月村了衛のレビュー一覧
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ロッキード、東芝ココム規制違反、ソヴィエト崩壊、地下鉄サリン、警察庁長官狙撃、金正男不法入国など、現実に起こった事件をベースに、明らかにされていない謎を、フィクションという形で解き明かすインテリジェンス小説。手嶋龍一が好きな人は楽しめると思う。
それぞれの事件を解決しようと奮闘する主人公砂田と、事件の度に虚実ないまぜで砂田の前に現れるソ連の工作員クラーラ、砂田の部下から妻、元妻、チヨダの一員となる眉墨、のうち特に女性2人が砂田を翻弄する描写に砂田と共に感情が振り回される感覚があった。
登場人物のキャラクターも味わい深く、また表面上しか知らなかった過去の事件の裏側とされる部分の追求も、フィクショ -
Posted by ブクログ
ロッキード、東芝ココム不正、ゴルバチョフのペレストロイカ、そしてオウム真理教に神戸の大震災、北朝鮮。最初の二つはリアルではあまり覚えていないのだけれど、やはり昭和の大事件だから、記憶にはあるし、他の事件は本当にリアルで覚えてる。
日本という国は、そして平成と令和という時代は、それほどまでに、嘘と欺瞞に満ち満ちた時代であり、国なのだろうか。
一介の市井の民として生きる自分には、その時々の自分の思い出は、この本の主人公が辿った想いとはまたかなり似ても似つかないものだけど、その場面場面で、自分がその立場に置かれていたら、やっぱり、この主人公のように、立ち振る舞い、悩み、そして受け入れて、いたのだろう -
Posted by ブクログ
ネタバレ読書備忘録622号。
★★★★。
201X年代後半から作者は特定の社会的テーマで事実に近い小説を世に出し始めましたが、この作品はSNSと学校がテーマ。実際にあったことをモチーフにしていない分、フィクション色が強い感じでした。
舞台はとある中学校。読書感想文に力を入れており、全日本少年少女読書感想文コンクールに応募することを目的にカリキュラムに組み込んでいる。
そこで起きた盗作疑惑。SNSで瞬く間に保護者も含めて拡散された。
感想文は、既に学校の代表となり更に市の代表選考も突破していた。書いたのは市の教育長の娘、薮内三枝子。指導したのは学校の文芸部顧問で国語教師、汐野悠紀夫。
盗作疑惑は学校への