月村了衛のレビュー一覧
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久し振りにホームランだね。月村さんの作品は大好きだけどテーマによって、かなりムラがあると思う。
今回の羽衣は、この人の本当に得意分野だと思う。
機忍兵零牙に匹敵する小説だ。
僕のように幼い時に観た映画「旗本退屈男」「銭形平次」TVなら「赤胴鈴之助」「矢車剣之助」「鞍馬天狗」「白馬童子」そして「仮面の忍者赤影」に続く冒険活劇・伝奇小説の文脈を正当に継承する作品だ。
敢えて言えば、これだけの内容なのだから、もっと頁を多くして深く詳細に書き込む事が出来たであろうと思う。
要は、もっと長い時間美味しい思いをしたいと言う我儘なんだけどね。
でも、そこまで書き込まないでスピード感を持って作品を完成させているのも月村さんの力量だからね。
もっと長編で読みたいと思うから、羽衣お炎の作品をこれからも発表して欲しいな~。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオピニオンパラレルSF警察小説。
ロヒンギャ問題とインパール作戦、国産兵器の輸出に関わる大疑獄。
逆ロッキードとはすごい発想。ミャンマーのクーデターで、ほぼ時差は存在しないパラレル世界なんだと理解した。
人間が人間を異物と見なすとき、どんな残虐行為にも罪悪感は発生せず、むしろ称賛される善行となる。「民族浄化」という言葉そのものに表れている盲目的な憎悪。
アイゼンの箍は何によって破壊されたのだろう。どこで破壊されたのだろう。ミャンマーで?それとも日本で?
クァンジェンピンのチートっぷりがヤバい。道理で尊大なはずだ。個人では世界でも指折りの殺傷能力を有するキキフなのだから。
オキツ部長の思いやりなのか、ストックなのか、遅れて現れるヒーロー、シェラーの参入は私としては嬉しいんだけど、スガタはたまらんよね。
自信も喪失してるし…
契約期間終了しても継続して欲しいけどなぁ。
ユーリとライザが人として復活してきてるから、次はスガタも頼んます…
あと…シロキさんの闇堕ちも避けてほしいな…
従姉妹の清純派から毒婦への変わり身は衝撃だったと思うが…
オキツ部長が戦いたい敵って、存在するんだろうけど、それとは別な「不条理そのもの」な気がして、個々人の無意識の集合体とどう戦って、何が勝ちなのか、今後が非常に気になるけど、そろそろ最新作まで追いついちゃったから待たねばいけない。
オキツ部長の目指すものが、著書の希望なんじゃないかと期待している。 -
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ネタバレなんてことだ…ミドリちゃん…
ライザの再生に必要だったとは言え、エンジェルが地獄に突き落とされてしまった。
ライザよ…なんとか引き上げてあげて…
てゆうか守って。あえて生かしたって事は次に拉致られるかもしれないリストのトップでそ…
エンダ・オフィーニーはとことんまで不幸な人であった。
財務捜査官ニレさんの奇人ぷりが面白くてスキ。
はじめは難しすぎて理解できなかったが、要するに、クイアコンは新技術の開発に関わる多国籍事業で、既存のシステム設備を使わない為に参入できれば利益が大きく、その技術はドラグーンが一般化することに使われてしまう可能性が高いってことで良いのかな…?
利益が大きいからヤクザやマフィアや政治家がからみついたってこと?
こういうのリアルに溢れてるんだろうな。
敵は…どいつなんだ…
ドラグーンを開発した人はだれ?
あるいは国、団体は?
