月村了衛のレビュー一覧
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4月5日(日)からNHK-BSでドラマ化予定とのことで読んでみた。
2人の女性が主人公。
一人は医大入試女子差別疑惑に切り込む新聞記者・檜葉(ひば)菊乃。
もう一人はその事実を隠蔽する医大の理事・神林晴海。
それぞれを松本若菜、鈴木保奈美が演じる予定のようだ。
二人とも男性優位の社会で、パワハラ、セクハラなど無数の理不尽に直面してきて、今の場所までたどり着いてきた。そんな共通点のある二人が、片や真実を追求する攻めの立場、もう一人は組織を守らなければならない守りの立場、それぞれの信念がぶつかり合うりタイトルの『対決』というのは、この二人が対峙するところから。敵対するシーンはちょっと手に汗握る。
実際にニュースで取り上げられているこの問題は、弁護団まで立ち上げられいるから、フィクションでは無いはずだ。
この問題に対し、なかなかコメントし辛いところもある。実際の医師に『女子学生の一律減点』に理解できるか?と意見を聞いた際に、『理解できる』と回答した医師は65%もいたらしい。小説の中でもどんなに困難なことにも立ち向かう女医もいるが、人によっては地方の医療現場や患者生命にかかわるような専門医は避ける傾向にあるという一文もあった。(これが女医だけに多いのか、真偽のほどはわからない)
ドラマにもなったことを考えると、是正すべき問題であることは間違いないし、医療界、また男女差別のリアルを思い知るような重いテーマだった。
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Posted by ブクログ
医大入試における女子受験生の一律減点という問題で、大学側の名誉を守ろうとする女性理事と隠蔽を暴こうとする女性新聞記者が対峙する。
二人は、いずれも男性優位の職場で理不尽な思いを耐え続けてきた女性。
女性理事は、大学の事務局職員として実績を上げ、理事に抜擢されたが、男性理事らから疎まれ、一律減点問題の専任理事に任命され、新聞社の取材に対して矢面に立たされる。
女性新聞記者は、支局時代にスクープを出しながら妊娠、出産で、仕事を中断せざるを得なかったところへ、パートナーからDVを受け離婚。
めげずに頑張り、本社の社会部に抜擢されるも、職場で、女性差別や蔑視を受けていた。
医大入試における女子受験生の一律減点問題に関しては、医師を目指す優秀な女子の希望を踏みにじる意味から決して許されない行為だった。
だが、その背景には、医局の権威や権限の低下から地方病院への医師派遣がしにくくなった新研修医制度、激務となる医療現場で、女性が体力的に耐えられないという性差などの問題があった。
これは、非常に奥の深い構造的な課題であり、さすがに、著者もこれに深部まで突っ込みを入れるところまでは至っていない。
著者の狙いは、これを端緒に、未だに現在社会に巣くう男性優位、女性蔑視にメスを入れること。
二人の主人公だけでなく、他にもセクハラ、パワハラ、アカハラに苦しむ女性、女性記者の同僚の男性たちの無意識な行動や内面、正直な気持の暴露などが満載され、男女共同社会、女性の地位向上について、真剣な理解を促す作品だと感じた。 -
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月村了衛、『対決』。
ドラマ化されるということで、月村了衛作品、初読み。
統和医大での裏口入学事件を取材していた、日邦新聞社会部記者・檜葉菊乃は、統和医大の入試で、女子学生の点数が一律減点されているという疑惑を耳にする。
秘密裏に取材を進める菊乃は、キーマンとして、統和医大・常任理事・神林晴海に辿り着く。
そんな中、菊乃のひとり娘・麻衣子は、国公立大学医学部を目指し、勉強していた…
東京医科大学の事件がモチーフとなっている。
男性優位の職場で女性差別を受けながらも出世してきた2人の女性の対決。
同じように、差別と戦ってきた姿勢に尊重し合いながらも、互いの立場や信念の為に向き合う2人の『対決』。
すべてを平等にすることは簡単ではない。
差別をなくすことは、難しい…
ハラスメントにうるさく、軽々しく口に出せない昨今の社会…
どうすればいいのか…
新研修医制度の医療現場の問題を知ってしまうと、簡単に、女性差別がダメだと言い切れない部分も出てくる…
現場の医師たちの訴えもわからないではない…
男女平等と強く言われているが、いざとなると女だからと逃げる女性も少なくはない。
平等とは簡単にできるものではない。
差別をなくすことは難しい。
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この作品は2018年に起きた東京医科大の入試不正問題を機に入試での女子差別がモデルになっているという。そういえば当時、ニュースで目にした記憶はたしかにありそれなりのインパクトのある出来事であったと思う。女性への差別に鋭く切り込んだ社会派小説であり、また「対決」する2人の一方は医大受験を控える娘を抱えるシングルマザーの社会部新聞記者、そしてもう一方は私立医大の事務局から異例の抜擢で理事にまで昇進した女性、それぞれ過去に多くの不条理やパワハラ、セクハラを数多く経験してきている。その2人が主人公でありそれぞれ守らなければいけない立場をかけて「対決」する訳だが、物語の進行には常に女性蔑視、差別に対する問題提起があり深く考えさせながら読まされた。2人の女性の過去には犠牲にしてきたものも多く、それでも正しく懸命に生きてきたという清々しいまでの人生が読み取れる。
