月村了衛のレビュー一覧
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第68回日本推理作家協会賞
第12回本屋大賞第5位
自衛隊海外派遣は前提として、自衛隊は軍隊ではないので戦闘はしないし、ましてや戦死者が出ることなどないという。
本当にそうなのだろうか?
何が起こるかわからない危険地帯で、本書のようなことが起こっても不思議ではない。
舞台は内戦の続くソマリア。砂漠気候でうだるような暑さの中、ひたすら援助を待ちながらの移動と死闘。
あまりにも過酷な状況に読んでいるだけで苦しくて、早く読み終わりたくなった。
後半はみんな満身創痍すぎて、誰がどこを負傷してどの配置なのか訳がわからなくなり、極限状態を垣間見たような感覚。
最後はなんて表現したらよいかわからない感 -
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月村了衛『香港警察東京分室』小学館文庫。
香港警察と日本の警察とが手を組み、国際犯罪と闘うという異色の警察小説。
第169回直木賞ノミネート作ということであるが、それ程飛び抜けた面白さは感じなかった。
香港国家安全維持法成立以降、日本に流入する犯罪者は増加傾向にあり、こうした国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力することになる。こうした中、警視庁に『特殊共助係』が新設されるが、警察内部では各署の厄介者を集め、香港側を接待する窓際的部署と噂され、『香港警察東京分室』と揶揄されていた。『特殊共助係』は、日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名で構成され、香港側のメ -
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C市C大に通う三輪夏芽がいつもの和菓子屋にバイトに行くと、バイトは他にいる、帰ってくれといつもと違う人に店長と名乗られ追い出される。訳が分からず翌日また訪れると、昨日どうして来なかったの?大変だったんだよといつもの店長に言われ、ますます訳が分からなくなる。防音などないおんぼろアパートに住んでいるため、友人への通話を隣に住む鳴滝老人にきかれ、なんと彼は鮮やかに謎解きをする。そして、どうやらこの老人、こんなアパートに住みながら権力を有する人のよう?そしてダンディーでスイーツ好き?謎。
日常の謎系のほんわかとした雰囲気でお話が進み、主人公の夏芽も少し抜けているような性格。鋭い謎解きは老人担当だけどの -
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ネタバレタイトルだけはずいぶん前から知っていて気になってた作品。手に取るのにずいぶん長くかかってしまった。
作者曰く「初めに銃ありき」、まさにM1851ネイビーのための小説で、主人公残月こと郎次は銃に振り回される役どころ…と言っても魔銃に振り回される怪奇小説の類ではなく、あくまでアクション主体。
さらに言うと活劇ウェスタンでありチャンバラであり、何よりも正統派のノアールだということが大事な部分。その要素の美味しいところを抽出して組み込んで仕上げているのが良い。
あまりにも正統派かつ王道過ぎて、展開が読めてしまう部分が多いのが若干マイナス要素ではあるが、マンネリを理解しつつ時代劇ドラマを楽しめる素 -
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機龍警察シリーズ、短編集。
長編を4作立て続けに読んだ勢いもあったので、1作品が短い、もうちょい続き読みたいっという気持ちが沸く。えっ!この先どうなったの?って所で終わる作品が多い。でも短編てこんな感じのテンポになるよね。
個人的イチオシは、『勤行』。宮近理事官の真摯な仕事ぶりとご家族への愛がギュッと詰まった短編。
長編での疲労(読み応えがあるが故の、良い意味の疲労である)を癒してくれる。
笑ってはいけない、宮近理事官は真剣なんだ…と思いつつも、えっ!と言うようなアクシデントに見舞われる宮近理事官。無事ミッションをクリアし、果たして娘さん、奥様の信頼を勝ち取れるのか⁇
機龍警察のキャラの -
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今までの骨太な社会派ミステリーとはガラリと雰囲気が違って少々戸惑ってしまったほど。
軽快で面白さもあり、キャラも際立っていて楽しめた。
おんぼろアパートの「朧荘」に住む女子大生夏芽と隣りに住む老人・鳴滝が、身近に起こる不思議な事件を解決していく。
先ずは、夏芽がバイト先で不可解な出来事を遭遇したことをアパートから友人に電話で喋っていたところ、それが隣りの老人に筒抜けで…
翌日、散歩中に老人に誘われて洋菓子店『プリムローズ』でケーキを食べながら、不可解な出来事を詳しく話すことになり…
この鳴滝老人が不思議で、謎の人脈があるのか瞬く間にサクッと解決してしまうという。
2話から振り込め詐欺かと -
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本物の悪とは何なのか。
作品がたどり着いたラストがすごかった。
会話の流れがどこに行き着くのか、一緒にその場で聞いているような緊張感を味わった。
第1部の「翔太の罪」はスムーズに内容が理解できたけど、第2部の「海斗の罪」は、海斗がトップ企業で活躍するエリートなだけあって、話の内容も会話も難しくなって読むスピードが落ちる。
だけど後半になるに連れて、社会のしくみに愕然としながら、じわじわと追い詰められるように没入してしまった。
派手に盛り上がる訳ではないのに、独特の作風で魅力を感じた。
半グレの世界を描く暗めの作品だけど、キーアイテムとして「本」が出てくるのが意外だし素敵に思えた。
作中に登 -
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ネタバレかなり前から読みたいリストには入ってたが、なかなか機会がないまま、先月本屋で見つけ購入。月村了衛さんの本はずいぶん前に“土漠の花”を読んで以来。しかし全く違うタッチの本。
“女性差別”については最近あちこちで話題に上がってる場面を見る、それこそドラマでも。
本のタイトルから二人の女性の“対決”を中心に進められて行くのかなぁと思いながら読んでましたが、二人は最初の第一印象からお互いどこか理解し合える存在やんと感じながら読んでると結局最後は“同志”になってた。
小山内先生が語りかけるスマホ動画を神林晴美が見入るシーンは泣けた、涙が出てしまった。
こういう世直しストーリーはほんとに痛快!
“対決”っ