あらすじ
警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧友のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染めた。一方、市場に流出した新型機甲兵装が『龍機兵(ドラグーン)』の同型機ではないかとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した――日本とロシア、二つの国をつなぐ警察官の秘められた絆。リアルにしてスペクタクルな“至近未来”警察小説、世界水準を宣言する白熱と興奮の第3弾。
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吉川英治文学新人賞受賞作。このシリーズは日本SF大賞を受賞し、「このミス」でも上位入選常連なのに、もっと世の中の認知が上がって良いはずだということを強く言いたい!決してライトな作品ではないため、この価格帯、文量に躊躇してしまう文芸初心者の方もいるかもしれません。でも是非、シリーズ1作目『機龍警察〔完全版〕』から挑戦してみてください。1作目、2作目と来てこの3作目を読むと、「読書の喜び」が感じられるはずです。
著者によると映像化はしないそうですが、それもそのはず活字を読むだけで情景が目に浮かんでくるのです。必要ありません。特に、エヴァンゲリオン、攻殻機動隊などSFアニメにハマった人には絶対刺さるということを保証します。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
オーディブルで。ユーリオズノフ警部が主役。
ユーリは、正義感の塊のような警官の父の血を
そのまま継いだ子供。まっすぐに生きるクラスの人気者。その対局=影というべき落ちぶれたロシアンマフィアの父の子であるゾロトフとの少年時代の友情。落ちぶれた父に日々酷い目に合わせれながらも、父と楽しそうに過ごすゾロトフを目撃するユーリ。ユーリの父が犯罪を犯したゾロトフの父を知らずに射殺してしまった事件。そして、10数年ぶりに
警官になったユーリと、マフィアになったゾロトフとの
再会。何かすごく切ない気持ちになった。
ユーリのモスクワ民警91分署時代の、素晴らしい仲間や上司.恋人との幸せな時代からの暗黒への急展開。
まさかの仲間全員が裏切り。本当にロシアは、怖い。国家権力は怖い。
やせた犬の7か条が、かっこいい。警官じゃなくても
人生に有効だと思う。
①尻尾を決して巻くな
②相手の目をひかず、相手から目をそらすな
③凍ったヴォルガ川よりも冷静になれ
④見方を変えて違う角度から見ろ
⑤自分を信じろ
⑥目と耳と鼻を決してふさぐな
ユーリは、ものすごくタフガイ。過去の裏切りや
過ちに傷つきながら、まっすぐに生きようとしている
姿勢に感銘を、受ける。最後に裏切った上司が、当時の最善策を取っていて、本質的には、ユーリの、味方だったみたいな件は、国家の陰謀の前には、仕方ないのも理解できるが、気持ち的には、納得がしにくかった。
そしてなぜだろう。影であるゾロトフ、テイエーニのことは、最後まで憎めなかった。何か、ゾロトフとユーリは、最後まである意味お互いを分かり合えたまま、敵対
した気がする。
Posted by ブクログ
ユーリの「契約破棄」と裏社会への進出というショッキングな出来事から始まる。
充実した刑事時代、一転して突き落とされた地獄と負け犬の日々、そして現在進行形の潜入操作の「相似」に翻弄されながら、ユーリ、そして特捜は闇の市場を暴くことができるのか。
潜入捜査の緊張感とワクワク感。
特捜と組対の合同捜査、そして宮城県警、受け入れがたくとも目的を同じくする者の熱い共闘。
沖津に翻弄される由起谷夏川コンビ、やはり沖津はすごい。
龍機兵乗りの中で一番脆い部分を抱えたオズノフ警部が、過去においても現在においてもとにかく大変な目に逢いまくる。
「影」ゾロトフとの複雑な関係のもつれや、かつての上司ダムチェンコへの信頼・尊敬・敬愛、それを裏切られた憎しみと哀しみなど、こういうのが……ブロマンス……???