物語の結末は決して歯切れのいいものではないが、扱っているテーマがテーマであり現実社会でも今なお問題視されることから終わりはないということであろう。これからこの2人の女性は女性蔑視や差別の根絶に向けて更なる闘いを続けていくのであろうと思う。読み終えて、翻って自分の女性に対する偏見や差別的な接し方、見方をしていなかったかと自戒の念を含めて考えさせられる小説でした。 -
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ネタバレ「普通」とは?で思い浮かべる『コンビニ人間』が「普通になれない苦しみ」を描いた純文学なら、『普通の底』はその普通を維持するコストさえ払えない者が、ちょっとした不運で闇に呑み込まれる「構造的社会の歪み」のレポートだ。
根底に、親が金持ちかどうかという「親ガチャ」で人生のコースが決まっていて、二世や三世の政治家たちが自分たちに都合のいいルールを作る裏で、持たざる者は一度レールを外れれば二度と這い上がれない。努力しても報われない「蟻地獄」という今の日本のみんなが薄々疑いながら意識的にあるいは無意識的に目を逸らしている現状がある。
主人公は決して悪人でも無能でもない。ただ「目立ちたくない」「嫌われたくない」と願う、それが安全に生きる手段と信じる。しかし、本人はただツイテなかっただけと、スマホ一つで簡単に「闇バイト」という使い捨ての駒に…
物語のラスト近く、主人公の「僕は本当に普通でありたかっただけなんです」という言葉が、あまりに重く、痛い。
高望みをしたわけじゃない。ただ、当たり前の生活を送りたかっただけ。そんなささやかな願いさえも「蟻地獄」の餌食になり、加害者へと変えられてしまう。今の格差社会では、ただ「普通に生きる」ことさえ… -
Posted by ブクログ
ネタバレ「普通」でい続けるって難しいよ。
というか、普通でありたいと願うがあまり、誰が見ても間違った道に踏み出そうとしている時も、「これが普通に違いない」って勘違いしちゃって結局大間違いを起こしてしまう。
私も「悪目立ちだけはしないようにしよう」っていうのは特に中高生の頃は考えていたけど、この川辺の目指している「普通」は「無個性」に近い印象を受ける。そういう人は、結局誰にとっても「都合のいい人」になりがちで、だから高井戸や菊池やケーシンや五十嵐に目を付けられてしまったんじゃないだろうか。
「普通」の人生でありたいと強く願った結果、それが仇となって川辺は人生を踏み外していくけど、一番不幸なのは本人がその原因に最後まで気付けず、すべてを「社会的の理不尽」に責任転嫁してしまった所かなと思った。 -
Posted by ブクログ
常に現時点の社会問題と並走するような物語を紡いでくる月村了衛さん。本作もまた、今の時代の空気をそのまま吸い込むような一冊。
描かれるのは、「普通の人生」を生きるために、小学生の頃から細心の注意を払ってきた青年の告白。自分語りの形式で綴られる文章は、読み進めるほどに痛々しさと禍々しさを増していく。それは特異な犯罪者の物語というよりも、「今、普通の底にいる人間の、普通の話」と感じられるからかもしれない。
先のことを考え、踏み外さぬよう行動してきたはずの主人公。しかし人生の途上で、ふとした拍子に闇に引き寄せられそうになる瞬間が訪れる。一度は踏みとどまり、社会人としての道を歩み始めたにもかかわらず、なぜか再び闇へと落ちてしまう。その過程は劇的ではなく、むしろ現実的だ。
本作は、いわゆる「闇バイト」を扱った作品として括られがちだが、焦点は犯罪そのものよりも、そこに至るまでの心理の揺らぎや、自己認識の歪みに置かれているように思う。理性があり、判断力もあるはずの人間が、なぜ抗いきれなかったのか。その問いを告白という形で突きつける。
同じ作者の『半暮刻』を先に読んでいれば、また違った読み方ができたのかもしれない。残念ながら未読ですが、二作は異なる角度から、同じ時代の影を書いているように思います。
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Posted by ブクログ
今回の特集は、昭和に流行ったオカルトについてと小泉八雲さんの2本立てで、ユリゲラーさんや つのだじろうさんのインタビューも掲載されていました。
先月「緊急検証!THE MOVIE」を読んだばかりの私には、ユリゲラーさんが立て続けに出てきたから、懐かしいというよりも「ブーム再来!?」って勘違いしてしまいそうになる(笑)
加門七海さんが当時のご自身のことを「心霊現象のみに強い関心を抱いていた」って仰られてたけど、考えてみれば私もそうだったかもしれない。オカルト全般というより、心霊と超能力に惹かれてたから、夏休みには毎年「あなたの知らない世界」とかワイドショーの心霊写真特集を友達と観たりしてたし、ユリゲラーさんとか清田くんの出てる番組を口を開けて観てた記憶があります。
だから、オオケンの鼎談や三上さんと黒史郎さんの対談は、物凄く興味深かった。中岡俊哉さんの心霊写真集、背表紙見るだけでアホみたいに怖がってたのを思い出して懐かしかった〜
友達のお兄さんが持ってて、本が差してある本棚の前通るのさえも怖かった小学生でした(笑)
あと、これは今までの怪と幽でも思ってたことなんだけど。
村上健司さんの怪食巡礼のコーナー、いつも(って言っても3冊しか読んでないんだけど)写真が美味しそうでほんとに困ります(笑)
今回紹介されていた「かっぱめし」もそうで、いつか山梨に行ったら味処まんぷくに行きたい。。