んじている主人公の心情を「山月記」で、登場人物たちの闇や暗鬼の姿を「藪の中」で、代弁することによってより深く抉っているところだ。読み易く書かれているが、深い洞察力によって透徹されていることが行間から滲み出ている傑作。

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    2020年06月13日
  • 激動 東京五輪 1964

    購入済み

    蘇る昭和の世界、味わいある七編

    東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。

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    2020年04月26日
  • 機龍警察 自爆条項〔完全版〕 上

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    2010年に刊行が始まった月村了衛さんの『機龍警察』シリーズ。
    似た設定の『機動警察パトレイバー』と比べると、よりサスペンス色の強いシリアスなハードボイルド作品になっています。
    本作はその2作目にあたり、日本SF大賞を受賞し、『このミス』9位に輝いた月村さんの出世作です。
    1作目は読んでいたものの、以降が上下巻ということでなかなか手を出せていませんでしたが、ようやくこのたび読むことができました。
    結論から言うと面白かったです。
    やはりシリーズものなので1作目から続けて読んだほうがいいと思いますが、一応前作を読んでいなくても支障はないようには配慮されているようです。
    設定もよく練られており、一読した限りでは不自然さや破綻はありませんでした。

    横浜港で機甲兵装の大規模密輸事件が発生し、警視庁特捜部は北アイルランドのテロ組織IRFによるイギリス高官暗殺計画が日本で進行していることを掴みます。
    実は龍機兵搭乗要員のひとりであるライザはIRFの元メンバーだったのでした。
    組織を裏切ったライザの前に現れたIRFのテロリストたちに加え、浮かび上がった中国黒社会の面々。
    ライザの過去を描いた第二章を挟んで、中盤は特捜部による捜査の場面が中心ですが、身内の警察や他省庁との腹の探り合いがなかなかスリリングです。
    そして上巻のラスト、特捜部はIRFの居場所を掴み、密輸された機甲兵装との対決を迎えますが・・・
    以下下巻へ。

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    2020年03月29日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    機龍警察シリーズ、5作目。

    これまで存在さえも不明瞭であった特捜部の《敵》がより形となって現れてきた感じ。現代に置き換えれば5G通信システムといったところか、日中間の一大通信インフラ事業をめぐる経済疑獄に対して、特捜部を始め、捜査一課に捜査二課、組対、公安と、警察組織のオンパレード。そこに国税局なども加わって、協力と軋轢の綯い交ぜ状態。「至近未来」の物語とは言えど、現代に通ずる生々しいリアルを感じました。しかも、今回は龍機兵の戦闘シーンは一切無し。ライザと狼眼殺手の因縁の肉弾戦が今作のアクションシーンを飾り、それも見事でした。
    最終的には龍機兵の特殊システムがカギとなり、シリーズとしてのストーリーが大きく動いていきそう。今後も楽しみ。

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    2020年01月29日
  • 機龍警察 暗黒市場

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    ネタバレ

    ユーリの「契約破棄」と裏社会への進出というショッキングな出来事から始まる。
    充実した刑事時代、一転して突き落とされた地獄と負け犬の日々、そして現在進行形の潜入操作の「相似」に翻弄されながら、ユーリ、そして特捜は闇の市場を暴くことができるのか。

    潜入捜査の緊張感とワクワク感。
    特捜と組対の合同捜査、そして宮城県警、受け入れがたくとも目的を同じくする者の熱い共闘。
    沖津に翻弄される由起谷夏川コンビ、やはり沖津はすごい。

    龍機兵乗りの中で一番脆い部分を抱えたオズノフ警部が、過去においても現在においてもとにかく大変な目に逢いまくる。
    「影」ゾロトフとの複雑な関係のもつれや、かつての上司ダムチェンコへの信頼・尊敬・敬愛、それを裏切られた憎しみと哀しみなど、こういうのが……ブロマンス……???

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    2020年01月26日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    ネタバレ

    まさかの龍騎兵戦闘シーンなしの巻。政治的駆け引きと警察官僚の活躍とテロリストとの肉弾戦で構成される異色の一編。

    その特色が賛否両論を生んでいるが、俺は賛成側。良質な長編シリーズにはこういう回があっても良いと思うのだ…ただし面白ければ…。この本は十分に面白いし、今後のシリーズに大きなうねりをもたらす既設伏線の一部回収と、新たな伏線敷設をやってのけているし。

    狼眼殺手のアクションシーンもオモロイ。ライザについてはもうちょっと強くあって欲しいと思う(あれじゃ、悪い意味で既存の女性ハードボイルド主人公みたい)が、彼女と狼との確執描写は良い。背景が良いからアクションシーンもドキドキ感たっぷりで良い。

    龍騎兵シーンなしでもこのシリーズ世界でオモロい小説は駈けると証明された巻。だが、やっぱりそこも大きな醍醐味の一つなので、次回作では大いにそのシーンを期待したい。
    次作以降、敵側もきっとすごいドラグーンを出してきそうな気配だし、期待は膨らむ一方である。

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    2019年12月02日
  • 水戸黄門 天下の副編集長

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    あのテレビの水戸黄門を見て知っているなら、抱腹絶倒まちがいなしです。
    特に何も考えずに読んでも、かなりおもしろいです。
    例のドラマを知っていれば、数々のオマージュと作者さんのドラマ愛(?)になおいっそう笑わせてもらえます。