Posted by ブクログ
機龍警察シリーズ第3弾
本作はシリーズ中最高傑作の呼び声高い1冊。
面白さの要因は何と言ってもシリーズが深まり書き手も読み手も機龍警察に慣れてきたこと。
想像上の兵器、龍機兵の説明とか警備部を取り巻く環境とかいちいち長ったらしい説明が端折られてきて非常に読み易くなった。
また自分は龍機兵と言うものに慣れてきて頭にイメージが出来るようになってきたので戦闘シーンも臨場感が出てきてスリルを感じるようになった。
もちろんストーリーは色々なものが詰め囲まれた折り紙つきの面白さです。
Posted by ブクログ
「ロシアの闇は深い」
第三作目は“魔犬”「バーゲスト」の搭乗員であるオズノフが主役。元刑事でもある彼がいきなり警察を辞めさせらたところから話は始まる。そんな彼が頼ったのはかつての友であり現在はロシアン・マフィアであるゾロトフ。彼との因縁をはじめ、オズノフが日本にたどり着くまでの数奇な運命、彼がなぜ刑事であることにこだわるのかが描かれている。そして彼は過去と対峙しなければならない苦境に立たされる。今作もラストまで緊張感が途切れないストーリー展開は圧巻。最後は少々お涙ちょうだいな感じがするが今後の展開を見据えれば仕方ないか。作者がロシアの警察に関する文献が日本では見つからないと知り(トム・ロブ・スミスが最高の教科書だったのこと)苦労して書いたとされるロシア警察の世界はトム・ロブ・スミスに負けないくらい良く出来ている。誰が敵だか分からないこの戦いの中で、純粋過ぎるオズノフは少々役不足な気がしていたが、今作を読んでやはり特捜部には必要な人材だと思わされた。今後も姿警部と凸凹コンビを演じて欲しいものだ。
Posted by ブクログ
いやいや〜さすがに本作も面白かったです。
ホンマ、このシリーズは鉄板ですね〜
とにかく龍機兵の活躍よりも組織のしがらみや軋轢とかの方が面白すぎるだろうって感じます。それに敵と味方のあり方が普通じゃなさ過ぎですよ。あと警察って組織の中もそこで働いている人達も……それがまた堪らんところが本作の魅力じゃないですかね。
前回のラードナー、今回のオズノフの経緯となる物語の面白さや伏線の引き方と回収の仕方の巧さは脱帽って感じですね。
重くて暗くて鬱屈しちゃってる彼らに少しづつでも救いがある物語の展開も大好きです。
クセのありすぎるお国柄のアイルランド、ロシア、中国とがお相手で絡ませ方が非常に現実的でね。面白いんです。
超オススメのシリーズです。
Posted by ブクログ
このシリーズで一番面白かった。眠気押して三章は一気読み。
ユーリの過去もライザと同じくかなりダークだけど、人間らしさがそこにあるというか、結構ユーリに感情移入できちゃう。強くない、迷う、不安になる、裏切られても信じたい、そんな姿が人間らしいと思える。
ストーリーも敵味方わからない人や、立場が二転三転する人もいてなかなかスピーディに進みます。クワンがいいキャラだなぁ。
機龍兵は相変わらず私のなかではエヴァ。
Posted by ブクログ
極めつけの傑作だった。
機龍警察シリーズ、最初から凡百の小説とは
一線を画す面白さだったけど、
シリーズを重ねるごとにレベルアップしていき、
シリーズ第三弾の本作で完全に化けたと確信した。
ページをめくる手が止まらない。
何人たりともこの本を読むことを妨げるな。
久々にそう感じる作品を味わえた。
Posted by ブクログ
機龍警察シリーズ、3作目。
今回は龍機兵搭乗要員の1人、ユーリ・オズノフにクローズアップ。元ロシア警察の捜査員であり、無実の殺人容疑を掛けられていたユーリ。前回のライザも同様であったが、あまりに壮絶な過去に言葉を失うほど圧倒された。その壮絶さに対し、ストーリー自体はSFなれど、ロシアの現状を上手く填め込んであって、単なる絵空事と感じさせないのがこのシリーズの凄いところ。また、3人の龍機兵搭乗要員の中ではユーリが一番人間的な弱さを持っているキャラであるだけに、ライザ以上に感情移入もしやすく、展開に胸を打った。今のところ、シリーズの中では今作が私の一番。
ユーリの生い立ちが明らかに!
今作はロシア人の元警官であるユーリに焦点があてられています。いつも損な役回りのユーリですが、本作でもいつにも増して虐められています。メインキャストなのに。
ライザがメインだった前作ほどの華(というには暗いが)はないけど、ストーリーの面白さは増していますね。このシリーズ、作を追うごとにパワーアップしていているで楽しみです。
そういう点では、3作で3人の主人公を描き切ってしまったのに話は終わりそうもない、という今の状況、どう展開するんだろう?
