【感想・ネタバレ】奈落で踊れのレビュー

あらすじ

接待汚職「ノーパンすき焼きスキャンダル」発覚で大蔵省は大揺れ。黒幕の大物主計局長、暴力団幹部、総会屋総帥、敏腕政治家らの思惑が入り乱れるなか、大蔵省始まって以来の変人・香良洲圭一はこの危機にいかに立ち向かうのか? スリリングな官僚ピカレスク小説。

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Posted by ブクログ

実際にあった出来事をモチーフにした作品で、登場する政治家などは実際の人物が出てきてノンフィクションも感じつつ読むことが出来た。本来小難しくなりそうな大蔵省をテーマにしながらも程良い重みで読むことができた。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

月村さんファンでいらっしゃる、お世話になっているシンさまに月村作品で1番のお勧めを教えて頂き拝読。

良い子の皆さん、今回の感想は卑猥なパワーワードが何回も出てきます。くれぐれも、お父さんお母さんに「パパー、ノーパンすきやき、ってなぁに?」と聞かないようにして下さいね。

という注意勧告が98年当時は無かったせいで『ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省汚職接待事件』がニュースで大々的に報じられた際に、お子様がご両親に質問をしてお茶の間を凍りつかせたという実際の事件。
こちらをベースに書かれた官僚ピカレスク小説です。

作中ではしゃぶしゃぶではなくノーパンすきやきに変わっていますが、不動のノーパンなのでそれはもうノーパンなんです。
本を読んで感想を書いていますと人生においてこんな言葉を何度も書くことになるとは思わなかったと度々思う事があるのですが、今回はその中でもダントツのパワーワードです。
作中で『パンスキ仲間』と度々出てくるのに笑ってしまいましたが内容は笑い事では無い。

主人公は大蔵省きっての変人、ワルでは無く悪であると自負する超切れ者の香良洲。正々堂々と上司に意見をして左遷されていましたが文書課課長補佐に返り咲き。そんな折に官僚達が件の『ノーパンすきやき』で卑猥かつ過剰接待を受けていた事が発覚。
大蔵省未曾有の危機に処分を逃れたい4人の官僚が香良洲に助けを求めます。
当の香良洲は自業自得と呆れてはいたのですが、大倉省の未来、ひいては日本の未来を真剣に考えていた彼は増税を目論む幕辺一派(もちろんパンスキ組)を一掃するチャンスだと話に乗ります。

ここからの頭脳戦が凄い!
元妻の絵理子が秘書を勤める錐橋議員や、ヤクザまでも利用して打倒幕辺に奔走する香良洲。
実在の人物も出て来たりするので『半暮刻』のようにかなりヘビーな切り口で来るのかと思いきや予想外にコミカルな面も多く、それでいて切り札をいつ使うのかハラハラする攻防もあって難しい内容も多いのにするすると読めてしまいました。
月村さんはまだ2作目ですがその手腕に脱帽。
社会の闇(特に金融関係との癒着とか)をこんなに表現してしまってどこかの筋から狙われないかと心配になる程のリアルさもあります。

政治家の方にもパンスキ組がいたりと、虚実織り交ざっていますが当時の大蔵省周りも概ねこんな感じだったのかなと想像すると、某号泣議員の記者会見を動画で見た時と同じくなんとも言えない気持ちに。選挙大事、本当に。まあ当選した後にしか分からないんですけれど。

香良洲の度々使う官僚用語が妙に気に入ってしまい、私も今後頑張るつもりがない時には「鋭意努力します」適当に流す時には「厳粛に受け止めます」と返そうかなと思う程。
それにしても香良洲のダークヒーローみと言うのか、捨て身の格好良さには痺れます。
最後の切り札は果たして良かったのかどうか、確かに賛否両論だろうし悩ましい所ですが、個人的には心の中でガッツポーズを取る程に興奮しました。
そもそも話を持ちかけてきた4人のパンスキ組に最後に放った言葉もかっこいい!

ですがこのままでは終わらないのが寧ろ本書の良い所。
現在は財務省になった大蔵省ですが、どうなるかは既に決まっています。
増税は見事にされてしまったし、香良洲の危惧していた日本の未来は今の時代と変わらない姿。
それをずしんと突き付け、そして『半暮刻』と同じく最後に沁みるタイトル『奈落で踊れ』

タイトルが良すぎる問題。『パンスキで踊れ』じゃなくて本当に良かった。(そろそろこのワードを書くのが恥ずかしくなってきました)

シンさま、とても面白かったです、ありがとうございました!

