月村了衛のレビュー一覧

  • 十三夜の焔

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    月村了衛『十三夜の焔』集英社文庫。

    お気に入りの作家の一人である月村了衛の小説ということで特に気にせず購入したが、時代小説であった。月村了衛には『コルトM1851斬月』『コルト1847羽衣』『神子上典膳』『水戸黄門 天下の副編集長』といった面白い時代小説もあるので、期待出来そうである。

    感動の結末が待つ、ピカレスク時代小説だった。しかし、随分と時間経過の長い、込み入った話に仕立てたものだ。多くの時代小説に倣い、単純明快、勧善懲悪のストーリーの方が良かったのではないか。それでも十二分に面白いことは保証しよう。


    天明四年五月の十三夜。御先手弓組番方である幣原喬十郎は、湯島の路上で男女の斬殺

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    2025年09月27日
  • 土漠の花

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    自衛隊メンバーが軋轢もありながら力を合わせて窮地を脱出する物語。特に特筆すべきことはないが後半涙が流れてしまうのは歳のせいだけでは無いはず。

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    2025年09月23日
  • 機龍警察 狼眼殺手

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    今回は生身の戦い。なんとなく敵の姿がみえつつ。非合法で日本を守るような裏の警察組織なのか??
    読みやすさ、スリリングな展開、キャラクターの魅力度ともに素晴らしいだけに、そろそろストーリーのモヤット感をスッキリしてほしもの。

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    2025年09月20日
  • 機龍警察 未亡旅団

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    いつもながら敵テロリストの命名が絶妙。モビルスーツ同士の戦いも映像が見えてくるような文章でさすが。
    ただ、身内の敵なるものが、どうもしっくりこない。シリーズ続けてずっとこのモヤモヤが続くと思うと、せっかくの良い作品なのだが、食欲がなくなる可能性も・・

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    2025年09月20日
  • 虚の伽藍

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    千年の村社会ーまさに京都の本質
    うわぁ、すごいこと書くなぁ
    “再開発“といえば、もう利権の取り合いで汚い金の奪い合いは当たり前と思っていたが、そこに高い志を持っていたはずの若い僧侶がずぶずぶと落ちていく
    社会派かつ超エンターテイメントで面白かった

    この作品が高校生直木賞だなんて、自分が高校生でこんな社会派小説読んでなかった
    今の高校生恐るべし!

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    2025年09月15日
  • 虚の伽藍

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    ネタバレ

    凌玄という僧侶が燈念寺派のトップを目指す物語なのだが、そんな単純なものでもない。仏教の世界の権力争いと言えばそれまでだが、ヤクザも絡んで途轍もない話になる。ヤクザの抗争、友人の裏切り、そこに女の世界の掟も加わる。えげつない世界を見せてもらった。凌玄にとっては因果応報なところもあるが、なかなか世の中は上手く回っているとも言える。それが釈迦の教えなのかもしれないが、私には分からない。京都弁のセリフは慣れていないと読みにくいかもしれないが、個人的には京都の裏っ側を見事に表現していると思う。私には馴染みの言葉なので、気持ちの強弱を含めて強く心に描写された。

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    2025年09月10日
  • 普通の底

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    ネタバレ

    どうかなと思いつつページ開けば大変読みやすく、一気読みできた犯罪小説でした。

    主人公川辺優人は幼少より普通を意識して行動し、周りの人からもそう思われながら社会人になったものの過去の悪事から逃れられず死刑にもなる犯罪を犯すわけですが。

    自分を顧みると物心ついた時にはもう自分が普通でない事を意識していたので(自称生まれながらのオタク)、普通である事など苦痛で仕方なかったんですけど、でも高校時代あたりから「このままだと社会生活送れなさそう」と危機感を抱き、どうにかこうにか世間一般的な普通を意識して日々送っている訳ですがそれでも気が付くと世間から離れてる自分を意識してしまうのですね。
    そういう普通

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    2025年09月07日
  • 普通の底

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    普通として生きたかった青年が転落するまでの克明な記録。
    お受験から両親の不仲、クラスの様子など解像度が高く、読んでいてずっと沈んだ気持ちになる。
    高校の時に1回ミスをしたから転落した、と読み解くこともできるだろうが、実際は"普通"と思っていた選択肢が全て最悪となるほうに転がっていったように思う。今は底に沈むシステムができているので、一旦そこに乗ってしまうと抜け出すのは難しい。
    SNSで社会や政治に怨嗟の念を書いている人たちもこういうものなのかなぁ...と思えた。

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    2025年09月02日
  • 普通の底

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    どこにでもいそうなのに、この違和感をおぼえる浮世離れした感じの人は身近にはいないなと思えた。子どもの時からこんなに処世術を考えてこれたなら、きっといくつかの決定的な分岐点でも「普通でい続ける」選択をできたはずなのに。相手になめられてはいけない、弱みを見せてはいけない、そのような無意識の優越感が、曇りをもたらすのだろうか。小説がめちゃめちゃリアルだからこそ、自分との違いを見つけたくて仕方なかった。

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    2025年08月31日
  • 機龍警察 白骨街道

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    ネタバレ

    シリーズ6作目

    国際指名手配犯の君島がミャンマー奥地で逮捕された
    身柄の引渡し役として官邸に指名された突入犯3人 白骨街道
    城州グループと城邑毬絵

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    2025年08月27日
  • 機龍警察〔完全版〕

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    現在進行中のシリーズに手を出すのに多少ためらいはあったが、長編というより連作っぽいのと、月村さんなら途中で投げ出さないと信じ手に取る。相変わらず心地よいスピード感。時に長い回想シーンに興ざめる場面もあるが、10年以上昔の作品とは思えない。とりあえず現在発行されている分までは読もう。