むしろそっちのが危険だと思うのだけれど。
オキツ部長の隠された私生活は垣間見えたけど、悪魔に仕上がるまでの経緯はまだ謎。 -
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ネタバレナレーターがシンジくんの声に変わり、キャラクターの把握に手間取ったが、女性の登場が多いこの作品ではかえって良かったかもしれないと思った。
ウクライナ戦争前からロシアにはどことなく薄気味悪い印象があったが、このシリーズを追うごとにその理由が明確になる。私はあまりにも知らな過ぎた。登場人物は存在しないが、この惨劇は存在している。
崇高な理想、大義の為に戦っていたはずのシーラが私怨に堕ちてゆく様、それを見抜き自己の罪に気づくカティアの描き方が見事だった。集団の目的はいつも巧妙に変容する。踏み越えてはならない一線は細すぎて見えにくい。気づいたときにはすでに止まれないほど加速している。
憎しみは人、つまり憎むことを止められない自分の存続をゆるし、愛は人、愛してしまった自分を殺す。愛が憎しみを消すのならば、憎むことでかろうじて生きながらえる自分は?愛しているなら殺さねばならない。憎む自分を。シーラはひなこからの手紙を読んだ時、そう思ったのではないだろうか。
「母」とは人間に強烈に備わっている概念だと思う。それは必ずしも産み落とした女性と一致しない。守り育む存在を「母」と呼び、思慕する心はこの世から消えるまでなくならない。
子を喰らう悪鬼は前作でも登場した。喰うということは、すなわち自分の為に利用すること。子供を利用する大人。それは今も溢れかえっている。利用する側には死んでもいきたくない。
カティアは生きられるだろうか。
この後も登場してくれるだろうか。
シロキは闇落ちするのか。
スガタのメンタルはもつのか。
次へ -
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月村さんファンでいらっしゃる、お世話になっているシンさまに月村作品で1番のお勧めを教えて頂き拝読。
良い子の皆さん、今回の感想は卑猥なパワーワードが何回も出てきます。くれぐれも、お父さんお母さんに「パパー、ノーパンすきやき、ってなぁに?」と聞かないようにして下さいね。
という注意勧告が98年当時は無かったせいで『ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省汚職接待事件』がニュースで大々的に報じられた際に、お子様がご両親に質問をしてお茶の間を凍りつかせたという実際の事件。
こちらをベースに書かれた官僚ピカレスク小説です。
作中ではしゃぶしゃぶではなくノーパンすきやきに変わっていますが、不動のノーパンなのでそれはもうノーパンなんです。
本を読んで感想を書いていますと人生においてこんな言葉を何度も書くことになるとは思わなかったと度々思う事があるのですが、今回はその中でもダントツのパワーワードです。
作中で『パンスキ仲間』と度々出てくるのに笑ってしまいましたが内容は笑い事では無い。
主人公は大蔵省きっての変人、ワルでは無く悪であると自負する超切れ者の香良洲。正々堂々と上司に意見をして左遷されていましたが文書課課長補佐に返り咲き。そんな折に官僚達が件の『ノーパンすきやき』で卑猥かつ過剰接待を受けていた事が発覚。
大蔵省未曾有の危機に処分を逃れたい4人の官僚が香良洲に助けを求めます。
当の香良洲は自業自得と呆れてはいたのですが、大倉省の未来、ひいては日本の未来を真剣に考えていた彼は増税を目論む幕辺一派(もちろんパンスキ組)を一掃するチャンスだと話に乗ります。
ここからの頭脳戦が凄い!