Posted by ブクログ
第3弾
ロシア出身の ユーリ オズノフ を主役とした回
影のゾロトフ、灯火のユーリ
最も痩せた犬達の7か条
ルイナクというネット上の武器密売市場が、新型機キキモラの入札のため実体化した一瞬をとらえた潜入捜査
ロシア人の名前が入ってこなくて苦労したが、伏線や構成は流石
読後感は良かった
Posted by ブクログ
ロシアの底深い欲望の闇と社会主義が崩壊した後にも残る深い傷を感じる作品。ユーリの苦衷が警察官の誇りで昇華出来るように。こんな近未来が来ないことを祈る。
Posted by ブクログ
〈痩せ犬の七ヶ条〉
班長が言ったーーー「一つ、目と耳と鼻を決して塞ぐな」。
プリゴジンが言ったーーー「一つ、尻尾は決して巻くな」。
ジャギレフが言ったーーー「一つ、相手の目を惹かず、相手から目を逸らすな」。
レスニクが言ったーーー「一つ、凍ったヴォルガ川より冷静になれ」。
ボゴラスが言ったーーー「一つ、自分自身を信じろ」。
カシーニンが言ったーーー「一つ、見方を変えて違う角度から見ろ」。
そして父が言ったーーー「一つ、まっすぐに生きろ」。
Posted by ブクログ
今回はユーリの過去を絡めて事件が進んで行きます。誰がどう裏切っているのか、過去も現在もわからず、でもどんどん追い込まれていく面白さ!飛ばして読むとついていけなくなるので、ゆっくり読み進めた。そろそろ姿の過去編になるのかなぁ。
もしこの本がマンガでキャラクターランキングなんかがあった、關と姿が上位に来そう。沖津さんもかな?そもそも主人公があやふやな流れなのだよね。
Posted by ブクログ
姿、ライザに続きユーリの過去に焦点を当てた一冊。3人の中で一番打たれ弱いユーリかわいいね……と思ってたら過去も現在もめちゃめちゃ壮絶で可哀想になってしまった。テンポが良くて全編一気に読み通したんですが、特捜部がこれからも戦い続ける相手が途方もなく巨大で……。ユーリとゾロトフとの関係がかなり良いのと、「痩せ犬の7ヶ条」の演出にやられました。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾。主人公は、ロシアの元刑事ユーリ・オズノフ警部。シリーズ2弾もすごかったが、今回も凄い。ひたすら最後まで凄い。近未来エンターテインメントだ。
しかし、話の中でロシアの現状(警察の現状)が、語られているが、これが本当なら、そして、日本の警察の現状のそうなら、非常に怖い話だ。近未来ではなく、現実の世界なのかもしれない。
Posted by ブクログ
龍機兵バーゲスト搭乗員であるユーリ・オズノフ警部が警視庁との契約を解除されるという驚愕のスタート。旧知のロシアン・マフィアであるゾロトフとの関わりとユーリの転落を描く「最も痩せた犬たち」のエピソードは暗く悲痛で読み進めるのが苦痛なほど。しかし最後にすべての伏線が明らかになるカタルシスのあるラストが待っていた。DRAG-ON、アグリメント・モードでのユーリ=バーゲストの死闘に涙せずにいられない。
Posted by ブクログ
今回の主役はユーリでした。
相変わらず重厚で、痛くて苦しくて、でも少し救われた。いろんなことに気づいた今、ユーリはどう生きていくんだろう?
〈敵〉も見えたと思えば姿を消すのでハラハラする。沖津の過去も気になるが、今後どこかで掘り下げられるのかな。
Posted by ブクログ
「機龍警察」シリーズ3作目。今作は元刑事のユーリが主役なので警察小説の色合いが濃くハードボイルドな仕上がりに。
いきなり冒頭からユーリが契約解除で特捜部を離れ武器の密売に手を染めるという驚きの展開。そして明らかになる過去。
数奇な因縁を持つことになるゾロトフとの出会い。「最も痩せた犬達」の一員として邁進したモスクワ民警時代。裏切りにより警察を追われ闇社会に堕ちていく過程。
そこからユーリの持つ繊細さや捨て去ることのできない警官としての矜持の理由が見えてくる。
プロフェッショナルの姿・超人のライザと比べてやられ役気味だったユーリをきっちりカッコ良く描いてくれたことが何ともうれしい。
シャープな印象が強い前作とは対照的にいい意味で男臭い人間味のある内容。
Posted by ブクログ
2014/7/26
話は目新しいものではない。よくあるパターン。しかし、緊張感のある文体や巧みな言葉選びにより、心躍らせられることしばしば。このシリーズは文句なく面白い。ファンになった。続編では、まだまだ語られていない人物の過去や「敵」との攻防が繰り広げられるのだろう。楽しみだ。
Posted by ブクログ
再読
1作目は機龍警察の紹介、2作目はライザの過去とIRFのテロ阻止、今作はユーリの過去とロシアの武器密売グループの因縁がメイン。
機龍警察(特捜部)のメンバーの過去と現在進行する事件がシンクロして描かれる構図は過去作と同じ構図。
しかし今回は、武器密売市場時代の恐ろしさとその壊滅をメインプロットとしながら、三つ巴四つ巴の闘いが繰り広げられ、とにかくプロットの巧さに引き込まれる。
ロシアマフィア、チャイニーズマフィア、外事、”敵”、中国、ロシア警察、様々な思惑が絡む。
本当の敵は?そして敵の敵は?
