月村了衛のレビュー一覧
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ネタバレ現代ノワール小説で、前半はホストの職業安定法違反を後半は電通五輪汚職を彷彿させる作品です。
主人公は施設出身の翔太と名門大学生の海斗で、前半の前半で二人がタッグを組んで女性たちを風俗に送り込んでグループトップテンにのし上がっていく様は裏社会の成功物語風で面白かったです。
しかし、グループが摘発されてからの二人の状況がまるで逆になっていて、面白いと思ったことも被害者の立場を考えると不謹慎であると反省しました。
第一部で改心する翔太と第二部で転落しても反省しない海斗は本当に対照的でした。
サイコパス的な海斗の続編があるのではないかとさえ思える不気味な終わり方でした。 -
Posted by ブクログ
▼月村さんという作家さんは初めて読みました。エンタメ犯罪警察小説、みたいなところを主戦場とされているキャリアの小説家さんのようですね。これはまあ、言ってみれば「記者モノ」。
▼数年前に実際にあった、
<医科大学が、軒並み、女子学生は一律減点して、つまり男子をえこひいきして合格者を出していた>
という案件が、言ってみればスクープされるまでの物語。ネタは事実で、物語はフィクションなんでしょう。
▼何が「対決」かというと、
報道しようとする側
<全国紙の社会部の女性記者=シングルマザー40代後半くらい?>
VS.
隠蔽しようとする側
<有名私大医科大学の女性理事(医師でなく事務方から這 -
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まさに半グレ時だった!
2人の対象的な若者がタッグを組み
巧みに女達を口車に乗せ風俗に
追い込んでいく。
それは、城有と言うグレーゾーンの
男が解いた黒いマニュアル本だ。
常に高みを目指した者が手に出来る
成功と権力。
2人はそれを人生の学びだと歓喜する
が、2人の運命は各々の出自によって
1人は刑務へもう1人は何も無かった
様に元の恵まれた世界に戻って行った。
その後何事も無かった様に海斗は
アドルーラーと言う一流企業に就職し
都市博の室長補佐にまで出世していた。
それはカタラ城有の教えを元に
実践してきたからだ、向上心の無い
者はクズ同然だと言う思いと共に。
刑務所から出た翔太はヤクザにな -
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小説家になるという夢に破れ 中学の国語教師となった汐野悠紀夫。小規模校の野駒中学校は読者感想文に力をいれ、汐野がその指導にあたっていた。
汐野はその年の読書感想文コンクールに、顧問を受け持つ文芸部の部員 藪内三枝子の作品を出品。作品は市の代表に選ばれる。しかし三枝子の作品は 過去の受賞作の盗作だというメッセージが 生徒間のLINEに回ってくる。
学校側はLINEをデマで片付けようとするも、その内容は保護者間のLINEであっという間に広がる。三枝子が教育委員会会長の娘であったことから、問題は野駒中を廃校にして小中一貫校にする賛成派と反対派の保護者対立にまで発展。
その様子が何者かのリークに -
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※
フリースクールを更に進化させた
理想の学校作りに心血を注ぐ出版社社員が、
社会抗争に巻き込まれる中で自分自身の偏見と
本懐に向き合う物語。
いじめにあった子どもたちが、安心して過ごす
居場所となる学校という名の場所作り。
一人ひとりの尊厳を守り、自主性を育てる
希望に満ちた学園。
期待に溢れる構想に大人も子どもも心を
掴まれるが、そこに会社の利益や体裁が影を
落として足枷を作る。
綺麗事だけでは叶えることのできない
社会の現実に打ちのめされながらも、
子どものため、己の信念のため必死で抗う主人公。
立場を危ぶみ恐る姿、心の芯が揺れる様は
人間そのもので、それでも弱さは受け入れて
乗り