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

月村了衛『奈落で踊れ』朝日文庫。

1998年、『ノーパンすき焼きスキャンダル』発覚で揺れる大蔵省を描いた官僚ピカレスク小説。

『ノーパンすき焼きスキャンダル』にはモデルがあり、実際の事件は『ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件』だった。『ノーパンしゃぶしゃぶ』の店は『桜蘭』で、本作に登場する『ノーパンすき焼き』の店は『敦煌』だ。

役人版の半沢直樹みたいな作品である。

主人公の香良洲圭一の頭脳と度胸に驚嘆しつつ、時にユーモラスな描写を交えながら、省庁の役人や議員、暴力団、右翼団体などが繰り広げる白熱のストーリーに満足した。


接待汚職事件『ノーパンすき焼きスキャンダル』が発覚し、大蔵省は激しく揺れる。問題のノーパンすき焼き店『敦煌』に上司に同行し、金融機関から接待を受けた1989年入省組の中堅官僚4人は処分を恐れ、大蔵省始まって以来の変人の異名を取る同期の香良洲圭一に助けを求める。

香良洲は同期たちを救うよりも緊縮財政に向かう大蔵省を変革したいという思いから、この問題に手を付ける。香良洲が調査を進めると『敦煌』のオーナーである真殿晋三郎は裏社会とも繋がりを持ち、密かに顧客リストを持っていたことが判明する。

香良洲は知人から紹介されたフリージャーナリストの神庭絵里の協力で顧客リストを手に入れようとするが、神庭は暴力団に拉致されてしまう。しかし、香良洲は暴力団幹部と交渉し、神庭を奪還、逆に暴力団幹部と協定を結ぶことに成功する。

ところが顧客リストの一部が総会屋の『談林同士会』によりネットに公開されてしまう。リストには大蔵省だけでなく、厚生省、農水省、通産省、運輸省、郵政省、建設省などの役人の名前があり、各省は大騒ぎになる。

香良洲は大蔵省黒幕の大物主計局長、暴力団幹部、総会屋総帥、敏腕政治家らの思惑が入り乱れる中、この危機を乗り越え、大蔵省の改革を実現しようとする。

本体価格950円
★★★★★

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

ブグトモの皆さんが“敦煌”を賑わせていたので、
やはりその波に乗るべく読ませていただきました。
勝手に「敦煌現場の描写」が主軸だと思い込んでいました。むしろ物語が始まるのは 1998年・大蔵省接待汚職事件の発覚後。
敦煌でどんな“おもてなし”が行われていたのか、
偏差値の高いエリート官僚様たちがどれほど歓待されていたのか――
そのあたりの生々しさをもっと読めたら、と思いました。

事件そのものは先人読者のレビューが充実しているので、私が驚いたことをひとつ。
この作品、実名の政治家が何人も登場するんですよね。
ひゅん、と背筋が冷えました。
もちろんフィクションとしての扱いですが、
当時も特に差し止めなど問題化されなかった、というのも意外でした。

そして何より“新井将敬”の名。
途端に記憶がよみがえってきます。
東大→大蔵省→政治家
絵に描いたようなエリート経歴でしたが、
選挙運動は徹底したドブ板型。
私の暮らしていた地域にも立っていて、
駅前でみかん箱に乗り、両脇に若い女性スタッフ(いま思えば女子大生?)を添えて。
「清新なイメージ」の演出なのか、今となっては逆効果のような気もします。

政治には疎く、その後の政策がどうだったかは記憶にありません。
けれど最期の自死は記憶に残っています。
“あらゆる罪を被った”という声もあったけれど、
『奈落で踊れ』を読むと、奈落そのものの政治空間で踊っていたのかもしれません。

ストーリーは容赦ない。
けれど展開は軽妙で、
中盤あたりから妙にコメディタッチになるのは、
良かったのか悪かったのか……
読み終えてもしばらく判断がつきません。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

三連休、富山県へ旦那と二人で旅行に行って参りましたm(_ _)m
旦那が旅行好きで、私はいつもついていくだけ。運転はきっちり2時間で折半です(⌒-⌒; )

