月村了衛のレビュー一覧
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月村了衛『ガンルージュ』文春文庫。
二人の女性が韓国特殊部隊と死闘を繰り広げる荒唐無稽な痛快アクション小説。ユーモラスな要素もあり、雰囲気は映画『トゥルーライズ』にも似ている。
元公安捜査官のシングルマザー・秋来律子は隠密作戦中の韓国特殊部隊に息子と息子の同級生を拉致される。息子を救出するために律子は元ロックシンガーの体育教師・渋矢美晴と共に韓国特殊部隊と死闘を繰り広げる。
律子が冷徹な殺人マシーンならば、美晴はお笑い系アマゾネスという感じで二人の掛け合いが面白く、最後まで一気読みだった。そして、美晴が元彼とよりを戻すラストに期待したのだが、それは叶わなかったようだ。 -
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機龍警察シリーズ第四弾はこれまでの作風からまたちょっと変えてきた。今回は突撃要員ではなく由起谷・城木が主役。作者の月村さんは特に由起谷がお気に入りなんだろうなというのが伝わってくる(実際、次作の短編集でもフューチャーされている)。今回は戦場で常に犠牲となる女性と子供からなるテロ組織が空いて。自分たちの身を守るための自衛組織がいつの間にかテロ組織に変質していく恐ろしさが書かれている。またそんな組織に物心つくころから身を寄せる少女シーラの心情も上手く描かれている。そのシーラと由起谷との取調室でのやり取りがこれまでの龍機兵との動的活躍とは対照的な静的緊張感に溢れた良作。由起谷は幼いころからテロ組織で
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「ロシアの闇は深い」
第三作目は“魔犬”「バーゲスト」の搭乗員であるオズノフが主役。元刑事でもある彼がいきなり警察を辞めさせらたところから話は始まる。そんな彼が頼ったのはかつての友であり現在はロシアン・マフィアであるゾロトフ。彼との因縁をはじめ、オズノフが日本にたどり着くまでの数奇な運命、彼がなぜ刑事であることにこだわるのかが描かれている。そして彼は過去と対峙しなければならない苦境に立たされる。今作もラストまで緊張感が途切れないストーリー展開は圧巻。最後は少々お涙ちょうだいな感じがするが今後の展開を見据えれば仕方ないか。作者がロシアの警察に関する文献が日本では見つからないと知り(トム・ロブ・ -
購入済み
キリアン・クインも鈴石輝正も
読んでいるうちに、正義というものの定義が分からなくなった。誰もが自分の乗っている車窓から見える景色こそが正義の景色と主張する。しかし読了と共に、人の為を想い行動する正義、ぶれずに貫く正義こそが、真の正義と知ることが出来た。良い作品に出会えました。
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ネタバレ「機龍警察」シリーズ4作目。
今作はチェチェン紛争で家族を失った女性・少女で構成されるテロ組織「黒い未亡人」との闘い。未成年でありながら機甲兵装を駆り自爆をも辞さない敵と対峙することとなる特捜部。これまでとは全く異なる困難な任務、そしてある意味では最強の敵。緊迫感が尋常でない。
戦闘シーンも安定の迫力。「風の妻」ファティマVS姿・「剣の妻」ジナイーダVSライザの生身での白兵戦、ビル内部で繰り広げられる機甲兵装同士の肉弾戦は手に汗握る激しさ。
何よりも少女テロリスト・カティアの存在が大きい。
真正面から向き合う由起谷に心を開いていく姿、同じような境遇のライザからのメッセージ、裏切り者になりながら -
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夏休み恒例の合宿のため、寂れたキャンプ場を訪れた水楢中学校野外活動部の弓原公一はじめ7名の部員と2名の教諭。
初日の夕方、夕食の準備をする彼らの耳に聞こえてきたのは、立て続けの銃声。突如、半グレ集団の関帝連合によりキャンプ場が封鎖、キャンプ客たちが虐殺されはじめる。
公一たちも捕らえられ、絶体絶命のピンチに陥ったとき、正体不明の何物かが半グレ集団への反撃を始め…
一片の同情の余地もない、とことん凶暴で狂った集団(ただワル知恵はよく働く)に、謎の戦士の協力を得ながら立ち向かう、それぞれに悩みや問題を抱えた中学生たちという構図が、ものすごい緊張感と、(不謹慎かも知れませんが)時折、ある種の痛快さ -
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月村了衛『槐』光文社文庫。
冒頭を読み始め、学園青春物のホラー小説なのかと思ったのだが、いきなりストーリーは全く予想外の急展開を見せる。読み終えてみれば、爽快感が残る何とも物凄い冒険アクション小説だった。
中学校の野外活動部の合宿で湖畔のキャンプ場を訪れた弓原公一たちは、とんでもない惨劇に遭遇する。半グレ集団の関帝連合がキャンプ場を封鎖し、宿泊客を無差別に惨殺し始めたのだ。絶体絶命の状況下で関帝連合に独り立ち向かう謎の人物…
必殺仕置人、或いはダイハードのジョン・マクレーン、はたまたゴルゴ13のような冷徹なダーク・ヒロイン・槐が何とも魅力的だった。また、中学生たちを守るために自らの命を賭