月村了衛のレビュー一覧

  • 土漠の花

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    第68回日本推理作家協会賞
    第12回本屋大賞第5位

    自衛隊海外派遣は前提として、自衛隊は軍隊ではないので戦闘はしないし、ましてや戦死者が出ることなどないという。
    本当にそうなのだろうか?
    何が起こるかわからない危険地帯で、本書のようなことが起こっても不思議ではない。

    舞台は内戦の続くソマリア。砂漠気候でうだるような暑さの中、ひたすら援助を待ちながらの移動と死闘。
    あまりにも過酷な状況に読んでいるだけで苦しくて、早く読み終わりたくなった。
    後半はみんな満身創痍すぎて、誰がどこを負傷してどの配置なのか訳がわからなくなり、極限状態を垣間見たような感覚。
    最後はなんて表現したらよいかわからない感

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    2025年06月17日
  • 香港警察東京分室

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    月村了衛『香港警察東京分室』小学館文庫。

    香港警察と日本の警察とが手を組み、国際犯罪と闘うという異色の警察小説。

    第169回直木賞ノミネート作ということであるが、それ程飛び抜けた面白さは感じなかった。

    香港国家安全維持法成立以降、日本に流入する犯罪者は増加傾向にあり、こうした国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力することになる。こうした中、警視庁に『特殊共助係』が新設されるが、警察内部では各署の厄介者を集め、香港側を接待する窓際的部署と噂され、『香港警察東京分室』と揶揄されていた。『特殊共助係』は、日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名で構成され、香港側のメ

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    2025年06月11日
  • 機龍警察 暗黒市場

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    ネタバレ

    第3弾

    ロシア出身の ユーリ オズノフ を主役とした回
    影のゾロトフ、灯火のユーリ
    最も痩せた犬達の7か条

    ルイナクというネット上の武器密売市場が、新型機キキモラの入札のため実体化した一瞬をとらえた潜入捜査
    ロシア人の名前が入ってこなくて苦労したが、伏線や構成は流石
    読後感は良かった

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    2025年06月11日
  • おぼろ迷宮

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    C市C大に通う三輪夏芽がいつもの和菓子屋にバイトに行くと、バイトは他にいる、帰ってくれといつもと違う人に店長と名乗られ追い出される。訳が分からず翌日また訪れると、昨日どうして来なかったの?大変だったんだよといつもの店長に言われ、ますます訳が分からなくなる。防音などないおんぼろアパートに住んでいるため、友人への通話を隣に住む鳴滝老人にきかれ、なんと彼は鮮やかに謎解きをする。そして、どうやらこの老人、こんなアパートに住みながら権力を有する人のよう?そしてダンディーでスイーツ好き?謎。
    日常の謎系のほんわかとした雰囲気でお話が進み、主人公の夏芽も少し抜けているような性格。鋭い謎解きは老人担当だけどの

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    2025年06月05日
  • おぼろ迷宮

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    今まで読んできた作品と比べてコメディ風な部分が多いが、所々にそれまでの重い雰囲気なども感じられるので読んでいてその差が面白く感じた。

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    2025年05月31日
  • 警官の標 警察小説アンソロジー

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    各短編とも充実した内容でした。個人的には鳴神氏と吉川英梨氏がフィットしました。他の作品も読んでみたいと思います!

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    2025年05月28日
  • 黒涙

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    黒警の続編。
    格好いい男の運命が常に似ている感じがするところが少し残念ですが、日中の情報戦に個人的事情から日本側に立つ中国系の第三勢力という展開は面白い。
    日本側の悪役に小物したいないのが多少残念。

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    2025年05月24日
  • コルトM1851残月 1

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    書店で見つけた時はイロモノかと思ったけど、読んでみたら重厚な本格派の時代劇画!主人公の郎次が性格も生い立ちもとにかく昏く、ダークヒーローものと言っても差し支えなさそうだけど、よくよく考えたらヒーロー要素はコルトM1851を遣う以外ほとんど兼ね備えてない。この巻のみの印象だと頭が良くて度胸のいい悪人()
    ていうか登場人物全員なにかしらクズ要素があって、クズの祭典みたいなところもある。
    郎次がなぜコルトを遣うようになったのか?どうやって今の地位に着いたのか、そもそも一門内での権力争いが過熱化していて次巻も楽しみ。

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    2025年05月19日
  • おぼろ迷宮

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    ネタバレ

    第1話と第2話の短編は✡5、第3話と第4話は✡4
    日常ミステリーとしては高いレベル
    元警視総監と大学助教授と大学生の主人公とのやりとりは秀逸

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    2025年05月18日
  • 対決

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    医大の入試採点過程で、女子と浪人生の点数を意図的に下げている
    そこを狙う新聞社

    新聞記者の菊乃と、医大の理事晴美
    記者と医大の対決というより、この2人の同世代の女性同士の対決のようにも感じ取れる

    途中まで、女性の自分は胸糞悪い気分になるくらい、出てくる男性陣のハラスメントの数々
    著者はまるで女性かと思うくらい、女性の経験した事柄や感情をうまく表している

    対決の結果としては、スッキリとする書き方ではなかったものの、現実社会において実際の不正入試にスポットを当ててあるところは興味深く読めました。

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    2025年05月16日
  • コルトM1851残月

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    ネタバレ

    タイトルだけはずいぶん前から知っていて気になってた作品。手に取るのにずいぶん長くかかってしまった。

    作者曰く「初めに銃ありき」、まさにM1851ネイビーのための小説で、主人公残月こと郎次は銃に振り回される役どころ…と言っても魔銃に振り回される怪奇小説の類ではなく、あくまでアクション主体。

    さらに言うと活劇ウェスタンでありチャンバラであり、何よりも正統派のノアールだということが大事な部分。その要素の美味しいところを抽出して組み込んで仕上げているのが良い。

