月村了衛のレビュー一覧
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テロの脅威と現代社会の歪みが重く突き刺さる。
働き詰めても生活が好転しない過酷な現実や、宗教二世が抱える深い苦悩。閉塞感の中で、社会的弱者たちが自暴自棄になっていくプロセスには、ある種のリアルなやり切れなさと共感を覚え、単純に悪として突き放すことができない一面もある。
追い詰められた個人、そしてそれを利用するかのような国家や組織の論理が複雑に絡み合う中で、「一体何がテロで、本当のテロリストは誰なのか」、そして「誰が本当の被害者なのか」の定義すら分からなくなってくる。痛快な解決があるわけではないが、この社会の「良くも悪くもある」多面的な構造を冷静に見つめ、人間の業について深く考えさせられる。 -
Posted by ブクログ
【ぼくはどう生きればよかったのでしょうか?】
結局はただの責任転嫁の心理、
ただのイイワケにしか値しない、という
この作品の
核心が潜むセリフです。
主人公は獄中からの手紙の中で、
自分が転落した原因を
「両親の不仲」
「奨学金の重圧」
「社会の不条理」
のせいに し続ける
彼は
「自分は悪徳コンサルや闇バイトの
組織に『騙された被害者』であり、
直接手を下して人を殺したわけではない」
と
自己弁護を繰り返す。
他者に流され、自分の意志で選択することを
放棄してきた人間が、
究極の犯罪に手を染めても なお
「自分は悪くない、社会が悪い」と
本気で信じ込んでいる心理の
グロテスクさが、冷徹に描写されている。
とっても後味の悪い、胸くその悪い作品です。
そして、そうなった私は
まんまと、
月村さんのワナに、はまっていたのでした。
月村さんは、読んでる私が必ず胸くそ悪くなる様に
あえて 作ったのです。
そうなるヒトほど、
あなたは、そうならないのか?
そうならないとなぜ言えるのか!
あなたこそ、そうなるかもしれないと
誰でも【普通】ぽい人ほど、
そうなりやすいということを、
突きつけられる、不気味な恐怖がそこに
ありました。
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ネタバレふわふわ感を拭いきれない。
凌玄は善か悪か…………
最後が善になるなら、その過程が悪でも善になるのか。仏教のことはまるで知らないが、事実としてありそう。絶対に反社との繋がりはあるんだろうなと。知らんけど。
やはり人は独りやな。
友達と思っていても、大体は何かしら思う事があるだろうし、キレイな友達って存在するのかな。
にしてもみんな意地悪な言い方(笑)京都のいい文化でもあるのか。京都に行きたいな。
地下鉄とバスが意味不明過ぎてヤバかったけど。もしかしたら1番仏教を考えていたのは和久良さんだったのかも。私念が絡んでるし。面白かった。 -
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自衛隊員が派遣先で戦闘に巻き込まれ、目の前に敵が迫った時、どのように対処するのか?
この小説は、そんな命題がベースにあるものの、ほぼ全編息もつかせぬ壮絶な戦闘シーンの連続で、スペクタクル活劇というにふさわしい内容になっている。
舞台はアフリカ・ソマリアの国境地帯。海賊対処のため、派遣された陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たちが主人公となる。
彼らの野営地に氏族抗争で命を狙われた女性が駆け込み、彼女を保護したことから抗争の相手方の攻撃を受けることになる。
わずか12名、武器も土地勘も通信手段も皆無の中、圧倒的な人数や武器で攻めてくる相手に、数人の隊員が命を落とし、負傷者も続出する。
撤退の途中で、濁流が立ちふさがったり、たどり着いた廃墟の街で「ハムシン」と呼ばれる砂塵嵐に直面したり、さらには仲間内の疑心暗鬼も生じる最悪の状況下、敵との戦いは熾烈を極める。
隊員の中には狙撃の訓練で優秀な能力を発揮するも、実際に相手と対峙すると、指が震え、なかなか発砲できず、苦しむ者がいたり、車の修理やバイクの走法に長けたものがいて窮地脱出の一役を担ったりと、個性ある人間群像も表現されている。
タイプの異なる二人の指揮官の関係、過去にあった自衛隊内部でのパワハラ事件に絡む二人の隊員の確執がどう変化していくか、読者の関心を引きつけるような要素も用意され、単なる戦闘小説に終わらないような工夫も施されている。
駆け込んできた氏族長の娘も、存在感が強く、隊員の接し方が変わっていく様子も興味深かった。
第68回日本推理作家協会賞を受賞した作品であるが、これに関しては、「推理小説」と言うには無理のある作品であると思われ、評価の基準に疑問を感じてしまった。
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元警視総監の老人と女子大生、オンボロアパート隣組のコンビが、町の事件を解決するミステリー。昭和のボロアパートが舞台だけに人情物語である。