元妻の絵理子が秘書を勤める錐橋議員や、ヤクザまでも利用して打倒幕辺に奔走する香良洲。
実在の人物も出て来たりするので『半暮刻』のようにかなりヘビーな切り口で来るのかと思いきや予想外にコミカルな面も多く、それでいて切り札をいつ使うのかハラハラする攻防もあって難しい内容も多いのにするすると読めてしまいました。
月村さんはまだ2作目ですがその手腕に脱帽。
社会の闇(特に金融関係との癒着とか)をこんなに表現してしまってどこかの筋から狙われないかと心配になる程のリアルさもあります。
政治家の方にもパンスキ組がいたりと、虚実織り交ざっていますが当時の大蔵省周りも概ねこんな感じだったのかなと想像すると、某号泣議員の記者会見を動画で見た時と同じくなんとも言えない気持ちに。選挙大事、本当に。まあ当選した後にしか分からないんですけれど。
香良洲の度々使う官僚用語が妙に気に入ってしまい、私も今後頑張るつもりがない時には「鋭意努力します」適当に流す時には「厳粛に受け止めます」と返そうかなと思う程。
それにしても香良洲のダークヒーローみと言うのか、捨て身の格好良さには痺れます。
最後の切り札は果たして良かったのかどうか、確かに賛否両論だろうし悩ましい所ですが、個人的には心の中でガッツポーズを取る程に興奮しました。
そもそも話を持ちかけてきた4人のパンスキ組に最後に放った言葉もかっこいい!
ですがこのままでは終わらないのが寧ろ本書の良い所。
現在は財務省になった大蔵省ですが、どうなるかは既に決まっています。
増税は見事にされてしまったし、香良洲の危惧していた日本の未来は今の時代と変わらない姿。
それをずしんと突き付け、そして『半暮刻』と同じく最後に沁みるタイトル『奈落で踊れ』
タイトルが良すぎる問題。『パンスキで踊れ』じゃなくて本当に良かった。(そろそろこのワードを書くのが恥ずかしくなってきました)
シンさま、とても面白かったです、ありがとうございました! -
Posted by ブクログ
ネタバレ機龍警察6作目。警視庁特捜部・突入班3名は、初の国産機甲兵装モジュールの技術流出を目論むとされる国際指名手配犯・君島の奪還のため、インパール作戦の「白骨街道」に続くミャンマーへ派遣される。一方日本では、城木理事官の親族らが経営する会社に合同捜査が入る。
インパール作戦やロッキード事件など、史実に関する知識の無さを恥じると同時に、機龍警察という素晴らしい作品を通じて実際の過去を詳細に知ろうとする意欲が掻き立てられたので、物語や作品の持つ力は大きいとも思う。
機龍警察の好きなところは、挙げ出したらキリがないのだが、第一に登場人物の立場とリンクするそれぞれの「戦い方」の描き分けにある。
突入班であれば当然、ドラグーンによる戦闘、あるいはドラグーン意外の機甲兵装を含めた装備による戦闘である。また孤高の部長・沖津は、人材の最適配置やそれによって得られる情報の分析・予測による先読み、あるいは対人との振舞いによる組織の存続など、あらゆる要素に隙のない戦略・戦術の展開であろう。さらに城木・宮近両理事官は、出世を見据えた組織での立回りに加え、人脈の形成、そして利用することで特捜の捜査を進める力が必要だし、由起谷や夏川などの主任クラスになると、現場での機転や実際の対人戦闘に迫られることもある。さらに捜査二課の面々の知能犯罪に対する動き、鈴石ら技術班の深い知見による洞察、組織の緩衝機能としての庶務の存在、などなど、これら全ての人たちが物語の不可欠な存在となっており、彼らは自分たちの職務を全うしている。本作・白骨街道もその役割と戦い方が忌憚なく描かれ、非常にスリリングで興奮するのである。
そしてストーリーは「敵」の存在に近付きつつあり、また突入班の人材も1人増えた。新たな4人目はキール-ウィスカー方式のドラグーンではないとは言え、元モサドの経験を活かし、姿以上の才能の片鱗を覗かせている。姿自身は、引退を諭されているように受け取っている描写もあったが、そんなはずはない。沖津は姿を信頼している。その沖津が、彼に引退させるはずはないのだ。むしろ彼にもドラグーンが導入される方向で話は進み、その中で、本来のドラグーンというものの素性が明かされながら、さらに日本の特捜以外で、ドラグーン相当の機甲兵装が誕生する……そんな次回作を予想している。
ドラグーンが登場しなくても、ここまで面白い。もう押井守監督に映像化してほしい。