    あまりにも正統派かつ王道過ぎて、展開が読めてしまう部分が多いのが若干マイナス要素ではあるが、マンネリを理解しつつ時代劇ドラマを楽しめる素

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    2025年05月10日
  • 機龍警察 火宅

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    機龍警察シリーズ、短編集。
    長編を4作立て続けに読んだ勢いもあったので、1作品が短い、もうちょい続き読みたいっという気持ちが沸く。えっ!この先どうなったの?って所で終わる作品が多い。でも短編てこんな感じのテンポになるよね。

    個人的イチオシは、『勤行』。宮近理事官の真摯な仕事ぶりとご家族への愛がギュッと詰まった短編。
    長編での疲労(読み応えがあるが故の、良い意味の疲労である)を癒してくれる。

    笑ってはいけない、宮近理事官は真剣なんだ…と思いつつも、えっ!と言うようなアクシデントに見舞われる宮近理事官。無事ミッションをクリアし、果たして娘さん、奥様の信頼を勝ち取れるのか⁇

    機龍警察のキャラの

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    2025年05月06日
  • 黒涙

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    ネタバレ

    重みのあるテーマでありながら、非常に読みやすかった。ダークヒーローとも言うべき主人公で、そこに決して正義を感じることは出来ないものの、不器用でくだらないジョークを言うキャラクターなのが好感を持てた。最終的にはストーリーに出てくるかなりの人数が殺されてしまうという復讐の連鎖という構図だったが、すっきりとする終わり方だった。

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    2025年05月04日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    ネタバレ

    実際の話は知らずに読みました。
    最後まで面白く読めた!

    終わり方がどうせなんか失敗して殺されちゃうんじゃないの?と思ったら続いていくエンドで嬉しかった。
    どんどん悪の道でのし上がっていってほしい!!

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    2025年05月04日
  • おぼろ迷宮

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    今までの骨太な社会派ミステリーとはガラリと雰囲気が違って少々戸惑ってしまったほど。
    軽快で面白さもあり、キャラも際立っていて楽しめた。

    おんぼろアパートの「朧荘」に住む女子大生夏芽と隣りに住む老人・鳴滝が、身近に起こる不思議な事件を解決していく。

    先ずは、夏芽がバイト先で不可解な出来事を遭遇したことをアパートから友人に電話で喋っていたところ、それが隣りの老人に筒抜けで…
    翌日、散歩中に老人に誘われて洋菓子店『プリムローズ』でケーキを食べながら、不可解な出来事を詳しく話すことになり…
    この鳴滝老人が不思議で、謎の人脈があるのか瞬く間にサクッと解決してしまうという。

    2話から振り込め詐欺かと

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    2025年04月30日
  • 機龍警察〔完全版〕

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    月村先生の代表作といえば機龍警察だよねってことで欺す衆生からきました。
    映像化したら相当おもしろいんじゃないかな?と思う。わたしの頭の中では小さめトランスフォーマーみたいなのが戦闘をしてるイメージなんだけど、映画にならないかな(もうなってるのかな)
    あまり余計なことを考えず設定の面白さを楽しむ、アクションを楽しむ作品かな!

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    2025年04月30日
  • 対決

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    ネタバレ

    東京医科大学など中堅私立医大の女子、多浪差別をモチーフにした話

    特大スクープを狙う中年女性記者と大学を守ろうとする事務局出身の女性理事の対決

    女性差別とは、そもそも差別とは、という難しいテーマにも過度に深入りしすぎず結論も出さず、程よい距離感で書かれており、最終的にハッピーエンド感があってよかった
    もちろん相当盛られているのだろうけど、実話?

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    2025年04月29日
  • 半暮刻

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    本物の悪とは何なのか。
    作品がたどり着いたラストがすごかった。
    会話の流れがどこに行き着くのか、一緒にその場で聞いているような緊張感を味わった。

    第1部の「翔太の罪」はスムーズに内容が理解できたけど、第2部の「海斗の罪」は、海斗がトップ企業で活躍するエリートなだけあって、話の内容も会話も難しくなって読むスピードが落ちる。
    だけど後半になるに連れて、社会のしくみに愕然としながら、じわじわと追い詰められるように没入してしまった。
    派手に盛り上がる訳ではないのに、独特の作風で魅力を感じた。

    半グレの世界を描く暗めの作品だけど、キーアイテムとして「本」が出てくるのが意外だし素敵に思えた。
    作中に登

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    2025年04月28日
  • 欺す衆生(新潮文庫)

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    1985年今から40年前に起きた豊田商事会長刺殺事件。何も加工されずに放映されたニュースは高校生だった私はあまりにもセンセーショナルで先物取引というものになぜ多くの人が溺れてしまったのかその時は分からなかった。この豊田商事事件をモチーフにしたストーリーは当時を学ぶとともに月村了衛の描くテンポと臨場感にあふれるストーリーにひき込まれました。

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    2025年04月27日
  • 対決

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    ネタバレ

    かなり前から読みたいリストには入ってたが、なかなか機会がないまま、先月本屋で見つけ購入。月村了衛さんの本はずいぶん前に“土漠の花”を読んで以来。しかし全く違うタッチの本。
    “女性差別”については最近あちこちで話題に上がってる場面を見る、それこそドラマでも。
    本のタイトルから二人の女性の“対決”を中心に進められて行くのかなぁと思いながら読んでましたが、二人は最初の第一印象からお互いどこか理解し合える存在やんと感じながら読んでると結局最後は“同志”になってた。
    小山内先生が語りかけるスマホ動画を神林晴美が見入るシーンは泣けた、涙が出てしまった。
    こういう世直しストーリーはほんとに痛快!
    “対決”っ

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    2025年04月18日