月村了衛のレビュー一覧
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第一の手紙、第二の手紙、第三の手紙と時系列に、誰かに宛てた手紙が書かれています。
誰に宛てたのかは最後にわかるようになっています。
主人公の川辺優人は幼い頃から争いごとは避け、人より前に出ずに普通であるように生きてきた。
普通であることを意識するあまり、誘いにはっきり断る事が出来ない。
最初は大した事ないが、それが最後は取り返しのつかないことになってしまう。
普通の人生が幸せという願望をもつ人は多いと思う。しかし、普通の人生とは?
一昔前は、男らしさ女らしさという基準があった。それが普通の基準であったと思う。
今の時代は、普通の基準がなくなった。故に基準に縋る生きるかたは、生きずらい世の中に -
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ネタバレ昭和の香りのするアパート「朧荘」に住む女子大生・夏芽はある日バイトに行くと、店主を名乗る見たことのない男に追い返されてしまう。翌日はいつも通りの店主に昨日はなぜ来なかったのかと責められてしまう。友人に電話で相談したのを聞かれ、隣人の鳴滝老人に経緯を話すことに…。この出会いをきっかけに夏芽は鳴滝とともに次々と事件に関わっていく。
第二の事件は亡くなったはずの息子に毎月送金している花井玉代という老婦人の謎。第三の事件は孤独死した女性の部屋から見つかった、ある警察署内での盗難事件の捜査資料の謎。最後の事件は朧荘から退去勧告を受けた夏芽と鳴滝が50年前の写真の謎に挑む。
甘党で飄々とした鳴滝老人、同 -
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ある青年から届いた手紙には、幼少期から「普通」を願って生活を送ってきたことが書かれていた。普通の家庭、普通の教育、普通の交友関係。多少の挫折はあっても、彼は「普通」の軌道に乗り続けている--はずだった。今、彼はとても困難な状況にいる。どこでそうなったのか。どうしてそうなったのか。両親が不仲だからか、トー横に行ってしまったからか、それとも大学時代の起業サークルが原因か、それとも重くのしかかる奨学金のせいだろうか。三通の手紙があぶり出すのは、あらゆるものが可視化された現代社会にはびこる精神的幼稚さと、その行く末。
著者名を見て手に取ったのが、読むきっかけ。久々の読後感。 -
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ネタバレ「ただ普通でありたかった」
闇バイトという名の強盗殺人の罪で死刑判決を下された、「普通」を目指して生きてきた男の人生のお話。
幼少期から学生時代、就職し、闇バイトに手を出すまでを、3通の手紙という形で表現している。
「何も考えてなかった」というのが、大きな結論かな?
考えているようで考えてない、というか、、、最悪な選択ばかりしているというか、結局のところ他責しているだけなんだけど。
なんだろう、、、もやもやするけど、わからん。
ひとつ感じたのは、愛されてる実感がなくて、その事に気づかず成長しちゃったのかな?と。
とにかく自分のことだけなんだよね、考えてることが。親とか友達とか、それこそ「普 -
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京都の坊さん達が繰り広げる、仁義なきコンクラーベ
最高位を目指すライバル同士の奥さんが、この女狐、なんやとこの仏敵、と罵り合うシーンがありますが、"仏敵"って新鮮!
Kyoto’s monks stage a no-holds-barred conclave.
There’s a scene where the wives of two rival contenders for the top rank hurl barbed insults at each other—“You vixen!”, “What the heck are you?!”, even “Yo -
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「ただ普通でありたかった。」という一文で、第一の手紙は始まる。書いているのは2001年に、会社員の夫と(結婚の際、周囲の空気に合わせるように退職をした)専業主婦の妻のもとに生まれた、ごく普通の青年。誰宛てへの手紙なのかは伏せられている。その手紙で、彼は、生まれてから幼稚園、小学校、中学校と、起こった出来事とその時に考えていた自分の気持ちを、じっくりと見つめて、逐一丁寧に明かしている。お受験をさせられたが、普通の公立小学校に通ったこと、そこでの自分の地位、周りの人たちの力関係、受験に熱心な母親、第三志望だった私立中学への進学、高校受験、大学受験。自分の目標は大手の有名企業への就職であり、学校はそ
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公安警察官の砂田修作が主人公、昭和から平成にかけての大事件に関わっていくというストーリー展開です。ロッキード事件から金正男の不正入国まで…そして退職後にこれまでの人生を振り返るというような内容になっています。
様々な歴史的な事件には、公安警察官になる前の、田中角栄を護ったことがその矜持として根底にあり、また元部下で元妻との関わりやKGBの機関員だったクラーラという女性とちょっぴり切ないラブストーリーという側面も持っています。
ちょっと長かったし、私にはちょっとピンとこなかった事件も多かったな…というのが正直な感想…実際にあった事件をテーマにしているので、もっとすべての事件に興味を持て