あらすじ
祖国に絶望した北朝鮮海軍の精鋭達。四十五年前、島根の海岸で拉致された日本人女性。宿命のように引き寄せられた彼らが、老朽化した潜水艦に乗って日本への亡命を企図した時、国際社会を揺るがす悲壮な闘いの幕が切って落とされた。一発でも魚雷が当たれば撃沈必至の極限状況。それゆえに生まれる感涙の人間ドラマ。超弩級エンターテイメント!
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Posted by ブクログ
北朝鮮からの亡命を決意した軍人達と、彼らの亡命を阻止しようとする共和国側軍人との戦いが始まった。
その戦いに巻き込まれた形で拉致された日本人女性をいわば餌にして脱北を試みる軍人達の運命は如何に。
読みどころはやはり潜水艦同士が争う水中戦と、対敵艦隊との冷静な心理戦。読み進むにつれハラハラさせられた。
潜水艦の知識は皆無に等しかったけど、想像力を掻き立てられるストーリーと描写にはいつもの月村作品並みに面白い。
後半はウルっとさせられる場面もありで、つい目頭が熱くなった。
Posted by ブクログ
読書備忘録893号。
★★★★。
最近は、世間を揺るがせた事件や社会的テーマで骨太小説をリリースしている月村さん。
想像するに、これらの作品を世に出すには相当なリサーチとか、参考文献の読破など体力を消耗するものと思っています。
そこでたまにはこういうあまり中身を感じられないけど一定の満足感が得られる娯楽小説で息抜きするのかな、と勝手に想像しました!笑
作品名からストーリーは明快。
北朝鮮からの亡命です。
亡命先は日本!
なぜか?拉致被害者を日本政府との交渉材料に出来ると踏んだから。
拉致被害者の高齢女性。
島根の海岸で拉致された。
当時、拉致現場をぎりぎり掠めた警官、漁師、海保の関係者は、あの時こうしていれば、ああしていればと、今も苦悩する。
北朝鮮の亡命メンバー。
将軍様の国で日本の感覚では考えられない境遇に晒されてきた。
そして、政治指導員の辛吉夏は拉致被害者の女性を連れ出し、潜水艦11号の艦長桂東月と共に亡命作戦を開始!
執拗な追撃を躱し、日本領海との境界線に。
そこに待ち受けていたのは、東月のライバル羅済剛が指揮する潜水艦9号!
東月は済剛に演習で勝ったことが無い!
手に汗握る潜水艦戦!
この潜水艦同士の戦いが読みどころですね!
あと、日本政府のクズぶり。
国際共通のVHF信号で拉致被害者と共に亡命を希望する!助けてくれ!と発信するも、危機管理能力が欠如しているジャパン!遠巻きにして傍観?
さあ、どうなる!どうなる!
ここも読みどころです!
という感じです。
潜水艦とは名ばかりの旧ソ連のロメオ級。
第二次世界大戦時代の潜水艦に毛が生えた程度で、現在現役運用しているのは北朝鮮とエジプトだけ。
それ以外の国はスクラップか博物館展示。
そんなロメオ級の今にも水中分解してしまいそうな戦いは楽しいです。
そして、拉致被害者の問題は間違いなくセンシティブ。
軽々しく扱うことに良い感情を抱かない方は、この作品読まない方が良いですね。
Posted by ブクログ
大規模軍事演習に乗じて
国に絶望した北朝鮮海軍の精鋭達が
老朽化した潜水艦で亡命を計る
45年前島根の海岸で拉致された日本女性を
日本への切り札として
亡命をあらゆる手段で阻止しようとする北朝鮮軍
受け入れを躊躇する日本政府、海上保安庁
その攻防戦はミニタリー小説として秀逸なのだろうとその方面に疎いながらも感心する
ですがこの作品は、長い懸念事項の拉致被害者と帰りを待ち侘びる家族への想いの方に意識が傾く
文学で小説で 世論が高まって解決に結びついたらとても素敵だと思う
小説で拉致被害者家族の悲しさだけが増幅してしまったらと思うと辛い
Posted by ブクログ
月村作品
某国による拉致被害者の帰国を図る亡命軍人たち
こんな事が起こり得るかは別として
両国の反応は大方こんな感じなのかも…
物語はエンタメとして消化できてるが
題材の割に厚みは感じなかったかも
両国の意思決定機関の描写や登場人物をもっと深掘りして欲しかった