3話目の事件、過去の事件とは言え、真相を明かしたうえで追求しないのは‥?真相を追い続ける刑事の物語(百年の時効)を読んだばかりだからかもしれないが、何だか納得できなかった。刑事なのに良いのかそれで。地域のちょっとしたトラブルといった趣の他のケースとは異なり、明らかに犯罪なのだが‥
それにしてもプリンを毎日食べ続けるのは苦しい‥カレーパンを食べ続ける(謎の香りはパン屋から)のと、どちらがしんどいだろうとと思ったが、1日で終わらないことを考えると、圧倒的に連日プリンの方が地獄だ。
ケーキなど食べるシーンが多いのだが、それほど美味しそう!食べたい!という感じでもなかった。 -
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戻れない分岐点、積み重なる後悔。これは、あなたのそばにある『底』の物語。
普通に生きようともがきながら、少しずつの選択ミスで貧困の深淵へと沈んでいく男。その過程を、本人から記者へ宛てられた「手紙」という形式で綴る一冊です。
物語のトーンは、さながら現代版『私は貝になりたい』。もし映像化するなら、かつての絶望を演じきった中居正広さんが浮かびますが、今の年齢や状況を考えると無理だな。
「普通」の足元がいかに脆いか、その没落の描写は見事です。しかし、納得がいかないのは構成。最終章で手紙の受取人である記者が「考察」を述べるのですが、それが読者であるこちらの感想を先回りして奪ってしまうような内容で、なんだか「感想の横取り」をされたような、ちょっとした詐欺に遭った気分になります。考察に対してツッコミをしようとすると、その点も先回りして炎上しないようにケアされます。これってつまり記者も普通でいたいのです。炎上したくないのです。主人公と同じなのです。あなた自身がいつ普通の底に落ちるとも限らないそんな警鐘なのかもしれない。
没落していく様がこれほどリアルで面白いのだから、わざわざフィルターを通す手紙形式ではなく、一人の男の人生を克明に描く「物語形式」で読みたかった。その方が、より深く彼の「底」に寄り添えた気がしてなりません。
■引用
- 昭和の昔にあったという「貧乏」と、今の「貧困」とはまったくの別物です。昔はがんばって働けば「貧乏」から抜け出せたかもしれません。だけどいくらがんばっても「貧困」からは逃れられないのです。
- 世間の価値観に従って生きることを「普通」と呼ぶのだとしたら、ぼくはひとえに普通でいたかっただけなんです。「落ちこぼれ」って、普通でなくなるって意味ですよね。 -
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闇バイトに手を染めた獄中の人物がジャーナリストに向けて書いた手記の体裁をとる本作は、その筆致に臨場感があり、本当に自分が巻き込まれているかのように一瞬のめり込んでしまった。
良くも悪くも目立つところのない「普通」でありたい。なぜなら目立ったところにある人はそれがよほど傑出した長所でない限り、他人からあれこれ口出しされるから。
かといって凡人では終わりたくない。
このような思考は私自身も持っているし、程度の差こそあれ多くの人が少しは持っているのではないかと勝手ながら思います。
凡人として大人になってしまうと、そんな自分を認められず、社会や生まれ育った環境のせいにしてしまう他責思考が生まれることもある。
しかし、他責に終始せず、傑出した成果は残せなくとも、目標に向けて努力することや、日々の糧(家庭、趣味、友人など)を楽しみながら生きるだけでも、選択肢が1つしかないという絶望的な状況に追い込まれることはそうそうないのではないかと思う。
それでも、そうした境遇になったことがないからそう言えるのではないかという本作のような反論も理解はできる。もし幼少期からの環境でどうしても周囲に頼れる人物が少ない場合、もうこうするしかないというような精神状況に陥り、闇バイトのようなものに手を染めてしまうことはあり得る。
従い、親に限らず頼れる人が周囲に複数いるということはどれだけ貴重なことかということは少なくとも自覚はしておきたいと思う。
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おんぼろアパート「朧荘」に住む女子大生
夏芽と、同じアパートに住むミステリアスな老人、鳴滝のコンビが町で起こる事件を解決していく。
4編からなる連作ミステリー(か?)
大学生の夏芽と、頭脳明晰のダンディなおじさま、鳴滝の二人の共通点は、スイーツ好き。
美味しいスイーツをたべながら町で起こる
難事件を解明していくが、ちょっと緩い感じの
解決方法で、過去に警察内で起きた難事件の時は、この解決の仕方はどうなんだろうと思った
(当然トップは総辞職でしょ。いくら時効とはいえ)
ただ、全体的にはとても読みやすい。
この作家さんの他の作品を読んでいないため
知らなかったが、他の方のレビューを読んで
硬派の小説を書かれている作家さんらしくて
びっくりした。
途中のプリン地獄道は、読んでいて気持ちが悪くなり、こちらまで胃がもたれてくるような気がした笑
最後の最後のあのシーン、
鳴滝老人は、本当に存在したんですよね?!