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    2019年11月11日
  • 機龍警察 火宅

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    ネタバレ

    機龍警察シリーズの短編集。サイドストーリーと言えば軽く思えるが、どれも読みごたえのある、手抜きなしの傑作短編集。
    とはいえ、本編の5作(この本以降のもう1作は後で読んでもいいみたい)を読んでおかないと、世界観、キャラクター等が分からず楽しめないので、「まずは短編集で機龍警察シリーズデビュー」という方法はやめた方がいいと思う。
    このシリーズは是非とも刊行順で読んで欲しい。

    遠田潤子風ブルースを感じる表題作に、隠蔽捜査シリーズみたいな話もあるし、なんとガンダムサンダーボルトネタまで。しかもその全てが捨て駒じゃないって、なんという多才っぷり。短編一つ一つに本編以外の直接的つながりはないものの、最後に掲載の作品にユルやかに収れんされていく構成も見事。

    今更俺が言うてもなんの評価にもならんけど…
    月村了衛は日本小説界の至宝だと思う。

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    2019年10月12日
  • 機龍警察 未亡旅団

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    ネタバレ

    文句なし、鉄板の星×5
    今更俺が書くまでもなく、このシリーズは大傑作である。

    龍騎兵パイロット3人が主人公の3作が終わって、さてどうなるんやろ?と思っていたが、まさかの由紀谷・城木!で、駆け引きモノ現場モノになるんかと思ったら…そういう部分もあってなおかつ、そこも面白いのだが…機甲装兵格闘含むアクションシーンも十分に、どころか壮絶に描かれている。敵方のボスキャラ3人VS龍騎兵3機、手に汗握るシリーズでも屈指のシーンである。

    今作も敵方の設定が凄い。イスラム系チェチェン独立派ゲリラ、しかも女性テロリストのみで構成された集団で、自爆も辞さないどころか自爆が常套化している危険集団である。確保すれば自爆、弾が当たれば自爆、人ごみに入れば自爆で、日本警察機動隊が悲惨なまでにヤラれていく。

    単なる勧善懲悪モノではなく、こちらもあちらも不幸を抱えていて、人間味も溢れている。今のところ悪役を一身?に背負う、陰に隠れた「敵」とやらの目的はなんなのか?

    由紀谷良かったな。そして城木はこのままダークサイドに引き込まれていくのか?あえて影側に振られてから善玉に戻ってくる展開はワクワクできるのだが、戻ってこれるか城木?カティアは今後絡むことはあるのか?そして今回鳴りを潜めた中国系蛇頭のあいつら…

    あぁ、今後が気になって仕方がないぞ!

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    2019年02月22日
  • コルトM1851残月

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     久しぶりに「傑作」と思えた作品。「機龍警察」の頃から、よく耳にしていたので気になっていた作家だけど、読むのは本作が初めて。

     主人公を含めて悪人ばかり出てくる江戸時代を舞台にしたギャング小説。どちらかというと苦手な分野だけど、はじめは謎めいている主人公の背景が、ストーリーの進展とともに徐々に明らかになっていく構成の巧みさに、一気に読んでしまった。また、殺しのシーンの緊迫感の作り方など、とにかく作者の上手さが光る作品だった。

     読後すぐに書店に行って、文庫化している作者の作品を買い込んでしまった。これからが楽しみ。

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    2019年03月06日
  • 機龍警察 未亡旅団

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     一気に読み切った。
     
     女性の描かれ方「聖母」か「鬼女」か、の極端な描かれ方は気になるが、登場人物の書き分けがうまいので、相変わらずテンポよく読めました。

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    2018年12月22日
  • コルトM1851残月

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    ダークで渋い時代小説で江戸時代末期なんだけど、チャンバラではなく、ガンアクションがめちゃめちゃカッコイイ。
    主役も含めて、一癖ある男女のオンパレードで、腹の裏の探り合いばかりゆえに、緊張感がずーっと継続。だからこそ焦るようにどんどん読み進めてしまう。救いがないようだけど、読む人しだいで感想は変わるかも。
    とにかく面白かった。この人の作品は、1つ読むと他の作品も読みたくなる。癖になる感じがする。
    身近な人に読んでもらい、語り合いたい気分になっている。

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    2018年12月05日
  • 槐(エンジュ)

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    グロテスクな場面も一部ありますが、手に汗握る展開が続き後半は特に一気に読んでしまった。主人公は中学3年の男子生徒。それから野外活動部の部員達。決して正義のヒーローではない〝槐〟と実は誰よりも本物の教師だった教頭先生。夏休みの合宿で訪れた先での、死と隣り合わせのサバイバルが今始まる‼︎

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    2018年07月10日
  • 機龍警察 未亡旅団

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    機龍警察シリーズ第四弾はこれまでの作風からまたちょっと変えてきた。今回は突撃要員ではなく由起谷・城木が主役。作者の月村さんは特に由起谷がお気に入りなんだろうなというのが伝わってくる(実際、次作の短編集でもフューチャーされている)。今回は戦場で常に犠牲となる女性と子供からなるテロ組織が空いて。自分たちの身を守るための自衛組織がいつの間にかテロ組織に変質していく恐ろしさが書かれている。またそんな組織に物心つくころから身を寄せる少女シーラの心情も上手く描かれている。そのシーラと由起谷との取調室でのやり取りがこれまでの龍機兵との動的活躍とは対照的な静的緊張感に溢れた良作。由起谷は幼いころからテロ組織で育った少女を変心させることが出来るのか。シーラと“死神”ライザの一瞬の邂逅も後々意味を持ってくるあたり良く練られている。そして日本に上陸したテロ組織「黒い未亡人」の目的とは。これまでどちらかというと宮近より好感の持てた城木の身近にまで<敵>の魔手が近づいていて彼の気持ちの揺らぎも伝わってきて、ますます次作が楽しみである。

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    2018年05月16日