【感想・ネタバレ】悪の五輪のレビュー

あらすじ

1963年3月21日、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板した。博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、親分からの指示を受け、中堅監督の錦田を後任にねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、その下には土建業者や右翼、ヤクザ、さらには警察までもが蠢いており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっている。稀郎は記録映画の監督選定に権限を持つ委員たちの周辺を洗い、金や女を使って言うことを聞かせようとする。東京が、日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京オリンピックをモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。

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Posted by ブクログ

月村了衛『悪の五輪』講談社文庫。

1964年の東京オリンピックを巡り暗躍する悪党たちを描いたクライム小説。

戦後が終わり、日本がオリンピックという世界の檜舞台に立つために国民が一丸となって、大きく変貌しようとしていた昭和の時代。そして、今。新型コロナウイルス禍の中で、国民の多くが開催に反対する中、日本政府と組織委員会とが無観客でも強行開催しようという現在の東京オリンピックとは全く状況が違うようだ。余りにも対照的な2つの東京オリンピックを対比して読むのも面白い。

オリンピックの利権に悪党たちが群がるのは今も昔も変わらぬようだ。そして、虚しさだけの残る祭りの後……

翌年に東京オリンピック開催を控えた1963年。東京オリンピックの公式記録映画監督に選ばれた黒沢明は撮影資金を不服に降板する。博打をしのぎにする白壁一家の親分から東京オリンピックの利権を手にするために、中堅映画監督の錦田を黒沢明の後任にねじ込むことを命じられた映画好きの変わり種ヤクザの人見稀郎は渋々ながら動き出す。

やがて、ひょんなことから安藤組の花形敬という最強の後ろ楯を手に入れた稀郎は記録映画の監督選定に権限を持つ委員たちの周辺を洗い、金や女を使って言うことを聞かせようとするが……

昭和の高度経済成長期に実在した人物が多数登場し、リアリティあふれるストーリーに仕上がっている。

定価748円
★★★★★

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2021年07月17日

Posted by ブクログ

実在の人物が多く、調べながら読むのが楽しかった。オリンピックの利権や当時の暴力団の勢力図など裏側とも言うべきテーマはなかなか知ることができないものなので、どこまでが事実かは分からないが勉強になった。

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2023年01月25日

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