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    2025年08月27日
  • 虚の伽藍

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    ネタバレ

    《あらすじ》
    時はバブル前夜。日本最大宗派燈念寺宗系末寺の跡取り息子凌玄は、実家の寺を立て直すために総本山の宗務を司る総局部門に入職し、幹部僧侶になるべく日々職務に励んでいた。
    ある日、文部部長の空善から「売却予定の夜久野の整地現場に顔を出してこい」と立会を命じられた凌玄は、そこで地元の老人が、厳斗上人所縁のものであるからと仏堂の取り壊しに強く反対している姿を目撃する。
    帰社後、凌玄はこの件を調べて空善や室長の潮寛に報告するが、実はこの2人は黒幕である統合役員暁常の元、お山の土地売却によって利鞘を得ようと企んでいた張本人たちであった。
    2人は凌玄を懲罰にかけ宗門から追い出そうと画策するが、凌玄

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    2025年08月25日
  • 半暮刻

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    女性を騙す詐欺集団。優秀だった翔太と海斗。犯罪がバレた後、対照的な人生を送る。

    半グレの手口+(大手広告代理店+新都市博)が赤裸々に描かれる。作者が葬られるんじゃないか?と思うぐらいリアルで面白かった。

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    2025年08月19日
  • 虚の伽藍

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    ピカレスクやノワール小説をよく読む人にとってはわりと王道の内容かも。ヤクザやフィクサー、政治家(政治屋?)が企業を舞台に暗躍する話を宗教界で繰り広げるような話。ただこの主人公が小賢しいというか、言い訳ばかりで嫌な感じ。なので破滅を期待するのだが、なぜか憎めないのだ。個人的には冷徹なインテリが好みなのでヤクザの氷室がドンピシャなのだけれど、妖怪じみていながら人間くさい主人公凌玄にハラハラさせられ話にひきこまれる。凌玄と同じ滋賀の生まれで京都にも馴染みがある身としてはフィクションとはいえリアリティのある部分もあり、しかしリアルな故に魔界のような扱いの京の宗教界が可哀想でもあり……まあ大企業や大病院

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    2025年08月15日
  • おぼろ迷宮

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    この人が派手なハードな展開や闇を描かず面白いミステリをを書いたのは意外。
    でも、良かった。

    2982冊
    今年210冊目

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    2025年08月10日
  • 虚の伽藍

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    面白かったー。これぞ、痛快ノワール小説。
    主人公の凌玄は最初信心深く善良な僧侶なのだけど、少しずつ悪に染まっていく。
    この悪に染まっていく度合いが半端じゃなくて、本当にもうただの悪なんですよね…人もバンバン殺すし。
    良心の呵責に苦しむ場面は最初の方だけで、あとはもう一気に悪の道をひた走っていくのだけど、悪すぎてむしろ爽快感すらある。
    正しいことをするには力が必要で、力を得るためには正義に相反する汚いこともしなければならない…というのは、この世界の偽らざる真実なのかもしれないけど、権力と金を手に入れると人は堕落するんですよね…。こういうのは仏教界に限らず、政治の世界でも同じだよなぁと思ったり。

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    2025年08月10日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    詐欺から足を洗いたいと願いながら、気がつけばかつて所属した詐欺集団と同じ末路に向かう主人公が滑稽で哀れ。しかも誰よりも詐欺の才能を開花させるのが皮肉である。
    終盤の、ヤクザですら引くほどの風格をまとった主人公がかっこよくも恐ろしい。
    しかしながら主人公の周りの人物がことごとく胡散臭く、かつ家族仲も悪いため、読者としては緊張が解けることなく、少々疲れる。

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    2025年07月23日
  • 虚の伽藍

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    仏教・ヤクザ・京都・地上げ。
    登場人物の漢字が難しい(浅学ゆえ読めませんでした)けど、文章は読みやすくてするする読めた。
    人が闇落ちしていく部分を描いているので、読み終えた後の感情はなんとも言えない微妙なものが残りました。

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    2025年07月22日
  • おぼろ迷宮

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     女子大生夏芽の一年間の冒険譚というと作品のイメージがガラリと変わってしまいそうだが、最後まで読み切るとこの作品の主人公は間違いなく夏芽であり、その役割を真っ当している。作中、全てのキャラクター造形が際立っており、親友の紬以外はバックボーン含めて想像できる様な描き方がされている。それぞれの登場人物達は皆魅力的で、謎の老人である鳴滝も、彼の知人である剛田も、夏芽の大学の教授である榊も、まるで彼らが登場する作品を過去にみてきたかの様に生き生きとしている。
     一点残念な部分があり、表紙に夏芽と鳴滝の姿が描かれている点で、時に鳴滝についてはミステリアスな要素を残しながら、読者に人物を想像させて欲しかっ

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    2025年07月10日
  • おぼろ迷宮

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    「虚の伽藍」で著者の存在を知り、本作はまったく違った雰囲気を醸し出しているので手に取ってみました。

    表紙からして昭和感が漂っていますが、作風もまた、どこか懐かしい昭和の空気感があります。舞台は現代(令和)なのに、アパートや地名など、そこかしこに“朧”という漢字が登場するせいでしょうか。全体にノスタルジックでレトロな雰囲気が流れているのです。
    (「乱歩と千畝」を読んだ流れで本作を読んだせいか、余計にそのレトロ感を強く感じました。)

    それにしても、思いっきり人情モノに振ってきましたね。笑
    しかも、読み心地はとてもライト。
    月村了衛さんは重めのテイストを描く作家だと思っていたので、そのギャップに

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    2025年07月09日