月村了衛のレビュー一覧
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購入済み
グレーゾーンのお話
法の隙間を縫うようなグレーゾーンに蠢く半グレたちのお話である。作家月村了衛の作品は「土漠の花」や「機龍警察」で読んでいたが、この作品は立場を変えて圧巻側に立っている。正義の味方の話ではないから、読んでいてあまり良い気分にはなれないが、それでもなかなかの迫力で描きだされている。
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Posted by ブクログ
2025.1.26
大蔵省の闇
1998年ノーパンすき焼き(実際はノーパンしゃぶしゃぶ)スキャンダルを描く。
登場する政治家の名には実在の人物もあって、リアリティを上げている(加藤紘一氏とか)
主人公は大蔵省官僚らしからぬ男
超秀才でありながら変人と呼ばれ、「デフレ経済下における消費増税の悪影響について」との論文を発表し幹部の逆鱗に触れ、地方税務署に飛ばされて出世コースから外れた香良洲圭一。
女性議員とヤクザ若頭の恋模様なんてものが入るところはラブコメ的で、かなり力が抜けるのだけど無駄な感じはせず、話の上では必要な設定に見えるし程よいアクセント。
(カラスさん、読めば読むほど半沢直樹と同化して、頭の中で立ち回るのは目が笑ってない堺雅人なのだ)
最後、公文書改竄に手を染めてまで増税派職員を処分したことで部下らには賞賛されるが、助けた同期や元妻には一線を越えたと咎められてしまう。
ここが良かった -
Posted by ブクログ
派閥争いの中で苦悩するサラリーマンが主人公だ。
教育事業に取りんでいる出版社で、新規プロジェクトの立ち上げの最中に起こる事件…社長派と専務派の主権争いの中で、人事部がゲシュタポのように監視の目を光らせ探りを入れてくる。部下からもどうするんですか!と突き上げが続き…あらゆる苦難が中間管理職の身に襲いかかる。どうしても僕の好みはこんな感じの小説が多いなあ。
無責任を貫いても平気でいられたらいいのだろうが、真面目な小心者はそうはいかない。トラブルを解決するために、正面から立ち向かい、ボディーブローをまともに受け、荒波の中で呼吸困難になり、精神が蝕まれていく…ところどころサラリーマン第一線で仕事をしていた頃の自分を思い出した。
いま、第一線をリタイアした立場で思うのは、仕事をする上でどうしても譲れないボーダーラインは守るとしても、体を壊しては身も蓋も無い。自分がいなくては回らないと思うのは過信であり、企業には自分の代わりなんて、いくらでもいるものだ。
ラストの展開はいまいち物足りなく、あたかも2時間ドラマで完結する絵面が頭に浮かんでしまった。が、どこの企業にもありそうな派閥人事のシーンには胃にじわじわくるようなザラザラした感覚が何とも言えなかった。
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Posted by ブクログ
読書備忘録893号。
★★★★。
最近は、世間を揺るがせた事件や社会的テーマで骨太小説をリリースしている月村さん。
想像するに、これらの作品を世に出すには相当なリサーチとか、参考文献の読破など体力を消耗するものと思っています。
そこでたまにはこういうあまり中身を感じられないけど一定の満足感が得られる娯楽小説で息抜きするのかな、と勝手に想像しました!笑
作品名からストーリーは明快。
北朝鮮からの亡命です。
亡命先は日本!
なぜか?拉致被害者を日本政府との交渉材料に出来ると踏んだから。
拉致被害者の高齢女性。
島根の海岸で拉致された。
当時、拉致現場をぎりぎり掠めた警官、漁師、海保の関係者は、あの時こうしていれば、ああしていればと、今も苦悩する。
北朝鮮の亡命メンバー。
将軍様の国で日本の感覚では考えられない境遇に晒されてきた。
そして、政治指導員の辛吉夏は拉致被害者の女性を連れ出し、潜水艦11号の艦長桂東月と共に亡命作戦を開始!
執拗な追撃を躱し、日本領海との境界線に。
そこに待ち受けていたのは、東月のライバル羅済剛が指揮する潜水艦9号!
東月は済剛に演習で勝ったことが無い!
手に汗握る潜水艦戦!
この潜水艦同士の戦いが読みどころですね!
あと、日本政府のクズぶり。
国際共通のVHF信号で拉致被害者と共に亡命を希望する!助けてくれ!と発信するも、危機管理能力が欠如しているジャパン!遠巻きにして傍観?
さあ、どうなる!どうなる!
ここも読みどころです!
という感じです。
潜水艦とは名ばかりの旧ソ連のロメオ級。
第二次世界大戦時代の潜水艦に毛が生えた程度で、現在現役運用しているのは北朝鮮とエジプトだけ。
それ以外の国はスクラップか博物館展示。
そんなロメオ級の今にも水中分解してしまいそうな戦いは楽しいです。
そして、拉致被害者の問題は間違いなくセンシティブ。
軽々しく扱うことに良い感情を抱かない方は、この作品読まない方が良いですね。 -
Posted by ブクログ
日本推理作家協会賞 受賞作。
初めて読む作家ですが、圧倒的な筆力に驚きました。本作の舞台はソマリアの国境という日本人には馴染みの薄い危険地域。そこで死闘を繰り広げる若き自衛官たちを、友情と確執を絡めながらリアルに描写していきます。
安倍内閣の時に「集団的自衛権」が強行採決されて、私たちが恐れていたのは、まさに本書のような状況なのだと思います。
ソマリアは、ネットで検索すると、テロや誘拐、武装強盗が後を絶たず、治安が極めて悪いため外務省は「レベル4:渡航は止めてください。退避してください」を発出しています。
そんな危険地域で残虐な武装集団の群に包囲され、絶体絶命のピンチに陥ったのは、ビヨマール・カダン少子族の娘アスキラを助けたことによります。強敵から逃げ、闘い、銃撃を受け、死闘を繰り返します。それだけでなく、『ハムシン』という恐ろしい熱波の砂嵐に襲われ、読みながらも、神から見放されたというのはこういうことか、と天を仰ぎたくなります。
戦闘だけではなく、自衛官一人ひとりの心情や自衛隊の暗部にもメスを入れ、なかなか助けに来ない友軍の真実にも触れていきます。それがストーリーに厚みをもたらし、読み応えのある硬派の作品となりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ続巻を読むのが久々でも世界にスッと引き込まれる機龍警察。4作目も面白かったです。
チェチェンから女性だけのテロリスト集団が国内へ侵入し、各地で自爆テロを起こしていく…それは警察組織と政界を巻き込んだ大事件に。
機龍兵搭乗者3人が描かれてきたあとで、今作の中心は由起谷主任と城木理事官でした。2人とももの凄かった…特に、温厚だと言われてた由起谷さんの〈白鬼〉、凄絶でした。
でもそれがテロリストのカティアと呼応して。。ラストのお手紙、わたしも涙腺が…
いつも事態から距離を置いて眺められてる気がしていた姿警部が、過去の戦闘を思い出して動揺していたのが印象的でした。
見せないだけで、心の傷が消えることはないのだろうな。キモノに搭乗してた敵だったとはいえ、子どもを殺した傷だし……
分厚さに怯むけど、読み始めたらグイグイ読めてあっという間でした。