旦那に、行きたいとこあるかぁ?と去年の夏に尋ねられ、うーん、岐阜のモネの池くらいかなぁ?と答えたところ、今回の旅の日程にモネの池も組み込まれておりました。

去年の夏は台風でキャンセルとなり、リベンジしました。
インスタで有名なモネの池。人がうじゃうじゃいました(笑)インスタの宣伝力って凄いですよね!私もインスタ見て来たんですけどね!
まぁ、綺麗でした。小さい池ですけどね、なんとも風情がありました。
その後、飛騨古川の街並みを歩いて富山に。
2日目は大雨の中、立山黒部アルペンルートの室堂へ。2400m超の絶景!!のはずが大雨で(-。-;
ポンチョ着て傘持って一時間の散策へ!
途中雨が小降りに。そして霧が晴れ、絶景が目の前に!!
晴れた時なら最高ですね!
帰りは付知峡に寄って帰ってきました。
連日の大雨で、破壊力抜群の滝!こちらもインスタに投稿されているのか?若い人がうじゃうじゃ居ました。

で、三連休に読もうとこの本を持って行ったのですが、連休中私はコンタクトにしていたんです。両目を開けた時の視力が0.05くらい。運転するにはコンタクトの方が楽なのです。

が!
本が見えません!全然ピントが合いません!!
全く読めません!
ってなわけで、三連休は本を読めず、、、(-。-;
老眼鏡が欲しくなって来ました。

仕事中は遠近両用眼鏡です(-。-;




さて、雪さんの本棚で、ブクトモの皆様が盛り上がっておられたので購入o(^▽^)o

ノーパンスキヤキ
略してパンスキ(⌒-⌒; )

ノーパンシャブシャブ、うーん、昔ニュースで聞いたことあったなぁ。

世の女性が割りかし政治嫌いだと思うのですが、私もそう(^^;;
それなりにニュースは見るのですが、あんまり政治には興味無し。

偉い人たちが絶妙な塩梅で国を動かして行ってくれたらいいなぁー。あわよくば、孫の代まで(孫おらんけど)、いやもっともっと先まで戦争が起こらないといいなぁー。くらいにしか考えていないバカな女ですm(_ _)m

そんなバカ女がこの本読んでしまいましたよ!

めっちゃ面白かったです!
カラスさん!最高じゃないですか!

もう、これは竜崎と競るくらいの変人っぷりですね!でも竜崎より人間味を感じましたo(^▽^)o

こういう賢い人の心理戦、面白いですね!
良い本教えて頂きました!ブクトモの皆々様、ありがとうございますm(_ _)m

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2024年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
内容は真剣だが、パンスキという言葉が出てくるとどうしても力が抜ける。

また、暴力団や総会屋、政治家、官僚など魑魅魍魎の世界で権力争いが繰り広げられるが、どこかコミカルなところがあり、楽しく読める。

実際の政治家の名前も出てきてリアリティがある。本当に起こったことみたいに感じる。

あらすじ
大蔵省のノーパンすき焼き接待が発覚し、省内に激震が走る。大蔵省の同期四人組は何とかしてこの事実を隠そうと、同期の切れもので変人で名高い香良洲に助けを求める。

香良洲は当時の緊縮財政派だった幹部を退け、日本経済を救うために、パンスキに関わった人物が書かれたリストを手に入れようと調査を始める。

リストを巡って、ヤクザや総会屋とのやり取り、大蔵省内での主計局長を巻き込んだ権力争い、政治家からの圧力など、香良洲は、幕辺主計局長を追い出し、日本経済の自浄化を達成できるのか?

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

東大出身の親戚に「どうして官僚にならなかったの?」と聞いたときに、「あいつらはそもそも違う種類の人間だ。自分には絶対なれない」と言われたのを思い出した。

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2024年01月18日

Posted by ブクログ

ノーパンしゃぶしゃぶから発生した大蔵省の接待汚職の処分を巡る戦いを舞台に官界、政界、ヤクザが戦いを繰り広げる。主役は大蔵省の変わり者の中堅官僚。
終わり方が、森友事件の公文書改竄に繋がっていくのは見事。
面白い

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

読み始めは相当ワクワクして読み進めたが中盤から緩んで緊張感が薄れた。
主人公である「大蔵省始まって以来の変人」も触れ込みほどの鬼才振りは作中感じなかった。
ラストの行為も想像できたので特に驚愕でもなかった。
月村さんらもっと面白い話に出来たのにと残念な思いの方が強いかな。

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2024年03月01日

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