これほど多くの伏線やエピソードをばらまきながら上手く回収する作者の手腕は半端ではないし、濃厚な文章には圧倒される。
Posted by ブクログ
主要登場人物の過去をえぐり出し、シリーズの展開も見せて行く。
相変わらずの面白さだが、やっぱり、その過去のエピソードが長すぎる気がする。ちょっとダレる。いや、そこもハラハラなんだけど。
読み続けるのが楽しみなシリーズ。
Posted by ブクログ
11月-6。3.5点。
機龍警察シリーズ。今回はユーリに焦点。
警察から契約解除されたユーリ。ロシア時代の知り合い、闇の武器売買組織に手を貸す。
面白い。スピード感あり。龍機兵操縦者達のエピソードが揃った。次作も期待。
Posted by ブクログ
月村了衛のクセなのかもしれないが、いかにもお決まりといった設定ばかりなので説明的なナレーションとストーリー展開を待たずとも結果がわかってしまい読んでいて刺激がない。刺激がないから悪いというわけではないが、個人的には小説は展開をあれこれ思い巡らせながらときに期待を裏切られつつわくわく読みたいもの。
Posted by ブクログ
機龍警察シリーズ第三弾は、元ロシア警察のユーリ・オズノフにフォーカスされる。
彼がロシア警察から追われるきっかけとなった事件、そして、その後日本警察と契約するまでに辿った日々。
本作でも、機龍は重要な登場人物ではあるが、主役にはならない。
主役は、あくまでもユーリ・オズノフ警部と警視庁特捜部。
本作も、スピーディーな展開を持ちつつ、じっくり読ませてくれる。
そして伏線と伏線が絡み合って、時間を超えて見事に解決されていく。
実に面白いこと請け合い。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾です!
本シリーズは、
現在までに、長編4編、短編集1編が、
刊行されておりますが…、
このうち、第1~3作は、
「龍機兵」の3人のパイロットについて、
それぞれ一人ずつ、物語の主軸に据えて、
それぞれの過去と現在を交錯させながら、
警視庁特捜部(架空)での任務が、
リアルテイストで描かれています。
第3作となる本作品は、
「龍機兵」のロシア人パイロットの、
ユーリ・オズノフの物語となります。
ユーリの設定は…、元ロシア警察の警察官で、
ロシア警察の腐敗の中で、嵌められて逃亡し、
警視庁特捜部に入隊した、といぅ設定ですが、
警察組織の腐敗に抗ぅ一匹狼的な刑事の設定は、
キャラの立ち位置としては、アクセント的にも、
プロフェッショナル・チームの不安要素ですが、
少しばかり、ウダウダ感がまとわりつく感じ…。
本作品のお話も、それほど意外性はなかった…。
各ミステリー誌の年間ランキングでは、
シリーズの中で、最高の評価ですが…、
正直、ボクの中では、評価は逆かな~。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
新型機甲兵装が売買されるブラックマーケットの探索を行う特捜部。その一画を担うロシアン・マフィアは、龍機兵搭乗員ユーリと因縁のある男だった…
今回はユーリの物語である。元ロシア警官である彼がなぜ警察をやめ、日本で龍機兵搭乗員になったかという経緯が語られる。今までも彼が警察に抱く複雑な思いは折に触れて描かれていたが、その半生は前作のライザと同じく壮絶なものだった。事件を通してユーリは過去の真実と、今は武器密売商人となった幼なじみとの因縁に向き合うことになる。
ラストはそれぞれ見せ場のアクションもあるが、腐敗しきった警察組織の中で真の警官であろうとする男たちの苦渋と失意、そして希望が痛いほど伝わってくる警察小説である。
面白いからほとんど一気読みだったが、中盤のユーリの回想部分が辛かった…